ある日
ある時
僕はこの世界にやってきた。
ふと目を開けてみれば暗闇が広がっていた。
・・・・・・はて?
何かおかしい。死後の世界にしては感覚がはっきりしすぎてるような・・・いや、行ったことないから知らないけどさ。
腕を動かしてみると普通に動いたけど、すぐに木の板らしき物体にぶつかった。どうも木箱らしき物の中にいるようだ。
木の箱・・・・・・うん、まるでどころか思いっきり棺桶だよね・・・・・・
・・・・・・あれ?何だか焦げ臭いような・・・それにちょっと暑いし・・・・・・外からパチパチと何か爆ぜる音が・・・・・・
「って熱っ!熱いって!!」
思わず叫んだ。決まりだ。完っ壁に棺桶で火葬だ!いやだから熱いんだって冗談じゃなく!
誰か助けてー、って感じに思いっきり棺桶がたがたさせると外が騒がしくなり、バシャッ、ジュゥゥゥ・・・と火が消え熱さも失せた。・・・・・・っておい!今度は煙――げほっ、ごほっ・・・く、苦し・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そのままあっさり意識を失いましたとさ。・・・・・・なんかむなしい・・・。
「・・・・・・ぅ」
目が覚める。覚めて思った第一感想。・・・・・・・どこだここ。
かぶりを振りつつ起きあがってみれば、縦に長い部屋の中、周りの家具が異常に大きいのに気が付いた。・・・・・・あれ、でも計算上普通の家具と変わりないぞ?周りが大きい訳じゃないとすると・・・相対的というか論理的に考えてでもそんなの科学的におかし――
とそこまで考えたところで大人の身の丈ほどもある姿見に目がいった。
・・・・・・・・・・・・
十泊。
「えええええええええええええええええっっっっっっ!!!」
絶叫激叫大喝叫!・・・意味わかんないって・・・・・・・なんで子供の・・・それも3歳児ぐらいの姿してやがりますかね僕は!!
どたばたと僕の叫びを聞きつけてか誰かの走る音が聞こえ、がたんっ、と慌ただしく扉が開き、
「刹那っ!」
と叫びつつ水色の髪の綺麗な女の人に抱きつかれた・・・もとい、抱きかかえられた。
「ああ、刹那刹那!よかった・・・・・・!」
「???」
突然の事態に僕の思考は付いていけなかった。珍しい。
このときの僕は気付いてなかった。
この僕が、何故、上手く思考を巡らせられなかったのか。
このときは、まだ、気付いてなかった。
抱きしめられたまましばらく時間が過ぎてようやく女の人が落ち着いた頃、僕はトントンと背中を叩き、髪と同じく水色の瞳を見つめて軽く首を傾げた。
「・・・だれ?」
「!!・・・・・・っ」
その時の女の人の顔は・・・・・・何も分かってない僕の心を軋ませるほどに、辛そうだった。
・・・・・・もう、二度と見たくない。
初めて、そう思うような顔だった。