今日はミッドチルダ第三魔法学校卒業式だ。実は俺、今日卒業なんだ。え、展開早い?そんなもん知らんとです。こっちに来てからなんて……その間あったことなんかテメェの脳内で補完してればよかとです。こっちは着々と寿命が縮んでて正直ドキドキとです。偉い人と右腕に憑いてるふざけたデバイスにはそれが分からんとです。『マスター。早くしないと・遅れます』「わかってるよ。あえてゆっくり準備してるの」『……理解不能。なぜ・ですか?』「こう、何ていうの? ―――今日は卒業式なのにアイツはまた遅刻か!?―――どうするんだよアイツ…。もうすぐ名前よばれちまうぜ!―――ガラガラッ! あ、これドアが開く音ね。すみません! 遅れましたー!―――まったく!さっさと壇上に上がれ、お前の番だぞ!―――あはは☆ 何やってたんだよ!心配したんだぞぅ!―――ははは☆ 私は絶対来るって信じてたZO♪ごめんごめん。来る途中にすごい荷物持ったおばあちゃんがいてさ☆―――こらぁ! さっさと卒業証書を受取にいかんかー!!!……みたいな青春の一ページを送りたくてさ」『ありえ・ません。まず・マスターは・飛び級に・飛び級を重ねているので・そのような・フレンドリーな友達・いません。第二に・どのような・困難な状況の・老婆が居ても・マスターは・見てみぬふり・します』「……お前さ、おばぁちゃんの方はまだ良いけどさ、友達居ないとか、ホントお前、お前、ホント……」この右腕引っこ抜いたろか?認めたくない。すごく認めたくない。すっごく認めたくはないんですがっ!……事実なのです。うん。神様って残酷だよね。いやわかるよ? 確かに十七とか十八の中に九歳のガキが居たら確かに敬遠するだろうさ。しかも何かあの学校のやつらって皆本気なんだもん。すっごい真面目に勉強してるやつらばっかだもんね。いくら管理局に就職したいからって昼休みすらガリガリベンベンしなくてもねぇ……。まぁ話したら普通に返してくれるんだけど、なんか硬い。こないださ、“やっと卒業だねぇ”なんて気さくに話しかけたら“そ、そそおそそそそそっそそそそそぉい!!”って言われたもんな。もう何がなんだか……。―――そぉいっ!!02/~卒業~『卒業生の皆さん、卒業おめでとう! なんたらかんたらうんたらかんたら、本当に皆さん、おめでとう!』立ち上がり、一礼。あれだよね。長いよね何処の学校も。もう卒業証書もらったんだから帰りてぇんだけど。だって立ったり座ったり繰り返してるからもう何か……あれだよ、あれ。わかるだろ。なんかウダーってなる感じ。『続きまして、本年度最優秀生徒のユーノ・スクライアさん』「はい!」水橋ヴォイス。そうなんだよね。居るんだよね、ユーノ。もうよく覚えてないからはっきりとはわかないんだけど原作でもこうだったのかな?しっかしリアルで見るとすごいよ。めっちゃ可愛い。鬼可愛い。このまま育たなければ普通に、アッ――! が出来るくらいに可愛い。いや別にそんな趣味ないよ。けどあの声であんな外見しやがって。反則ってヤツさ☆「なんたらかんたら~うんたらかんたら~」しかも最優秀生徒って事は原作より弱いことはないだろ。うんうん。よくやったぞユーノ。後で似非うどんおごっちゃる。実は俺、ユーノと意外と仲良いんだよね。えへへ。おんなじ九歳で高等部まで上り詰めた同士だし。まぁ絡むのはいつも俺からなんだけどさ。話ししてる時とかに急に逃げ出すんだよね。あんまりじゃね?……あれっ?クラスメイトからは半無視で唯一の友達だと思っているユーノはあんまり絡んでこないって……も、もしかして俺きらわれ……ないない。ないよね。うん。ない、はずだよね?そんなまさか、そんなこと。「御清聴、有難う御座いました。生徒代表、ユーノ・スクライア」「ぐずっ、ぅぅ……」やべ、涙出てきた。お、俺、嫌われて、ないよね、ね?やだよ俺、こんな友達が一人も居ないで学校卒業するのなんて。「お、おい。「黄金《きん》」が泣いてるぞ…!?」「うわ、マジだ。すっげー、マジすげー!」「きゃー、すごいすごい! シャメっとこ☆」「すごくいいもの見れた…♪」「いっつもクールですごい話しかけづらかったんだけど、やっぱり数々の発言どおり情熱的な子なのね…」「当たり前じゃない!あの娘、じゃないあの子…でもない、あの漢《こ》に充てられてハートが熱くなった人が何人居ると思ってるのよ!?」「まぁね…かく言う私も彼の発言に充てられてリンカーコアの底から熱くなった一人よ」「うふふ。わたしも☆」「はは、俺もだよ」「わたしも!」「オレもさ!」なんか周りがごちゃごちゃ言ってるが俺にはさっぱり聞こえない。ただの一人も友達といえる者が居ないという事実。そいつが俺の心のプロテクションを突き破りリンカーコアまで達した。まるで決壊したダム。涙、塩辛い。「ユーノ・スクライアさん、有難う御座いました。 続きまして……ん、ごほんっ」ぐずっ、すんすん……あ、やべ、鼻水。……ん? 卒業式終わった? だったら早く帰りたいんだけど。もう不貞寝するもん。