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No.4708の一覧
[0] 歩く道先は 憑依・TS有り (旧題 ゼロの使い魔、憑依物?テスト)[BBB](2010/02/12 04:45)
[1] タイトル、なんにしよう・・・ 1話[BBB](2010/06/17 04:00)
[2] 以外にご好評で・・・ 2話[BBB](2010/06/17 04:00)
[3] 今回は前二つより多め、しかし原作なぞり 3話[BBB](2010/06/17 23:10)
[4] まずは一本立ちました 4話[BBB](2010/06/17 23:10)
[5] 大体15~20kb以内になっている・・・ 5話[BBB](2010/06/17 23:10)
[6] まさかの20kb超え 6話[BBB](2010/07/04 04:58)
[7] 区切りたくなかったから、25kb超え 7話[BBB](2010/07/04 04:59)
[8] 14kb位、そういうわけで原作1巻分終了の 8話[BBB](2010/08/21 04:01)
[9] 2巻開始っす、しかし7話は並みに多く 9話[BBB](2010/07/04 05:00)
[10] やばいな、中々多く…… 10話[BBB](2010/07/04 05:01)
[11] 区切りたくないところばかり 11話[BBB](2010/10/23 23:57)
[12] 早く少なく迅速に……がいい 12話[BBB](2010/10/23 23:57)
[13] やっぱこのくらいの量が一番だ 13話[BBB](2010/10/23 23:58)
[14] 詰まってきた 14話[BBB](2010/10/23 23:58)
[15] あれ、よく見れば2巻終了と思ったがそうでもなかった 15話[BBB](2010/10/23 23:59)
[16] こっちが2巻終了と3巻開始 16話[BBB](2010/08/21 04:07)
[17] これはどうかなぁ 17話[BBB](2010/03/09 13:54)
[18] 15kb、区切れるとさくさく 18話[BBB](2010/03/09 13:53)
[19] 区切ったか過去最小に…… 19話[BBB](2010/03/09 13:57)
[20] そんなに多くなかった 20話[BBB](2010/08/21 04:08)
[21] ぜんぜんおっそいよ! 21話[BBB](2008/12/03 21:42)
[22] 休日っていいね 22話[BBB](2010/03/09 13:55)
[23] 詰めた感じがある三巻終了 23話[BBB](2010/03/09 05:55)
[24] これが……なんだっけ 24話[BBB](2010/10/23 23:59)
[25] 急いでいたので 25話[BBB](2010/03/09 03:21)
[26] おさらいです 26話[BBB](2010/01/20 03:36)
[27] 遅すぎた 27話[BBB](2010/03/09 13:54)
[28] 一転さ 28話[BBB](2009/01/10 03:54)
[29] スタンダードになってきた 29話[BBB](2009/01/16 00:24)
[30] 動き始めて4巻終了 30話[BBB](2010/02/12 04:47)
[31] 4巻終わりと5巻開始の間 31話[BBB](2010/03/09 05:54)
[32] 5巻開始の 32話[BBB](2010/10/23 23:59)
[33] 大好評営業中の 33話 [BBB](2010/08/21 04:12)
[34] 始まってしまった 34話[BBB](2010/08/21 04:09)
[35] 終わってしまった 35話[BBB](2010/02/12 04:39)
[36] まだまだ営業中の 36話[BBB](2010/01/20 03:38)
[37] 思い出話の 37話[BBB](2010/01/20 03:39)
[38] 友情の 38話[BBB](2010/02/12 04:46)
[39] 覚醒? の 39話[BBB](2010/08/21 04:04)
[40] 自分勝手な 40話[BBB](2010/08/22 01:58)
[42] 5巻終了な 41話[BBB](2010/08/21 04:13)
[43] 6巻開始で 42話[BBB](2010/10/24 00:00)
[44] 長引きそうで 43話[BBB](2010/10/24 01:14)
[45] あまり進んでいない 44話[BBB](2011/11/19 04:52)
[46] 昔話的な 45話[BBB](2011/11/19 12:23)
[47] もしもな話その1 このポーションはいいポーションだ[BBB](2010/08/21 04:14)
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[4708] 14kb位、そういうわけで原作1巻分終了の 8話
Name: BBB◆e494c1dd ID:b25fa43a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/08/21 04:01

「良いじゃないか、雇われてあげるよ」

 ぃよっし! 来た! 籠絡成功! これで勝つる!
 下級貴族の年給の4倍は出すんだ、頑張ってもらおう。

「そう、それは良かったわ」

 嬉しくてつい笑っちまった。
 ……なぜ、後退る? 顔青いぞ?

