本日は図書館デイ。学校がある時間に行くといつも苦い顔をする司書のおねーさんだけれど、今日は彼女からお呼ばれしている。なんでも僕のほかにも学校に行っていないお子さんが図書館を定期利用していて、ちょうどいいから僕と引き合わせたいのだそうだ。
「冷蔵庫の余りモノを組み合わせて一品料理を作るみたいな? それはいいけど、その子はなんで学校に行っていないんです。イジメとか、単なるコミニケーション能力の欠如だったら変に学校に行かない環境に慣れさせたりしないで転校させてでも学校には行かせたほうが今後のためだと思いますけど」
「きみが言うな、きみと一緒にするな」
でこピンされた。ナイスつっこみだ。
司書さん、額に手を当てて「はあ」とため息。人選ミスだったかしら、なんて呟いた。失礼な。
「その子、ちょっと足が悪くて、ね。学校に行けないのよ。それが結構長引いているみたいで友達も少ないみたいなの」
「なるほど、そこで性格が悪くて学校に行かないこの僕と引き合わせてみようと」
「そういうこと。その子もあなたとは違った形で年不相応に大人びた子だから、きっと気が合うと思うわよ」
「はぁ。わかりました。どうなるか確約はできませんけど、会うだけは会ってみます」
この時点でフラグ臭がビンビンと香っていた。ここで僕が問いながらも表情を変に動かさなかった自制心は誇っていいものだと思う。
「それで、その子の名前は」
「八神はやてよ」
あ、やっぱりですか。そうですか。
とまあこんな感じの会話がなされたのが一週間前。
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アホウ少年 死出から なのは
第2話 名前で呼ばないで
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基本的に暇人である僕は調べ物をする時間くらいたくさんあった。
いつか日記にも書いた海鳴という市名に聖祥大付属小学校、喫茶店翠屋に加えて、さざなみ寮、月村邸、バニングス屋敷といったキーワードについて、いずれもその本物をこの目で確認してある。以前に公園で出会った高町なのはらしき人物については、あくまで声やツインテールなどの特徴がアニメと一致しているだけとして差し引いても、もはやこの世界が魔法少女リリカルなのはの世界となにがしかの関連があることは疑いようがない状態になっている。
今日、対面する八神はやても、きっとその八神はやてと考えて間違いないだろう。
アニメのキャラクターに会うなんて悪い――いや、とてもいい夢だ。実際のところ、この世界に対して今際の夢説が力強くなって、微妙にアイデンティティクライシスを起こしそうだが、そこはグッと我慢の子。というか良く考えたら、夢なら勝手に覚めるか終わるかするだろう。人は空が落ちてくる心配などする必要はないのである。ホントはただアイデンティティクライシスって言ってみたかっただけだ、ごめん。
というわけで僕は八神はやてに会うことを純粋に楽しみにしていた。
今日のために服だって厳選してある。サバイバル生活に入ってから一度も袖を通していないきれいなものである。
「おはよーございます。来ましたよ」
「あ、よく来てくれたわね。はやてちゃんは先に来てまっているわ。早速だけどついてきてくれるかしら」
司書さんは僕をみると、カウンターにいた別の男性司書と二、三言を交わして歩き出した。その男性司書は僕にとっても顔なじみなので軽く会釈をしてから追いかける。
