突如として閉ざされた仮想世界、二度と動く事の無くなった友
大魔王と名乗った狂人によって下された絶望的な宣告
全てのプレイヤーは『レンネンカンプ』の厳しい現実と
強制的に向き合せられ、立向かう事を強要されていく
だが、プレイヤーも人間である
休み無しでその過酷な現実に挑み続ける事が出来る者はそう多くない
ときには現実を忘れ、休息を取る事も必要である
それが、人間らしさを保つ大きな助けとなるのだから
■遊園地へ行こう!■
現実世界へ戻るため中ボスとの対決を決意したヘイン達四人は
出発の準備とレベルの更なる上昇を目指して日々を忙しく過ごしていた
そんな生活を続けて行く中、ストレスはゆっくりと、だが確実に蓄積されていく
■■
『遊園地に行きたい!』
う~ん、朝起きたら開口一番にそれですか・・・
どっかの五歳児かよ?せっかくのオフだっていうのに
わざわざ疲れに行くなんて馬鹿なの?アホなの?
「いや~、俺もその案には大賛成なんだけど。ちょっと昨日の狩で
足を痛めちゃってねぇ。あぁ、勿論、お前が行くのは止めないし
ちゃ~んとチケット代も小遣いも出してやるから心配しなくて良いぞ
そうだ、義眼の分やフェルナー分も出してやるから三人で楽しんで来いよ」
ここで面倒とかダルいとか自分の都合で断るのはアウトだ
あくまでも自分は行きたいんだけどという意思を見せつつ
みんなで楽しんで来いという代案をだして逃げるのが上策という奴だ
『ヘインと一緒に行きたい!』
・・・・、なかなかやってくれますね食詰めさん
此方の主張を完全に無視して、再度自分の要求だけ突きつける
その上、要求を分かりや過ぎる位に簡素化することによって
穏便に要求を跳ね除けにくくしている
クッソ、落ち着け落ち着くんだヘイン
休日になんとしてもゴロゴロしようとする親父の言い訳を思い出すんだ
なんとしてでも家に居座ろうとする執念を見せてやる!!
『一緒じゃ・・・、だめか?』
■
必死に家に引き篭もろうとしたヘインであったが
半ば十八番になりつつある食詰めの『純真無垢落し』に抗すること敵わず
開園して間もない『デスティニーランド』へ強制連行されることになる
ちなみに、『デスティニーランド』と呼ばれるテーマパークは
『レンネンカンプ』にデフォルトで用意された施設ではなく
プレイヤーによって作られた施設で、これは非常に珍しい事であった
『テーマパーク』クラスの巨大施設を完成させる労力は並大抵のモノではなく
それを実現させるために要求される能力も『リアル』であったためだ
ヘインと食詰めがお遊び気分で向かう施設は
遊びで作れるような生半可なモノではなく、多くの紆余曲折を経てようやく完成した
鉄の意志と血の滲む努力によって生み出された『夢の国』であった
■現実を超えるもの■
施設の設営と聞くと『レンネンカンプ』世界の遊び方と乖離しているように思えるが
中途半端なリアル指向によって作られた『レンネンカンプ』にとって
レアな部類には入るものの、想定された立派な遊び方の一つである
『レンネンカンプ』世界においてレベルを上げるのに必要な経験値を手に入れる方法は
分類すると何種類かに分ける事が可能であり、その種類の数だけ遊び方があるのだから
簡単に例として挙げていくと、RPGパートで代表的なものとして
街の外でモンスターを狩る方法と街の中で何らかの形で働く方法の二つが挙げられる
ヘインや食詰め、赤金コンビに黒猪、鉄壁のギルドメンバー達は前者に
義眼やフェルナーは勿論、為政者に属するトリューニヒトや黒狐
そして、『戦うべき現実』に誰もが考え付かない方法で打ち勝った
『夢の国』を生んだブルーノ・フォン・シルヴァーベルヒは後者に分類する事が出来る
このシルヴァーベルヒという男は現実世界では、大企業の優秀な従業員であり