「取引できたし、そろそろ戻りましょうか」
「……そうだね、その前にひとつ」
「なに?」
「あんた、本当に何者なんだい?」

 しつこいな、雇い主だから知って置きたいとは思うだろうが。
 あんまり脅すと逃げそうだからなぁ。

「……そうね、一つだけなら教えてあげるわ」

 正体、この少女の正体は……。

「ルイズ、『ゼロのルイズ』よ」

 最大のヒントだ、有り得ないと除外すれば永遠に答えは出ないぞ?

「そりゃあ、学院内のあんたのあだ名だろうに」
「ふふ」

 ただ笑う、それ以上は答えない。
 『忘却』を覚えていれば教えてやっても良かったが。

「戻りましょう、皆が心配しているわ」
「……わかった」





 そう答えた時には、桃色髪の少女は瞬時に消える。
 やはり偏在……、ではないのかね……。
 知らない魔法? 新しい魔法なのかね。
 まるで幻のように、伸ばす手をすり抜けて遠ざかる。
 もし、あんな状態で魔法を使ってきたなら……。

「ほんと、恐ろしいガキね……」

 思い出して震える、下手すれば偏在以上に凶悪な魔法じゃないか。
 そう考えて、先ほどの自分の行動がどれだけ馬鹿な真似だったか理解する。

「はぁ……、厄介な奴に目を付けられちまったもんだよ」

 茂みから抜け出る、私が居ないと騒ぎ立てていたガキどもが一斉にこっちを向く。
 破壊の杖を、あの桃色髪のガキの使い魔が持て余している。

「ミス・ロングビル! あのゴーレムを操っていたフーケは見なかった?」
「申し訳ありません、茂みに隠れていた人物を見つけたのですが、大きな音が響いた時に取り逃がしてしまいました……」
「あんな大きなゴーレムが一撃でやられたんですもの、敵わないと思って逃げたのかも」
「申し訳ありません……」

 あーあ、こんな凄い物諦める他無いのかねぇ。
 高く売れるだろうに……。

「それは、破壊の杖で?」
「ええ、小屋の中に置いてあったわ。 追っ手を小屋事叩き潰そうと思ったんでしょうね」
「失敗して私たちを倒そうとした、それにも失敗して逃げた」

 そう言う事にしてくれたら有り難いわね。
 捕まりたくないし。

「しょうがないわね、ここから追いかけるのは無理でしょうし、一旦学院に戻りましょ?」

 キュルケがそう言って、全員が頷く。
 今月の仕送り、どうしようかねぇ……。










タイトル「8話で1巻相当?」












 ガタンガタンと、小さく揺れる馬車の荷台。
 その中には4人が座り、各々好きな事をしていた。
 才人はやはりキュルケに絡まれて鼻の下を伸ばし、タバサは本を読み続ける。
 そして、ルイズはおもむろに立ち上がって、御者台のマチルダの隣に座る。

「ミ、ミス・ヴァリエール?」

 ほんの少しだけ笑う少女、それを見て鳥肌が立った。
 な、なんだってんだい! 何で笑顔を見て鳥肌が立つんだい!

「ねぇ、ミス・ロングビル」
「な、なんでしょう?」
「一応教えておくわね、『あれ』、もう使えないわよ?」
「……本当ですか?」
「ええ、わからないと思うし、多分バレはしないけどね」

 なんだい、一回限りの物だったのかい。
 それならもう狙う必要無くなったね。

「まだ使えたら……と思ったでしょう?」
「そんな事は……」
「もしかして、あれだけじゃ足りなかったの?」
「あれで十分と……」
「そう、もっと出せたけどあれ以上望むなら色々考えてたし」
「ど、どんな事を……」
「ふふ」
「ッ!」
「……気になる?」
「い、いえ……」
「そう、残念ね」
 
 またも微笑んで、背筋に悪寒が走る。
 こいつ……、苦手だ。





 ああ、マチルダは良いなぁ。
 体が男だったなら、お嫁さんにしたい位。
 つか、話しかける度に震えてるんだが、なんでだ?

