カーテンの隙間から差し込む柔らかな朝日と共に目覚める。
宇宙にいる事が多いのでそんな起き方はもう数ヶ月以上していないが、朝のまどろみが気持ち良い事には変わりない。見慣れた天井を見つめたまま、シンはボソリと呟いた。
「ちょっと早く起きすぎたかな……?」
昨日の行為の余韻がまだ残っているのか、下半身には暖かい何かに包まれているような気持ちの良い感触があった。
シンはベッドから体を起こし机の上の時計を見上げる。いつもの起床時間より数十分早いけれど、寝直すには少し短そうだ。
一緒に寝ていたはずの少女の姿は隣には無い。寝ていた場所に触れるとほのかに体温が残っていた。
シャワーでも浴びているのだろうか。だったら少し早く起きてしまったこともあるし、俺も一緒に浴びて背中でも流してあげようかな。そう思いながら周囲を見渡す。
まず目に映ったのは乱れたシーツ。いくつか転がったティッシュの塊に散乱した服と下着。盛り上がった掛け布団。……ん? 盛り上がった?
もしかして。
慌てて布団を引っぺがすと、目に映ったのは上下する金の髪。
「ちゅぽっ、ふぅ、はむ、じゅっ、んぅ? ……ふぉはょう、シン」
ただいまお口でご奉仕中。昨日の夜のお相手、我らがステラさんの姿があった。
「おはよう……なんでそんなことしてんの?」
「だって2人が、じゃなくてシンのが大きくなって苦しそうだったから。いっかい出してらくにしてあげようと」
それは朝になると必ず起こる男の生理現象というやつなのですが。ああでも気持ち良くて何も言えねぇ。
言葉が出ないシンの姿を納得したものと勘違いしたのか、行為を再開し始めるステラ。裏筋を舌先が掠るように上っていった。そこはあかんですよステラさん。
自分の動きによって気持ちよさそうに顔を歪めるシンの姿に思わずステラは笑顔になる。彼にもっと喜んで欲しくなって、さらなるサービスを行うことに決めた。
「ちょっとまってね。今からシンが好きなのをしてあげるから」
足を開いたシンの腰を自分の両膝に乗せ、覆いかぶさるように自らの豊満なバストでシンのものを挟み込むステラ。
そのまま胸の谷間に唾を垂らし上下に揺する。
はっきり言ってエロい。寝起きで頭の回らない時にされていい攻撃ではない。
胸の柔らかさは言うに及ばず、綺麗な乳首やチロチロと触れる舌先。それに加えて小首を傾げながらこちらを見上げる彼女の可愛さを目にしてしまえばもう、
「す、ステラ!! 俺もうっ!!」
「きゃあっ」
こうなるのはコーラを飲めばゲップが出るくらい当然の事なのである。
体を起こし入れ替えると、押し倒された彼女は戸惑った表情でこちらを見ていた。
「ステラ、良いよね……?」
「え、しちゃうのシン? ステラ、これで終わらせるつもりだったのに」
「嫌なら言って。……なんとか我慢、してみるから」
そう言いながらもステラの太ももを優しく撫でるシン。その妖しい指先からは言葉通り我慢しようとする気配は欠片も感じられない。
そしてシンに対して強い奉仕願望のある彼女が彼のそんな様子を目にすれば、断ることなど考えるわけも無く。
自分からシンの唇を吸い、笑顔と共にOKサインを出した。
「いやじゃないよ。でも、声が漏れたらいやだから」
そう言うとステラは両肘をベッドにつき、後ろを向きながらぷりんとしたヒップを高く上げる。半分ほどずり落ちた純白のショーツが扇情的だ。
「やさしくして、ね?」
どうぞ美味しく食べてください、そう言わんばかりの可愛いステラのしぐさ。これに応えない者をシンは男とは認めない。まあ他の誰にもやらんけど。
改めて今の自分の格好を振り返り頬を紅く染めるステラを笑顔で見下ろしながら、シンは答えた。
「ごめん。それ無理」
「ええ!?」
驚く彼女をよそにシンは後ろから覆いかぶさり、背中に舌を這わせながら彼女のショーツの中に指を入れる。
指先に感じたのは水分。どうやらステラはご奉仕しながらも興奮していた模様。まあ仕方ないよね、若いんだし。
「ステラ、濡れてるね?」
「だ、だって……んっ」
ステラの言い訳を乳輪のラインを中指の腹で優しくなぞることでシャットダウン。続けてこの後の行為を想像させるために熱く滾った己の大剣を彼女の下腹部に押し付ける。
だがシンのアロンダイトはステラの鞘に納刀されることなく、表面だけを擦りながら通過した。
「ああっ!!!」
敏感な突起を刺激されたため思わず太ももを閉じるステラ。だがその行動は最愛の彼のものを挟んでしまう形となり、逆に密着具合が強くなってしまった。
予期せぬ素股に腰が砕けそうになったステラを見て、シンは即座に次のステップに移ることを決意する。
ぷにぷにした太ももに興奮しないわけではないが、それに構わず彼女の胸をむにゅむにゅと揉みしだく。童顔に似合わぬ豊かな双丘がシンの掌によって歪に形を変えた。
それにしてもけしからん乳である。大きさといい形といい乳輪の程よい大きさも合わせて、シンを溺れさせる為に成長したとしか思えない。
「そ、そんなに強く揉んじゃだめぇっ」
「そう? じゃあ、ここは?」
「そっちはもっとだめぇ!!」
↑X↓BLYRA。上上下下左右左右BA。そんな感じでステラの巨乳を摘み、弾き、揺らし、揉みしだくシンの指。
次第に狙う箇所も胸や股間だけでなく、太ももや尻はおろか耳や首筋、背中などに広がっていった。軽くではあるもののお尻の穴まで攻めている。
そんなシンの繊細かつ大胆な指使いに段々と息が荒くなってきたステラ。愛撫の時間は短かったが、フィンガーマスターアスカの異名は伊達ではない。
現に彼女の目はとろんと惚け、力の抜けた口の端から零れる涎が銀色の絃を引いている。もう頃合かな。
「ステラ、それじゃ入れるね」
「はぁ、はぁ、はぁ。シン、でもいま朝なのに。もし外に聞こえたら……んぅっ、入ってきちゃった……あん」
「あ~気持ち良い……。大丈夫だよステラ、この部屋防音だから」
快感に耐えられないのか、尻だけ高く上げたまま必死で枕を抱きしめシンのピストンを受け止めるステラ。
最初はゆっくり抜き差ししたり腰を円を描くように動かすなど優しい動きに終始していたシンだったが、時間が経つにつれそのテンポもリズミカルなものに変わっていった。
「あ、あっ、ああっ、うぁぁっ」
「だから、大きい声出して構わないよ?」
ギアをトップへ。覆いかぶさったまま全身を密着させ、腰だけを激しく動かす。
まるで獲物を貪る獣のように激しい動き。その攻撃はセツコはおろかルナマリアすら撃沈させる最近のシンのフィニッシュホールドの一つであるため
「あっ!! ふぁん、あぁ!! はっはっはっ、んあぅぅ!! か、かんじちゃうよ~~~っっ!!! もっと、もっと突いてぇ!!!」
性交を覚えて数ヶ月の少女に、耐えられるはずも無かった。
「まだ激しくして欲しいのかステラ!? だったらもっと大きい声を出して!!」
「あーーーーっっ!!! ああーーーーっっっ!!!!」
鬼かこいつ。
昼、女子トイレの個室。
シンの目の前でトイレの便座に座り込み、頬を紅く染めて息を弾ませているのはルナマリア・ホーク。
赤服や下着はドアの服掛けに引っ掛けているので、身に着けているのはニーソックスにブーツのみというほぼ生まれたままの姿である。