やがて、経営に携わるポジションに就くと周囲から目されていた
また、本人もそれを否定するどころか、既定の未来図だと豪語しており
惰弱な優等生とは違った豪気さと野心を持ち合わせた男であったことが窺える
彼が『レンネンカンプ』の世界に飛び込んだ理由は単純だった
この狂った世界が実現した悠久とも言える時間を利用して職務に邁進し
自己の持つ権限を更に高め、より大きな事業に携わることを目的にしていた
そして、多くのプレイヤーと同じくその目的を果たす間も無い内に
『レンネンカンプ』に捕らわれた事を知ることになる
■■
「私にしては珍しい失敗をしたな。この世界の持つ『時間』という
魅力に眼が眩んで、中身を吟味する事を少々疎かにしすぎたようだ」
『レンネンカンプ』の世界に捕らわれた事を悟った後
シルヴァーベルヒは酒場で部下を前にして愚痴を零すという醜態を晒していた
だが、この滅多にお眼にかかれない彼の醜態は
彼に誘われて『仕事』のためにこの世界を訪れていた
グルックを却って勇気付ける事になる
グルックは高校卒業後、研修を終えて彼の下に配属され、二年を過ごしたが
その間、余りにも優秀すぎる上司は弱音を見せるどころか、愚痴を零す事も無かった
そのため、彼の下での仕事のキツさに毎日泣き言や愚痴を言いたくてしょうがない自分は
馬鹿でダメで死んだ方が良いのではないかと思いかけていたりしたのだが
『大魔王レンネンカンプ』によって与えられたこの理不尽で過酷な試練によって
誰よりも敬愛する上司が自身と同じように愚痴を漏らす人間だと分かり
言い知れぬ安心感を持つとともに彼に対する親近感を急速に強めていた
『貴方らしくないですね。しかし、この仮想世界にわざわざ『仕事』をしに来た
甲斐がありましたよ。完璧超人だと思っていた上司の弱さを見れるんですから』
自分には及ばぬものの優秀な部下から掛けられた言葉は
シルヴァーベルヒという男を奮い立たせるには十分すぎるものだった
彼は停滞ではなく前進する者であり、酒場で愚痴るような凡俗のすることに
翡翠よりも貴重な時間を割くことは許されない身
この日、彼は『レンネンカンプ』という最大にして最悪の仮想世界で
誰も成し遂げられないような事業を成し遂げる決意を固めた
「なぁ、グルック、大魔王の言う『現実』に打ち勝つモノは
対になる『夢』ではないかと私は考えたのだが、君はどう思う?」
『さて、私には分かりませんね。天才の考える事には着いていけません
ただ、貴方の出す指示ぐらいには着いていって見せますよ。それ位は
出来ると見込んだから、私を部下として引っ張ってくれたのでしょう?』
新しい悪戯を思いついた悪童のように目をギラギラと輝かせ始めた上司を見ながら
グルックは今後の忙しさを想像して『ちょっと早まったかな~』と思いつつも
『らしさ』を取り戻したシルヴァーベルヒが描くモノを
誰よりも近くで見ることが出来る喜びに頬を緩ませずにはいられなかった
現実世界でも彼と『仕事』をすることはキツかったが
それ補って余りある充足感と新鮮な驚きをグルックに与えなかったことは
一度たりともなかったのだから
■夢の始まり■
『レンネンカンプの挑戦』の翌日から
シルヴァーベルヒの『夢の国』建設の挑戦は始まり
そのプロジェクトは『デスティニープラン』と名付けられる
このプロジェクト名は『大業を為すのが自分の運命である』という
シルヴァーベルヒの自負から来た物であると言われているが
残念なことに、この名の由来について彼自身が一度も語る事が無かったため
その真偽は現在に至るまで不明のままである
ただ、確かなことは『デスティニープラン』が『レンネンカンプ』の世界で
最大にして最高のプロジェクトであったということである
■■
新規事業を起こすのには一体に何が必要か?