「……どうかしたの? 顔色悪いわよ?」
「いえ……、何でも有りません」

 なんか腕を摩ってる。
 精神力でも使いすぎたのか……?

「本当に大丈夫?」
「はい、問題ありません」

 肩に触れようとすると、触れられぬよう体を傾けるマチルダ。
 あらー、……嫌われた?
 取引の時のイリュージョン、異様な雰囲気を出したのか?
 何にしても良い印象は無いだろうなぁ。

「……そう」

 嫌われぬよう、努力しようと考え。
 立ち上がって、荷台に戻ろうとして──視界が傾いた。

「あ──」
「ミスッ!」

 車輪が石を踏みつけて、縦に揺れた。
 その反動、バランスを取りきれなかった。
 掴む物は何も無い、ただ空を切るだけ。

 やばい、落ちる。


 受身ってどうするんだっけ。

 地面の凹凸が激しくないか。

 落ちたら死ぬのか。


 そう、意味の無い事を考えて、瞼を閉じた。

 ……衝撃が来ない、代わりに感じたのは腕を引っ張るの手の暖かさ。

「気を付けて下さい」

 引っ張り上げられた時にその勢いのまま、マチルダの胸に飛び込んだ形になった。
 落ちないよう、抱きしめられる様に助けられた。
 その耳元、小声で。

「マチルダ、ありがとう」
「ッ、いえ」

 あぶねぇ、こんなので死にたくねぇぞ。
 マチルダとの抱擁は終わり、手を離される。

「ルイズッ!」
「ちょっと! 気を付けなさいよ!」
「あ、ごめんね?」
「はぁ……、まじでビビったぜ」

 荷台に戻る時、差し出されたキュルケの手を借りて戻る。
 才人は安堵しながら、キュルケは文句を言いながら、タバサは杖を握りながら。
 謝りながら荷台に乗る俺を見ていた。

 その中で一人、マチルダだけは俺ではなく前を見ていた。












 それからハプニングは無く、文字通り無事に学院に着いた。
 あんなハプニングは、これから現れるであろう強敵より怖い。

「良くぞ破壊の杖を取り戻してくれたのぉ」

 うんうんと、嬉しそうに頷きまくるオスマン。
 だが、その笑顔は直ぐに消えてしまった。

「君達の功績は素晴らしいと思うのじゃが、この功績に対して君達に贈れる物は限られておる」

 王宮に報告してないし、シュヴァリエや勲章な申請出来んだろうな。

「そこでじゃ、名誉に関わる物では無く、こんな物しか用意できんが受け取ってくれい」

 と引き出しから取り出したのは4つの袋。

「これは?」
「エキュー金貨500枚じゃ、何分勲章などは贈れんのでな」

 ほお、太っ腹だな。
 キュルケはマジで喜んでるし、あの剣買わなければよかったんじゃね?

「……ありがとうございます」
「いやいや、君達はこれでも安い位の事をしてくれたのじゃ。 こちらこそ感謝を述べよう」

 わざわざ立ち上がって頭を下げる。
 こういうとこは好感が持てるよな、オスマンって

「さて、話は終わりじゃ。 君達はこれから用があるのじゃろう?」
「用……ですか?」

 あんなに楽しみにしてたくせに、すっかり忘れてるキュルケ。

「そうじゃ、今日の夜は『フリッグの舞踏会』じゃぞ?」
「わ、忘れておりましたわ!」
「ほほ、舞踏会の主役は勿論君達じゃ。 しっかり着飾るのじゃぞ?」

 俺とキュルケ、タバサは頭を下げて退出しようとするが。

「おお、忘れておった。 ミス・ヴァリエールは聞きたい事が有るので残ってはもらえんか?」
「……わかりました」
「あ、俺も聞きたい事が」
「わしに答えられる事なら。 コルベール君は下がりなさい」
「う」

 才人の話を聞きたかったのか、あからさまに落ち込んで退室した。
 学院長室に残ったのは3人、俺と才人と、オスマン。
 それを確認して杖を一振り、恐らくサイレント。

「それで、如何したのかね?」
「……? オールド・オスマンが話が有るのでは?」
「そういう意味ではなくての、どうやって懐柔したのか聞いておきたくての」

 やっぱり知ってたんじゃねぇか。
 この言い方、ロングビルは戻ってこないと踏んでいたのか。

「ごく簡単です」

 ジャラリと、先ほどオスマンから渡された、金貨が入った袋を擡げる。

「ふむ、それが必要な事情があったのかの?」
「はい」
「わしもそうすれば良かったかの?」

 して欲しくなかったぜ。
 筋がだいぶ代わるし、ここら辺から大きく変わり始めるかもしれんし。
 多分、ストーリー的に盛り上がってまいりました!

