『3人の王と3人の愚者。
世を変えんと動く者達は争いを続ける。
無限の欲望より別たれた死者は禁忌への道を開く。
戦乱に満ちた世界に死せる王の船が浮かびし時。
王達は天へと至る道を開き、愚者達は光と共に消え去るだろう』
少し前に現れた予言を眺めていると笑いが収まらなくなる。
ベルカ再興の為に様々な謀をしてきた甲斐があったというものだ。
「騎士カリム。報告に参りました」
「お疲れ様シャッハ。…いえ、騎士王と呼びましょうか?」
「いえ、シャッハで構いません」
つい最近、シャッハは多大な数の監理局員(デク人形)を浄化(殺害)した功績を讃えられ、騎士の中の騎士『騎士王』の名誉を与えられた。
ヴェロッサは王の名を与えられた訳では無いけれど、『無限の猟犬』達の王…狗王とも呼称される事もある。
そして私は…
始めは慎重に考えて行動していたが、ここまでくると我々が3人の王以外にあり得ないだろう。
「それで、あのクアットロ(人形)はどうかしら?」
「お姉様の為に、と言って頑張っています。…アレが完成するまでの命とは知らずに」
「あら、寧ろ光栄でしょう?焦がれるお姉様に、最後の王に直々に殺して貰えるのだから」
偶然であったが、無限の欲望…ジェイル・スカリエッティの作品である戦闘機人のNo.4も手に入れる事が出来た。
ふふ、まさか相手をしてくれない創造主に愛想を尽かして逃げ出すなんて…ジェイル・スカリエッティも大した事の無い。
それでも、おかげであの計画を大きく進めることが出来たのは感謝しましょう。
それに何といっても、ゆりかごまで見つけてくれたのだから。
私が直々に手を下すのも、それらの功績を評価したちょっとした感謝の様なもの。
「しかし、3人の愚者とは誰でしょうか」
「大方、機動六課の隊長陣じゃないかしら?」
レリックの奪い合いや各地のテロ戦で、最も関わりがある3人といえばこの子達くらいだ。
「まぁ、散々邪魔してくれてるんだもの。ゆりかごが復活した暁には予言の様に消し去ってあげましょう」
「そうですね」
ふふふ…アレの完成が楽しみだわ…