その問に多くの人は『人・金・物・時間』の四つの要素を答えとして返す
だが、シルヴァーベルヒの回答は違った何かを為すのに最も必要なモノは
そ れ は 情 熱 で あ る !!
最初に挙げた四つの要素が足りないなら集めればいい
それの原動力となる『情熱』さえあれば難しい事ではない
足りない知識や経験も『情熱』をもって身に付ければよい
シルヴァーベルヒは天才であると同時に熱い努力家でもあったのだ
もっとも、その暑苦しいまでの情熱に着いて来れる部下は殆ど居なかったが
『大前提の情熱があることは分かりましたが、それで他のモノは
どうやって集めるんですか?生死の境にいる中で遊園地を作るなんて
荒唐無稽な話に協力してくれる人や出資してくれる人がいるとは
思えないんですが?それともなにか『アテ』はあるんですか?』
喫茶店の一角で熱く未来予想図を語るシルヴァーベルヒに
少し疲れた顔でグルックは現実的な疑問を投げ掛けたのだが
自信満々の顔で『アテなどない』と返されて盛大に机に突っ伏す事になる
「そんなに睨むな『アテ』が無いなら作ればいい。私の構想が荒唐無稽に見えるなら
現実的に見せてやればいい。動きかた次第でいくらでも道は開けるから心配するな」
楽観的過ぎるように聞こえるシルヴァーベルヒの返答に
真っ赤にオデコを腫らしたグルックは頭痛だけでなく眩暈にも襲われるようになったが
不思議と悲観的にはなっていなかった
『リアル』でより困難な事態を自分の前で幾度と無く乗越えてきた実績が
グルックにシルヴァーベルヒに対する絶大な信頼を植え付けていたのだ
既に情熱を持った優秀な『ヒト』は二人も揃っていた
「さて、まずは事業に不可欠な金を集めに行くとしよう
明日にはフェザーンに向けて発つから準備して置けよ!」
『えぇっ!?明日ですか?帝国内で出資者を集めるんじゃないんですか?』
伝票を持って勢い良く立ち上がった上司の爆弾発言に
グルックは慌てて質問を投げ掛けるが、動き出した上司は止まることなく
ささっと会計を済まして街の雑踏へと足早に歩みだしたため
観念して旅支度を整える事にする
一度走り出したら目的地に着くまで止まらない上司の性質は誰よりも知っていた
■夢の値段■
帝都オーディンから商都フェザーンまでの二人の道のりは
一言で現すなら『無様』、追加するとしたら『悲惨』の言葉が真っ先に来る物であった
二人とも『レンネンカンプ』の世界を訪れた後、『現実の仕事』に没頭していたため
ほとんど仮想世界でのレベルが上がっておらず
そ街道付近の道で現われる雑魚モンスターにすら何度も殺されかけていた
後にグルックが『悪夢の30日』と語る過酷な旅を経て
二人はなんとか商都フェザーンに辿り着いたが
彼等の目的を考えればようやくスタートラインに足を掛けたという所であった
■■
フェザーンの味をグルックと味わいながら、街の有力者の情報をNPC店員から得た
シルヴァーベルヒは早速目星を付けた男を訪ねることにする
何も無い状況でウダウダ考える無駄をこの男は誰よりも知っている
『それで、実業家のシルヴァ-ベルヒ氏は私に出資を依頼しに来たという訳ですか
確かに貴方の提案は大変興味深く、私も『現実』世界なら一枚噛みたい所ですが
残念なことにここは異常な仮想世界で私は『為政者』の仕事で忙しいという訳です』
最初に訪れたのはフェザーンの黒狐と呼ばれる自治領主ルビンスキーの下であったが
興味を引かせる事に成功しただけで、資金を引き出す事は叶わなかった
こうして自治領主との会見は徒労に終わったのだが
帰路についたシルヴァーベルヒは上機嫌そのものであったため
疑問に思ったグルックは出資話が不調に終わったにも拘らず
何故ご機嫌なのかを問いただした。