2人がこんな所でこんな状況になっているのに大した理由は無い。
周囲に誰も居ない状況。他愛も無い会話の切れ間に、付き合ってるカップルの目と目が合う。
そうなれば情熱的なキスくらいは自然な流れであるわけで。しいて言うならキス1回で2人に火が点いてしまったのが誤算といえば誤算か。
サカっちゃったもんは仕方が無い。真昼間から互いの部屋に篭るわけにもいかず、またこの時間に誰も来ない部屋というのが近くに無かった為、
やむなく近くにあったトイレの個室に入ることになったのだった。2人が場所を考えるのも面倒臭くなるくらい我慢できなくなったというのもあるが。
ちなみに彼らが入ったのは女子トイレの方。このトイレに女性が来たのを見た事が無いという2人の記憶に、男子トイレだと隣で大でもされたら本気で萎えるというシンの猛プッシュもあったので
最後にはルナマリアが折れる形で女子トイレに決まったのだった。
「行こう。この中には俺たちが望む場所がある。俺にはわかるんだ」
「………ふ~~~~ん。そうやって、ごまかしますか」
「行くぜ!!!」
彼女も蜜蜂の館に入るかのように突入したシンに思うところが無かった訳ではないのだが、一緒に個室に入り抱きしめられた時点でそんな思考は吹き飛んでしまった。
恋は盲目とはよく言ったものである。
最初は何故か服を脱がされおっかなびっくりされるがままだったルナマリアだが、そのうち本当に此処には誰も来ないと理解すると覚悟を決めた。
本気になったシンと10分以上もの間休まずディープキスで舌を絡ませ合いながら、空いた手でお互いを愛撫するというナイフエッジ・デスマッチも顔負けの決闘を開始、
何これスパロボSAGAかピクルとジャックの噛み合いでも始まったんですかと言わんばかりのバトルを繰り広げた。もう本当に駄目だと思いますこのふたり。
CE随一を誇るテクニシャン2人の凄まじい攻防は長期戦になるかと思われたが、ノーガードの打ち合いは女性である分敏感な箇所が多いルナマリアが次第に劣勢となっていく。
そして最後には腰が落ちて思わず便座に座り込んだ防戦一方の彼女にシンが止めのパルマフィオキーナを秘所に炸裂させ、
絶頂と共にGN粒子散布という形で第一ラウンドが終了したのだった。
今は次のラウンドに向け、座ったまま脚を大きく開いた彼女に奉仕している真っ最中である。
「ふぁぁ、はぁ……ほんと、誰か来たらどうすんのよもう。私も私でこんな格好だしさぁ。 ……あ、そこ舌で弾いちゃダメぇ……」
「わがまま言わないの、誘ってきたのはルナが先だろ? ほら、お尻こっちに向けて」
「うん……。あ、ちょっと待ちなさい。ゴム着けてあげるから」
そう言うとルナマリアはコンドームを口に咥えたまま、手を使わずにシンのものに被せた。
基本的にいつもは生でやってる2人だったが今回ばかりは話が別である。お互いの部屋でならともかく、こんな時間にこんな場所で膣内に出されては後々ルナマリアが大変だ。
「ん、これでよし。……お手柔らかにね?」
2ラウンドめ。コンドーム越しの先端によろしくとばかりにキスをした後、壁に手を付きお尻を突き出すルナマリア。シンもそこに自分の先端をあてがった。
その途端、トロトロになった彼女の秘所にシンのものが少しずつ呑み込まれていく。
「うぁ、くっ……やっぱすごいなルナの。この瞬間って、いつもたまんない気持ちになる」
「あん。……私も」
ルナマリアを後ろから貫いたままシンは彼女の唇に向かって顔を寄せる。最初は必ずキスからというのがいつも彼女にされている要望だ。
自分の言葉がなくとも顔を近づけるシンに笑顔を返すルナマリア。
そして2人はついばむように何度かキスしたのち、どちらからともなく腰を動かし始めた。
「はぁ、はぁ、はぁ、んっ」
腰と尻がぶつかるリズミカルな音が女子トイレ内に響く。もう一度言おう、女 子 ト イ レ 内に響いている。
言っておくがシンには女性の排泄に興奮する趣味などない。むしろ興奮する者に引くくらいである。そして今もできれば誰も来て欲しくないなという思いはある。
だがそのマイナスを抱えても良いくらいに、女子トイレでエッチするという事は男を燃え上がらせる何かがあるのだ。
「は、ちょっと、シン強いってぇ。ん、音がふぅっ、響いちゃってるじゃない」
「ごめん。俺何か舞い上がってるみたいだ」
ルナマリアの咎める声に謝罪するもののシンの腰は止まらない。股間に大剣ぶら下げてる者ならば、この状況で舞い上がらないわけがないのだ。
視線の先には色っぽいうなじと波打つ尻肉。鼻をつくのは女の子特有の甘い匂い。お互いの下腹部がパコパコと音をたて、コツコツと鳴る軍靴の音と混ざって心地よいリズムを―――
コツコツ?
(ね、ねえ!! 誰か入って来たわよ!!)
(マジでか)
ルナマリアの抑えた声に思わず腰の動きを止めるシン、それと同時に誰かがトイレに入ってきた。文字通り間一髪である。
バレるかもしれないという思いから頭からは熱が引いた。それは良いのだが、彼女と触れ合っている下半身だけはそうもいかずに熱く滾ったままだ。
自慢のアロンダイトは当然の如く脳 (理性) に向かって突入を要請してきている。室井さん聞こえるか。事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ。
そんなん言うな青島 (本能) 、頼むから耐えてくれマジで。室井さん(理性) だって眉間に皺寄せて耐えてるじゃないか。
ああでもそんなに我慢できそうも無いなこれは。いつもの自分ならとっくの昔に誘惑に負けて腰を動かしているところである。もし動かしたとしても、ルナも文句を言いつつ応えてくれるだろうし。
しかしこの状況でそれはやばい。絶賛接続中の現状に加え、隣にはほぼ全裸のルナマリアがいるこの状況は。
女子トイレでそれは考えにくいが、音が聞かれて上から覗き込まれたりでもすれば速攻アウトなのだから。
(は、早く出ていって……)
お尻を突き出したままの姿勢で使用者が去るのを待つルナマリア。緊張と焦りから下半身に力が入ってしまい、些細な物音を聞くたび断続的にシンのものを締め付ける力が強くなる。
シンにとっては目の前のプリプリした美尻と腰のくびれの光景も合わせて拷問に等しい。締め付けられるたびに思わずビクリと反応してしまう。
抜けばいいじゃんと思う者もいるかもしれないが、人間は快楽から逃げることって難しいのだ。
ルナマリアも当初は声が出ないよう右手で口を押さえていたが、そのうち片手で体を支えることが難しくなったのだろう。
(シン、動かさないで。何だかわかんないけど、外の人トイレに入らないのよ)
腰が知らず知らずのうちに動くシンを注意した後、貯水タンクを持つ手を両手にして未使用コンドームの袋を口に咥え思い切り噛み締めた。
(そんな事言ったって……)
化粧でも直してるというのか。なんでこんな時に。
すんませんマジで限界です。まだかルナ、 「もう、頑張るの、やめよ?」 はまだか。
もう焦らすとかバレそうなドキドキがスパイスとか言ってる場合じゃない。体の全細胞がGOと叫んでいるような感覚。
欲望を抑え続けていた理性も段々と弱まっていき、次第に頭の中がルナマリア一色に―――
青島、確保だ!!