「それはわかりません」
「……そうじゃな、何事も終わってからしかわからんしのぉ」

 会話が途切れる、マチルダをこれからどうするかは聞いてこないか。
 盗賊を止めると言うならこのまま秘書として雇い続けるつもりかな。

 とその間に、才人が声を入れる。

「えーと、もう良いっすかね?」
「うむ、言ってごらんなさい」
「えー、なんで破壊の杖がここにあったんですか?」
「む? あれはわしの命の恩人が使っておった物じゃ」

 そう言って懐かしそうに語りだす。
 オスマンが若い頃、といっても何十年も前からこの容姿だったらしいが。
 森を散策していた時、ワイバーン、よくRPGゲームに出てくるトカゲに羽付けたような小さい竜種だな。
 それでも3メートルほども有るが、そいつに襲われ危機一髪! と言うところで、いきなり現れた男がロケランでワイバーンをフッ飛ばしたと言うわけ。
 あんな30メートルあるゴーレムの上半身を吹っ飛ばすロケランで、明らかに耐久力が劣るワイバーンをぶっ殺したのだ、間違いなくオーバーキル。

「彼は怪我をしておってな、学院に運び込んで治療をしたのじゃが……」
「亡くなったんですか?」
「うむ、彼は破壊の杖を2本持っておった。 その一本を恩人の形見として預かり、保管しておったのじゃ」
「もう一本は如何したんですか?」
「一緒に彼の墓に埋葬したよ」

 しんみりとした雰囲気が流れる。

「残念じゃった、直接礼を言いたかったのだがの……」
「……それで、その人はどこから来たとか、誰に呼ばれたとかは……?」
「いや、わからん。 亡くなる直前まで『帰りたい』とうわ言で言っておった。 少なくともこの土地の人間ではなかっただろう、見た事が無い衣服を身に着けておった」

 十中八九、俺が生きていた世界か才人が居た世界の人間、それか限りなく近い平行世界の人間か。
 どっちにしろ大体の歴史は似通り、ロケランが有る世界だと言う事はわかる。
 て、何で言葉が通じたんだ? ハルケギニア語って地球のどっかの言語に似てるって設定あった気がするが……、どこだっけ。

「たぶん、その人は俺と同じ世界の人間だと思います」
「ふむ、彼もまた『虚無』に呼び出された人間かも知れんな」

 そう聞いた才人は驚いて俺を見る。
 オスマンが言ったとおり、何十年も前に虚無属性のメイジが居たかもしれない。
 確かめる術はないが、日食……月食だったか忘れたが。
 月と太陽が重なった時に、空間でも歪んでどっかの世界と繋がる時か。
 ガンダールヴの『槍』の召喚に巻き込まれてこの世界に来るしか術はない。
 予想できる物と、確立された物を合わせても3つしかない訳だ。

「オールド・オスマンは私が虚無だと知っているわ」

 原作、それを知っている俺は御父様と御母様、オスマンの3人は信頼できると考えた。
 もう何年も前になるが、俺が十になる前に御父様と御母様に連れられてオスマンに話しに行ったのだ。
 いずれこの学院に入学する事になるだろうと、色々便宜を図って貰おうとした。
 信じさせる方法は才人と似たような事をしただけ、さすがにオスマンも驚いていたようだが。
 入学やら試験やら便宜を図ってもらった、裏口入学?