そういえば、いままで気にしてこなかったがこの図書館はバリアフリーが進んでいるようだ。もしかしたら今日び公共施設には当たり前なのかもしれないが、玄関のスロープや障害者用トイレがあるのはもちろんのこと、自動ドアでは溝をなくされ、壁には多くの場所で手すりが設置されている。こういった気遣いが利用者の層を広めているのだろう。僕には縁のなかった気遣いだが、はやてにとってこれらがどれだけ助けになっていることだろう。
「まだ約束には早かったからね、ここで待ってもらっていたの」
案内された先は、この図書館に設置されている読書室の一つだった。読書室といっても子供向けの読書室だ。柔らかい雰囲気で、テーブルのほかにソファーやぬいぐるみなんかが置かれている。だというのにこの読書室の近くはガチがちの歴史書のコーナーとなっていて、しかも別のところにはコレとは異なった子供向け読書室が童話や漫画本のコーナーの近くに存在することからか日ごろの利用率は低い。だが今日のような目的には打ってつけだろう。
「はやてちゃん? 望月くんを連れて来たわよ」
「は、はい」
ほんのり気を張った声。
司書さんに促されて入った読書室には銀色に光る車輪をもったイスに座る少女が薄い緊張をまとわせていた。
「望月です。ヨロシクこんにちは」
「八神、はやていいます」
はやては上目遣いの不安と期待が混じった眼を僕に向けている。どこに視線を向けるかさえ選択を必要とするようなそれは、まるで転入生か何かのようだ。
もっとも、それは向こうから見た僕も同様かもしれない。
彼女は確かに『八神はやて』だった。ショートカットに前髪付近のばってんリボン。ぱっちり開いた優しげな瞳。転生してからリリカルなのはの世界観を結びつけるのに10年近くかかったものだから作品の記憶は妖しいところがあるが、彼女を直接見れば、あぁそういえばこんな感じだったなと思い出す。ついでに加えると、メインキャラ補正とでも言うべき、同年代の平均的な女の子からは一歩ぬきんでたかわいらしささが僕の納得を助長した。
「よろしくしてあげてね、はやてちゃん。この望月くんったら、学校にも行かないで図書館に入りびたりで、まったくもう友達もいないから心配で心配で、これからどうなるのやら。友達になってほしいのよ」
名乗ったきり沈黙した僕らを心配に思ったのか司書さんが仲介に乗り出した。それは良いのだが、なんか言っている内容がヒドくない? まるでプー太郎の息子を紹介する母親のようだ。
僕のジト眼に気づいたのか、司書さんはこちらにだけ見えるよう小さく舌を出す。
僕は気を取り直してはやてに向き直った。
「そういうわけで改めてヨロシク、八神さん。ところで、あの司書のおねーさんはうそつき村の人だからあんまり信じないようにね」
「あははわたしこそよろしくや。望月くん」
少しは警戒を解いてくれたようだ。心を暖かくするような微笑を浮かべてくれた。
僕は彼女の近くのソファーに座って話しかけた。
「八神さんはココ、よく利用するの?」
「うん、そうやよ。だいたい週に一回くらいかなあ、借りた本を読み終わったらここにくるんや。望月くんは?」
「僕は3日に一度はきてるかな」
「そうなん? だったらわたしらよく今まで会わんかったなあ」
「まったくだ。たぶん読む本のジャンルが違うせいかな。僕はたいてい理工系か教養文庫のコーナーにばっかいるから。はや、あぁん――八神さんは?」
「はやぁん?」
しまった。つい心の中での呼び方がこぼれでた。
「――失礼、忘れてほしい」
「あ、うん」
「――――ところで唐突だけど君のこと名前で呼ばせてもらっていいかな」
でないと何時また下の名前がポロリと出てしまうかわかったものではない。
「ええけど」
ヨッシャと内心ガッツポーズ。
けれど次にはやてが発した心無い――何気なく、深く考えるまでもない当然の質問といえば心無いという表現も的外れでないかもしれない――問いかけは僕の心に冷や水をぶっ掛けた。
