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高町なのは
歴史に名高い「魔王の挑戦」の立役者にして、その俗称の由来。
その魔力量と手段を選ばない戦術、敵対者の殲滅を第一とする戦いぶり
から、10歳になる頃には「魔王」の二つ名が定着していた、と言われる。
また、上官侮辱、命令違反等での処分も少なくなく、社会・組織への不適合
性が高い性質だったと見られている。
後代の研究で、クーデターの前段階における、恣意的な情報操作や種々の
手回しの痕跡が見つかっており、自作自演のクーデターであった疑いが濃い。
ただし、クーデター前後に、聖王教会並びに各次元世界からの政治的支援が
異常にスムーズに行なわれており、彼女の年齢から考えても、彼女は実行の
駒に過ぎず、次元世界内の複数の世界政府が共謀して、時空管理局の廃止と
次元世界連盟の設立を計画実行したとの見方が一般的。
20代半ばで時空保安局を退局し、1民間魔道師として、次元世界各地を
放浪。各地で数々の逸話を残す。真偽定かならぬ伝承も多いが、「夜明けの
魔王」の二つ名とともに、数々の逸話は、次元世界中の人々の口に膾炙して
いる。
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レジアス・ゲイズ
「魔王の挑戦」における高町なのはの最大の支援者、そしてあるいは真の
主役だったのではないかと目される人物。
クーデターで混乱状態にあった時空管理局を手際よくとりまとめた手腕、
管理局上層部が軒並み背任の容疑を受けていた時期に、告発者側にあった最
高位の人物で、且つ従前から時空管理局の改革派領袖であったことなどから、
時空管理局の代表として、聖王協会の主導する各世界と交渉、時空保安局の
設立を実現した。
その後、時空保安局統合幕僚会議初代議長に就任。創立直後の混乱や数度
発生した反乱騒ぎを、大過なくおさめたその手腕は、同時代人から高い評価
を受け、当時の自己本位志向の強い各次元世界政府からさえ、極めて高い支持
を得ていた。
しかしながら、就任後10年を経ずして職を辞す。慰留の声に対し答えた「老人が
若者の道を塞ぐべきではない」という言葉は、ある程度のまとめが終わって
いた、時空管理局の組織上の欠陥の研究の結果とあいまって、時空保安局に
定年制を導入するきっかけとなった。
退局後はクラナガン郊外で一切の政治活動を慎み、静かに過ごしていたが、
繰り返しの懇請に折れ、数年後、次元世界連盟治安委員会非常勤外部顧問の
肩書きを受け入れ、以後、終生、次元世界の治安の維持向上に努めた。
死後、時空保安局名誉局長位贈位。
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ジェイル・スカリエッティ
「魔王の挑戦」の立役者にして、その俗称の由来。史上屈指の犯罪者と
して名高いが、「魔王の挑戦」における演説やその動機に対し、当時から
同情の声はあり、悲劇の科学者として再評価する動きも何回か起こった。
ただ、もっとも強く彼を弁護する者であっても、彼の狂気を否定することはない。
数々の文学や演劇において、狂わざるをえなかった悲運の人、という役割
を背負い、「人間」について、今も多くの人々に難問を投げかけている。
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ハヤテ・ヤガミ・グラシア
時空管理局の解体と時空保安局の設立に、管理局の改革勢力と聖王教会の
つなぎ役として関わり、大きな功績を上げた「最後の夜天の王」。
時空保安局設立後は、多次元世界対策局に勤めて旧管理局と聖王教会、各
世界政府派遣の人員の融和に力を尽くした。
30才前で退局し、聖王教会に戻って古代ベルカ魔法の研究と復興に努め、
古代ベルカ魔法再興の祖として、現在も崇敬を集めている。老境に入って、
聖王教会枢機卿として次元世界連盟の運営に積極的に関与、最終的には連盟
会議議長を、規定上限の3期に渡って務めた。3期の議長職選出は、現在に
至るも彼女のみである。
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フェイト・テスタロッサ・ハラオウン
時空管理局の解体と時空保安局の設立に際して大きな役割を果たした、
時空管理局遺物管理部機動六課の2名の係長職の1人。高町なのはや
ハヤテ・ヤガミ・グラシアの、プロパガンダで増幅された名声に隠れて、
一般にはあまり評価されていないが、2人に劣らぬ活躍をし、堅実に役目を
果たした2人の盟友。
時空保安局多次元世界対策局に、広域独立捜査官として長年奉職し、
エースの名に恥じない成果をあげ続けた。時空管理局回帰派の、有形無形の
妨害がなければ、おそらくはもっと大きな功績を残していただろうと推測さ
れている。
定年で退局したあとは、生体実験や違法生命研究の被害者の救済・更正の
ための団体「アリシア」を設立した。その献身的行動と伝えられる人柄を
慕い、彼女の墓には、いまも墓参の絶えることはない。
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オーリス・ゲイズ
時空管理局の解体と時空保安局の設立に際して大きな役割を果たした、
時空管理局遺物管理部機動六課の副隊長。
目立つ功績こそないが、陰に日向に部隊長高町なのはを補佐し支えたこと
が、各種研究から明らかになっている。高町なのはの功績とされていること
の大部分は、実は彼女の業績であるとする説も根強い。
レジアス・ゲイズの娘であり、高町なのはの腹心であったことから、草創
期の時空保安局で大きな影響力を持っていたが、決して自らの職責を超える