「え~、続きまして……、 彼は言いました。 AAランクに認定されている実技教員、デスサイズ・ヘルカスタム氏のスパルタ指導に膝を付きそうなとき…。 『こんなチンケな俺にも、すぐに諦めちまう俺にもくすぶってるものがあるのさ……意地があんだろ、男の子にはぁ!!』 彼は言いました。 詳しくは語りません。ちょうど半年前、誰もが記憶しているあの事件。 『それが、お前達の理屈か! その理屈で俺の道理は覆せない! 俺にはわかる。俺の中にある何かが、お前たちを悪だと確信させる! ……ああ、そうだっ……! お前達は、悪だ!!』 彼は言いました。 選択授業、サバイバル演習。魔法使用禁止という過酷な状況下の中、一週間の無人島行き。もちろん道具なんて何もない。着の身着のまま放り出された僕らは途方にくれた。そんな中、彼は…。 『一度こうと決めたら、自分が選んだんなら決して迷うな。迷えばそれが他者に伝染する。選んだら進め。進み続けろ』 彼は言いました。 管理局の試験に二度落ちた僕は、もう無理だと思った。人生に価値なんてないと思った。だけど彼は…彼は言ってくれたんだ…! 『できるできないが問題じゃねえ! やるんだよっ!!』 ……この学校で彼を、あの漢を知らない人が居るはずがないっ。 彼の言の葉に触れた者は、男も女も、子供も大人も、老人も老婆も、動物や植物でさえも熱くさせる。……そんな彼をっ、知らない人が居るはずがないいいぃぃぃぃ!!」ぐほっ!ちょ、どうした司会進行、大丈夫かお前? 鼻水吹き出たじゃねぇか!珍しくブルーはいってんのに笑かすんじゃねぇよっ。どっかで聞いたことある台詞ばっかじゃねぇか!ん? てかあの司会なんか見た事あんな。どこだったか……え~と、う~んと。……そうだそうだ。なんか管理局の試験落ちたから自殺するとかほざいてたヤツだ。バカかと。クソかと。思いましたよそりゃ。就職活動で二回ダメだったから自殺て。どんだけエリート思考やねん。だから言ってやったんだよね。『できるできないが問題じゃねえ! やるんだよっ!』 ってさ。ふぅ……。全部俺のことやんか。カズマさん達の台詞パクってただけなのに、ごめ、おれ、おま、憶えてな(ry「可愛い顔に気をつけろ。彼は触れた物を滾らせる! 言わずと知れたその右腕! 彼はこう呼ばれる……。 『黄金《きん》』『ケモノ』『666《ナンバー・オブ・ビースト》』。……どれもこれもが彼を的確に捉えている。だがあえて、あ・え・てこう呼ばせてもらおう! 『シェルブリットのディフェクト』!! 貴方こそ式の最後を飾るにふさわしい!! 壇上へどうぞ!!」はん? 何アイツ何かキモイんだけど?てか最後とかお前が勝手に決めんな。学長にしゃべらせてやれ。行くわきゃねぇだろ。だろ?……。……、……。……、……、……。え、何で教員は注意しないんですか?あの司会進行オカシイですよ。学長にしゃべらせない気ですよ。早く捕まえてもう一年くらい勉強させたほうがよくはないかい?いやいや、教員、ちょ、マジ教員w……。……、……。……、………、……。まじで?ホントにやるんですか? そうですか。知りたくもなかった事実(友達いない)に気付いてブロークンはぁと♪な僕にそんな仕打ちですか。はぁ。仕方んなかのぅ……。ゆっくりと立ち上がりながら、もちろんその際に少し残ってた涙を払うのを忘れない。うぅ、し、視線が突き刺さる。皆が、全校生徒+保護者たちまでもが俺を見ている。みんなこっちみんな!き、きききき緊張するぜ! なんだっけなんだっけ、手のひらに書くのはなんだっけ!?ゆっくり、ゆ~っくり壇上へ上がる。少しでも時間を稼ぎたい。第一なにしゃべりゃいいんだYO!?んなもんな~んも考えとらんバイ!?マイク……。つか何なんだよこの形ってよー。卑猥なモンしか思い浮かばない俺はもうダメなのか。いやそんなはずはない。誰しも一度は女性アーティストが歌っているのを見てヤラシイ想像をするはずなんだ。ボンボン。マイクチェック。うん。ばっちりだね。「あ、あ~。まさかこんな所に上がるなんて考えてもいなかったです。先ほど紹介に預かったディフェクト・プロダクトです。妙な名前ですがよろしくお願いします。ん、こほん」私語の一つもねぇじゃんよ。マジつらい……。ホント涙出るって。「俺は九年しか生きていないです。この学校に来て二年しかたっていないです。それでも言ってもいいのなら。 この先、僕を含めて皆さんは様々な困難にぶち当たっていくと思います。それは魔法の才能でもそう、頭の良し悪しもある。さらにただ単に顔の造形が美しい物が有利になるなんて事は社会に出る者にとってザラにあるので覚えておいてほしい。……です」にわかに会場が、主に来賓席のほうがざわめき立つ。ガキの癖に何騙ってんだってところでしょう。はい。僕もそう思います。「……しかし、それが何でしょうか? これは僕の自論なのですが……。 魔法の才能? そんなもの努力で埋めろ。埋まらないなら策を使え。罠に嵌めろ。相手の才能に胡坐かいて伸びまくった天狗っパナを叩き折ってやってください。 