『なのはとユーノへ。今頃 君達は何をやっているだろうか。昨日会いましたが。最近僕は腕が可笑しくなって来ました(笑)。余り笑えませんが。きっと君達は僕に色々と聞きたいことがあるでしょう。ですが、僕はそれに答えることは出来ません。分かっています。自分勝手な僕を許してくれとは言いません。君に会いたいです。理由なんて無い。ホントにないよ? マジマジほんとに。唯君に会いたいんだ。今日の午後九時☆ ×××まで来てくれると嬉しいです。Dont be lateだぜ。~ディフェクト・プロダクト~』…。……。………。「何だこれは。ストーカーか? 小学生を夜遅くにあんなとこまでやれるわけ無いだろ」ぐしゃ、ッポイ…。……。確かに。確かにそうですね。でもさ、いくらなんでも妹にあてられた手紙を躊躇無く読むなんて。なんてことしてくれるんですか劉ほ……いや恭也さん。「―――っ。そこ、誰かいるだろう」「はいごめんなさーいっ!!!」―――その速さ、脱兎の如く!俺は一気に逃げ出した。俺の隠身に気付くなんてやるじゃないか。俺は学生時代に『お前は、家で飼われていて一歩も外に出たこと無いようなぐぅたらな家猫に気づかれること無く、ピンポンダッシュくらいなら出来そうだ……』とまで言われた男だぜ。貴方には例え魔法を使っても勝てる気はしません。『ですから・余計なことはせず・正面から・攻め込もうと……』「ライバルと会うのはお話的にまだ先だろ」『……。まさかの・俺設定・ですか』「あの声で俺の事をカズマと呼んでくれるのなら俺はケツを差し出してもいい」『私に・ください』「……え?」はい。手紙で伝えよう作戦、失☆敗!07/~猫~「どこいく?」『なにする?』「『はち×よん!!』」はぁ……マジどうしようこのシオマネキアームズ。まず最初からユーノにはあんまり会いたくないし(怒られる)、なのは にもあんまり会いたくないし(何か怖い)。アルフとかフェイトはまず治癒魔法が出来るかどうかわかんないし。しかもフェイト電気の魔力変換資質もってるからなんか痺れそうじゃん。俺やだよ?「兄さん、気持ちいい?(治癒に対して)」「っいい! すごくいいよフェイト!(びりびり)」みたいな状況になるのは。これ俺新しい性癖に目覚めてるじゃん。四方は塞がれました。これはアレか。もう戦わないほうが良いよって言うお告げか。神様からの。いやいや信じてないけど。…。……。………。「もういいや。自分でやろ」『自分で・出来るのに・始めから・他人を・頼るのが・実に・マスターらしいです』「だろ? 俺はアレだよ、何て言うのアレ、えーと……まぁアレだ」『分かって・います。アレ(ウマシカ)・ですね』「おお、それそれ」(本物)そう、なにを隠そう俺は治癒が出来る。システルさんが以前に言ってた通り、補助に向いてるのか。しかも俺にしては珍しく割と普通に効くし。スフィアみたいに爆発しないし。転移みたいに訳わかんないとこ飛ばないし。バインドみたいに数が出すぎて制御不能 何てことにも陥らないし。……俺どうやって学校卒業したんだろ?その前にホントに補助に向いてるのか俺。おいどうなんだシステル。これでシェルが成長してもまともに使えなかったらパンツ下ろすぞ。寝てる時に。「よっしゃ、いっちょやってみっか」『成功を・祈ります』「んじゃpray歌ってて」『……い、い・今はマエだけ~・みればEE~』ちょ、シェルヘタスw俺はコソコソと人目のつかない場所(公園のトイレ)に入り術式を広げた。少し耳障りな音と共に魔法陣が展開される。じっくりと手のひらに治癒効果満タンな光が集まり始め、それをそぉっとシオマネキに近づけた。「効くかな~? 効いて下さいよー……お、きたきたきたっ! キター!!」『―――僕は今でもー・弱いままで~↑↑ ひかり~の・剣をっ、にゅけな~いで・いたぁ~!!』「音痴は黙っててくれません?」『そうきたか』ゆっくりゆっくり元の大きさに戻っていく俺の腕。ああ、ちょっとだけ縮んだ。後ちょっとで元に戻る。大体なんだったんだこの腕。ホントに痛くとも何とも無いし。治癒で治るってことは何か怪我してるんだろ。俺の脳はどうなってるんですか。ちゃんと痛覚機能 果たしてください脳。大丈夫ですか脳。生きてますか脳。そして、「あ、魔力切れた……」『己の・怪我すら・満足に・直せない。そんな・貴方が・私のマスターか?』「そうきたか」魔力切れちゃったじゃん。