「よう、お疲れ様。……ちょっと出かけてくるけど、しっかり寝てろよ。子どもの頃の脱臼は癖になりやすいからね、養生なさい。……まったくバカなことしてくれちゃって、愛いやつめ」そしてフェイトの頭を撫でる。さらさらとした髪の毛の感触。気もちぃなぁ。フェイトは意識がないにも拘らず、少しだけ表情が和んだような気がする。まぁ錯覚かと。ここは医務室。なのは、ユーノ、クロノとは違う部屋。意外とプレシアからの攻撃は強力だったようで未だに誰も目を覚まさない。つってもまだ一時間もたってないんだけどねー。あんだけの戦闘して、プレシアの雷撃もろに喰らって失神させられて、一時間で目覚めるほうが不思議ですよねー。もうそりゃ何処の化け物かってくらいですよねー。はぁ……。クロノとかぜってぇ目覚めない。フェイトからボコられ、なのはのSLBをもらい、プレシアからの雷撃。よく死ななかったね。マジで。ってことはだ、俺はプレシアのとこに行くのに武装局員しか連れて行けないわけだよ。いやむしろ俺が付いて行くほうなんだけど。ていうかこそっと付いていくわけなんだけど。だってリンディさんに言ったら絶対行かせないって言いそうだし。「私たちがプラントもデータも取ってくるからジッとしてなさい」とか超言いそうじゃん?ヤダヤダそんなのヤダぁ! お母さんに会いたいの!! これマジで。一回くらい見てみたい。俺を作り出した人。プレシア・テスタロッサに。それに『確かめたいこと』もあるしね。「んじゃぁ、い、『行って来ます』……」意識の無いフェイトにゆっくりと唇を重ねた。やばいぜ。ドキドキするぜ。なにやら犯罪者な気分だぜ。こ、こんないたいけな少女の唇を奪うなんてっ、しかも意識無いのに!!(いまさら) ……超うめぇ。ふひひ。最後にぺろりとフェイトの唇を一舐め。よし、挨拶完了。次は、「アルフもね。よく頑張った」フェイトに寄り添うようにして眠っているアルフ。それ絶対フェイト痛いって。そんなにしがみ付くんじゃないよバカチン。それにしてもいい肉体だぜ。眼福だぜ。このムチムチと肉感的な太ももとか。ぽにゃぽにゃと柔らかそうな胸とか。絞り込まれてるウエストの辺りも最高だぜ。「―――よし、『頂きます』」『何を・頂く・つもりかと』「おっと……間違えちまったぜ☆ それじゃ『行って来ます』」―――むちゅるん☆―――もみもみ さわさわ もみもみ チュパチュパ もみもみ つんつん もみもみ くりくり もみもみ はぁはぁ もみもみぃぃぃぃっぃいいいいいい☆「……んっ、ぅ……」「やべっ起きるぞコイツ!」『―――撤退!』 アルフいぢり完了なんだ☆感想としては……うめぇ。フェイトに負けず劣らず超美味ぇ……。14/~時の庭園~「えと、転送ポートはっと……見っけ!」武装隊が既に集合待機状態。原作でプレシアの噛ませ犬になり、散って逝った局員達よ。君たちには新しい任務が入ってるよね? ちゃんとプラントと研究データ、頼んだよ。今回はプレシアの真ん前には転送しないみたいだからさ、原作での汚名を返上する時が来たんだぜ。マジで噛ませ犬だったんだから。「―――いいかお前ら」コソコソと転送のタイミングを図りながら隊に近付いた俺に聞こえたのはそんな声。ちらりと視線を上げてみると隊長?(とりあえず偉そうなやつ)が局員全体になにやら話しかけている様子。…アレか? 出撃前の、恒例のアレなのか?「今回俺たちは犯人を逮捕するわけだが、ちょいと違う任務も背負っている。 なぁに、簡単なことだ。ガキ一人救うだけの、簡単な任務。事の詳細は俺も聞いては無いんだが、どうにもそのガキの命は俺達の働きに掛かっているらしい。 既にブリーフィングで話したと思うが、人体実験の培養槽らしき物、もしくは研究データ。見つけたら即行でちょろまかして来いよ。それでガキは助かる。 