頭の良し悪し。やっぱり何処の世界にも理解できないような天才という物は居るものです。こちらが一週間かけて覚える物を一日で覚えたりします。正直やってられません。僕が知ってる中でそんなのが三人ほど存在してます。だから僕は利用します。活用します。うまく使います。天才なんて良い様に使ってやればいいんです。相手だけでなくこちらにも美味い汁が流れてくるように上手くやってください。 顔の造形。正直、男性女性変わらず美人は特します。僕はよく女の子に間違えられてお菓子のおまけなんかもらいます。美形、美人はむかつくでしょう? イケメンが女はべらせてたら殴りたくなるでしょう?」なるぞー! という声が聞こえた。それにあわせ笑い声も。おお。なかなかいい雰囲気。保護者側は相変わらずだが……。こわ。後で呼び出しとかないよね?「合いの手有難う御座います。こほん。それでですね、殴りたくなったら殴ってください。顔面陥没させてイケメンを撲滅してください。そしたら皆モテます」うぇ、ウェイト! 保護者ウェイト! もう本題に入るから、こっちくんな!「ま、結局何が言いたいかというと」会場をにらみつけた。途端に静まり返る会場。保護者の足も一時止まった。早く言わなきゃ。絶対アイツ乗り込んでくる気だって。「―――俺の目の前に分厚い壁があって、それを突破しなければならないなら俺は迷わずこの力を使う。 才能のあるなしも関係ぇねぇ。ただ真っ直ぐに突き進む! その為の力で、その為の拳だ! 今の俺には、お前らには、立ち止まってる暇なんてねぇ!」『はい!!!』『ぅおっしゃあああ!!『熱い、ぜぇぇぇえええ!!』一同が一気に活気付いた。怒涛のような歓声が会場を包み込む。づんっ、と頭の奥に響き、それでいて不快ではない本物の歓声。の、ノリ良いじゃないか皆。くそぅ、もっと早く気付いていれば友達も出来たろうに!えへ、えへへ。も、もうちょっと調子に乗っても良いかな……?俺はマイクをスタンドから外し硬く握った。「刻んだぜテメェらの声! だから今度はテメェらが刻め!! 『強請るな! 勝ち取れ! さすれば与えられん!』、どうだテメェらぁあ! 刻んだかァアア!!」バっとマイクを会場に向ければ、『■■■■■■■ッ!!■■■■■■■ッ!!■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!』会場の声はもう何を言っているのか正確に聞き取れない。皆が口々にアドロックの言葉を言っている。それしかわからない。アンタ本当に英雄だぜ!それにしても俺は天性のパフォーマーかもしれん! す、すごく……きぃんもっち良い良いいい良いいい良いいい!!!やばいぜこいつぁ……、く、クセになっちゃぅぅう! びくんっびくん!「コイツをテメェらの魂に刻んどけぇ!!」俺はマイクを天井に届くかというほどにブン投げた。くるくると回転しながら、宙を舞うマイクを両の瞳で睨み付ける。瞬間、「これが! この輝きが―――!」バシュッ、とマイクが一息に分子の塵へと分解された。窓から入り込む太陽光のせいでキラキラとした残滓を残し、黄金に輝くソレは会場全体に降り注ぎ、「俺と! お前達の! か が や き だぁぁぁァァアアア!! セットアップ! シェルブリットォォオオオ!!!」「イエス・マスター。セカンド・フォーム・起動します」高く突き上げられた俺の腕に集約され、黄金に輝く右腕と成った。それと同時に顔の右目の下、右瞼の上、それから額の右半分に向かい、髪の毛を一房、二房巻き込みながら鋭角的な面のような物が構成される。さらに背面。これまた右の肩甲骨に浮くように構成されたのは、丸みを帯びた出来損ないの翼。その姿は。誰かが言った。黄金の、獣。「もっとだ! もっと!! ―――もっと輝けぇぇええ!!!」拳に力を入れれば手首に付いている拘束具が吹き飛び、腕の上をジグザグに走ったジョイントが開放される。手の甲でも同じ様に閉じていた丸いジョイントが開ききり、その真中では黄金光が廻る。俺はリンカーコアから魔力を搾り出し、手の甲で廻した。俺の魔力。フェイト・テスタロッサのものと同質。だったら当たり前のようにそれは黄金で。ぐんぐんとチカラが溜まってゆく。それはもう暴発寸前まで。も、もうちょっとだから耐えて俺の右腕!ここまでやっちゃったんだから最後までかっこつけさせて!? ね、ね? お・ね・が・い♪―――ギュゥゥウウンッ!お、おおお、おおおおお!!! こ、こやつ反逆するつもりか!?なめんなテメェ。俺の右腕のクセしやがって。テメェが言う事聞かなかったら九歳にして精通が来ている俺の夜のお友達はどーすんだ!―――リィィィィィィイイイイイインッ!きた。ここだ。このタイミングでっ、「シェルブリットォ……ッバァストォォオオオ!!!!」放つのは指向性を持たない純粋な魔力。まったくの無害。ただの大きな、黄金の花火。マイク分解時とは比べ物にならない光が会場にいる全員に叩き込まれた。誰もその光《魔力》を防ぐ者はいない。