ふと思う、あの時皆の言う通り、リンディさんに親になってもらえばよかったかな?と。
とはいえ同じ位には父さんと呼ばれていてよかったとは、今も思っているんだけど。
…いや、やりがいとか皆の思っているような娘っていいな的なものじゃなくって…
「父さん!ひさしぶり!!」
「フェイト、うん久しぶりなのはいいから、意味なく往来でソニックフォームは止めなさい」
…最近どうも色気づいて、娘がお父さんを悩殺しようとしてる件について…
――――父とフェイトの憂鬱――――
「でね!アルフったら最近私よりユーノの方がいいんじゃないかなって思って、無限書庫に移籍させたんだけどね」
「うん、この前アルフ本人から泣きながら連絡きたよ」
アルフ、いくらなんでも捨てられたりはしないから泣くなよ。目の前に画像だして連絡してるときに泣かれると、普通に誤解されたんだが。
…アレ以来職場で女性からの目が痛いです…
…しかも獣耳のナイスバディで…噂では、アルフ捨てた理由がロリじゃないからと推測されてて、お陰で『けものっ子萌えのペド』と呼ばれてるんだが。
…まあ、あの体を気に入らないのはロリだろうっていう位のナイスバディではあるが。
「だからユーノとアルフもそろそろなのかな…って」
「そろそろ?」
あ、しまった、地雷踏んだ。
「うん、”結婚”…とか?」
うんごめん、上目遣いでもぢもぢされても困る。正直綺麗になってドキっとする瞬間もあるけどさ、それより親としての感情のほうが圧倒的に上なんだ…
あとアルフより先にユーノが泣くから、彼いまだになのは好きだから。
「でね!でね!その…私も憧れてるんだ…」
「まあ…父さんとしても寂しいが、女の子としては正しいね」
一時期翠屋さんとこの魔王さんとガチな噂がすごかったしね、てか20前でキングサイズベット用意して一緒に寝てたら思われるよね。
…ちょっとは世間体を考えろ…てかなのはも疑問に思わずそこで一緒に寝るなよ…
翌日やたら楽しそうに笑いあってるとこ見ると勘違いしないほうが可笑しいよね、ただ単に仕事違うから休み合わなくて、久々に会えた嬉しさだって周り判らないしさ。
「父さんって呼ぶのも好きだけど…その…恥ずかしいけど、私、がんばって、”正さん”って呼べるように」
「いやいや、父さんはいつまでたっても父さんだぞぅ!はっはっは」
ちなみにこの流れが今日だけで4パターン目だ、もうそろそろ諦めてくれないかなあ…うれしくはあるが、父親としては十代後半位までだよ…純粋にありがたく思えるのって…
うん、判ってはいるんだ、贅沢な悩みだということは、でも、でもさ!10年も一緒に家族だったんだよ?いうなれば妹とかに告白とかされたいか?
…そこの勢いよく挙手した君、あとで生活指導室にきなさい。
まあ、血が繋がってないとはいえ、いや逆にだからこそなのかもしれないが、”父親としての仮面”はもう自分の一部に成っているわけで?
「なあ…なんていうか、判るだろ?お父さん35だよ?フェイトと15も違うんだよ?てかそろそろソニックやめなさい」
直訳すると、そのエアロビな服装やめなさい、ブーツとグローブがおかしいから、あと突っ込みたくないけどマント
「式はミッド式でいいかな?地球の着物も着てみたいんだけど!」
「聞けよ愛娘」
ああ…ここまで話聞かないとは…執務官とやらになって人様に迷惑かけてないんだろうか?この前クロノと飲んでいたが、とくに問題ない優秀な仕事っぷりだと聞いてはいるが、あんま当てにはしていない。
真面目な話、正直少々天然だろうと魔力の高い人材を管理局が手放すとは思えないからだ、クロノ自身も前に比べればマシではあるが、管理局側のしかも官位の高い人なのだ、フィルターが掛かってると考えるべきだろう。
そしてそれが悪いとは俺も思っていない、自分が一生を賭けようと仮にも思っている組織なのだ、染まるのは当然だし、それが正しいだろう、理想をいえば常に疑っているのがいいのだが、そんな状態で長く仕事出来るほど人間はロジカルではない、嫌いなところより好きな職場で働きたいと考えるのが普通だ。
「ああ、日本でやれば”ケショウナオシ”っていうので何度も着替えれるんだよね!色々着てみたいから地球にしようか!」
「いやなんていうか、何度も言うけど、話進みすぎだしいいからちゃんと仕事にもどるぞ、フェイト執務官」
「うう…父さんの意地悪…」
「ああもう、わかったら今日はなんの資料?また22管理世界のこと?あそこの宗教様式はこの前ので打ち止めだ、これ以上ならアルフかユーノに言ってくれよ?」
「ううん、今日は資料じゃないの、辞令と要望を聞きにきたの。第12資料室山本 正副室長」
資料室、これは無限書庫が殆ど機能してなかった頃は唯一の資料提供出来る存在であった、まあ現在も普通はここから資料が出し、操作記録の殆どがここに収められている。
…じゃないと膨大な広さを誇る管理世界の資料を出すなんて無限書庫だけでは無理な話である、てかユーノ死ぬしな。
「辞令、ですか執務官」
「はい、今回機動六課設立に伴い、フェイト・テスタロッサ・ヤマモト執務官はそこに出向となりました、ですので私の権限によってですが、山本副室長も出向していただけないかと」
「ああ、噂のあれですか…執務官、いくつか質問をよろしいでしょうか?」
「勿論です、ですがまだ本決まりではないので、多少変更や不確定なところはご了承下さい」
ふむ、とりあえず仕事モードの時はしっかりしているようだ、それなりに仕事の時はプライベートと切り離すように言い含めたのは無駄ではなかったようでよかった。最初はひどかったからなぁ。…まあそれはともかく、断りたいがそうもいかないんだろうなぁ…
「部隊長ははやて二等陸佐と聞いておりますが、フォワードはシグナム二等空尉達と、なのは一等空尉、フェイト執務官以外では?」
「4名ほど補充予定ですが、本人たちの要望もあって、エリオとキャロが二等陸士として参加します、残り二名は選考中と聞いております」
後数日で正式始動なのにまだ決まってない?…どうせサプライズとか考えてるな、あの子狸…!