「グルック、実務ばかりが優秀なだけでは大きな事業は成功させることは出来んぞ
今回の会談の目的は商都フェザーンにおける最大の有力者に顔を売るということ
わざわざ長旅をしてきた帝国の実業家、興味本位で会ってみたら荒唐無稽の与太話を
聞いたら実現可能なレベルの計画で、出資した場合の成否は判断できないが非常に
興味深い内容とくれば、何処かの会合で誰かに話しても決して不思議じゃない訳だ」
『それで、都合の良い事に明日はフェザーン十老頭定例会議の日
天下の黒狐が此方の狙いに気付かない訳も無く、待っていれば
十老頭の話を聞いた誰かが接触を図って来るという訳ですか?』
中々筋の良い弟子の回答に満足したシルヴァーベルヒは
『まぁ及第点をやろう』と答え、グルックを夕食に誘う
成果が出るか出ないかは、とうせ明日にならなければ分からないのだから
今は気楽に旨い物でも食べてフェザーンを楽しむべきだと
シルヴァーベルヒは考えたのだ
もっとも、尾行しているであろう黒狐の部下に
自分が器のでかい大人物だとみせるパフォーマンスの目的も多分にあったが
大事の前に縮こまっている者に投資する馬鹿が居ないのは現実と変わらないのだから
■
フェザーン逗留から僅か三日
結論から言えばシルヴァーベルヒはこの地を訪れた目的を達する
十老頭に名を連ねる大投資家ウォーレン・パペットとジョージ・ゾロリから
『夢の国』設立のために必要な出資を受ける確約を取り付けたのだ
この信じられないようなあっけない成功にグルックを信じられないといった体で
眼を何度もパチくりしながら
どんなマジックを使ったのかと敬愛する上司を問いただしたのだか
返ってきた答えは彼の想像の範疇を超えていた
「どうせゲームのカネだ。面白そうな話で金が余るほどあるなら
大概のプレイヤーはポンと出すんじゃないか?勿論、仮想世界とはいえ
莫大な資産を持つ実業家にカネを出させるんだから、それなりの利は示した」
もっともこの回答は必ずしも正解ではなかった
シルヴァーベルヒはゲームの金だからと言う理由が
今回の成功に重きを成したと考えていたようだが、実際は逆であった
十老頭が重きを見たのは『それなりの利』の方であった
その利はNPCの物ではない、いくらでも融通の利くプレイヤーによって作られた
帝国籍企業をフェザーン資本の支配下に置くことが出来るのである
このシルヴァーベルヒが設立するであろう企業を通せば
外国籍資本の制限に邪魔される事無く
帝国企業を次々と支配下に収める事が出来るのだから
これほど、フェザーンに旨みのある話はないと言える
勿論、この事にはシルヴァーベルヒは気付いていたのだが
彼は十老頭達と違って現実世界で『マネーゲーム』に興じていた訳ではなかったので
仮想世界であっても変わらない『マネーゲーム』に対する執念を理解できず
成功の要因を読み間違えたのだ。現実であればより正鵠を得た判断を下し
今回の成功に大きな比重を得た理由を読み違えることは無かったであろう
もっとも、どちらにせよ彼の最大の目的である『夢の国』設立には
そんなことは全く関係ないため、大した分析をしなかっただけかもしれないが
こうして、夢物語を実現するカネを手に入れた二人は
『地獄の復路』を通りながら帝都オーディンを目指して再び旅立つ
■夢の実現■
再び帝都に戻った二人は『夢の国』を実現するために動き始める
シルヴァーベルヒはより具体的に実現可能な設立計画に着手し
グルックはようやく自分の出番が来たとばかりに会社設立の為に奔走する
具体的には会社の設立登記を行うために『帝国法務局』に通いつめ
この仮想世界での会社設立に必要な書類の確認を行うと共に
実印・銀行印等の印鑑登録を行うため、帝都中を歩き回って判子職人を探す
また、『夢の国』設立する用地の候補を選定し