皆が皆、全てを受け入れた。金色の雪が降り注ぐ中、音はなくなった。あ、あれ? 結構ウケると思ったんだけど……やりすぎ? やりすぎたの俺? あ~あかんあかん! 嫌な記憶が浮かび上がってくるぅぅ。思い出したくもない。あれは俺が大学二年の頃……。はっ! じゃないじゃない。え、えと、とりあえず、「卒業、おめでとう御座います!!」だよね……?……。……、……。……、……、……。なんで誰もしゃべんないん―――、そして、怒号が轟いた。いや、怒っているわけでもないので怒号じゃないかも知んないけど、とにかく、何もかもが消えて失せるくらいの声が聞こえた。もう、声じゃなくて音。爆音、轟音、ジェット機が目の前を通っていますといっても信じられるような、そんな声。耳に飛び込んできたのは本日最大の歓声だった。卒業生も、在校生も、教員も、来賓も全てが叫んだ。つか狂ってる。もうね、なんか、すごい。よく人気バンドのライヴなんかで失神する人が出るって話、俺 いくらなんでもそりゃねーよって思ってたんだけど今なら十分信じれるよ。うん。「正直、ちょっとヒくわ」『自分で・やっておいて・何・言ってるんですか』。。。。。「あはー。いやいや面白かったよあんた等の卒業式!」「そうですか。それはよかったです」「なんだよぅ、不機嫌だね」「ええ。あの後なんか皆キマっててもみくちゃにされましたから」「良いじゃない。慕われてるって事さ」あの後はひどかった。もうホントぐっちゃぐちゃ。俺が着てた制服なんて原型とどめてないしね。皆が皆何かしら持っていこうとすんだもん。残ったのは股間に貼り付けてるトランクスの破片だけ。YATTA! YATTA! まぁ、ふざけんなと。全裸にされて胴上げとかマジないから。何処の民族ですか。もう俺の身体、自分で見た事ない場所まで衆目にさらしましたよ。保護者とかビデオ回してたしさ。俺の肛門が、肛門が!俺、オワタ。『マスター。身体・痛く・ありませんか?』「痛いに決まってんでござろうが!」『お気を・確かに』そう。痛いのだ。そらもう全身が。すごいよ今の俺。全身歯形とキスまぁく♪とモミジまみれ。テンション上がりすぎたやつらから普通にビンタもらったからな。あいつら顔覚えた。色々終わったらケツにションベンしてやる! 男も女もかんけぇねぇ! 俺の! この俺の太くて硬いビッグマグナムをぶ ち こ ん でやるぅぅぅううああああああ!!!」「アンタ……男色の気でもあるの?」『声が・出ています。持ちネタに・しないで・ください。 付け加えるなら・マスターのは・ビッグマグナムでは・ありません』「な、ななな何だとテメェ! いやいやいや、いい、いい! 言うなよ。それだけは許さん!」「ふふっ、なんだ、デリンジャーサイズ?」「アッ―――!! 何てこと言うんですか!? 見ても無いのに適当言わんといて!」「何言ってんよ、ガキのクセに。で、そこらへんどうなんシェル?」『イエス。マスターは……「あーあー、聞こえなーい!! モガゥッ、モガ、ふんむ~、む~む~!」』「で?」『マスターは所謂……波○砲クラスです。』「は、波○砲?」「もがぅ……」ちょ、息できないっ……! 死ぬって普通に、あ、意識が……。「…よかったね。波動砲らしいよ? ……ディフェクト?」『呼吸困難』「……。……ちょっと見てやろ。 ―――う、わぁ。ガキのくせしてこんな、うわぁ……ひゃー」「成長が・楽しみです」「うわぁ……うわぁっ……」。。。。。セブン・システル。俺が今現在世話になっている人。『無銘』のデバイスマイスター。普通、自分の作ったデバイスにはマイスター自身がそのデバイスの名をつけ、さらに自分自身の名も目立たない所に掘り込むのがミッドチルダでの通例らしい。しかし彼女は自分の作ったデバイスに銘を享たない。授けない。だから無銘。―――コイツがどのように成長するかはアンタ次第だよ。彼女はデバイスを作り、買い手に渡す時必ずこの言葉を言う。……らしい。だって売れたとこ見た事無いんだもん。いっつもニヤニヤしながら何か機械弄りしてるとこしか見た事無い。怖いんだよねあの笑みが。マッドめ。そのくせに意外と人気らしいんだよ彼女。なんでもね『まともに』作ったらミッドチルダで三本の指に入るらしい。こないだ管理局の結構いい位置まで上り詰めたおっさんがデバイスの修理しに来てた時に言ってたから間違いないんじゃないかな。そんな彼女との出会いはどうだったかというと……。―――四年前。森で起動呪文を考えながら散歩という名の遭難をしていた俺は、墓荒らしをしていた彼女にあった。うん。墓荒らし。顔隠してスコップ持ってザックザク掘ってたね。正直、エンカウントするなら何か獣とかさ、そんなの想像してたよ。しかしその森で初めてあったのが墓荒らして。どうなんですかその辺。言いたかったね。ていうか言ったね。「どうなんですかその辺」「え、あ、うん。すごいいいのが出てきたとこ」でした。俺はよかったですねと返し、颯爽と踵を返したんだけどね。