「なるほど、人数がSランクがいるとはいえ少ないと思いましたが…あの二人ですか…少数精鋭ですね」
「はい、って父さんやっぱり反対なんだ、あの二人を入れるの」
「口調が戻ってるぞフェイト、そりゃあなあ、フェイトの執務官だって賛成したくなかったからなあ」
「分かってるけど、ミッドではそれが普通なんだよ?それを二人にまで押し付けるのは駄目だよ」
「10歳とかで前線にだすのはね、体格的にも、なにより情緒的に危険なんだけどねぇ、日本で言えば元服もまだだぞ」
「でもエリオもキャロもやる気いっぱいだったし、止めれないよ。それより父さんは来てくれる?出来れば私のサポートと、予備戦力としていて欲しいんだけど」
無理いえばフォワードとしてきて欲しいんだけど、と続けながら上目でお願いしてくるんだが。
甘い、もう慣れた。
ってかそれはおいといて、どうすべきか、エリオとキャロをフェイトが引き取ったときもひと悶着あったが
管理局ねぇ…はいりたいのかねえ…まあしょうがないんだろうなあ、世の中はいつもこんな筈じゃなかったの連続だ、だっけか?
「判りました、但しフォワードには入らない格好ならば、拝命させてもらいます」
「うう…やっぱり戦闘嫌いなままなんだ…そんなに嫌わなくてもいいのに…」
「殴ると痛いからな、ここだって定職欲しいから無理いって事務職もらったんだぞ、機動六課はぶっちゃけ試験運用らしいけど、終わったらここに帰れるんだろうな?結構気に入ってるんだから飛ばされるのは勘弁してくれよ?」
「うん、それははやてとリンディさんが確約してくれてるよ」
「はやては兎も角、リンディさんなら信用出来るな」
「酷いよ!?」
ちょっとむっとした顔で訂正を求めてくるが、甘いよ
「機動六課がキチンと機能せずに終わった場合、部隊長の発言権は低下する。その場合はどんなにはやてががんばっても厳しいし、無理させるわけにも行かないからね。後見人とはいえリンディさんならまだ権力は保持させれる」
「うぅ」
娘よ、ちゃんといつも最悪を予測して行動しろといっているだろうに、現実はその斜め上をカッとんでいくものなんだぞ?
「ああ、あとフェイト、エリオとキャロの部隊はもう決まってるの?後二名で打ち止めなら、隊長副隊長あたりは?」
「あ、うん、私が隊長でシグナムが副隊長かな?まだ骨組みだけど。どちらにせよ教導官やってたなのは、ヴィータちゃんが残りの二名を受けるはずだから…ヴィータちゃんかシグナムが入れ替わるかも、って所だと思うよ」
「…なあ、エリオとキャロっていう低年齢で戦闘経験無しを、教導経験無しの二名で鍛えるつもりなのか?いやまあ指揮能力高いシグナムでもいいけど…一応教導込みなんだろ?」
「…父さんにお願いしようかと…どちらにせよ、シグナムは中隊指揮持ってるし、私も空戦で外れやすいし、なのはちゃんの小隊より後ろに下げてもらうつもりなんだけど」
うう…まあはやてが隊長のあたりで訳有りな部隊だろうし、少数精鋭でいかにゃならんのだろうけど…あまりにもアンバランス過ぎる、隊長達との差が激しい、はっきりいえば残り2名も俺と変わらないランク保持者の筈だ、新入り4名と隊長一人でも合わない戦力差ってどうなんだよ…
「またはやてが我侭いったんだろうなぁ…やむおえないって理由で」
「うん…詳しくはしらないけど、聖堂教会からの寄付も大きかったし」
「最悪だな…機動六課ってことはレリック絡みだ、絡んでくるのはわかるし、半分身内のはやてを押すのも判るが。あのはやてがレリックを教会に横流しするわけもない、そしてそんな分かりやすい絵を管理局が描かせるとも思えない…余りにもわかり易過ぎる」
残るのは…?無理にレリックを教会に横流ししたとにして、はやてと教会の弱体化か?
馬鹿な、そんなことに金かけすぎだ、いくら教会の権力がミッドで無視できないとはいえ、管理世界を広げることに命かけてるような奴らがお膝元をそこまで気にするはずがない。
それを気にするくらいなら、陸の戦力を増やすほうが間違いなく先だ。
「はっきりいって、4名の隊員と俺は兎も角、隊長クラスが揃いすぎてる、どうせリミッターつけるんだろうけど、それに付随する勢力が凄すぎる、はやてやシグナムあたりは地元、陸に顔が効いて海にも知り合いが多い、フェイトはクロノやリンディさんや他の提督にも魔力ランクや仕事柄、顔が売れている…なのはにいたってはもう考えるのが馬鹿らしくなる有名どころだ」
どいつの名前だしても普通に中隊、十数名の部下が持てるのにまるで海のような無理やりの隊員数、ぎりぎりまで隊長クラスを生かすための捨て駒、だな…はやて以外は反論するだろうし、はやては判ってて覚悟してるんだろうが。
「ちくしょう…断れないように堀を埋めてから俺誘いに来てるな…あの子狸…!」