腹に響く様な鐘の音。今日は卒業式だ。突然こんな事を言っても混乱させるだけだろうから、説明する。此処はメルディアナ魔法学校。つまりはネギまの世界なんだわ。笑うなよ? 本当に笑いたいのは俺の方だ。俺が俺を認識したのは二歳になる少し前の事だった。混乱はしなかったよ。何故なら、今までを過ごした俺の記憶と知識が在ったからな。それでも、考えを纏めるのに一日掛った。正直な話、勘弁して欲しい。ネギまだよ? バトルだよ? 下手したら死ぬよ? 元一般人の俺からしたら死亡フラグしか見えない…しかも、主人公の双子の兄だぜ? 死ぬ確立高いじゃん。死ななくても親父がアレだよ? 学校中退のヤンキーみたいな英雄よ? 狙われる可能性高すぎるんだよぉ!!と、最初は欝になった。でも良く考えれば、俺はネギと同じくらいの資質は持っている(らしい。スタンじいちゃんが言ってた)なら、なんとかなんじゃね?と、考えました。スタンじいちゃんに頼み込んで封印術と結界魔法を教えてもらいましたよ。ネギを放って置いて。アーニャが居るから大丈夫だろ的な考えで。嬉しい誤算で、本当にスペックの高い身体です。脳も魔法はね、楽しいですよ。覚えるのも使うのも、個人的には薬学とかが面白い。攻撃魔法なんて、魔法の射手だけで良いよ。学校の書庫に忍び込めば学べるっぽいし、これなら、原作よりも大丈夫じゃね? そう考えていた時期が懐かしいです。悪魔に襲われるまではね。死ぬかと思いました。俺はイレギュラー。原作主人公のネギ君が生き残るのは決定事項だから大丈夫だけど、俺はねぇ…振るわれる悪魔の腕を凝視しながらそう思いました。ピタッと悪魔の腕が止まって話しかけて来たのは驚きでしたよ。「何故…落ち着いて居る」「いや…勝てる訳ないじゃん。俺、クソ餓鬼。アンタ悪魔。しかも…爵位持ちっぽいし…」素直にそう言いました。時間が少しでも稼げれば英雄様が助けてくれるかも知れないしね。「…貴様は…恐怖していない。」「圧倒的過ぎるんなら、納得すると思うんですけど?」何故だろうか? 品定めする様に見られます。アレか? 寿命とか腕とか大切なモノを捧げれば助けてやろうとかそんなのか?「納得か…小僧、貴様はつまらん。殺す価値も食う価値も無い…だが」「だが?」「生きたいか?」何を当たり前な。「当たり前です。死にたがるほど生きてないんで」焦らすなよ!! 殺すなら殺せ!! 生かしてくれるなら生かして!!「コレをやろう。」ピンと指輪を渡される。何コレ?「人にしか使えぬ名を知る為の指輪だ……遥か遠い昔、俺が仕えた魔法使いが所持していた物だ。」「…何でそんな物を…」「そのやる気の無さと、爵位持ちの悪魔を相手に話せる胆力。そっくりだ。久しく思い出せなかった事を思い出させてくれた礼だ。此処を真っ直ぐ行くと悪魔とは会わないだろう。既に蹂躪した後だからな」それだけ言うと、悪魔は飛んで行った。無駄に紳士でカッコ良かったです。あの悪魔の言った通りに進むと悪魔には会いませんでした…が、呪文を唱える親父殿が居ました。ハッキリ言って嫌いです。コイツがハッスルしすぎた所為で周りの大人が向ける期待とか希望とかが重過ぎます。眼の奥にね、爛々と光っているモノが在りました。人間不信になりそうです。唯一、ただの子供として見てくれたのはアーニャの両親とスタンじいちゃんだけです。此処が襲われたのもアレが原因の一端と予想できる。餓鬼の責任転嫁とか言われればそれで終りだけどさ…そして、決めました。劣等生として生きていく事を!!アレだよ。主人公はネギ君なんだからさ、優秀な弟に頑張ってもらう。