「ところで望月くん下の名前はなんていうん?」
「えあっ!?」
「エア?」
はやてがかわいらしく小首をかしげるが僕は首を振った。きっと絶望的な表情をしていたことだろう。
エア――そんな名前だったらどんなに良かったことだろう。それだってたいがいにDQNネームっぽいがそれでもまだましなはずだ。
(説明しておいてくれなかったのか)
僕は視線をめぐらしたが、司書さんがいない。僕とはやてで会話が転がり出すのを見届けて安心したのかいつのまにか仕事にもどったらしかった。あとは、若い人同士で、というやつか。
なんていうことだ。わざわざ望月の苗字でだけ僕のことを紹介しておいて、司書さんははやてに僕から直接に名乗らせたいらしい。話題提供のつもりだろうか、何て迷惑な。名前なんて僕のいないところで教えておけばいい。僕のいないところでいくら笑われても気にしないのに。司書さんには先のとがった尻尾でも生えているのではなかろうか。あのおせっかいさんめ。
「どしたん?」
じぃと見つめるはやてに僕は負けた。
「あいりえる」ぽそっとつぶやいた。
「会いり、得る?」
「違う、アイリエルが僕の名前」
できる限りいやそうに呟く。こんな名前を気に入っていると少しでも思われたらたまったものじゃない。
はやてはアイリエルの音の並びが頭の中で僕を表す意味につながらなかったのか目をしばたたかせた。
「えと、ハーフ?」
「純日本人。少なくとも僕が知る限りでは」
銀髪だったりオッドアイだったりしない、普通の男の子です。
「あいりえる?」
はやてはプルプルと指先を震わせながらも僕をそれで差した。
僕はそっぽ向きながらもうなづいた。
「うそやろ?」
「ホントです。ほら、僕の図書館の利用カード」
「――なんか、愛天使とか書いてあるんやけど」
「それでアイリエルと読みます」
ちゃんとよく見ればルビがふってあるはずだ。愛天使の上にアイリエル、と。
「ぶっ」
はやてが激痛にもだえるように体を曲げて俯いた。ふるふると背中を震わせている。それは遠足のバスなんかでたまにいる先生から紙袋を渡されて、いつリミットブレイクするかと周りから戦々恐々とされる子供のようでもある。が、その評価は一文字の誤りがある。
はやてが我慢しているのは、吐くことではなく吹くことだ。痛みがあるとすれば、それは腹筋の軋みだ。
「ぷっ、くくっ」
「笑いたきゃ笑えばいいさ」
それで決壊した。
「あはっ。あははははは、なんやっ! なんやその名前。アイリエル、アイリエル? あっはははは。愛天使でアイリエル。ぶはははは、あはっおかしい。死ぬぅ、死んでまう。あいりえるぅふふふふ。望月愛天使。もちづきあいりえるぅ。っぷは、なんでそない? そない真面目キャラでアイリエルやねん。愛天使アイリエル。エルって何やねん? どっから出てきたんやあはははははははははっはっは、っげふ、げふ。アイリエルルルルル」
ひざ掛けが落ちるほどに膝を叩く。ハァハァと息を切らし頬を高潮させて潤んだ瞳で僕を見た。その無防備な表情に僕は不覚にもドキリと――するわきゃない。だれだこいつ。
「望月――愛天使。ぶはっ、だめや。息がー、息がー。死んでまう。殺されてまうわ。もちづきあいりえる、ありえない、ありえんわ」
「ええい、やかましい」
僕は切れた。