お前らも知っているだろう。ここ最近艦内をちょろちょろしてるヤツだ。まったく迷惑なガキとは思わんか? 俺はアイツにタバコを二箱パクられたぞ」「自分は食堂で散々奢らされました!」「俺は男の必需品である『秘蔵データ』を持っていかれた!」「女の子だと思って優しくしてたらバッチリ裏切られました!!」……いや、全部事実だけどさ……。って言うか最後のやつは駄目だろお前。「おお、おお。そうだ、そいつだ。とてもじゃねぇが、死にそうには見えねぇ。……が、俺は見ちまったよ、アイツが血を吐いているのを。そしてそれを悟られまいと仲間の前では明るく振舞っているのを。 ……『漢』じゃねぇか。まったく、やられちまったぜ。アイツは俺の好きな人種だった。こうなっちゃ救わねぇ手はねぇ」いつ見られたっけか。まったく覚えがない。結構やっちゃってるしなぁ。「『漢』ですね……」「ああ『漢』だ」「……惚れそうだ」いや、だから最後のやつ、お前ちょっと怖いって。「死なせるには、ちと惜しい。お前らも色々と貸しがあるみてぇだ。だから、わかるな? 何としてでも―――」『―――救い上げろ!!!』うおっ!?ビリビリとした振動が鼓膜を襲った。十人程度しかいないのに、それほどの大音量。隊員全員が声を揃えての意思表明だった。やばい、涙出そう……。管理局いいじゃん。いい奴らじゃん。決めたぜ、俺、将来絶対に管理局には入らねぇ!! え? だって俺はそんなガキを助けたいなんて思わないもん。けどホントありがとね。まじ感謝してるよ。最後のやつには間接キスまでなら許す!!『武装局員は転送ポートへ!』何処からかエイミィの声が聞こえた。スピーカーらしきものは見当たらないんだけど、これ魔法? んなわけねっか。こんなんで魔力消費したくねっての。「いくぞテメェら!」『応!!』応!! 声出したらばれちゃうから心の中で。コソコソと、転送の波に乗る。さぁ、首を洗ったあとちゃんと乾かして香水をワンプッシュして待っていろプレシア。君のムスメ♂がお帰りですよ。。。。。。「……でだ、おいガキ、なんでお前がココにいる」「いやね、たまには実家に顔出すのもいいかなぁ、と」「寝言は寝てから言え! さっさと帰れ! ここは戦闘に―――」おっさん(隊長)が言い終える前にやつらは出てきた。ずず、と床に黒い染みのようなものが広がったかと思うとその中から……ロボ。完璧にロボ。身の丈十メートルは有ろうかというマッスィーンだった。魔法によって操られている傀儡。その姿は様々あり、砲撃戦仕様のもの、接近戦仕様のもの、全部が完璧にこちらを敵として認識している様子。ってかね、物騒すぎ。なんだあの馬鹿でかいソードは。あんなん喰らったら斬れるっつーより潰れちゃうよ?まぁもともと侵入者撃退用なんだから当たり前か。……当たり前か?機械兵はきらりと一度目を光らせ、その重そうな身体とは裏腹に実に素早い動きで己が役目を全うし始めた。要するに、戦闘開始。一斉にドスドス足を踏み鳴らし、こちらに向かって駆けて来る。管理局と機械兵たちの戦闘が始まった。っほえぇ、圧巻だぜ。ちょっと苦戦するかもね、やっぱ。クロノがいたら一発だったのに……ごめんね、キラッ☆「ほら、これでもう帰れない。こんなときに転移させてくれるような暇はないよね?」「っち、んのクソガキ……、後ろに下がってろ!」そいつも聞けない相談でねぇ。こんな大事な局面で、あんた等みたいに主人公補正が無いキャラクターに良い所とられて、それじゃリリカルの名が泣くぜ。既に戦闘も始まっているんだ。ほら、おっさんの仲間、今くらったぞ。死ぬ前に後退しな。それにな、俺は右手に憑いてるデバイスから一つだけ学んだことがあんだよ。「―――違うぜおっさん。俺の命を決めるこの場面で、あんた等の命が掛かってるこの場面で……後ろには下がれねぇ」とりあえず反抗しとけ。