(了解!! ってやべ)
(ひゃう!? ちょ、何してるのよ!! 少しは状況を考えなさいよね!!)
どこからか聞こえた頼りがいのある声 (幻聴) に、つい腰が反応してしまった。腰の方も一度動くともう止められない。
突かれた衝撃で猿轡代わりのコンドームが床に落としてしまったため再び口に手を当て必死で声を耐えるルナマリアを他所に、シンのアロンダイトはルナマリアの膣内を抉っていく。
ペースは程々に抑えてはいるが、水音やぶつかる音も完全に消えているわけではない。外の人間に聞こえてないと良いのだが。
(んっ、んっ、んってばかぁ、乳首はだめだってコリコリはしなくていいから。声がでちゃうでしょ……!?)
(ルナ、ルナぁ……)
(そ、その目は卑怯よ!! ……もう、しょうがないなぁ。音立てずにゆっくりして……キスで口塞いでる間だけなら、なんとか。ん……)
(ん……)
ゆっくりと、本当にゆっくりと腰を動かしながらキスを交わす事で口を塞ぐ2人。
そのうちお互い鼻息を荒くしてはいけないし唾もすすれないという制限がうっとおしくなり、せめてキスぐらいは愛情の篭った深いものに移行しようと密着具合を増したそのとき、
「え~と、その……。お前たち、楽しんでいるところ悪いが」
「「――――――!!!!」」
思わず腰を止め驚愕する2人。だってこれって、この声って。
(うそ、ハマーンさんだったの!?)
(なんでよりにもよってこの人なんだよ!! ……ぐっ、また)
ここでまさかのハマーン・カーン乱入。キツい物言いと厳格な雰囲気のせいもあって、カミーユやエイジなどハーレムを持った男たちが一番苦手意識を (勝手に) 抱えている女性である。
思わず自分の運の無さに絶望したシンだったが、すぐに思い直す。確かにニュータイプ能力でトイレの中にいるのが自分たちだとバレているかもしれない。
しかしまだ彼女は自分たちの名前を呼んだわけではない。出て来いとも言われていない。
つまりこれはこのまま彼女が出て行くまで待てば、何も見なかったという扱いにしてくれるのだろう。たぶん。
(うわ、締め付け、凄いな……)
だがここで問題が一つ。場所は下半身の接続部分。
今まではウォーミングアップ、ここからが10べぇだと言わんばかりにキュンキュン締め付けてくるルナマリアの媚肉に、シンは声を抑えるのが精一杯だ。
これはいつ吐き出してもおかしくない。今回ばかりは流石の室井さんも命令など出さず、キリタンポでもつついて時が来るのを待つ策を取るだろう。
待て、キリタンポか……。ルナに俺のキリタンポを思う存分頬張って貰うという案も……雑念禁止!! クールだ、クールになるんだシン。
「別に、私はお前たちの邪魔をする気はない。そちらの事情もあるだろうし……」
体を震わせる2人を他所にハマーンの言葉は続く。すんません、ルナは二の腕に鳥肌びっしり立ってるんで早くしてやってください。
「一応入り口には清掃中の看板を置いておくが……その……」
ごくりと唾を飲み込む2人。前振りが長いけど、何を言うつもりなんだろう?
「避妊は、しっかり行うように……」
言われんでもやっとるわ。GOサイン出すくらいなら早く出て行って欲しかった。離れていく気配と軍靴の音。
溜息と同時にルナマリアの肩ががくりと落ちた。傍から見ても彼女の体力とそれ以外の何かが抜けていくのを見て取れる。おつかれさま。
「ふはぁっ。もしかしなくても、あの様子じゃバレてるわよね……んんぅっっ!!!」
「バレててもバレてなくても、あの人はきっと誰にも言ったりしないだろ。それより俺たちが今気にするのはそんな事じゃないんじゃないか?
俺はもう我慢できない。……ルナだって、こんなに!!」
もう2人を縛る枷は無くなった。快楽の赴くまま激しく彼女の中に突き込むシン。
ダムによって堰き止められた水は、ダムが決壊すれば貯めていた分勢い良く下流に流れていく。それと同じ事である。
「つ、続きは良いけど激し過ぎよ!! 音が……外に……!!」
「そんな事言ったって、今のルナ、締め付けがハンパじゃないじゃないか。もう観念して、素直に俺を感じて」
「もう、十分に、素直に、なってるってばぁ!!」
シンとのSEXはいつもこんなのばっかりだ。ロマンチックなのは良くて最初の数分ぐらい。そのうちお互い凄く動きが激しくなって、意識がドロドロに溶け合って、
気がつけばヘロヘロになった2人が抱き合ったままベッドに転がっている。そんでシンの腕の中で就寝。
合間合間のインターバルに短い時間いちゃつくくらいで、自分が好きなビロートークにもつれ込んだ事なんてほとんどない。
それが嫌だと言う気は無いが、そのあたりはどうにかならないものだろうか。全部いつも私を貪ってくるシンのせいだ。たまには私に主導権を握らせてくれてもいいのに。そしたらもっと甘いひとときにするのに。
まあ、そんな男から離れられない私も私だけど。
「このバカ覚えてなさい!? いつか必ず第2第3の刺客が現れて、あんたを、シンをヒイヒイ言わせてやるんだから!!」
「後のことはどうでもいい。今はルナを抱き続けたい」
「はぁ、あん!! こんな、こんな時の言葉なんて、私は絶対に信じてやんないんだから……!!!」
「信じてくれなくてもいいよ。でも、今だけでもいいから、愛してるって言って……」
「!!! …………あ、あいして――――」
「こほん」
がつん。びくびくっ。
「なっ!? ぐぅぅぅっっっ!!!」
「る、あ゛ぁぁっっっ………!!!」
びっくりしたシンによるこれまでに無い強烈な一撃が不意打ち気味にルナマリアの最奥に命中し、彼女の目に火花が走る。
膣内に感じるのはゴム越しの射精と痙攣するお互いの腰の振動。2人とも予期せぬタイミングで絶頂に達してしまった。
急激な快楽に頭がショートし、彼女は息もできぬまま口をぱくぱくとさせている。
「戻る気は無かったのだが、お前たちの声が外にまで響いてるから。その……ほどほどにな」
そう言うと再びハマーンは女子トイレから去っていく。いま遠ざかってますよと言わんばかりにわざとらしく鳴らされた軍靴の音が、段々と小さくなっていった。
今度こそ戻ってくることは無いだろう。
「く、はぁっ!? ………はぁっ、はぁっ!!」
ルナマリアを後ろから貫いたままシンは座席につく。座った衝撃で再びずんと突き上がる肉棒。その刺激によってようやくルナは呼吸をすることができた。
そのまま前に向き直り、彼女はシンに必死に抱きつく。そうでもしないと体を起こしていられないらしい。
押し付けられた胸から感じる躍動は、破裂するんじゃないかと思うほどだ。
「だ、大丈夫か? ルナ?」
