虚数空間に突入してはや数ヶ月。
私は今―――
「ほらユーノ君、これ」
「うわぁ…このカボチャ育ちすぎだよ…」
―――農業をしています。
予想通りそう簡単には辿り着けないらしく、食料確保のために戦艦に作ってある畑で野菜を栽培し始めました。
今日は初めての収穫なんだけど…ジェイルさんが色々と弄ったらしく、全体的に色々とおかしなことになってます。
「チンクちゃーん、そっちはどう?」
「ご覧の有り様だ」
「「でかっ」」
スイカ並に大きいジャガイモとかどうすればいいのかわからないよ…
「なのは、何故か早くも果物が…」
「えぇ!?苗植えて数ヶ月なのに!?」
フェイトちゃんが持ってきたのはリンゴ。
サイズは普通だけど…早い、早すぎるよ。
「ジェイルさんが作るものって全部何かがおかしいよね…」
「あっさり核融合炉作るしね」
「あ、でもチンクは普通だよね」
「いや、今では普通にドクターと呼べるが、当初はな」
そんな話題を続けながらみんなで収穫を続けました。
虚数空間突入から大体1年経ちました。
ジェイルさんが電波を受信しました。
「いや、アルハザード時代の記憶が徐々に蘇ってきただけなんだが…」
「でもアルハザードの電波を受信してないとも言い切れないわよね」
「勘弁してくれプレシア…」
いつも仲の良い2人はさておいて、ジェイルさんの記憶によると進行方向は合ってるけど、到着にはもう暫くかかるそうです。
何というか都合が良いよね…今まで度々あったけど。
フェイトちゃんのブーストもよく考えたらブーストで済むレベルじゃないし、夜天の書もプレシアさんとジェイルさんが常識人の集いに来なかったら大変なことになってたと思うし。
運が良い…とはまた何かが違うよね。
「神の見えざる手が働いてるんじゃないかい?」
「科学者が神を信じるのはアリなんですか?」
「神にも色々あるだろうからね。案外神はロストロギアかもしれないよ?」
あー…私達の目的の世界に影響与えるロストロギアとか、神って言ってもいいレベルだもんね。
アルハザードに実在したとしても、そんなロストロギア、何とかできるのかなぁ?
…まぁ、そこは信じなくちゃどうしようもないよね。
じゃ、今日も収穫にいこうっと。