とうとう訪れた出発の日。
戦艦の中には大量の食料と、土やら野菜の種やら果物の木の苗やら色々と積み込まれました。
下手するとアルハザードに辿り着くまで何年もかかるかもしれないらしいので、戦艦内で自給自足する準備だそうです。
…アルハザードに着く前に餓死とか本当に勘弁して欲しいな。
「なのは、いよいよだね」
「あ、フェイトちゃん」
戦艦のお披露目の時に居なかったフェイトちゃんですが、数日前にやっと帰ってきました。
最近まるで見かけなかったアルフさんを探していた様ですが、すっかり野生化して近隣の山に住む動物達の女王になっていたみたい。
「誰も相手してなかったから拗ねちゃったのかな?」
と、フェイトちゃんが言ってたけど何かが違うと思う。
言うなれば…そう、何かに忘れられていたとか、そんな感じの。
…おかしいなぁ、電波はフェイトちゃんかエイミィさんの領分なんだけど。
「準備は整ったよ」
「もう、この世界も見納めかも知れないのね…」
プレシアさんのその発言を聞いて、改めて周囲を眺める。
ミッドの自然、暗部隊舎、見送りに来てくれたみんな…お別れ、なんだなぁ。
「なのはちゃん、頼んだで」
「何かあっても全力全開でぶっ飛ばしてやれ!」
「こちらは我々に任せろ」
ありがとう、はやてちゃん、ヴィータちゃん、リインさん。
「ま、頑張ってね。暇な時は私の作ったゲームでもやってさ。新作もあるから」
はい、楽しみにしてます、エイミィさん。
「最大のミッションだ。確実に成功させてくれよ?」
任せて下さい、カルタスさん。
『アルハザード、か…』
『伝説の地、無事辿り着く事を願っている』
『世界を頼む』
はい、頑張ります。最高評議会の皆様。
「…少し寂しいけど、我慢する。いってらっしゃい」
いってきます、ルーテシア。
「さあ、行こうか」
ユーノ君…うん、そうだね。
戦艦に乗り込んで席に座る。
前方にある大画面にはこれから突入する、閉じかけの虚数空間。
核融合炉が起動し、浮遊を始める戦艦。
充分な高さまで上がった後、全速前進で虚数空間へと突き進み―――そして、突入した。
モニターに映った戦艦背後の映像には、役目を終えたかの様に閉じていく虚数空間が映っていた。
いざ、アルハザードへ!!