アルザスに産まれた竜召喚師、それが私、キャロ・ル・ルシエ。
物心ついた頃から竜と遊び、竜を使役していた。
そして、とある偉大な守り神とも言える竜、ヴォルテールの力を、借り受ける事が出来る巫女になってしまった。
私はそれが嬉しかった。
でも、他の人達は、そうじゃなかったみたい。
「過ぎた力は災いを喚ぶのだ」
「我々はお前を追放せねばならん」
そう言われて私とフリードは追放されてしまった。
その日からずっと旅を続けて、旅の間ずっと、あの時言われた言葉について考えていた。
ふと立ち寄った村で、人だかりを見つけた。
自分勝手な村の領主の息子が無茶苦茶な事を言っているらしい。
『強すぎる力は災いを喚ぶ』
地位や権力も力とするなら、この状況はある意味正しいのかも知れない。
でも、何かが違う。
私はそれを眺めながらそう感じていた。
その時、1人の男性が領主に刃向い、あっという間に領主を倒してしまった。
村人は男性に「どうしてくれるんだ!」とか「領主に逆らったら大変な目に!」とか言っている。
それを聞いた男性が言い放った。
「ああ、じゃあ領主の一家みんなぶっ倒して来てやるよ」
その発言通りに僅か数十分後に一家全員を叩きのめしてしまった。
その後、男性が領主一家を脅し、無理な要求はしない事を約束させたようです。
後で知ったのですが、その男性は犯罪者の旅人だったらしく、同じように気に入らない人達をやっつけて回っているようです。
まさに、強すぎる力で災いを振り撒いている人です。
でも、その自分勝手に力を振りかざす男性のおかげで助かった人達も沢山いました。
ああ…災いも、使い方次第では良いものなんだ。
―――
「それ以降、その人と同じ様な事をしてました」
「ああ、それで発言や発想が過激なんだ…」
「過激でいいじゃないですか。敵を粉砕すれば結果オーライですし。ね、フリード」
「キュルル」
「いや、粉砕したら死んじゃうからね」
「非殺傷設定って便利ですよね。やりすぎてもある程度なんとかなりますし」
「非殺傷でもやりすぎたら…」
「それはそれです。自然保護隊で学びました。世の中は弱肉強食です」
「いやいやいやいや」
もしかして、キャロちゃんが1番危険なんじゃあ…