へ、へへ……。そうだ、俺には無理があったんだよ。俺なんて所詮、魔力保有量D+のヘナチョコ。俺の魔力は昨日の戦闘、さらに結構魔力を食う治癒魔法のせいで限りなくゼロに近くなっちゃったんだ☆ていうかシェル。シェルブリットよ。「……お前さ、昨日の戦闘で俺の魔力が少なくなってんのわかってるくせに何で奪うのをやめませんか?」そうなのだ。コイツが俺の魔力をがっつり奪って行くからこんな羽目に合うのだ。もうダメだコイツ。ホント駄目。駄目デバイスだよ。略して駄バイスだよ。『私に・その辺りの・制御は・不可能ですが・へぶーへぶー?』「そうきたかへぶーへぶー……ていうかお前ホントに駄バイスだなおいぃ!!」『っな! 言うに・事欠いて・駄バイスとは!! ……ですが・意外と・いい響きです』「ぅるっせぇんだよこのドM野郎!! 俺の魔力返しやがれ!!」『ですから・私は・野郎・ではないと・常々・申し上げているはず・ですが?』「っホント誰かコイツ如何にかしてください!! 絶望した! 主人の想いに何も応えてくれないデバイスに絶望したぁ!!」『吊って・みますか?』「―――ほぎゃぁぁああ!!!!!」……も、もうだめぽ…。。。。。。「ただいまぁ…」「あ、おかえ―――ぶっ! ぷ、ぷぷぷ……ちょっとちぃさなってるっ、ちょこっとだけ、ちぃさなってるぅ……!」「―――っ!? やっぱり気付いてたな はやて! 何でツッコんでくれないの!?」「ぷぷ……いやいや、随分、身体張ったギャグ見せてくれるなぁ。今日はあえてスルーで旨みを出そ思てたんやけど……まさかの小型化っくく、ぷははははは!! ひぃ、死んでまうよぉ!!」笑いすぎwにしても酷いぞはやて! いくら俺でもここまで身体張った笑いは取れないって! 結構俺真剣にびびってるんだよ、この腕には!「―――ひぃ、ひぃ……あーわろたわろた~。これで昨日遅れて帰ってきたことは水に流しましょう!」「お、マジで? そりゃよかったぜぃ」そんな怒ってなかったくせに。しかしはやて、なんて可愛いんだ。笑いすぎで潤んだ目がヤヴァイぜ☆「はい、ほなお帰りなさい」「あ、うん。ただいま」―――ちゅ☆「……んむ……」「……ん」そして俺はゆっくり唇を離した。なんてふやふやした唇なんだ。ものすごいぜ。いつまでも吸い付いていたいぜ。俺ははやてとのキ―――挨拶をしっかりと済ませ、今日のご飯はなんだろな☆と。別にそこには大いなる意思も何も絡んでは居ない。ただ今日のご飯はなんだろうと考えていただけなのだ。しかし、やや不満気なはやての顔。どんな表情をしても可愛いはやてラヴ。……え、なに?なにその顔? 俺なんかやっちゃいましたか!? とりあえずごめんなさい!!じぃ……と。それはいったいどういう視線なのかな?俺に、まさか俺に脱げと?「え、えと…」じぃぃぃ……。「これだけ?」ワット?これだけって、「な、なにがでしょうか?」「昨日の、すっごいのは、せーへんの?」……。「い、いやぁ。皆様からの『ちょ、自重w』の声があったからさ」「そんなんで止めるなんて、なんやディフェっちゃんらしくないなぁ?」「……やっぱり?」「うん」いや、俺もそう思ってたんだよ。こんなとこでやめちゃうなんて俺らしくないよね。嗚呼そうだ。俺は作者じゃない。俺は俺だ! シェルブリットのディフェクトだぁぁあああ!!!「え~、こほん。ただいま、はやて」「えへへ、お帰りディフェっちゃん」―――ちゅ、るん☆。。。。。ピンポーン。ピンポピンポーン。ピンポピンポピンピンピピピピピピピピンポポポーン!!!「……うるっせぇぇえええ!!! 誰だコラ! ピンポンダッシュにしては『オシ』(ピンポンダッシュ専門用語。チャイムを押す回数、長さ、タイミング、全てにつかえる。例・『オシ』④! この場合はタイミングを指す。極上のPIN☆PONダッシュ・36p参照)が長すぎるぞ!! はやて、俺が出ていい!?」「ぅあ、う、うん。叩いたりしたらアカンよ?」「任せろ!」馬鹿野郎。その程度で収まるもんか。マジ大変なことしちゃうよ俺は。新聞の勧誘とかだったらキンタマ蹴り上げて二度と来ないように調教しちゃうよ?俺とはやてのすうぃーとたいむを邪魔しやがって!!ぴぴぴっぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴんっぽーーーーーん!!!!ぴんぽーん!ぴんぽぽん!!つかしつけーよ!!