―あの時、私はただ、泣いているだけだった。
燃え盛る炎と瓦礫が至るところにある道を、ただただ泣きながら歩く。
お姉ちゃんはいない。
火事になる前に既にはぐれてしまっていたからだ。
「ぐすっ…こわいよぅ…」
炎の熱が肌を刺激する。
もう助からないんじゃないか、このまま死んでしまうんじゃないか。
そんな考えが頭に浮かび、それが怖くて涙が止まらない。
「…あぅっ!…いたい」
瓦礫に足を取られ転んでしまう。
足を擦りむいちゃったみたいだ。
とても痛い。
「うぅぅ…?」
近くで大きな音。
そちらへ目を向けると、私に向かってゆっくり倒れてくる柱。
ああ、私、死んじゃうの…?
そう思いながら、ただ柱を見ているだけだった私の目に、桃色の光が映る。
「…大丈夫だった?助けに来たよ」
「あっ…」
その人は、白いバリアジャケットを纏った魔導師だった。
ああ、私、助かるんだ。
また涙が止まらない。
「一気に道を開くよ、レイジングハート」
【All right】
その人は杖型のデバイスを構える。
魔力が高まって、それが杖に集中していく。
「ディバイン…バスター!!」
凄まじい魔力の波動と勢いで、射線上の障害物を全てぶち抜きく。
私はそれを、ただポカーンと見ることしか出来なかった。
気が付いたら、魔導師の人に抱えられて空を飛んでいた。
…私は魔法が嫌いだった。
喧嘩とかも嫌いだったし、痛いのも嫌だったから、シューティングアーツの練習もしていなかった。
魔法が無くても、何とか出来る、そう思ってた。
…でも、今回の出来事で私は魔法の事を知った。
魔法を使う魔導師を知った。
そしてこの人に助けられた時私は知った。
巨大な柱を簡単に縫い止める魔法を見て理解した。
あの圧倒的な砲撃を見て、確信した。
―――この世の理は、即ち、力である、と。
―――
「なのはさん、スバルがこんなんなった切っ掛けは貴女みたいなんですけど」
言わないでティアナ…泣きたくなってくるから…
「はっはっはぁ!ぬるい!ぬるいよエリオォ!!」
「まだです!この程度じゃまだ足りません!!」
「エリオ君相変わらずドMだね、死ねばいいのに」
「キュルク〜」
というか、このフォワード陣大丈夫かなぁ…?