つかまっちゃったんだ☆ 何でも、見られたからには(ry らしいんだけど……。しらねーYO! テメェの失策じゃろがいヴォケが! なして俺が死ななきゃいかんのよ。それ何か違うでしょ。マジどうなんですかその辺。もちろん言ったね。「マジどうなんですかその辺」「うん。あたしも殺したくないよ……」んで。じゃあどうするって話になってさ。―――君、随分な格好してるね。家は?良いでしょうこれ。死体処理場にあった皮の布です。家はありません。ビシッと腰に巻いてた布を指差しましたよ。今考えるとバカ。―――えと……うち来る?マジすかw いいんすかw うぇwうぇwwwwwこういう流れで現在この年齢不詳のねーちゃんに養われてるわけですな。いやいや、学校まで通わせてもらっちゃって。何から何まですんまそん。まぁ俺ってば実は二年目から特待生扱いだったから学費ME☆N☆JOだからね。最初の一年分はちゃんと返すから心配すんなよ。体で。そして話の肝。墓荒らし。何故彼女はあんな事をしていたのか。それを説明するにはまず魔導師とデバイスとの関係に迫る必要がある。だけどメンドイからね。いいっしょ別に。まぁ、簡単に言うと人間の、つか魔導師の骨を使ってデバイス作ってみたかったんだって。それだけ。あとは……あ、そうそう。俺の能力なんだけどさ。すごいよ。マジすごい。どのくらいすごいかって言うと……ほんと、マジすごい。俺の融合装着型デバイス『シェルブリット』こいつには驚かされっぱなしだZE。まず射撃、砲撃などの中、遠距離攻撃が出来ない。そう、出来ないんだぜ。いや、全然出来ない事も無いんだけど、色々問題がね……。まぁ、それを知ったときにはもう、俺オワタかと。だが、シェルは言ってくれた。―――出来ないのでは・ありません。ただ・向いてない・だけです。……ようするに、出来ないんだ☆いや、練習してるよ? 毎日毎日。けど魔力で構成したスフィアはマルチロックの対象に届く前にBA☆KU☆HA☆TU!何じゃそりゃ。2~3mも進まないうちに爆発ってどうよ。こっちがダメージ受けるっての。まぁ、非殺傷設定とはいえ毎日近距離でバクってた俺だからタフネスには少々自信があるけど、それも所詮SLBを食らったら消し炭のように飛んで行くんだろうね。へへっ……。タフネスといえば防御結界、プロテクションな訳だが、―――紙かと。和紙かと。こんなトコまでフェイトに似なくても良いのにね。どんなに頑張っても一定以上の力場が出ない。C~Bランクの魔導師のスフィア10発も耐えれたのなら良いほうだね。だからさ、なのはさんやフェイトさん。それにベルカの騎士の皆さんとのバトルになったら……。いや、よそう、考えても詮無きことよ。ふぉっふぉっふぉ、ふぉ、う、うぅ……。要するにさ。俺、本気でカズマさんみたいなガチバトルしかできない。敵がいたら突っ込む!防御? んなもん叩き潰してやりゃ良いんだよ! そのための拳だ、っろぉがぁぁああ!!はい。そうしてます。プロテクション破ってきたスフィアは全部、すべて、よけるか叩き壊しています。幸か不幸か未だに腕はついてますよ。ほんとね、さっさと千切れでもしたらいいのにね。『……マスター』「はいっ、もちろん冗談であります!」最近、シェルが怖かとです。攻撃のほうは……うん、そうだね、プロテインだね。『マ・ス・ター』「はいすみませんっ!」え、え~と。デスサイズ・ヘルカスタムとか言う舐めた名前の教員(使っているデバイスは砲撃戦仕様)にイラッ……って来ちゃってさ。何で鎌じゃないのか知りたかったんだよ。ほんとね。ちょ、おまw その名前で砲撃戦仕様てw て思ってさ。ちょうど実技の時間な訳だ。もうそうなるとやるしかないだろ?しかし強かったね。俺、涙目。そんな時やつは言った。「ふん。なんという体たらく。私はまだT・B・Rすら使ってないというのに……」―――ぷるちゃんッ……!キレたね。いやむしろ覚醒か。そのとき初めてシェルブリットセカンドフォームが発動できたんよね。怒りはヒトを強くする。怒れ、怒るんだゴハ、いや俺!「こんなチンケな俺にも、すぐに諦めちまう俺にもくすぶってるものがあるのさ……。 意地があんだろ、男の子にはぁ!!」アイツだけは、あのデスサイズ・ヘルカスタムにだけは、ツインバスターライフルを使わせてなるものかぁ!! 自重しろ!「シェルブリットォォオ、っんバァアストォオオ!!!」「げぼらぁっ!!? ぐふぉっ、任務……失敗、自爆す―――」「シネコラ」みたいな事を経て、僕の攻撃は、AAランクのプロテクションを抜くことが出来る様になりました。まぁ、アイツは防御が下手糞だからAAランクなんだそうだが。だが、嬉しかった。俺にも取柄があったんだ。ヒャッホー!なんだよこれ楽勝じゃん。ぷぷっ。こんなんだったら なのはたちも楽勝なんじゃねぇの。こう、後ろから近付いて……ぼごっ!―――か、勝てる。勝てるぞこれは!なんて思ってたよ。しかしね、何かを得るためには何かを捨てなければならない。どっかの偉い人が言ってました。―――みしぃ…!