『オシ』と『レギュラー』(ピンポンダッシュ専門用語。ピンポンする家にいる人物、動物全てを含む動く者を指す。例・この家はレギュラーファイブ、気をつけろ。など。極上のPIN☆PONダッシュ・41p参照)には気を使えって何時も言ってんだろうが!!俺はずんずんと廊下を歩き、玄関に手をかけ、「―――やっかましぃんじゃこのハナクソやろうっ! てめえの頭蓋かち割ってレクター博士みたいに脳みそくちゃくちゃ食わせてくれるつもりですか!?」玄関を開けた。「―――っ! ご、ごごごめんなさ―――」「―――って思ったけどあのピンポンには凄く癒されたから全然脳みそなんて食べたい気分が吹っ飛んでいっちまったなぁ!! あれ? フェイトじゃないか? どうしたんだいこんな時間に?」フェイトとアルフでした。あぶねぇ、もうすぐでフェイトの脳みそ食っちまうとこだったぜ……。「くっくく、ふふふははははは!」「お? なに笑ってんだよアルフサン?」「いやいや、アンタの動体視力と瞬時にアレだけ言葉が出てくる頭を誉めてんのさ」「おおさんきゅ~。なんだよお前普通に可愛いとこあんじゃん」「―――っ! な、なな、なに、言ってんだ、い」そう言ってアルフは困ったように耳を垂れ、もじもじと俯いた。そしてなにやらブツブツと……。なんだよ、俺はてっきり馬鹿にされてるものだと。俺、馬鹿ってのは、もうすでに慣れるくらいに言われたけど、頭いいじゃんアンタなんて言われたのは初めてだぜ。有難うアルフ。好きになっちまうぜ☆「あ、あああの、兄さん……お、怒ってない?」「ん~? 俺がフェイトを怒るなんて……フェイトが俺の髪の毛を全部毟り取った時にしかありえないよ」「そ、そっか。これって人を呼ぶベルなんだよね?」「おお、そうだぞー。ちゃんと出てきたろ? しかしフェイト。何も出てくるまで押し続けなくてもいいんだぞ?」「あ、そう、なんだ。ごめん、ね? うるさかったよね?」だからそうやってちらちら俺の顔をうかがうのはやめてください。萌え死にますから。ホントに。フェイト……何だコイツ。ホントに人間なのか? この萌圧は ほろう☆に匹敵してるぞ?「いやぁ全然そんなことなかったよ。むしろもう癒されすぎてふにゃふにゃになった」「……本当に? 本当に私、うるさくなかった?」「おお。でも後で はやてにちゃんとごめんねって言っとくんだぞ?」「あ、わかった。き、きらわれたり、しないよね?」なんて、ネガティブ。ああ、ホントにもう…プゥレェシィィィァァァァアアアアアア!!!!!!「……ぐす、うん。うんうん。嫌われたりなんかしないよ。はやては優しい子だから」「うん。頑張る」「ええ、ええ。そうしなさいな」んで、何しに来たの君ら?わざわざ俺に会いに来たのか? お昼に会ったばっかだけど、足りなかったのか、愛情が。「それで、どうしたんだ? もう夜も……そんなに遅くはないか。でも犬を一匹連れて出歩いて良いような時間でもないぞ?」「今までジュエルシードを探してたの。そしたらアルフが……アルフ?」「―――っ! は、はい! なんでしょうかご主人様!?」「……? 急にどうしたの、昔みたいな呼びかたして?」「ぅえ、あ……ご、ごめんフェイト、聞いてなかったよ」アルフさん? いったいどうしてしまったのですか貴女?顔が凄く赤いですよ? 貴女は茹でたタコなのですね(断定)。「兄さんの腕……どう?」「あ、うん……? なんか、ちょっと細くなってないかい?」「ああ、これの件で来た訳だ。……だから気付いてたんなら何でツッコまないの!?」「だ、だってアンタがあんまりにも普通だったから……」そ、そうか…。俺だったら絶対ツッコんでると思うけどな。まぁそれならそれで許す。まぁ良いさ、わざわざこうして来てくれたわけだし。「わ、私は気付かなくって…」それはおかしいよね? だってフェイトはやてンちに来る時、俺と手つないでたよね?自分の遥か二倍超はある俺の腕を見ても、つないでも、何とも思わなかったのかい?そして俺。「そういえば、俺も気付かなかったな…」せめて違和感くらい感じろ。馬鹿か俺。俺って言うか俺の脳みそ。今日だけでいったい何度右手を使ったと思っているんだ。それなのに気が付かないって……うん、多分アレだな、最終調整が終わってないせいでその辺がアレなんだ。いや、決して俺が馬鹿なわけではないと信じています。「それでそれ、結局何なんだい?」