「はぁ、はぁ、ちょっと今は、大丈夫じゃないかも。もうちょっとだけ抱きしめてて……」
断る理由は無い。シンは彼女の崩れそうな体をしっかりと抱き締め、その滑らかな髪を撫でながら支える。
彼女がようやく余裕を取り戻したのは5分ほど経ってからだった。
「あ~あ、やっちゃった。シンが私の名前呼んだの、聞かれちゃったわよね」
「ルナも俺を呼んでたぞ」
言い訳はもうできそうも無いが、ハマーンは近くアクシズに戻る予定だった筈だ。ゴシップをぺらぺらと話すような性格でもないし、おそらくは大丈夫だろう。
そんな感じのことを口にしたのだが、ルナマリアは微妙な表情だ。まあそれも無理はない。
男ならその手のゴシップは人によっては武勇伝になることもあるが、女の子だとはしたない女扱いされ好感度ダウンという悪いことにしかならないのだ。
「もし今日のこと言いふらされたら、流石にもう他へはお嫁に行けなくなっちゃうなぁ。………その時は覚悟を決めといてね。
それよりもさ、これからどうしよう? 個人的には終わりが唐突過ぎて、ちょっと納得いかないんだけど」
「もう1回したいのか? 俺はまあ、できると言えばできるけど」
出すもの出して賢者タイムに入ったシンとは裏腹に、ルナマリアは再戦を申し込んできた。
断る理由は特に無い。ルナマリアの体は火照ったままだしシンの下半身は萎えることなく接続されたままなので、どちらかが動き出せばすぐにでも始める事ができる。
そして彼女はシンの曖昧な回答を是としたのか、彼に口付けた後激しく腰を動かし始めた。
「凄い腰使い、サンバみたいだ。エロいなぁ……」
「ふっ、ふっ、ふっ、あぁやっぱりだめ、これ以上続けたら声が出ちゃう!!!」
「もういいよ、そのまま好きなだけ動かしても。俺にルナの可愛い声、もっと聞かせて……」
再び外にまで響く嬌声。
誰にも聞かれなかったのは、奇跡と言っていいかもしれない。
夜、自分の部屋。
部屋に入った瞬間あまりにも想像の範疇を超えた光景を目にし、シンは言葉も無く立ち尽くす。
彼の目の前には、よく体育の授業などで使われているような白いマットが敷かれていた。そしてマットの耳を下に押し込んでいたのは
「ア、アスカ君。ちょっとマット運動の練習に付き合って欲しいんだけど、良いかな?」
「………そりゃオハラ先輩の頼みなら喜んで付き合いますけど」
待ち受けていたのはブルマ姿のセツコ、今から行われるのは夜の器械体操か。しかしアスカ君て。
まあTMA並みのこの小芝居はともかく、この流れから言って考えられるシチュエーションは一つ。
清楚な雰囲気をもっているけど体育は苦手な仲の良い先輩の為に、体を密着させたストレッチやら体当たりでのコーチングを行って欲しいということか。
速攻で状況を把握し、即答で彼女の最も欲している返答を返すシン。 「オハラ先輩、かぁ。……悪くないかも」 という彼女の嬉しそうな呟きは聞こえない振りをしておいた。
「なんでそんな格好してるんです?」
「えっとね。このあいだはシン君に悪い事しちゃったから、他の人に意見を聞いてみたんだけど」
セツコの発言の 「他の人に意見を聞いた」 という部分で、シンの眉間に僅かに皺ができる。思い出すのは似たようなことがあった過去の記憶。
前回もミヅキさんに相談したって言ってたんだけど。あの時はひどい目にあった。まあやることはしっかりやったんだけどね。
いや、今気にするべきは入れ知恵したのが誰かということである。
「ちなみに誰に相談したんですか?」
「最初はルナマリアだったんだけど、途中からフラガ一佐とラミアス艦長も混ざってきて」
「最終的にはネオ、じゃなかったフラガ一佐の意見が採用された、と」
「はい………」
流石はムウ・ラ・フラガ。
仲間内での猥談の折、「ブルマなんて2流だね。スパッツこそが王道だろ」 と童貞の癖にそう偉そうにほざいたベローをフルボッコにして女子トイレの前で 「ブルマ最高」 と叫ばせただけの事はある。
あの野郎味な真似を。感慨深く天井を見上げるシン。そこにはムウが 「ナイスブルマ」 と言いながらサムズアップする姿が見えた。
次に会った時、ヤツには一言言っておかなければなるまい。そう……サンキュー、と。
「多分本気で私たちの相談に乗ってくれたわけじゃないと思うんだけどね。
ラミアス艦長が小さい声で 『私もブルマでも穿いた方が良いのかしら』 って呟いた瞬間 『 計 画 通 り 』 みたいな顔してたし」
悟りにチャレンジする暇があるならブルマにチャレンジ、まあそういうヤツだったよな。
三十路前の女性に敢えてギリギリな格好をさせる。『エンディミオンの鷹』 の異名は伊達ではないということか。
「最初聞いたとき、私はどうかと思ったの。でもシン君は必ず喜ぶってフラガ一佐は力強く言ってくれたから着てみたんだけど」
自分の体を抱き締めながら横を向くセツコ。お腹の前で交差される両腕のせいで、彼女の双丘が僅かに持ち上がる。
狙っててやってるのだろうか。
「でも似合わないよね、こんなの。私もう成人なのに」
いや、似合う似合わないで言えば間違いなく似合っている。
さらりと流れる長髪に、体操服よはちきれろと言わんばかりに前方に突き出された胸。ブラの形がほんのりとわかる。
ブルマの中に服を入れていないためブルマの紺の部分が本来の五角形ではなく逆三角形に近い形をつくり、そこから艶かしい生脚が覗く。足元には白の靴下。
はっきり言って完璧である。好みの差はあるだろうが、彼女を凌ぐ美貌を持った女性はそうはいないだろう。
また安易に 「3ねん1くみ せつこ」 とかゼッケンを着けず、素直にその魅力的な肢体を体操服で包んだ点は非常にシンのツボだった。
「だいたいこの格好、すぐに食い込んじゃうし……」
そう言ってわざわざこちらにお尻を向けながら、ブルマの食い込みを直すセツコ。シンは彼女の魅力的なヒップ (with ブルマ) に貪りつきたくなる衝動を必死に抑えた。
もしかして本当に狙ってやってるのだろうか。だめだこいつ……はやくなんとかしないと (性的な意味で) 。
「そんなことないですよ、似合ってますし。……すごく可愛い」
「ほ、ほんとう? お世辞とかフォローじゃなくて?」
「ええ」
嬉しそうにシンに視線を戻すセツコの腰に腕を回し抱き寄せる。彼女もシンに笑顔を見せ、胸を押し付けてきた。
お互いの疑問も解決したことだし、あとはもうすることは一つしかない。
彼女の耳元に顔を寄せ、意地悪な質問をしてみた。
「ちなみにその “アスカ君” に、何の練習を手伝ってもらうつもりだったんですか?」
「え? え~と、その…………で」
で?
