2次会の終わる気配が全然無く、既に店の奥で寝ている人達もいる時間帯。
温泉好きさん夫婦の店だから安心して眠れるんだろうけど…他の店だったら間違いなく色々なものを失うと思う。
少し飲みすぎた私はそんな宴会から抜け出して、少しの間の散歩中です。
変態だらけの海鳴だけど、深夜の不審者は滅多に出ません。
散歩もそろそろ終わろうとお店に向かっていると、プレシアさん達が結婚式を挙げた教会が目に入った。
「…ちょっと行ってみようかな」
中には簡単に入ることが出来た。
明かりが無いので少し暗いけど、ステンドグラスから降り注ぐ月明かりが教会中央を照らしていてとても幻想的な雰囲気。
私はその月明かりの中に向かう。
「プレシアさん綺麗だったなぁ…」
はやてちゃんとかに魔王とか言われてるけど私も女の子。
やっぱり、ウェディングドレスで結婚式には憧れちゃう。
…でも、この先する事は無いかも知れないなぁ。
「なのは」
「え?ユーノ君?」
「ここに入るのを見かけたんだ」
ユーノ君も月明かりの中に入ってくる。
「2人とも素敵だったよね」
「そうだね」
そのまま結婚式の時の話をしながら、ステンドグラスを見上げる。
…そろそろ戻った方がいいかな?
「そろそろ戻ろっか」
「…なのは」
「なに?」
ユーノ君の方に振り向くと、ユーノ君の手には何かが乗っていた。
…え?
「いきなりだけどね。…僕と、結婚して下さい」
「…え?あ、え?」
な、何で?本当に?
で、でも、
「ダメだよ…そんな事言われたら、アルハザードに行きたく無くなっちゃうよ…」
「大丈夫だよ、僕も行くから。他の3人にはもう言ってあったんだ」
「ほ、本当に?」
「うん。…一緒に行こう」
「…はいっ」
手に乗っていた小箱から取り出されたのは、綺麗な指輪。
私の左手を取ったユーノ君は、それを私の薬指へと。
「レイジングハート」
【all right】
「あ…ドレス」
更にレイジングハートがバリアジャケットで作ったと思われるウェディングドレスに身を包まれる。
「こっそり準備してたんだ。…流石に神父さんは用意出来なかったけど」
「ううん…いいよ。これ、だけでも、私は幸せだから」
普段は可愛らしく見えるユーノ君だけど、今はとても格好良く見える。
あはは…涙が出てきちゃった。
―――そして、ステンドグラスから降り注ぐ月明かりの中、私達の2つの影は重なった。