ふるまいをすることなく、定年で退局するまで公正無私の姿勢を貫いた。
ベルカ第二聖王王統の祖ヴィヴィオの養母であったことでも知られるが、
その立場を利用することもなく、控えめながら規律を重んじ、かつ情愛深い
姿勢でヴィヴィオに接しつづけ、その人格形成と人生に大きな影響を与えた
とされる。
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クロノ・ハラオウン
時空管理局時代からその人格と能力への評価は高く、時空保安局設立後も
旧体制への回帰をもくろむ各勢力を巧みに制御し、体制の安定に大きな功績
を残した。
時空保安局多次元対策局統合司令部付艦隊司令を皮切りに、統合司令部
部長、多次元対策局次長、時空保安局統合幕僚会議付幕僚などの要職を歴任。
時空管理局で本局の提督を務めていたという経歴がなければ、統合幕僚会議
議長就任は確実だったと言われる。
退局後は、次元世界連盟治安委員会に所属、次元世界の治安の維持向上に
尽力し続けた。
現在に至るまで続く時空保安局のハラオウン派の初代領袖であるが、当人
は権力を持つことを嫌い、政治色の薄い役職を望みながら、時代と状況のた
め、ついにその願いは果たされず、愚痴をこぼしながら職務をこなしていた
という。
フェイト・テスタロッサ・ハラオウンの義兄であり、「ハラオウンは有能
だが報われない」というジンクスを兄妹で確立した、としばしば揶揄される。
同時代を描いた文芸作品や演劇などでは、不運な苦労性として描かれること
が多い。
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チンク・スカリエッティ・ナカジマ
「魔王の挑戦」の主役の1人であるジェイル・スカリエッティに製造され
た機人、いわゆる「ナンバーズ」の1人。
スカリエッティの指示のもと時空管理局に襲撃をかけ、「ゆりかごの最
期」においては、2対1ながら高町なのはと戦い、片腕を奪うほどの激闘を
くりひろげた。
事件後は更正し、時空保安局多次元世界対策局に所属。草創期の大きな
問題の一つだった、戦闘機人技術の拡散防止と悪用の抑止に大きな功績を
上げ、まだ偏見の多かった機人の保護と尊厳確立にも尽力した。
「ナンバーズ」のうち、更正して時空保安局に協力した者たちのまとめ役
であり、ナカジマ家の養子となった1人だが、ミドルネームに製造者スカリ
エッティの名を保持しつづけた。そのために少なからぬ嫌がらせを受けたが、
公私にわたり堂々たる態度を貫き、己の生まれも製造者スカリエッティに
ついても何ら恥じることはない、と公言し、やがてはその誇り高い言動が、
多くのシンパを生み、尊敬すら集めるようになる。ついには、聖王教会
枢機卿カリム・グラシアの支援のもと、次元世界連盟に「生命倫理人権委員
会」を設立させる主導者となり、機人やクローンの「つくられた生命の尊厳」
を掲げ、社会的認知及び権利意識の確立のため、さまざまな活動を展開した。
フェイト・テスタロッサ・ハラオウンとともに、機人・クローンが社会に
偏見なく受け入れられる土壌をつくったとして、今もその名声は高い。
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アリサ・バニングス
現在の第188連盟世界「地球」の、次元世界連盟への加入に際し、大き
な役割を果たした同世界出身の政治家にして経営学者。
同世界の連盟加入後、世界代表として連盟会議議員となり、非魔法世界へ
の偏見が色濃い中、さまざまな提議をおこない実行を主導し、転換期にあっ
た次元世界の安定と発展に大きな役割を果たした。
連盟会議にて要職を歴任、連盟会議議長も務めた。次元世界連盟草創期を
代表する政治家の1人。
彼女がいなければ、旧管理世界群と旧管理外世界群の政治的融和は、10年
は遅れただろうと言われる。
幼少期、高町なのはとクラスメートだったことがあり、終生秘書を務めた
月村すずかとともに、高町なのはと個人的な親交があったのではないかという
説があるが、証拠立てる資料は見つかっていない。
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ティアナ・ランスター
「ランスターの前にランスターなく、ランスターの後にランスターなし」の言葉
で知られる、次元世界連盟体制草創期の英雄。
時空保安局で重職を歴任、50歳を目前にして退局、政治家に転身。最終
的には次元世界連盟会議議長を務め、退職後に次元世界連盟名誉顧問を贈位
されるほどの活躍を示した。
時空保安局時代から、犯罪への対症療法だけでなく、他組織や各次元世界
政府との連携に力を入れて犯罪発生を根から絶つことに情熱を注ぎ、彼女が
死の床についたときには、次元世界全域に、確固たる治安維持体制と、整備
された社会環境が確立されていたという。旧暦時代から続いた次元世界の
混乱の終わりを、彼女の没年とする意見もあるほどである。
彼女の末期の言葉、「結局、越えられなかったか……契約をクリアできな
かったのは悔しいけれど、誇らしくもあるわね」の解釈や“契約”の意味を
めぐって、いまも学者達が議論を交わしている。
しかし、この言葉がなにを意味するにせよ、彼女が新暦制定以降の歴史
で、1、2を争う英雄であることは、疑う余地はないだろう。
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■■後書き■■
まことに残念ながら、UP予定していた後伝が、数ヶ月かけても文章化できなかったため、公開予定はなかった今話を代わりとして話を締めることにしました。後伝を楽しみにしていただいていた方、申し訳ありません。
本作はこれで全編完結とさせていただきます。ありがとうございました。
作者 拝