「…………でんぐり返り」
「………何……だと?」
あかん。
これはあかん。
これは本気であかん。
「裏コード……!!」
セツコが発したブロックワードに思わず最強形態になりかけるシン。だが待て自分、襲い掛かるのはいつでもできるだろう。
ここは先輩の練習に付き合って、彼女を1人前のでんぐり返りマイスターに導くべきなのである。
「じゃあ、さっそくですけどここででんぐり返りをやってみてくだちい」
「だ、大丈夫? 目がちょっと怖いんだけど」
語尾がガンツっぽくなっているのはさておき、彼の真紅の瞳が星くんばりに燃え上がる様にセツコは思わず腰を引く。
ヤる気になってくれたのは嬉しいが、本当に自分はこんなテンションのシンを求めていたのだろうか。
「オハラ先輩とブルマ。ひとつひとつは小さな “火” だが、二人合わせて “炎” になる。炎となったブルマセツコは、無敵だ!!」
「な、何言ってるかわかんないよぉ!!」
「わかんなくてもやるのだ」
鬼コーチと化したシンに動揺するものの、とにもかくにも前転をしてみるセツコ。
彼女とて軍人なので本来ならばそんなものは朝飯前だがそこはそれ、現在必要なのはシンのバスターマシンに火を灯すほどのシチュエーションである。
ごろりと勢いも無く転がり、わざとらしく見えない程度に尻餅。両足でハの字を作りながら 「あ~ん、やっぱりダメだぁ」 とドジで無防備な先輩を演出しようとして
「てい」
両膝の裏側を掴んだシンによって、再び後ろに押し倒された。
「え、ちょっと」
「ほらオハラ先輩、でんぐり返りはここから勢いをつけて起き上がらないと。苦手意識でやる気が出ないって言うなら、罰としてここしゃぶっちゃいますよ?」
「ひゃあ!! そ、そんなに近くで見ないで!! 大体起き上がれって言われてもアスカ君が押さえ込んでるから、無理だよ」
まんぐり返しの状況で押さえ込んでおきながらセツコに対して起き上がれという無茶な注文を出すシン。その目はいたずらっ子のそれである。
何度か本気で起き上がろうと頑張ったセツコだったが、起き上がろうとするたびに体を寄せたシンがブルマ越しに顎や口を擦り付けてくるものだからそれどころではなく、
最終的に彼女は赤く染まった顔を両手で隠して降参の意を表したのだった。吐息もほんのり艶が出てきている。
「ほんとに起き上がれないんだ。まあ準備運動もなしにいきなりってのも何だから、やっぱり下半身のストレッチが必要かな。
オハラ先輩、ちょっと体が熱くなるかもしれませんけど、良いですか?」
「下半身のストレッチをアスカ君と……じゃ、じゃあお手本見せてもらうこともあるかもしれないから、アスカ君も私と一緒にストレッチをしよう?」
「一緒にですか? まあいいですけど。それじゃ俺が寝転びますから先輩は上になって」
「はい。んしょっと」
両脚を開放しマットに横たわるシン。何をするかは口に出さず、ただ彼女の顔を見つめる。
その意図を察知したセツコは顔を赤らめたままシンに近づき、ズボンのベルトに手をかけた。同時にシンの顔を跨いで顔面騎乗の様に腰を降ろす。
「んむぅ!?」
「んっ……あ、出てきた。ちゅっ、ちゅる」
自分の股間をブルマごとクンニしろオラァとばかりにシンの顔に押し付けるセツコ。この体勢はシックスナイン。
男性からすれば気持ちいい思いをしつつ女性の恥部を観察・悪戯しつつ恥ずかしがる様を堪能するという夢のようなカタチではあるが、裏を返せば恥ずかしがりやな女性には結構抵抗のある体位である。
花も恥らうスパロボの清純系代表セツコにそんなことをさせるシンは流石ドS星から来た王子と呼ばれるだけの事はあると本来なら感心するところなのだろうが、
現在のセツコにとっては 「シックスナインの態勢が恥ずかしすぎて動けない……そんなふうに考えていた時期が私にもありました」 と使い古されたネタを披露するくらい余裕があった。
わかりやすく言うと慣れた。
ベルトを外しチャックを開け、力の入ったアロンダイトを抵抗無く舌先でつつく。びくつくシンの腰。
そうやってしばらく彼の反応を楽しんでいたセツコだったが、そのうち本格的に奉仕するべくシンのものを口に咥えた。
口いっぱいに頬張りながら垂れる髪を掻き揚げる姿はいつもの彼女とのギャップが大きすぎて凄くエロい。
「はむ、んっ」
「くむっ、ぷはっ。はぁ」
押し付けられた下腹部を押し返し、呼吸をするスペースを作るシン。下では戦闘が始まっている。こちらも早く攻勢に出ねば。
爪の背でブルマの中央を縦になぞる。ほんのりと湿った真ん中、突起物があるであろうポイントを軽く叩いた。
「はふっ!! ……うむぅ、ふむ、んんぅ!!」
口撃が激しさを増した。我慢するよりも攻めた方が主導権を維持できるという判断か。流石に彼女もシンと数多くの戦いを繰り広げてきたため、どうすれば良いか分かってきている。
彼女が望むはノーガードの打ち合い。お互いの口と手のみによる対等な一騎打ちというわけか。
よろしい、ならば戦争だ。
ブルマを横にずらしシンはセツコの女性器に顔を近づけた。自由の女神ならぬ月の女神 (ルナマリア) をも沈めた、俺の舌によるスペックばりの無呼吸連打を見せてやる。
「ん、ん、う゛ぅっ!? んんんーーーっ!! んはっ、す、すごい……」
あっという間に攻守交替、いや一方的な展開になった。セツコは攻撃することもままならずに上に跨ったまま動きを止めている。
反応したときに掴んだままの手がびくりと動いたり、たまに感じた吐息や柔らかい頬が当たったりしてこれはこれで悪くない。
だけど、やっぱりこの体勢を取る以上彼女の愛撫も受けたい。
「先輩?」
「う、うん」
彼女もその事に気付いていたらしく、シンが催促すると再び口で咥えてくれた。
しかしいくらレベルを上げたとはいえ遠距離狙撃が専門で技量養成していないセツコでは、夜のPPを稼ぎまくっている再攻撃マイスターのシンに及ぶべくも無い。
必死に応戦していたもののすぐさま劣勢となり、今では散発的に舌先で舐めるといった形ばかりの抵抗しかできなくなった。
格付けは終了。あとは強者が弱者に止めを刺すだけである。腰が段々引き気味になってきたセツコの尻を鷲掴みにして止めながら、ラストスパートに入るシン。
「だめ、イク、もう我慢でき、―――――え?」
あと数秒で達する寸前だったセツコの下半身から、シンは舌と手を離す。
「なんで、なんでやめちゃうのシン君……んちゅ」
息を荒げてシンのを握ったまま、責める様な声を上げるセツコ。続きを求めて先端から染み出た雫をキスで吸い取る。呼び方もいつのまにかシン君に戻っていた。
この局面でお預けをするのか、もしかしてここからはおねだりが必要なのか。発情した彼女の目がそう抗議している。
シンのアロンダイト攻略のため、彼に真っ向勝負を挑むセツコ。だがそれはシンの罠だった。
別にシンとてそんなセツコハードをしたいわけではない。だいたい寸止め地獄とかノロノロビームなんてアイデアが常人の枠から飛びすぎてついていけないし。
起き上がるシン。セツコは上に乗っていた体を素直にどかす。一旦間を置いたおかげで今後の流れがわかった模様。
さっきまで自分が咥えていたものは、今では滾りすぎて凶悪なほどである。ならば次は――――
「セツコさん、今夜はさ」
「は、はい」
想像でもしているのか顔をまた赤らめたセツコを背後から優しく抱きしめる。首筋に顔を寄せると彼女の身体中からフェロモンが発散されたのが見えたような気がした。
服の上から胸を揉みしだきつつ彼女に話しかけると、自分に背中を預けながらセツコは振り返る。
そして突き出されたシンの舌を優しく口に含み、うっとりと味わうように自分の舌を絡ませた。そして触れ合う唇と唇。
そういえば今日のキスはこれが最初だった。その事を思い出し予定時間を30秒延長。離れた舌と舌が唾液の橋を架ける。
そしてようやく言葉の続きを吐いた。
「ちょっと今夜は激しくなるかもしれないので、ご容赦の程を」
「うわぁ、シン君本気の目だぁ。ぜったいちょっとじゃないんだろうなぁ……。あ、でも作戦的には良かったのかな」
「作戦?」
なんだそれ。まあ良い、今はそんなことを気にしている場合ではない。てかできない。
もうこれ以上のおあずけは不可能だ。
「ところでオハラ先輩。このストレッチで身体をほぐすにあたり、一つ大事な提案があるんですが」
「ん……なに? アスカ君……」
呼び方を最初の学生プレイに戻す2人。1回目のメインディッシュを頂くにあたり、シンには1つ譲れない点があったのだ。
シンは彼女の瞳を真っ直ぐに見つめ、言った。
「ブルマは脱ぐな」
「………は、はぁ」
戸惑った表情のままマットに両手をつき、お尻を高く上げるセツコ。彼女自慢の美脚を大きく開いての正常位も捨てがたいが、今日の彼女はお尻が最も映えて見えるブルマ装備である。
持ち味をいかせと地上最強の生物も言ってたことだし、とりあえず1発目はこの魅力的なお尻を眺めながらバックといくべきだ……おや?