「そうさ、僕はアイリエルさ。愛天使だよ、アイリエルさ。今まで、僕の名前を初見で読めた人なんていやしない、それが当たり前の望月愛天使さ。どうだおかしいだろう。そりゃおかしい。僕だって未だにおかしいんだからな。笑って当然だ。氏名欄では愛天使、フリガナではアイリエル、何じゃあそりゃあ? 病院で呼ばれる時だってアイリエル。それで立ち上がるのは黒髪、黒目の純日本人少年だ。良識あるオバ様方がこしょこしょうわさするんだ。そりゃするさな僕だってする。だってアイリエルだぜ。大人になっても愛天使、就職してもアイリエル、アブラギッシュなおっさんになっても愛天使だよ。狂ってやがる。でも何よりむかつくのがそこらの御ガキ様が本気でカッコいいとかいうことだよ。バーロー、常識を知れば裏切るくせに。知ってるかい? あんまりに珍奇な名前を持つ子供の親は滅茶苦茶である確率が高いってのは最近の教育界じゃもう常識なんだそうさ。読み方がわからないとお受験はその時点ではねられるんだってさ、別にどうでもいいがね。でもそれは当然だよ。親が常識しらずのDQN疑いなら、子も同様だ。子がまともでも親がDQNなら十分にノーサンキュー、やっぱりお近づきにゃなりたくないね。笑えばいい、笑えばいいさ僕だっておかしいんだから。ああ、もうっ、だけどはやては笑いすぎだこんにゃろう!」
「あー、うん、ごめんなあ。ちょっと望月――ぷっ――くんの落ち着いた感じと名前――クプふっ――のギャップが面白くて。決して馬鹿にしたんじゃないんよ。だから許して、な」
「別に、いい」
僕だって(精神的には)大人(のつもり)だ。実際のところ、本当に怒っていたわけでもない。ちょっとうっとうしかったから逆切れしたくなっただけで。
僕らはしばらく無言で乱れた息を整えた。僕はソファーに、はやては車椅子に座って沈み弾みする胸をゆっくり落ち着けた。そういえばはやての車椅子ってすわり心地はいいのだろうか、なんて僕は考えていた。
「アイリ――なんてどうや?」
はやてが深呼吸を終えてから聞いてきた。
「うん?」
「呼び方。アイリは、これからわたしのこと名前でって呼ぶんやろ? やったらわたしだけ苗字じゃ不公平やん」
「そう、かな?」
「そうなんや」
はやては自信満々に、車椅子が後ろに倒れるのではないかというくらいに胸をそらして答えた。
「アイリはアイリエルって呼ばれるのはいやそうやろ?」
「そうだね」
「だからって、普通読みでアイテンシ、なんて呼ばれるのも抵抗がありそうや」
「うん。絶対にいやだ」
「でも、望月くん、て呼ぶのはわたしがイヤや。不公平やもん」
「そーなのかー」
「だから名前の読みから上の3文字をとってアイリ。これでどうやっ?」
どうや、のところで僕に指を突きつけて、なぜか勝ち誇った笑みをたたえながらはやてはここに宣言した。
つーか、どうやもなにもアナタすでに呼んでますよね。いや、かまわないんだけど。短いし、呼びやすいし、聞きやすい。いっそのことこれが本名だったら良いと思うほどだ。まあ比較対照が愛天使じゃありがたみはないけれど。
「いいんじゃないかな?」
「いいんじゃないか、やない。呼ばれるのはアイリなんやから、良いか、悪いかや」
「もちろん良いに決まっている」
はやては微笑んだ。ここまでですでに彼女がそうするのは何度か見たが、今度のそれは本当に花咲くような、見ている僕まで幸せにしてくれる気持ちのいい笑みだった。
「アイリ、やったら握手や」
「握手?」
「そう。わたしらが名前とあだ名で呼び合うその証」
スイとはやてが手を差し出す。僕は戸惑った。経験こそ持ち越しているものの、この世界にきてから学校にもろくに行っていないため人と接する機会が極端に少なかった。本当の意味で人と触れ合うなんてひどく久しぶりじゃないか。
僕も手を出す。手のひらが汗ばんでいないだろうな。
「ん」
「うん。これで友達や」
小さくなったせいかはやての手が小さいと感じることはなかった。ただ、暖かい。御互いの境界が互いの熱で交わり溶け合っていく。
はやてが微笑む。僕もまた笑い返した。
「よろしく、はやて」
「ううん、こちらこそな。アイリ」
「ふうん。けっこう、けっこう。仲良くやっているようじゃないの」