「いっっ……でぇぇぇえええ!!! いて、いて! なにこれ!? シ、シシシシェル! ねぇ、なんか手がおかしいって!! 超痛い!」『セカンドフォームの・構成が・甘かった・ようです。右腕の・一部・ダイレクトに・衝撃が・インパクト・です』「ぐぅうおおおお……っ、そうですか、衝撃がインパクトですかっ。こんなトコまで原作通りにならんでもええやんか……!」はい。魔法で直してもらったけど骨、イっちゃってました。ん~。もうこんくらいかね。ほかには~…俺の特殊技能くらいか。えとね、うんとね。ぼくってね。まりょくが、すっご~くすくないの。『キモイ・DEATEH』「俺も思った」何を隠そう、俺の魔力保有量のランクはD+。―――俺を、俺をDと呼ぶなぁ! ……つい言っちゃったんだ☆大体なに、Dって。俺が思うにさ。なのはさん―――⇒SS+フェイト――――⇒SS+はやてちゃん――⇒SSSシグナム殿―――⇒S+ヴィーたん―――⇒AAAシャマルさん――⇒AA+なんか犬――――⇒??くらいだと思うんだよね。皆の魔力量。ディフェクト――⇒D+死んじゃう。ほんとに。三分以内で決めないとエネルギーが空になるヒーローより出来がわるい。―――そこできたのが稀少技能《レアスキル》。ものっそい御都合主義。こんな事もあろうかとぉ!! て誰かが言ってるのが聞こえたもん。俺の能力は物質の分解および再構成。さらに分解した物質の純魔力化。それを手の甲にあるアレで廻し、分解構成した魔力を自分に還元できる。もちろん無尽蔵なわけがなく、やりすぎるとシェルブリットがしばらく起動できなくなるというおまけまでついてくるが。能力全開時には何とかAAまで持っていけたのでよしとしようか。うん。これは結構普通に満足。しかもシステルさんにベルカ式のカートリッジシステム組み込んでもらったしね。肘に。欠陥だらけだけど。『使ったらあんたの腕イっちゃうからあんまし多用したらダメだよ』。システル談。イっちゃうのがわかってるのに付けてくれる貴女にカンパイ。いつか咥えさす。いえ、何をとは言いませんが。あ、あと俺の特殊技能の名前はもちろん『精神感応性物質変換能力《アルター》』で決まりデス。別に申請も何もしてないからレアスキル認定もされてないんだけどね。まぁ、別にかまわないっしょ。こんなところで、どうでしょう。。。。。。「どこいくのー?」「愚問ですなぁ。俺は俺のいきたい所に最速で突っ走るだけです」「また訳の分からんことを」アニキ馬鹿にすんな!「地球ですよ」「ん~、ちきゅう? ……ってそれ文化レベルがまだ3ぐらいのトコじゃなかったっけ? 何しに行くんだよぅ、ちゃんと許可取ったかぁ?」おぉ。よく知ってたな。学校じゃ殆んど知られてなかったのに。「なにしにって……っふ、帰るんですよ、魂の故郷にね……。 許可は……まぁ、そのうちね」「……家は無いって言ってなかった? つか不法入国する気か」「いや、だから魂の故郷ですって。家じゃないですよ」「不法入国のほうを否定しなよね~」「むぅ……」だって事実なんだもん。否定の仕様がなかとです。他世界に渡るには一応管理局の許可が必要なんだよね。まぁ魔法が無いとこでばかばか使っちゃたら住人は混乱するだろうしね。原作じゃそんなのかんけぇねぇ! だったけど。「……それで、いつ帰ってくるの?」「え、えぇと、その……」わかんねぇ。だって俺ってばまず生き残る為にやんなきゃいけないことが多すぎるしさ。寿命もうまくいってあと六年あるかないか。実質、動ける期間と言ったらそれより短いだろうしな。よく考えると俺はプレシアに喧嘩売りに行くんだよな。死ぬんじゃね?……いやいや、よく考えろ。どっちにしても死ぬ。それならせめて長生きしたい。楽に短い人生を送るならここに居ればいい。おそらく死ぬまでは幸せなはずだ。人並みの人生を望むなら地球に行かなきゃならん。死んじゃう確立 超上がるけど。―――どっちもやだ。楽に人並みの人生を歩みたいよぅ、ぐすっ……うぇっ。「ななな何泣いてんのよ!?」「行かなくても死ぬし行っても高確率で死ぬからですよ!!」「はぁ!? 何言ってんのアンタ!?」俺はちょいちょい掻い摘んでシステルさんに話してみた。俺は自然に生まれた存在ではなく、寿命があと六年であること。地球に行けば助かるかも知れないこと。そこでは想像を絶する戦闘が起こるであろう事。初めて他人に自分の内側を吐露してしまった。は、恥ずかしい。恥ずかしいぞぉぉぉおお!! 涙も鼻水も全☆開ジャー!「……あ、アンタたった九年でよくそんな人生送れるもんね?」「でしょ? マジで俺を抜きに勝手にやってろってトコなんすけど……」「行かなきゃ死ぬ、か」「……です」く、空気が重い。言わなきゃよかった。こんなこと言われても誰も何も言えんわ!「ちょっと待ってて」「え、あ はい」システルさんが席を立った。空気に耐え切れなかったのか、それともこの俺の余りにも悲惨な運命に一人涙を流す為か。くくく。不幸な少年というのはつらいの~。『マスター』「ん~?」なんだいシェル。