これは……ブルマから僅かにはみ出しているこれは!!
「ストラァァァァイプ!!!!!」
とりあえず野球のアンパイアのような感じで叫んでみた。視線の先、ブルマの下にあるのは水色と白の縞々。
侮りがたきはセツコ・オハラ。こんなタイミングで伏兵を出現させるとは。
「ど、どうしたのアスカ君?」
「どうしたもこうしたも」
今夜は3回ほど頑張ろうと(ブルマ2、全裸1)思っていたのだが、ここにきて縞パン+白靴下という黄金コンビが参戦してしまった。
今日だけでもステラとルナ相手に3発は抜いているので明日の体調も考えると正直3回でも多いくらいだ。抑えられるものなら抑えた方が良いのは自明の理である。
しかしこの機を逃すのは余りに惜しい。こう、予期せぬ嬉しい出来事に感じたときめきの様なものを自分は大事にしたいし。
ちなみにブルマでのエッチを1回にするという選択肢は無かった。シンの中では体操服ブルマ=2 (完全装備と脱げかけ) という公式が既に確立されているのだ。
全裸をカットも却下。ブルマという装飾品を纏った彼女の姿は魅力的だが、彼女の白い素肌はそれ以上の芸術品と言っても過言ではないのだから。最低でも1回は確保せねば。
(どうする……)
ざわ…… ざわ……
ざわめきと共に歪み始めるシンの視界。そして脳裏に罠を目の前にした狸の絵が浮かぶ。
ここより先に踏み込めば、明日の腰は間違いなく地獄……ッッ!! ああ、しかしエサは美味そうだ!!
いや待て、自分の独断で回数を決めるのは良くない。もしかしたら彼女が 「4回なんて無理、3回にして」 と言うかもしれないじゃないか。
「ごめん先輩。今日はもしかしたら……もしかしたらですけど、4回ぐらいするかもしれないんですけど」
「あ、はい。お願いします。練習に付き合ってくれたお礼もあるし、最悪今夜は眠れなくてもおーけーですから」
肯定されちゃった。しかも即答。お礼と言われてもまだストレッチの最中なのに、もう彼女の中では練習は終わったらしい。
おまけに 「今夜は眠れなくてもおーけー」ってことは 「今夜は眠らせないで」 と言ってる様なもんじゃないか。
しまったなこれは。自分で墓穴を掘ってしまった。口に出してしまった以上このままじゃもし3回で終わらせた場合、 「4回なんて威勢のいい事言った割には口だけか」 という事になってしまう。
それだけは避けたい。彼女の前でそんな様は見せたくないし見せてはならない。
夜のお勤めをしっかり果たすのは、彼氏の譲れない義務なのだから。
ああ、畜生。なら……
それなら!!
それなら増やすしかないじゃないか!!
元上司のような結論を出して、シンは彼女の入り口に己の長剣をあてがう。先程イキそびれた秘所は誘うかのようにピクピクと動き、侵入者を待っている。
彼女の入り口に先端が触れた瞬間にはもう、先ほどまでの様な心配は無くなっていた。何回かヤったとしても、この人の身体に触れて勃たないなんてことはないだろう。
だったらあとはただ、心と身体の赴くままに貪れば良いだけで。
「じゃあ、行きますよ」
「うん。でも、男の子の趣味ってわかんないなぁ……あ、はいってきた…ふぁ、あぁぁぁぁぁぁんっっ!!!」
肉を叩きつける音とはじけるように波打つセツコの綺麗なヒップ。彼女の疑問の声はやがて、彼女自身の嬌声によって掻き消えていった。
2人の熱い夜は、まだまだこれからである。
結論から言うと、その夜2人はしっかり4回やった。
次の日の朝。
シンはなんかベッドがギシギシ言ってる音で目が覚めた。目の前にはぶるんぶるん揺れてる美巨乳とピンク色の突起。
5円玉の代わりの新しい催眠術かなと寝惚けた頭で考えるシンだったが、下半身に感じる心地良い柔肉にようやく意識が覚醒する。
「んっ……んっ、ふぅ、はっ、くぅぅ……あん、起きたんだ、シン、くんっ」
「……セツコさん、何してるんですか?」
ミサイルの持ち主は自分の腰にまたがり、円を描くように揺さぶっていた。声を出さぬよう口元を手で覆っていたが、シンが起きてからはそれを止めて普通に嬌声を上げ始める。
「ちょ、ちょっとシン君のを……お借りして、ます……」
「いやまあ、それは見れば」
分かりますけどとまでは言葉にできなかった。腰の動きを円から上下のピストンに変化するセツコ。
「朝なのに、元気が、なかったから。ふぅん、ちょっとだけ、あっ!! ……シン君の、弄ったら、一気に硬くなっちゃって。
それで、あっ凄いっ、はぁ、たまんなく、ん、たまん、あぁぁっっ!! シン君、たまんないっ!!」
昨夜の葛藤を意味の無いものにされたシンは、非難も迎撃もせずにただ現状を受け入れる。
なんなんだろう、最近の俺のまわりは。まるで媚薬でも飲まされたかのように恋人たちが群がってくるんだが。しかもおねだりの回数も多いし。
それは目の前のセツコだけではなく、他の2人にも言える事だった。確かに最近は (と言っても1週間だが) ご無沙汰だった時期があったが、それにしてもちょっと度が過ぎている。
「ふっ!!」
「ああんっ!! イク、もうイク、イキますっ!! ふ、んんぅーーーーっっ!!!」
つい一週間前まではこんなに飢えてはいなかったよなぁ。頭の隅で記憶をさぐりつつ、シンは下りてくる彼女の腰にタイミングを合わせて突き上げた。
ぐったりして自分の胸に倒れこんだセツコの膣内に精を吐き出しながら、シンは考えにふける。
何があったんだ、彼女たちに。
「重たい……」
カキフライ。鰻の蒲焼。ニンニクのホイル焼き。ニラと豚肉の炒め物。レバ刺し。オクラの和え物。
これ食い続けたら成人病にでもなるんじゃないかと言わんばかりの濃い料理ばかりを口に運びながら、シンは溜息を吐く。もう舌が限界です。
「けどこんなものでも食べなきゃ」
はっきり言って身体がもたない。
昨日は3人合わせて7回。一昨日は4回。その前2日間は5回ずつ。それ以前も似たようなもん。そして今日も既に1回終了済み。となると今夜は3~4回か……うん、余裕で死ねる。
最近の彼女たちは腎虚による殺害でも目論んでいるのではと思うくらいに貪欲なのであった。
正直何でこうなってるのかはわからない。
真っ先に考え付いたのが自分の技術不足による欲求不満だったが、身体を重ねた夜はいつも3人とも満足そうにしているのでそれは無さそうだ。
だとすると彼女たちの方が快楽に慣れて今までのでは物足りなくなってしまい、常人よりも性に乱れる性格になってしまったということが考えられた。ストレートに言うと淫乱になったということだが。
そりゃあ自分だって男だ。美女3人が自分のことを想ってくれてしかも夜を共にしたいと言ってくれるのだから、嬉しくないと言えば嘘になるし、
3人とも他の男に渡したくない、俺だけのものにしたいと強く思ってしまうのも否定しない。