『帝都開発局土地開発課』に許認可必要な書類を確認し作成するなど
いままでのシルヴァーベルヒの金魚の糞ぶりが嘘のような多忙さであった
『デスティニープラン』が短期間に実現可能な形まで進める事が出来たのは
シルヴァーベルヒの構想力に基いた計画を実務面で支えた
グルックの存在が大きかったことは間違い無さそうである
『レンネンカンプの挑戦』から120日、ようやく二人は夢の切れ端を掴んだ
■■
『設立登記、定款に官公庁の認可その他諸々の必要な事務手続き
NPC土木要員の雇用、必要な建機に建材の確保全て終わりました』
ヨレヨレになりながら息も絶え絶えで報告する部下の完璧な仕事振りに
満足気にシルヴァーベルヒは頷くと『夢の国』建設にGO!サインを出す
もちろん、地鎮祭はちゃんと終わらせてある
たった二人で始めた、中途半端にリアルな仮想世界だからこそできた
最大級のプロジェクト『デスティニープラン』が遂に達成する時が来たのだ
昼夜問わず行われる土木NPCによる工事が180日間ぶっ通しで行われた後に
『レンネンカンプ』における最大にして最高のテーマパークが完成する
轟音鳴り響く建設現場を見つめる二人は言い知れぬ感傷に浸っていた
「グルック・・・、もう少しだ!もう少しで俺たちは現実に打ち勝つぞ
私たち二人で作ったこの『夢の国』いや、『デスティニーランド』は
訪れた全ての人に『夢』を見せる。その瞬間、いつ死ぬか分からぬ恐怖
レンネンカンプのクソッタレから解放される。ここには笑顔だけが存在する」
自信満々で言い切るシルヴァーベルヒの顔は夕焼けに照らされているせいか
グルックには熱く光輝いているように見えた
いつも剃れと言っていたむさ苦しい髭も何故か神々しく見えていた
グルックが再び建設現場から眼を外し、横に立つ漢に視線を戻すと
彼はゆっくりと後ろに倒れて行き、二度と目を開けることは無かった・・・
■夢の終わりに■
『ヘイン!!もたもたするな!次はあっちのジェットコースターに乗るぞ!』
元気にはしゃぎながら笑顔でヘインを引っ張る食詰め
少々疲れた顔をしながら笑顔で応じるヘイン
現実世界ではそれほど珍しい光景ではないかもしれない
だが、この狂った仮想世界からは確実に失われつつあったものだ
「下手にフリーパスなんてもんを貧乏性な奴に渡すもんじゃないな
閉演時間までに絶対全アトラクション制覇する気だぞ、あの馬鹿」
彼方此方でショーに対する歓声やアトラクションに驚く声が聞こえる
この場所で、私達の作った『夢の国』でずっと泣いている来訪者は一人も居ないよ
『今日はとことん付き合って貰うつもりだから覚悟してくれ
こんなに楽しい場所には現実世界でも来たことは無いからな』
現実の時間にしたらほんの一瞬に過ぎないかもしれない
だけど、みんなその瞬間は死の恐怖と言う現実を忘れている
「ったく、こっちの疲労は無視かよ!ここがメチャクチャ楽しいのは間違いないから
はしゃぐのも分からなくは無いんだが、もうヤケだ!こうなったら全部乗ってやる!!」
いや、違うな私たちは『現実に打ち勝ったんだ』
ブルーノ、貴方はいまも死の恐怖という現実から勝ち続けているんだ
だから、お客さんじゃない私がここで泣くのだけ許して下さい
■
夢の国 『デスティニーランド』
デフォルトで設置された娯楽施設と違い、人の手によって工夫を凝らし
常に新鮮な楽しさを追求して、その姿を変えるテーマパークは
『レンネンカンプ』という仮想世界が生み出した最高の娯楽であった
一人の男の突拍子もない発想から生まれ
一人の献身によって実現した『夢の国』は
人々の笑顔を恐怖から守る素晴らしいものであった
・・・ヘイン・フォン・ブジン侯爵・・・電子の小物はレベル298・・・・・
~END~