 と言っても、トリステイン魔法学院には入学試験なるものがない。
 ある事にはあるが、単純に学力を見るだけの筆記試験があるだけ。
 それで良いのかと思うが、魔法は貴族であれば使えて当たり前と言う常識があるためにそうなってるのかもしれないが。
 点数? ルイズの頭なら主席だろ、常識的に考えて……。
 馬鹿っぽく見えるギーシュやマリコルヌも学院では下のほうであるが、一般貴族よりは頭が良かったりする。

 ……頭が良くて、大貴族の娘で、素晴らしく美少女で、魔法属性が虚無。
 婿入りか嫁としてはパーフェクツだな、ルイズは。
 勿論俺の観点でだが。

「じゃあ俺の事も?」
「ガンダールヴじゃろ?」
「マジかよ」
「ミス・ヴァリエール、彼に虚無の事は?」
「大体は」
「守秘させる事は?」
「それも」
「ふむ、良いかねガンダールヴ」
「は、はい」

 一気に凍りそうな視線、それに反応して才人は背筋を伸ばした。

「絶対じゃ、絶対に自分がガンダールヴなどと言ってはならぬぞ?」
「わかってます、ルイズを利用させたくありませんし」

 うざったらしい王宮貴族とかな。

「うむ、違えれば彼女は必ず危険の渦中へと放り込まれる。 勿論わしも、ミス・ヴァリエールのご両親も、一言も喋る気は無い」

 そう、ばれるなら俺か才人しかありえん。
 拷問とかそう言う手も有るが、3人とも恐ろしく練達したメイジ、同じスクウェアでも歯が立たないほどの使い手たちだ。
 捕らえようとしても返り討ちに合うのが関の山だったりする。

 しかし、既に自ら危険の渦中へ前進してるがな。

「俺も喋りません」
「うむ、信じておるぞ」
「はい」

 そう言って微笑む爺、王宮策略とかはオスマンに任せた方が良いな。

「他に聞きたい事は?」
「いえ、ないっすね」
「ならば、そろそろ準備しなくては間に合わなくなるぞ?」

 別に出なくても良いけどな、舞踏会。
 頭を下げて学院長室を出る、その自室へ戻る通路で。

『サイト、安心しろ』
『何が?』
『お前は死なせん』
『俺だって死にたくないさ』
『ああ、だから気を付けろ。 これから文字通り危険な道になる』
『……下心があったけど、自分で選んだんだ。 覚悟決めてるさ』
『それなら良いさ』

 そう言って笑い、才人の背中を叩いて一撫で。

『……とりあえず、疲れたから風呂頼むぜぇ』
『……俺だって疲れたんだけど』

 スタスタと無視して自室への道を歩む。

『ほんと、性格悪いよなぁ』

 デルフを買った帰り道で聞いた言葉を、いまさらながら肯定した才人であった。

『あー、ドレスどうすっかなぁ』
『適当で良いじゃん』

 原作で着てたのって何色だっけかなぁ。
 髪と同じく桃色? ……どれでもいっか。
 つか、入ったときに名前呼ぶの止めて欲しいわ。











 風呂に入り、髪を乾かし、ドレスを用意して着こなす。

『サイト、後ろ頼む』
『ういよ』

 髪を持ち上げ、ドレスの背面を止めてもらう。
 ……うなじに息を吹きかけるなよ。

『これで良いか?』
『OK、苦しくないし丁度良いわ』

 上半身を振ってみるが、問題なくフィットして痛みを感じない。
 ドレスの一部コルセットみたいで嫌なんだよなぁ、下手に付けるといてぇし。

『髪留め取って』
『これ?』
『それ』
『ほい』

 長い桃色の髪を束ね、綺麗に巻き上げる。

『人差し指辺りに留めてくれ』
『ここで良い?』
『それで良い』

 髪留め、大きなバレッタで後ろ髪を支えてポニーテイルに近い髪型にする。
 宝石箱を手に取り、勿論玩具ではなく一つ数千エキューもする首飾りを付ける。
 同じようにイヤリングも着け、立ち上がる。
 最後に白のロングドレスグローブ、肘より先で留める手袋を着ける。

『……ところで俺の容姿を見てくれ、コイツをどう思う?』
『凄く……、綺麗です……』

 ここまで着飾って綺麗じゃないとやってられん、ちやほやされたい訳じゃないが。

『さて、主役は遅れて、あるいは最後に登場だろう?』
『だなぁ』
「……ジェントルマン、エスコートをお願いできます?」
「……喜んで」

 才人は俺の手を取り、導くように歩く。
 それに付いて、歩く。
 舞踏会場まで、さほど時間は掛からない。
































「舞踏会場ってどこだよ!」
『食堂の上の階だっての!』


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