彼女たちのお誘いの声に甘えて貪ってしまうのも、自分にとっては仕方ないことに思えた。
だけど、本当にそれで良かったのだろうか。
セツコは戦争孤児、ステラは幼少より組織に人間扱いされていなかったという生い立ちに戦いの中で酷い目にあった境遇もあって、誰かが傍にいることや人の体温に飢えている節があった。
ルナだって気丈な性格だと思われているが、本質はそこまで強い子ではない。自分と距離を縮めたのもアスランとメイリンが脱走してからの悲しみの果てである。
つまり3人は悪い男に引っかかる心の隙間を持っていた事になる。
俺はそんな彼女たちの弱みに付け込み自分の欲望に流された結果、綺麗だったものを取り返しがつかなくなるほど汚してしまったんじゃないだろうか。
勿論彼女たちとの行為は全てお互いの同意の上であり、嫌がるのを無理矢理なんてやったことは無い。
だけど。俺が自身をコントロールできていれば、こんな事にはならなかったと思うのだ。
「やっぱり、俺は彼女たちに相応しくないのかなぁ……」
溜息の理由、要約するとそれである。
恋をして綺麗になったという言葉もあるように、男性と付き合うと言うことは女性を美しくする要因の一つらしい。
だが自分はベッドテクニックこそ多少自信はついたものの、彼女たちを輝かせる男であるとは思えないのだ。
付き合ってから今日までやってた事といえば、サルの様にサカってたか彼女たちに甘えていたかのどちらかだったし。
「はあ………」
別れるなんて考えることすらできない。彼女たちがどう変わろうとも、自分はそれを受け入れるだろう。
けれど、自分のせいで彼女たちが、彼女たちらしい美しさを失うようなことにもなって欲しくないのだ。
料理を食べる手を止め、力無く溜息を零すシン。
「どうしたんだよシン、元気ねえぞ」
「そうですよ。いつもの君らしくもない」
「何かあったのか?」
話しかけてきたのは自分の親友たち、エイジとロランとカミーユ。心配そうに自分の顔を覗いてくる。
その気持ちは素直に嬉しいが、この悩みはちょっと他人に言えるようなことでもない。とりあえず曖昧に濁しておく。
「んー? ちょっとプライベートでやばいことになってるかもしれないってだけ」
「やばい? ……ははぁ、さてはついに他の子に手を出し始めたんだな? でも言っておくけど、今更焦ってももう俺には追いつけないぞ」
「カミーユ、お前と一緒にすんなや」
こいつは本当に1回くらい殴った方が良いかもしれない。
思わず菩薩の拳を握ったシンを制しながら、ロランが話を続ける。
「やばいって、例えて言うとどれくらいですか?」
「キラさんがボスボロットに乗らざるを得ないくらい」
「詰んでるじゃねーか」
「どの平行世界にもそんな光景はあり得ませんね」
呆れる2人。
確かにキラさんなら例え世界が滅んでもボスボロットには乗らないだろうし、彼女たちに応えるがままってのは対処法が無いということなわけだから、詰んでるという指摘も否定できない。
相談に乗るから言ってみろというわりとマジな3人の視線に思わず口を開きかけたものの、やはり親友とはいえ話すことではないと口に出すことはしなかった。
俺はカミーユみたいに自分の下半身事情を言いふらすなんてできない。ほんとに。
「なんだ、言わないのか。まあお前がやばいって言うことだから、どうせ3人のことだろ?」
「でも様子を見る限り向こうにそんな素振りは無さそうですけどね。ほら、丁度今入ってきましたけど機嫌良さそうですよ?」
ロランの指した方にはステラを中心にくっついたルナマリアとセツコの姿。フォウやフェイと共に談笑しながら食事を取りに向かっている。
確かに3人は仲間との交流をエンジョイしているようで、そこからはいつもの肉食獣っぷりは全然垣間見えない。
………つかこうしてあの3人を客観的に見たら、スペックがほんとに半端ないな。ナイスバディ、性格良し、仕事も出来る。
この中の誰か1人でも捕まえることが出来たらめちゃくちゃ自慢できるくらいの良い女なのに、なんで俺1対3で付き合えてるんだろ。
「それにしてもシン、やっぱお前羨ましいよ。3人ともマジで美人だもん。しかも毎日やることやってるんだろ?」
「最近あの3人、腰周りが凄く色っぽくなったからな」
「そらそうよ」
わしが育てた。
と言っても正直この2人には言われたくない。カミーユは言わずもがな、エイジだってサンジェルマン城からZEUTHに派遣されている可愛いメイドたち相手に毎晩ハッスルしてるわけだし。
まあこの中で言っても良いのはロランくらい……あれ、どったのロラン? なんかダルそうな顔してるけど。あ、ディアナ様がこっちに近づいてきた。
「皆さん、ご苦労様です。お楽しみのところ悪いのですが、少しロランと話をさせて貰ってもよろしいですか? すぐに終わりますので」
「別に大した話はしてないですから、こちらは構わないですよディアナ様。なんなら俺たちは少し席を外しましょうか」
「いえ、本当にすぐ終わりますのでどうぞそのままに。
――――ロラン、また今夜もお願いしてよろしいですか? キエルさんもいらっしゃいますので、前回と同じようにして欲しいのですが」
「……わかりました、ディアナ様。後ほどお部屋に伺います」
「よしなに」
「「「…………」」」
当たり障りのない会話をする2人。他の人間ならディアナとキエルの夜のお茶会の準備とか、良くてマッサージとかを想像するところだろう。
だがこの場に居合わせた3人はZEUTHきっての強者揃いである。去り際にディアナが見せた0コンマゼロ1秒の流し目に淫靡さを嗅ぎ取った。
そしてそこから考えられる会話の真の意味も即座に推理。2秒後に
「できるな」
と呟いたのはシンであり、
「食わせ者だ。用心用心」
とエイジは零し、カミーユに到っては
「ロラン、俺たちと同類になったな。匂いで分かる」
とまで言い切っていた。
ロランとて鈍感ではない。3人が真実に辿り着いたのを即座に感じ取り、何とか誤魔化そうとして――――即座に諦めた。無理。絶対逃げ切れない。
それにカミーユとは違って、彼はノリノリでこんな命令を受けているわけではないのだ。正直そんなことに意識をまわす余裕が無かった。
「今夜もか……ハァ。少しぐらい控えていただいてもいいと思うんだけどな……」
「なんだよ、疲れた顔して。そっくりな顔のお姉さんを同時にいただくなんて、こんな幸せな事は無いだろ」
注射の日になった幼稚園児のような顔でげんなりしているロランにエイジが声をかける。
確かロランは2人にそれなり以上の好印象を持っていた筈だ。彼とて立派な男の子。しかも何度か既に同じ事を経験してるみたいだし、こんな顔する理由は無いと思うのだが。
それに双子プレイとはハーレム以上に難関な、選ばれた者のみが辿り着ける聖域なのである。