俺は普通の魔法使い程度の力しか持たない駄目な英雄の息子として生きます。将来はウェールズの片田舎で農業でもしながら暮らすよ。そう考え付いたのが吉日。滅ぼされた村から出る前にレッツ火事場泥棒、魔導書やら魔法薬の本をパクる。ついでに、石化した人の一部(服、髪、髭)を採取。スタンじいちゃんとアーニャの御両親は助けたいしね。んでもって魔法学校に入学。俺は劣等生…というか普通だから、ネギよりは魔法出来ないという事を主張しました。その分、薬学には精を出します。教師陣の落胆の瞳を見て計画道理と笑ってしまいそうでした。でも、それだけでは安心出来ないのは俺が臆病で小心者だから。姿を変える方法を模索しました。幻術は…ね? 高位の魔法使いにはバレます。そこで思った。なら、普通に年取ればよくね? っと。でもねぇ…考え付くの『別荘』ぐらいしかないんだよなぁ…物凄く高いです。家が何件建つか分かりません。造るのも無理。造れる人無茶苦茶少ないの…正直に話して造ってもらうなんてできないしね…俺達、余り金持ってないし…取り合えず、魔法使いの夢の島に行って見ました。淡い希望を抱いて。そしたらね、在ったの。別荘…壊れてたけどね。取り合えず持って帰りました。マホネットで調べると、やはり修理するダケでも高いです。家が二件建ちます。エヴァンジェリンって本当に凄い魔法使いだったという事が分かりました。あの人、コレが作れるんだぜ? 物を作る者としても一流ってなんて理不尽。前にパクってきた、もう使わない魔導書とかを売る事にしました。内容は全部暗記しています。ハイスペックな身体…というか脳に感謝。軽い気持ちで売りに出してみたら高値で売れました。何やら、凄い写本が在ったらしい。内容覚えていても理解出来てないから分かんないんだけどね。別荘を直す資金が出来たので修理に出して、一ヶ月で戻ってきました。ソレからは興味無い授業はサボりながら別荘で研究の毎日。幻術覚えて良かったです。今の俺の肉体年齢は十四歳です、反省はしていない。研究は面白い。魔法薬はね、便利です。触媒に出来るし、チョット趣向を変えれば栄養剤が出来る。一応錬金術に入るっぽいんだけど…物を作るのは面倒臭過ぎる。ホムンクルス? 興味が在りません。材料費…というか機材が高い。あんなの金持ちの道楽だよ…お金持ちに成りたいです。ソレと、悪魔がくれた指輪なんだけど。本当に名前を知る為だけの物でした。試しに精霊さん呼んで、名前を調べるとドレもコレもサラマンデルとかシルフィーヌとかウンディヌスとか…何処のゲームだよと叫びたくなるような名前でした。まぁ、名前はバカにならないという事を知った今と成っては昔の自分をシバキ倒したいとしか思えないけどね。ソレが切っ掛けで、誰にも内緒で召喚魔法を使ってます。精霊さんは皆良い子です。悪魔はチョイ悪な感じの良い人です。魔力のラインで繋がっているので、少ない魔力でいつでも助けてくれます。俺が呼ぶ悪魔がオカシイのか、悪魔自体がオカシイのかは分からないけど。契約すると案外良い奴が多いです。共感出来る所も有るしね。そんなこんなで卒業式。我が優秀でお子チャマな弟は主席です。俺は普通。此処まで差が有れば、俺が日本に行く可能性も低い。オランダとかドイツとかに修行に行きたいなぁそう思いながら開いた紙にはこう書いてありました日本で教師してこいや。ワシの目は誤魔化せんぞジーザス反省も後悔も無い!!主人公の名前は出てないぜ? このSSは作者の病気と、テストの鬱憤とかストレスとかで出来ています。一般人を入れたら、こんな感じじゃね? がコンセプト。次回は…まぁいずれ