したい事をやる。やりたくねぇならやらねぇ。我侭かい? 俺もそう思う。文句はリスペクト対象に言ってくれ。言った瞬間に殴られると思うけど。「……お前は、死を覚悟しているのか?」「そいつも違う……」俺はゆっくりと右腕を伸ばした。ファーストフォーム、セットアップ。念じるだけ。それだけで分かってくれる。繋がってる。俺の右手。右腕。肩に這い上がり、背中に回るシェルの根。右腕の圧迫感は去り際に力を与えてくれる。背中のフィンは気分上々。久しぶりにファーストフォームの構築だった。いつでもいける。迫り来るロボもきっと一撃だぜ。だろう、シェル? 俺たちにかなう相手なんざいねぇ。この全能感。最高だ。アドレナリンがすごいぜ。テンションマックス。てかシェル何かしてんだろこれ? 気持ちよすぎて笑いが出てくるぜ。「おっさん、俺はな、死を覚悟してんじゃねぇ。―――生きる決意を、立ててんだっ!!」『――Acceleration――』ぱきぱきぱき、と崩れ落ちるアクセルフィン。そして加速を生み出した。地面から足が離れ、宙を駆ける。背中から噴出す加速の奔流があたかも流星の様で。「―――衝撃のぉ」一気に機械兵に肉薄。胴体部、潰してやらぁ。「ファーストッ、ブリットォオ!!!!」『――fist explosion――』拳が接触した瞬間、大規模な爆発が起こった。ずどぅん! とやや曇った音色。同時に機械兵の腹に風穴が開き、バカみたいに吹き飛んでいく。その際に機械兵を何体巻き込んだことだろうか。とても出来の良いボーリングのようにクラッシュストライク。くはっ、余裕。最高だ。シェルブリットの、魔法の威力自体が底上げされてる。これも俺がせっせと身体を明け渡したお陰か。感謝しろよシェル。鉄くず同然だったお前が今や機械兵を鉄くずにしてんだぜ。「っふは、ふははははは!!! 粉砕! 玉砕! 大喝采!! オラオラかかって来やがれコンニャロが! 管理局もチンタラやってんじゃねぇぞ、民間人に全部食われちまってもいいのか、あぁん!? 見せてみろ! テメェらの『意地』を!! さぁもっとだ、もっと! もっと、輝けぇぇぇええ!!!」「……本物の、バカ(漢)だな」聞こえてんぞおっさん。バカとはなんだバカとは。がちゃん、と一発カートリッジをロード。右腕にあふれ出す魔力でセカンドモードへと移行。みしみしと圧迫感。いてぇいてぇ。気持ちイイぜ。ファーストでイッた感触だと、セカンドフォームでならばバーストを使うまでもなく機械兵たちは破壊できる。……はずだ。出来なかったら出来ないでいい。コイツのスピードなら撹乱くらいいくらでも出来る。「―――っしゃあ! いっくぜぇえ!」『――Acceleration――』ッドン!と0から100へのバカ加速。身体がビリビリと痺れる。すげぇ。やっぱ速くなってる。マジでディフェクト無双が出来るぜ!!その加速のまま一番近くにいる機械兵にアタック。ごちん、と僅かに硬い感触を残して突き抜けた。いいね。背後で風穴が開いた機械兵が爆発するのを感じる。さあ次は誰だ。このままイっちゃうぜぃ!「―――っ武装隊、何をやっているかあ!! あのガキに良い所持ってかれちまうぞ! ンな玩具なんぞさっさとゴミに変えちまえ!!!」「了解!!」「おうともさぁ!!」「―――っしゃらあ!!」よっしゃ。お前らそのままテンション維持しとけ。敵を壊すよりも、道を切り開き一気に進んだほうがいい。一々相手にしてたら疲れちゃうよ。おっさん、俺が守っといてやるから道を作ってくれ。俺は基本的に一対一しか出来ねぇんだ。他の武装隊員も頑張ってるが、このままじゃこっちが先に潰れる。俺は機械兵の頭に取り付き、ソレに腕をめり込ませながらちらりとおっさんの方に視線を送った。