君も僕の為に泣いてくれるのかい?ふふふ。いいぞ。泣け。俺とお前は言わば運命共同体。俺が死ぬ時が、お前が死ぬ時じゃ。っくくく。一人は寂しいからのう。キサマを連れて行ってくれる!『たった今・侵食が12%・進みました』「うん。……え、それだけ?」『……』「ちょ、シカトw」こ~のやろう!しかも12%てまた随分行ったなおい。えと、こないだ進んだときに21%って言ってたから33%か。―――ディフェクトの三割はシェルブリットで出来ています。……洒落にならん。つか、全部やられたら俺どうなるんだろ。シェルは知らないって言うしな。この右腕からも死亡フラグがプンプン臭ってきやがる。世の中腐ってやがるぜ。こんないたいけな少年にいくつも重荷を背負わせやがって。神様の、バッカヤローーーーー!! ……信じてないけど。「おまたー」「あ、はい」システルさんが帰ってきた。それにしても女がオマターなんていっちゃダメだよ。青少年はすぐにやらしい想像するんだから。しかし何しにいったんだ。泣いた様子も無いし……。「これあげる。コイツがどうなるかはアンタ次第だよ」「……なんすかこれ?」いや、わかるよ。その存在はわかる。しかしこれを俺がもらってどうしろと。―――こんな、明らかに人間のものと思われる左手の骨をもらって、俺に、DOしろと!?「餞別だよ。もう会えなくなっちゃうかもでしょ。 あ、大丈夫よ。ちゃんと間接部は接合してあるから。いきなりポロリは無い」「ンな事きいてんじゃねーです。俺はこのどう考えても本物としか思えない材質と質感の骨をどうすればよかか聞きよっとです」「あはー☆ それは骨だけど骨じゃないんだなあ」「何言ってる馬鹿か貴様」ダメだこの人。俺の余りにも悲しすぎる話のせいで脳が……。「なによその目は。人を哀れんだ目で見るんじゃない! それはデバイスなの!」「……。あの時のヤツですか」「うん。初めて遭ったときに二人で掘り返した、名前も知らないどなたかの体の一部」「こんなキモイのいらん」「もらっときなさい。それとキモイゆーな。 そのデバイスはね、防御魔法と、ちょっとした仕組みが組み込まれてるんだ。苦手でしょ、防御魔法?」「いやいやいや。苦手ですよ確かに。けどね、こんな俺の手よりでけぇ骨なんざアクセサリーで通せませんから。絶対ポリ公にパクられますって」すごく困るねそれは。地球じゃ身分もないしそれだけは回避、回避ー!!「うるさいわねー。いいから持って行きなさいよ! そりゃ確かにシェルブリットみたいな超一級品とは違うけど、作りには満足してるからそれなりには良作よ~?」「え?」「なによぅ、信じらんないの?」「いや、シェルが一級品だってのが……」ありえない。こいつが一級品だなんて。こんな、明らかに俺の寿命を削っているようなヤツが一級品だなんて。こいつが一級品だってんなら屁から桃の香りがするって話のがまだ信じられる!「何言ってんのよ。シェルブリットはものすごいデバイスじゃない」「頭大丈夫ですか? 脳は大事にしたほうがいいですよ」「こんにゃろめぃ。なんでそんなに信じられないのよ?」「だってこいつ、まともにサポートできるのなんて殴る時くらいですよ? 俺、スフィアだってしっかり飛ばせないし、防御結界なんて紙なんですよ?」「そうね。そのためにこの骨を渡したんだから」あ、骨って言っちゃいましたね。やっぱり自分でもデバイスよりは骨って思ってんだな。「でも、AAランクのプロテクションを破ったわ」「それは―――」「わかってる。レアスキルを使ってアンタの魔力をブーストさせた ただの全力パンチ。教員も多少はアンタの事舐めてたでしょうね。……けど、それだけで破れるほどAAランクは甘くないわ。 そして私から言わせてもらうとアンタも一級品よ」「俺が?」「うん。まず魔力弾がまともに作れない、飛ばせない理由だけど、アンタまだその魔法覚えてないんだと思うよ」「はぁ? 覚えてますよ。ちゃんとシェルにも術式インストールさせてますって。つーかやってくれたのシステルさんじゃないですか」こいつもうダメだ。きっと本当に脳が―――「何か失礼な事を考えてるな? まぁ、それはいいとして。シェルの方はね、忘れちゃってるの。術式を」「おいこらテメェ!!」衝撃の事実じゃねぇか!テメェデバイスのくせして忘れてんじゃねぇよ馬鹿やろうが、このやろう! 思い出せ、思い出すんだ! そして俺にも射撃魔法を使わせろおおおお!!!!『……ZZZ』「こ、こやつ……できるな」「やけに静かだと思ったら……。あんたが他のデバイス持つのに文句ひとつ言わないんだもん」「……それで、結局シェルは?」「ん。まぁぶっちゃけるとあたしもよくわかんないんだけど……。 まずシェルブリットはね、あんたの体に『寄生』している状態。今、あんたも含めて、力が出せないのはそのせいだと思う。アンタいまプロテクションが紙って言ったけどそれも当たり前。アンタが『今の』アンタだけの力で出してるからよ。 魔力保有量D+。 稀少能力《レアスキル》とカートリッジシステムで何とかやりくりしてるみたいだけど、本来ならもっと強い筈なのよね。