「うわぁ!」
「ひゃあ」
突然の声に、僕ははじかれたように手を離した。いつのまに見られていたという気恥ずかしさと、外気に晒された手のひらからぬくもりが逃げていく残念が混じりあう。
「あ、ああ司書さん何時の間にそこに」
「望月くん顔赤いわよ」
「――っ! 何の、御用ですか」
「いやぁ、私としてももう少し小学生純情劇場を見ていたかったんだけどね。でもつい最近振られたばっかの私としては邪魔しないわけには行かないじゃない。空気読めないわけじゃないのよ、読んでたからこそのタイミングってヤツで」
「何の御用かと聞いているんです」
「アイリ、顔赤いで?」
「はやて、君まで!」
はやてだって赤くしているくせに。くそう、そもそもちょっと握手しているのを見られただけで動揺する必要なんてないのに。何で別に悪いことをしたわけでもないのに追い詰められなくちゃいかんのだ。
「うるさいのよ」
「――あ」
悪かったかもしんない。
「ここ図書館、わたし司書さん。OK? こんな場所で引き合わせた手前、話をするくらいなら目を瞑るけどね。大笑いしたり、叫び出したり、いくらなんでも、ね」
「――すみません」
「ごめんなさい」
その日、僕らは友誼を結んだ直後に一緒してバッタのように頭を下げた。
顔を見合わせる。僕とはやてはなんだかおかしくて吹きだしてしまった。
そして司書さんに二人して図書館をおん出されるのであった。
時計はもう12時を回っている。さっき図書館を出るときちょうどから鳴り響いていた正午の鐘の残響が消え去ろうとしていた。
はやてが寂しげに呟いた。
「ちょっと騒がしくしすぎやったなあ」
「そうだねえ」
「おせっかいな魔女さんの魔法が解けてまう時間や」
「昼飯時だしね。休みたくもなるさ」
しかし、まったくアレくらいで追い出してくることもないのに。はやては怒られたのがショックだったのか図書館を出てからというもの、楽しい夢から覚めてしまったようにいまいち寂しげだった。
そこへふと桜の花びらが飛んできてはやての頬に乗る。なんとなく僕はそれをつまみあげた。
そういえば今日という日は新聞の週間予報によるともっとも春らしい暖かさが期待できるということだったか。
せっかく出会ったのだ。このままここでお別れするのも味気ない。
とりあえずはやての車イスの後ろに回って――よっと、これでいいのかな。車イスを押すのははじめてだ。
「きっと花見でもしてこいってことなんだよ。公園においしいタイヤキの屋台があるんだ。一緒に食べようよ」
「――ええの?」
首いっぱいに振り返ってはやてが僕を見上げてきた。その瞳には不安と希望が混ざってゆれている。ははぁ、サイフをもってくるのを忘れたのだろうか。だが見くびられては困る。肉体的には同い年でも体験年数ではこちらが上だ。年下にそんな気を使わせるほど落ちぶれちゃいない。
「心配なんかしなくても、知り合った記念ってことで今日くらいはおごらせてもらうさ」
ホントは惜しいけど、お金。でもこんなときじゃなきゃあんま使わないし。
「うん。ありがと、おおきになぁ――グスッ」
なぜ泣く?
「ううん。泣いとらん。わたし泣いてなんか、ないよ。ちょっと目にゴミがはいってもうただけや」
そうだよなあ。タイヤキが食べれるだけで泣くなんてどれだけ感動屋さんなんだ。はやてにそんな妙なキャラ付けはされていなかったはずだ。
うむと頷いて歩き出す。
「んじゃ行こうか」
本当にあそこのタイヤキはおいしいんだ。ちなみに僕はチョコ派。あんこでも食べられないことはないけどそれはこしあんに限られる。チーズクリームは個人的には邪道。ただ、食わず嫌いだからもしかしたらいけるのかも知れない。
ああ、久しぶりに食べるタイヤキが楽しみだ。
はやてはまだ目を擦っていた。