念話すら通さない(現在封印されてるので出来ない)、会話ですらない。だが、確りと頷くのを俺は見た。うげぇ、心が通じ合っちゃったよおっさんと。「全隊員、俺が道を作る! 先に進むぞ!!」そしておっさんの元に魔力が集まっていくのを感じた。パキィンと耳障りな音を残して展開される、ミッドチルダ式の魔法陣。がっちりと正面を向けたデバイスの先に大型のスフィアが形成されていく。―――ギュゥゥゥゥウ……!!なに!? ちょ、その音はっ!「バスタァライフルゥ……ブレイカァァァアア!!!!」機械兵を十体近く巻き込む魔法を放った彼は後に語る。義兄を倒したのはお前か、と。……シリアスにいかせてくれぃ!。。。。。長い回廊を抜け、ようやくエントランスホールのような場所に出た。原作でなのは達とクロノが二手に分かれたあの場所。ドアを開けて右手側にある、上へと続く階段は此処、『時の庭園』の動力部へと続く階段。まだジュエルシードの発動自体確認されてないから行かなくてもいい場所……になるのかな? ……んなわけないか。どっちにしろ此処の動力は落とすべきだとリンディさんも考えてるよね。正面にある扉はクロノが突っ込んでいったトコだと思う。アニメでプレシアのとこに出てくる時に結構怪我をしてたから、そりゃもう蜂の巣を突付いた時のように機械兵がウヨウヨ出てくるものだと仮定。だってクロノが怪我するんだぜ? 正直行きたくねぇよ。そして左手側にある下へと続いている階段。……クセェ。すっごいキナくせえ。俺の生存本能があそこに行けと騒いでる気がする。あそこだな、俺の死亡フラグ抹殺機は。はぁ……どうしようかな。いや、行くのは最初から決めてたんだけど、もう目前だと思うとすっごいドキドキしてきた。なかったら俺終わり。笑えるね。「ここからは二手に分かれる。負傷したヤツはいるか?」おっさんの声に反応したのは四人。悔しそうに、ゆっくりと手を上げた。「そんな顔するな。お前らのお陰で此処まで来れている。胸を張れ!」はい! となかなか元気の良い返事をし、四人は転送された。残り、八人か。俺を入れれば九人だが。まぁ普通に考えて四-四に分かれて行くんだろうねぇ。動力を止める係と、プレシア逮捕の係。それが終わった後に俺の死亡フラグ除去。こういう流れなんだろう。正直、動力炉へと続くエレベーターを守ってるあのボスクラスの機械兵に局員四人で勝つのは無理だ。プレシアの拘束だって、抵抗を受ければあっさりやられるだろうし。どうしようか。助太刀? でも俺が加勢しても勝てるなんて言い切れないし、しかも全員やられてサヨーナラーじゃ洒落にもならん。うぅぅぅぅうううむむむむむ……。マジどうすんべ。畜生。メインキャラ誰か復活してくれ。これきついわ。「おいガキ。さっきから艦長殿の念話がうるさくていけねぇ。お前をこっち(アースラ)に送れと言ってるが……どうすんだ?」「俺のケツの穴を舐めろっていっといて。むしろ舐めさせろっていっといて」うぅむ……。「……。おい、何で俺が怒られなきゃいけねぇんだ。ありのままを伝えたのによ。いいからさっさと帰って来い、だそうだ」「一発ヤらせろって言っといて。むしろ俺を食えって」うむむ……。「……。おい、本気でキレてんぞ。こっちに合流するとか言ってんだが……」「俺のビッグマグナムで顎外されたくなかったら黙ってろって言っといて」うるせ……。「―――あら、誰がナニで誰の顎を外すですって?」「あぁもううるせぇな!! 下の口拡張されたくなかったら部屋の片隅で三角座りでもしてろこ、の……雌、ブ、タが……」「……」「……」「……」「―――キラッ☆ミ」おおっと。これはどういうことかな? ん?おっと、おおっと。あ、お…あぁあっ!アッ―――!!びくんっびくん……。「ここからは私が単独でプレシア・テスタロッサの逮捕に向かいます。