要するにアンタはね、今子育て中なの。シェルブリットを育てるためにアンタの魔力持ってかれてんのよ。 今の侵食率21だったっけ? 33? ああ、成長したのね。このままきちんと成長しきってアンタから魔力を奪う必要がなくなったらあんた自身の魔力も上がる。……と思う。 それとセットアップ状態のシェルブリットの装甲。私が思うにアレってたぶんフィールドタイプの防御魔法の一種なんだと思う。アンタ、複雑なバリアジャケットが構成できないって言ってたわよね? それも当たり前。だってもう着てるんだもん。右腕だけだけど。いっつもアンタはバリアジャケット(のような物)で相手をぶん殴ってるわけ。そりゃあプロテクションを破ってきた魔力弾やらを迎撃できるはずよね。アンタが自分で編んでる襤褸屑みたいな術式と違って、最初からセットアップと同時に展開されるようになってる最高級の防御術式なんだから。 そして消えた術式の行方なんだけどね。これはほっといていいわ。確実に侵食率のせいだから。残りの67%(俺の体の侵食されていない部分)に入っていっちゃてるのよ。多分だけど。もっとシェルが成長しても思い出さないのならまた記録させればいいわ。 最後に。アンタが中距離、遠距離の攻撃魔法が苦手な理由なんだけどさ……。 ―――あの、これも勘、てか憶測だからね? アンタってさ、結構バインドとかは上手いじゃない。距離に関係なく。それは多分さ…その、そういう風に……作られたんだと、思う。攻撃ではなく、防御、回復、補助。きっとそういう風に『調製』されてるんだと思うんだ。 おそらくアンタのカタチ(完成形)は『絶対防御《イージス》』か何かなんじゃないかな~、なんて」……。こ、こいつだれ?俺が知ってるシステルさんはこんなヤツじゃない。もうちょっと馬鹿っぽい感じだったはずだ。巨乳だし。まかり間違ってもこんな説明おばさんみたいなヤツじゃなかった。いや、いやいやそれより、絶対防御《イージス》か。プレシアは結局何がしたいんだ。俺をアリシアにするつもりだった?―――ない。ないないない。うん。娘の復活を願ってるのにわざわざ男性体で作る意味がわからん。じゃぁ、アリシアにシェルを移植する前の実験体。うん。有りそうではある。―――あっ、そもそもアリシアって魔法使えねーんじゃなかったっけ。ん~、わけわかめ。そして俺がむ~む~言いながら悩んでいるとシステルさんが心配そうにこっちを見ていた。「なんじゃらほい?」「いや、なんか唸ってるから…」「あぁいやね、俺の製作者は何の目的があって俺を作ったんだろうかと」ホント訳わからんやつやなー。プレシア。「それは、さっき言ったとおり―――」「ん。それはわかってるんすけど、何のために絶対防御の盾を必要としたか、です」「……さすがにそれは、わかんないかな」「ですよねー」ま、直接本人に聞いてみんべ。―――そして俺は、プレシアに敵対する覚悟を……。こわ。。。。。。「ほいじゃ、いってきまース」「はいよー。帰ってくるんならお土産よろしくー!」『……生きて・また・会いましょう』「おま、やっと喋ったと思ったらそれかよ!? やめろよなそういうの! 何か変なフラグ立ちそうじゃんか!」「あは、そだね。生きて帰っておいで」「……。そっすね。―――シェル」『了解。転移術式・展開』キィン、と魔法陣展開時の独特な耳障りな音。そしてそれと同時に俺の足元にかなり大規模な陣が展開された。実はこの魔法、リニスからコピったヤツなんだよね。だから信頼性ばっちり。座標の確認も17回した。飛んで出てきたら宇宙空間でしたじゃ笑い話にもならん。「それじゃ、お世話になりました。 その……、最後かもしれないから、言っておきます……」「……うん……ぐずっ」泣いてる。しすてるないてる。大丈夫さ。絶対生きて帰るから。そのつもりだから。だけど、これだけは言っておかなければならない。彼女にいらない心配を負わせる訳にはいかないからだ。システルさんは俺をここまで育ててくれた。母……というには若すぎるような気がする(年齢不詳)から姉といった所か。そんな風に、家族のように接してくれていた彼女にはきちんと言っておかなければならない。「―――システルさんが寝てる時、よくパンツずり下げてたの……俺です。決してあなたの寝相の悪さのせいじゃないです」『……』「……こ、こここ殺―――」「それじゃね! また会えるといいね! ―――ジャンプ!」『了解。起動します』俺がミッドチルダで見た最後の光景は、こちらに向かって殴りにかかってきているシステルさんだった。だ、だだだって我慢できなかったんだもん! 確かに寝ている本人を目の前にしてハァハァするのはよくないと思ったよ? だけどさ、あんな美人が同じベッドに寝てるのに何にもしないなんて失礼だろ!―――なぁ、そう思うだろ……アンタもっ!!!こうやって修正してると物凄い馬鹿なこと書いてるんだなぁって確認できます。この頃の私はいったい何を考えてたんでしょうか。