「二人とも娘さんが問題なんですかぁ」
なのはちゃんがジュースを持ちながら言う。
スカリエッティも同じく娘に苦労してるのは驚いたわ。
研究所で会った時は研究熱心な子供だったのに、今では父親なのね。
そんなことを考えながら、私は当時の事を思い出す。
アリシアを失った私は絶望に沈んでいた。
この腐敗した世界で真っ直ぐに育ったアリシアは、私の宝物だったのだ。
ある時、監理局の違法研究所から生命操作の研究の誘いが来た。
娘を蘇らせる事が出来るかもしれないと、私は即座に参加を表明した。
プロジェクトFと名付けられた研究で私はクローンや記憶転写に重点を置いた。
他の研究者はよくわからない事をしていたが、覚えていない。
計画名が気付けばプロジェクトMになっていた頃、記憶転写をある程度完成させる事が出来た。
クローンももう少しで実用段階に至る。
もう少しで、アリシアに…!!
月日が経ち、とうとうアリシアのクローンに記憶を転写させる時が来た。
愛しい娘が目を開けた姿を見て涙が溢れ落ちる。
そして私の娘は、
「おはよう、ごしゅじんさま」
「なん…だと…」
お母さんではなく、ご主人様と、呼んだ。
他の研究者の成果も使ったのがいけなかったのだろうか。
計画名は知らない内にPPM(プロジェクト・プリンセス・メーカー)と言う名前に変わっていた。
そして内容も『クローンや死者蘇生を目的とした生命操作研究』から、『全てを肯定してくれる自分好みの従順な可愛い子供を作り出す計画』になっていた。
研究に没頭していたとは言え、何故こんな展開に気付かなかったのだろうか。
アリシアにそっくりで、それでいて似ていない娘にはフェイトと名付けた。
初めは純粋に存在が気に入らなく、事ある毎に鞭や魔法で痛め付けていたのだが、その全てをフェイトは悦びながら受け止めていた。
PPMの子供はマスター認定した相手のする事を全て肯定してくれる存在らしい。
でも私はSMプレイをしているわけじゃない!!
嗚呼、せめてフェイトの行動が普通だったならば私は二人目の娘として接していたかもしれない。
でも、それはあり得ない事なのだ。
マスターが変われば可能性はあるが、そう簡単には変わらないからこそのPPMだ。
そして私はアルハザードの存在を知り、アリシア本人を復活させる為に活動を始めた。
私の希望はもうそれだけなのだから。