武装隊は二手に別れ動力炉の封印と、プラントの確保及びデータの奪取、それぞれの任務をこなして下さい」おいおい、大丈夫なのか? って言うかアンタ戦闘はちゃんとできるんでしょうね?いや、こっちとしては嬉しい限りなんですけど……。「艦長殿よ、そいつはちょいと無理がねぇか? プレシアのところに行くなら俺たちも連れて行くべきだぜ」うん。おっさんの言うとおり。ごもっともすぎる。リンディさんの戦闘能力ってのは正直よく分からんが、プレシアの方はよく分かる。武装局員十人ほどを一撃でしとめるくらいの力を持ってるんだ。一人はまずい。しかも進む先には機械兵がウヨウヨいること間違いなし。クロノだったら適当に行かせるんだけど(原作に沿ってるわけだし)、リンディさんはなぁ……原作でも強いのか弱いのかよく分からんし。これで死んじゃったりしたらマジでアウトですよ。クロノカワイソスですよ。「うん、俺もそう思う。というかむしろリンディさんには動力炉を破壊してもらいたい」確か動力炉ってジュエルシードみたいな反応を見せるんだよね? 次元震を起こすのを補助する役割だったはず。だったらまずソッチからじゃん。「それがそうも言ってられないの。私がこっちに来る前にプレシアから通信が入ったわ。彼女はもうジュエルシードを発動させる気よ。次元震が起きるとなると私が進行を抑えなければなりません。その間にプラントとデータを確保して欲しいの」なるほど、通信か。やっぱ同じようなことやってんだねプレシア。最後にフェイトの顔は見れたかい? 多分見てないと思うけど。というかそれなら尚更一人で行かせる訳にはいかねぇだろ。次元震抑えてる間アンタ無防備だったじゃん。いやアニメの話ですけどね。それでアンタがいきなり、私のディストーションシールドは108式まである、とか言い出してプレシアをボコボコにしてくれるならいいんだけど、無理でしょ?「……おっさん、リンディさんに付いていってよ。俺が動力炉を破壊してくるから」「それを決めるのはお前じゃねぇ……といいたいトコだが、俺もお前の意見に賛成だな。かつては大魔道師とまで云われた女だ。艦長殿一人じゃ無理だろうな」状況読めてるね、おっさん。ていうかリンディさんもホントは分かってんじゃないの?「でも、もし次元震が起きたら『時の庭園』は崩壊するわ。私のシールドも長くは持たない。だからその前に、なるべく早くあなたのライフラインを確保しないと……」……俺が死ぬってか?おいおいやめてくれよ。それをさせない為にあんたは来たんだろう。気張ってくれよ。大体さ、「っはん、次元震? しらねぇよ。んなもん起こらねぇ。あんたが止めてくれる。ライフライン? んなもんプレシアをぶっ潰して取りに行きゃいいんだよ」その場にいる管理局員全員の瞳が俺を貫いた。驚愕の表情。「……おいおいおいおい、皆して何だよその顔は。なんだ? 無理だとでも思ってんのか? 俺が死ぬとでも思ってんのか? まさかまさか、そんな事あるわきゃねぇだろ。 なにより俺には『コイツ』がある。『コイツ』が居る。『コイツ』だけはどんな時でも、どんな状況でも、俺を裏切らねぇ。今までもそうして来たんだ。これからもそうするさ。 もし俺の前にでけぇ壁があったら」『ブチ・破る』「どんなに強固なフラグでも」『叩き・折る』そうさ、「その為の力で」『その為の・魔法で』「『その為の、拳だ!!』」―――な、シェルブリット。。。。。。「おらぁ! さっさと抜けろ! いちいち相手にしてたら日が暮れちまうぞ! あそこのエレベーターだ!!」ガボンと右腕で機械兵を破壊しながら言った。局員はいちいち相手を潰そうとしすぎる。んなもん無視だ無視。数で負けてんだからさっさと勝利条件をクリアしようぜ。別に熟練度はいらないでしょ?「―――了解!! 