「いや、それがさっぱり。ホント何なんだろ」「治癒は?」「効いた効いた。だから多分昨日の戦闘でカートリッジ使った後遺症だとは思うんだけど……」「カートリッジ……? ……戦闘の後遺症にしちゃあ、痛くなさそうじゃないかい」「それだよ。この謎の全ては多分コナン君でも解けん」これが一番不思議。何なんだこれ。ホント何なんだこれ。大事な事なので二回言ってみたが。痛くないってのは明らかに異常だよね? ね、シェル?「それなら……」「……? なんだよ?」「い……い、一応私もっ、治癒魔術、出来るから……やって、やろうか…?」「まじ? お前出来るんだ!? サンキュー! いやぁお前たちが来てくれてよかった!」なんだよアルフ。お前さん治癒できるんだね! いやいや早く言ってよん。無駄に魔力消費しちまったぜ☆「い、いいんだよ、フェイトのお願いだしね!」「……あ、ほんとだ。左と比べると、太いね」「……アルフ。お前のご主人様は大丈夫なのか?」「……ディフェクト。アンタの妹が大変だよ?」。。。。。「いらっしゃーい。もう、誰かと思ったわ~」「あのあの、……ごめんね?」「えーよえーよ。家のピンポンなら何度だって押してもろーてかまいません」「あ、ありがとう」フェイトたちを八神家へと上げ、そして早速 飯を食うアルフ。お前は少し遠慮を憶えたほうが良いな。はやてンち上がってまず一言目が「ご飯は?」それどーよアルフさん。「ここがKYO-TOじゃなくてよかったね。確実に、ぶぶづけ腹いっぱい食ってたとこだぞお前」「ぶぶづけ? なにそれ美味しいの?」「俺も食ったことがあるが、二杯目から練からしが具の下に上手くカモフラージュされて出て来る」「あたし、からし好きだよ?」「三杯目はさらに米が硬いな」「あたしの顎はその位なら余裕だよ?」「四杯目はさらにトッピングにカールとか入ってる」「美味しそうじゃないかい、カール?」「五杯目はそれがカブトムシの幼虫になってるけどな」「……それは……」いや、俺も限界までねばったんだよ? それでもさ、茶碗に茹で上がったカブトムシの幼虫が入ってるとなると流石に、あ、僕はこの辺で……っていっちまうだろ? 一瞬 間違えて食っちまいそうになったけどな。いったいどれだけ帰ってほしかったんだろう……ごめんね!「フェイトちゃん達は今日はどうするん、泊まってく?」「あ、でも……ど、どうしようかアルフ?」「ん~、あたしはどっちでも良いよ。フェイトが決めなよ」「えと、えっと」ええ。普通だったらイライラするでしょう。このフェイトの挙動不審ぶりに。しかし、「か、かわい~な~」「だろ? なんかおかしいよなこの可愛さは」はやて、わかってるね!そうなんだよ。可愛いんだよフェイトは。ここまでオロオロされるといじめたくなっちゃうんだよ!!「同じ顔なのに、何でも即決のディフェっちゃんとは大違いやね」「だよな。しかもアルフもわかってて困らせてる節があるな」うんとうんと、と必死に考えてるフェイト。その姿、最萌。やがて、決断を下したのか、ぱっと顔を上げた。「と、泊まっても迷惑じゃないかな?」「そんなことないで~。それにな、今日泊まるとディフェっちゃんからの『おやすみ』&『おはよう』が特典としてついてくるよ?」「―――と、泊まるっ! 今日はやての家に泊まります!」「……何の話だい?」「い、いやぁ…某にもさっぱり解らんでござるな」。。。。。「ディフェっちゃーん、戸締りお願いしてもええかぁ?」「はいはーい。まっかせろーい!!」フェイト達と共に風呂へ入ったはやてはそのまま寝るつもりのようで、三人で階段を上っていった。アルフは軽々はやてを抱っこし、階上へと。何気に力あるな。結構筋肉質だしなぁ。あの太もものムチムチ感、たまりません。「戸締り戸締りるんるんるーん」鼻歌を歌いながらカーテンを開けた。―――しゃっ俺、このカーテンの音好きなんだよね。しゃ、って。鍵は……うん。ちゃんとかかってるな。良しオッケイ!!「今日も一日お疲れ様でした八神家。これからもがんば―――」てね。ってさ、ちゃんと家は労ってやんないとね。日本には八百万もの神様がいるんだから一人くらいならこの家に来てくれるかもしれないし。俺は信じてないけど。だけど、ガラス戸の奥に見える、四つの、ガラス玉のような瞳。―――にゃぁ二匹の、猫。―――しゃっ「さーて、はやてたちに『おやすみ』ぶちかましにいったるかー!!」俺は、階段を上った。