しかもこの世界に残されたもう一つの双子プレイはきょぬー担当が死んで今ではナイチチ1人だけなので、希少価値だけならばエクスカリバーⅡ以上である。
カミーユなんかそれを想像してハアハア興奮してるし。
あの……俺もご一緒していいかな? 今すぐぶっ殺してやるからお前は生まれ変わって変態医師にでもなってから考えろ。
自分の関節を増やすイメージを始めたシンを他所に2人は会話を続ける。シン、悪いこと言わんからマッハ貫手あたりにしとけ。
「普通ならそうなんでしょうけどね。……でもディアナ様の命令で、僕は女装しなければならないんですよ?」
そりゃまたどうして。
「ディアナ様は老け専なんです。それで童顔の僕自身よりは、ふたなりのローラ・ローラの方が燃えるって……。キエルお嬢様にしても男性に抱かれるのはハリー大尉への罪悪感があるみたいで」
「そこなんだけどさ。ディアナ様は独り身だからまあ仕方ないとして、キエルさんは断らないのか? 彼氏持ちだろあの人」
ゴーグル越しの視姦がばれてフラれたのだろうかあの阪神王子は。そんな視線でロランをみつめるシン、カミーユ、エイジの3人。
世の中に恋話が苦手な男は多いが、失恋話なら嫌いではないという者は少なくない。
「ハリー大尉は、その……」
ロランはどこか遠い目をしたあと、誰に言うでもなくポツリと呟いた。
「…………早いんだそうです」
「正直スマンカッタ」
机に頭を擦りつけ謝る3人。ロランも数少ない仲間のそんなトップシークレットを言いたくなんてなかっただろう。本当に申し訳ないことをした。
それはそうと早いのかあの人。迅速持ちだし仕方ないと言えば仕方ないのかもしれないが。
「なるほど、大尉のIフィールドアイキじゃキエルさんは満足できないとそういうわけか。いや、確かにIFバンカーなんか戦闘アニメーションがあっさりしてるけどさ……」
「パッと撃つだけだもんな」
それは言ってやるな。いや俺も驚いたけどさ。コレンカプルのロケットパンチの方が派手だったし。
「それからはほぼ毎日です。そりゃあ似ている女性を秘所の具合で区別するなんて背徳的で燃える面もありますし、2人に混ざってドロドロに絡み合うのは気持ちが良いですけど。
そこへはローラ、あそこへはローラ、頑張っている時もローラ。僕にはそっちの気は無いのに、自分たちの都合でベッドの中でまで女の子扱いされるのはどうも。
最近じゃ、ちゃんと僕の名前を呼びながら求めてくれるソシエお嬢様に癒されるようになっちゃって……。いや、ウェデイングドレス姿が綺麗だったってのもあるんですけどね」
「泣けるぜ」
ギャバンは知らない。離れていく女心 (元々大して近付いて無かったが) に対する最後の切り札として送った純白のウェデイングドレスを、彼らの結婚式プレイに使われたことを。
ちなみにプレイに誘ったのはソシエの方からだったそうで、ままごととは言え惚れた男と永遠の愛を誓い合うことができた彼女は次の日とても上機嫌でロランにすり寄っていた。父ちゃん哀しくて涙が出てくらぁ。
「ギンガナム先生、純愛が欲しいです……」
「わかる、わかるぞロラン。俺もそれを探しているんだ」
「カミーユ、お前は黙ってろ」
いつの間にかロランの愚痴を聞く集まりになってしまい、昼休みも残りが随分短くなってしまった。言っとくけど御大将は死亡フラグしか教えてくんないぞ。
シンは最後のカキフライを味噌汁で流し込み、両手を合わせごちそうさまを言ってから席を立つ。既に食べ終わっていた3人も食器を持ってその後に続いた。
結局懸念は晴れないままだ。
背後であーでもないこーでもないとだべっている仲間たちを羨ましく思いながら、シンは集団の先頭を歩く。腰の鈍痛だけが空しく身体に響いた。
「ん? 何してるんだあの3人」
エイジの声に視線を前に向けると、廊下の先には円陣を組んでひそひそと話しているセツコ・ルナマリア・ステラの姿。頭を寄せている為、自然とお尻を後に突き出しているような格好になっている。
それを見た途端カミーユがスカートの奥を覗こうと鋭い動きで床まで顔を沈めた。ちっ、ここからでは角度が足りないか。もう少し距離を詰めよう。
阿呆が。シンはその横面に下段の正拳突きを叩き込みながら彼女たちの様子を窺った。
「はい、カミーユちょっとトイレまで行きますよ」
「わかんねぇヤローだ」
声を出さないよう目で合図するシンに頷き、悶絶するカミーユの頭をヘッドロックで捕らえ引き摺って行くロラン。その後に続くエイジがカミーユの尻に蹴りを入れる。
この4人の間では、 『女性関係の事で、それぞれに絶対 “迷惑” をかけない』 という協定が結ばれているのであった。
尤もそんな協定を結ぶ原因になったのはカミーユがあちこちにいらん事してそれぞれが被害をおったせいなので、彼に対しては皆自然と扱いが厳しくなる。他の3人はそんな事を考える必要ないし。
え? 具体的に何をやったか?
ステラに変な事吹き込んだりニュータイプ能力で情報を得てモブメイドに 「昨夜はエイジとおたのしみでしたね」 と言って泣かしたりエマやファがロランを長い愚痴に付き合わせたりとまあそんなところ。
前回ロランが放ったSM○P森君ばりのハイキックによって失神したばかりなのだが、まだ懲りていないようだ。
「いやちょっと待ってくれ痛っエイジ蹴るのやめて。美少女のミニスカは誘蛾灯なんだ、それが輝きを増せばより近くで飛び回りたくなるものだろう!?」
「ならその誘蛾灯に群がった蛾が次の日にどうなってるか、知っているでしょう? それに自分の周囲にもミニスカ履いてくれる人はいるじゃないですか。言い訳は無用です」
「丁度今日ウォンさんが来てるから、あの人にシメてもらおうぜ」
「ぼ、暴力はいけない……」
お前が言うな。尻にもう1発蹴りを入れて男子トイレに入っていく2人。
ああなったあいつらは強い。特にロラン。断らないからってカミーユへの愚痴を毎日聞かされてストレス溜まってるからなぁ。
トイレから漏れて聞こえる断末魔の声を聞き流しながら、シンは廊下の角に隠れて耳を澄ます。
此処からだと会話は僅かしか聞き取れないし聞き取れても意味がわからないが、いったい何を喋っているんだろう? 聴覚に集中して、なんとか聞き取って――――
「とりあえず今朝は私が1回出しておきました。ただ、昨日頑張りすぎたので今日はこれ以上援護はできそうもないです」
「となると私のノルマは3回か……。ステラは今日動けそう?」
「ステラ、明日が当番だから今日はやすみたいな。おくちかおっぱいだけならできるけど」
「オーケー、なら2人とも今日は無理せずゆっくり寝なさい。アイツだって硬さはともかく動きのキレは落ちてるんだから」
「作戦は順調、決戦の時は近いですね」
「うん」
「―――――――シンの陥落まであとわずか。みんな、頑張っていくわよ!!」
今なんつった?