一気に抜けます!!」ああ、そうしてくれ、局員。名前はないけど許してくれよ。苦手なんだ。名付けるのも、憶えるのも。俺は五人の局員と動力炉の破壊に向かっている。おっさんとリンディさんは結局二人しか連れて行かなかった。まぁ正直助かるが。大丈夫なんかねぇ……。「うわぁあ! 何だコイツ!?」突如聞こえたモブの声。こっちが大丈夫じゃねぇってか? 笑わせる。ずん、ずんと足元から頭へと響く振動。エレベーターを間近にしてそいつは現れた。今までの機械兵とは違う、両肩に突き出るようにして出たキャノン砲らしきもの。何より、感じる魔力も、図体もかなりでかい。きたか中ボス。原作ではなのはとフェイトの二人が倒した。ふふん、たった二人にやられたくせに、六人いる俺たちに向かってこようってか? ……楽勝だぜ。「怯んでんじゃねぇ! 図体ばかりでかいただの木偶の坊だ! 俺が突っ込む、援護は任せた!!」アクセルホイール始動。さぁいくぜ。「シェルブリットバァストォオオ!!!」。。。。。「う、……んぁ」身体の異常で、不意に意識が浮かび上がるのをフェイトは感じた。体中が痛い。特に肩や足首。心臓の鼓動と共にずくん、ずくんと熱が通う。ああ、怪我したんだったな、とまどろみの中でふと思った。それならば痛いのには納得がいく。しょうがない。……だが、気持ちイイのはなんでだろうか。先ほどから首筋をぬめぬめ這い回っているナニカ。太もも、足の付け根を優しくなで上げているナニカ。自分の小さな胸を、その先端を、やけに執拗に攻めてくるナニカ。お腹の奥がキュンキュンしてくる。なんだか、セツナイよ……兄さん。兄さん……?それを意識した瞬間、フェイトのまどろみなど一気に吹き飛んでいった。「―――兄さんっ、にいさ、……アルフ、何してるの?」「あ、『おはよう』フェイト」―――ちゅるる☆「ちゅぱ、ん『おはよう』あゆふ……ん」……?なにか違う。ここはどこ?「あ、アルフ、ここはどこ?」「管理局の船の中。憶えてない? あのなのはってヤツの魔法で落とされたんだよ」そう言われ、フェイトの脳裏にはフラッシュバックのように記憶がよみがえってきた。脳みそのほうもようやく稼動状態。そうだ、確かに落とされた。桃色の閃光が今も網膜に焼き付いている。それなら兄は、ディフェクトは一体何処にいる?「……兄さんは何処にいるの?」「アイツなら……」不意にアルフは壁に目をやった。フェイトも吊られて顔を向ける。そこでは何とも出来の悪い映画が流れていた。戦っている。ロボと人が。どれもこれもが見たことのある機体。ああ、そうか、と。『時の庭園』の映像だ。時空管理局に、ついに見つかってしまったのか。母は逃げる準備はちゃんとしていると言っていた。どこに行くのかは分からないが、それならそれでいい。しかし、なぜ兄がそこにいるのだろうか。なぜ侵入者撃退用の機械兵を壊してるだろうか。訳が分からない。「―――さぁフェイト、どうする?」どうするとは?「わ、わたしは……」どうすればいい? 分からないよ。なんで? 分からないよ兄さん。兄さん、兄さん。「―――それなら、フェイトはどうしたい?」「……」「……」「……会いたい」フェイトはポツリと呟いた。会いたい。兄に。母に。そして話を聞きたい。なんで兄が母の所にいるのか。なんで母は兄にも攻撃を仕掛けるように設定しているのか。……話を。そこまで考えて、ふと脳裏をよぎる言葉。『―――話をしようよ、フェイトちゃん!!』桃色の魔導師と対峙するたびに言われていた言葉。フェイトは散々無視し続けた。聞きたいことや話したい事があったのだろうに。(あの子も、こんな気持ちだったのかな……?)決める。決めた。もう決まった。「アルフ。わたしは、『時の庭園』に行く!」「―――仰せのままに、ご主人様」―――転移。