「はぁ…ヴィータ…どうしてもやるのか?」
「いまさら命乞いか?てめー」
「…今朝はシグナムの出勤予定に『外』って書いてあったからすっげえうきうきだったのに…」
「そこまで嫌わなくてもいいと思うよ…父さん…」
「ていうかな!教導してることになってるんだから、こっちにも顔だしとかなきゃいけねーんだよ!」
「あぁ…俺抜きでいいじゃん…てか模擬戦とかいらないじゃん…」
「駄目だ、フェイトとチェンジもゆるさねーからな、隊長だろうと一応教導はしなきゃいけねー」
「…どうして騎士はこうもバトルジャンキー多いかなあ…」
「いーから構えろ。一度くらいは格上の存在ってのを見せとくのはわるくねーぜ?」
「…まあしょうがないか…フェイト、ランニングしてるエリキャロよんできてくれ、なんていうかもぅ…ここの奴らって相手のこと考える気ないよな…」
「てか、お前が模擬戦嫌うのがいけねーんだよ…フェイトはちゃんと定期的にやるってのに…」
「ああ…教導だけなら手を抜けばいいと思ってた…そんな時代が私にもありました」
「どんだけ前だよ」
「20年位前?」
「アイゼンの染みにするぞおっさん!」
――――父と戦闘の憂鬱――――
ぶつぶつとぼやきつつバリアジャケットを纏う、俺は赤茶色のポロコートとスリーピースの変形だ
正直昔のなのはと同じで、身近なものをモチーフにして作った、どこまでも手抜きである
「いくぞ無気力親父ッ!」
自分の周りに鉄球を浮かべ、それを長柄のハンマー…グラーフアイゼンがぶん殴って打ち出すと、それを追いかけるように接近してくる。
「くるなよ!てかどんだけゲートーボール好きなんだよ!重っ!」
飛んできた4発のうち一発を左手の魔力製の刃で叩き落し、開いたスペースに体をねじ込みむりやり残りを避ける
「うるせえ!ゲートボールは最近の趣味だ!」
ヴィータはハンマーの槌部分で迎撃しようと早めに振り下ろしてくるが
「ソード・レイ」
「All righ」(了解)
俺の両手にもったビームサーベル?から魔力刃が打ち出され、朱い突進を阻む。
それを余裕を持って柄で防がれるが、狙い通り振り下ろすタイミングはずらせた
もう一度魔力刃を生成、左手に握ったラストオーダー・スリーを数メートルまで来ているヴィータに投げつける
「てめっ!また投げやがって!」
弾かれたスリーを空中でバインドしつつ、両手で右のツゥを保持し、鍔迫り合いに持ち込む…両者とも鍔ないけど
「武器なげんなつっうの!」
「デバイスは道具だっていってるじゃん」
4本で一組だし、俺のデバイス。
そのまま押し切られそうになるので体を入れ替えて左手でフォーを引き抜きカチあげるが即座に反応されて更に体を入れ替えようとしてくるので
「はい、どーん」
「Shoot」(打ちます)
バインドで固定していたスリーから魔力刃を打ち出す、とはいえ向きがヴィータの足元に向いていただけなので、ただびびらせるだけだが
「あめえよ!もう見切ってるってんだ!」
そのまま流れるように離脱し
「テートリヒシュラーク!」
ハンマーに魔力を付加して殴りかかってくる
「げ!ラスト!」
右のツゥを投げ捨て、4本のうち唯一の実体剣であるラスト・ワンを左腰から抜いてこちらも魔力を纏わせる
向かってくるハンマーに引き抜く勢いをも利用して打ちつけ、今度はこっちから離脱
「重てぇっ!相変わらずの馬鹿力め、ちみっこのくせに」
「子供!扱い!するんじゃねぇぇぇ!!」
離脱を利用してできた余裕で左手のフォーを腰に戻して、即飛び込みまたも両手持ちでワンを振り回し剣戟を繰り返し打ち合う、ヴィータのハンマーは取り回しがお世辞にも良い武器ではない
それを知っていて、接近戦での手数押しに持ち込んだのだ
…まあ、俺の魔力がもっとあれば、二刀流のまま更に押せたんだけどね…身体強化が違いすぎる…体格と体術で勝っててこれですよ…
「くっそう…うっとおしい…!」
蹴りをいれてまた距離を取ろうとするのを、左足を引いて体を開いて避けてさらに追撃
「くの…!」
しかしそれで崩れた姿勢さえ利用してヴィータはハンマーの柄で打ち上げ、即座に逆足でもう一度トゥーキック
が、甘い
「Flash move」
高速移動で離脱、先を読んで空へ飛ぶ準備開始を
「Flier fin」
開始したのを見たヴィータは当然空間が使いやすくなる空に戦場を移動しようとする、が。
「ソード・レイ、フォーで」
「All right」(わかりました)
投げ捨てたフォーからヴィータの頭上の辺りに向けて直射魔法が飛び、不意を付かれた形になった所に飛び上がり、直上から斬撃を打ち込む
無論、投げ捨てたフォーにこっそり弱いバインドを掛けておいたのだ。
これは自分から投げたんだから、大体の向きは決めれた
「相変わらず姑息だな!もっとぶちかましてこい!」
無理無理、ソード・レイだって、ぶっちゃけ直撃させても殆どヴィータにダメージいかねえっちゅうねん
頭抑えれたのだって、戦士の反応で反射的に避けようとしただけで、当たってたらそのまま空に逃げられてた
「スタイルちがうんだからしょうがないだろ…」
「うっせえ!ボケ!!」
唯でさえ短い堪忍袋がぷちっと切れたヴィータは、こっそり俺が回収して牽制に振ったフォーを肩に半分受けつつ
「アイゼンッ!」
ハンマーにブースターノズルを生やしたラケーテンフォルムに移行させて無理やり加速させて俺をぶっとばした
「どうだッ!」
し…死ぬほどいたいッス…
訓練場の廃ビルに叩き込まれた…うへえ、マジ背中が痛い…
「…ラスト・オーダー…ちょっとフォトンランサー、生成まかせる」
「All right」
ドゴォっと破片を撒き散らしながら飛び上がり、即座にフォトンランサーを3つ作り出し一つ打ち出す
「へん!やっと本気になったか?」
「おっさんはいつでも本気ですよ?」
残り2を片手づつ握りこむ
「圧縮」
「Compression」(圧縮)
そして打ち出す、ソフトボール大だったフォトンランサーはゴルフボール大でヴィータにむけて飛んでいく
即座にパンツァーシルトで一発目を防いだが圧縮をみて二発目以降はあわてて避けた
「次だ、ラスト」
即座にフォトンランサーがやはり3つ、俺の制御だと一度に出せるのはこんなものである、元祖のフェイトはすげえ数だせるんだけどね…
それを纏ったままもう一度ラスト・ワンを引き抜き胸からカードリッジのマガジンを取り出し鍔の様に装着する
「Relaod」
カードリッジ廃莢、ガン!と魔力が加速されているのが判る…よくこんなの連打できるよな…体にこれ悪いだろ…
「ラスト、テートリヒシュラーク」
「Yes master」(はい)
ヴィータに教えてもらった武器の強化を行う、近代ベルカの強化、カードリッジ使用時はほぼ俺の最大火力
「レアスキル起動」
「Compression」(圧縮)
刀身を握り締めてさらに圧縮、これで掛け値なしに出来る最大火力!
「最後にすんぞヴィータ!」
「きやがれ!ギガントハンマァァーーッ!」
「でかっ!」
「…ああつかれた…本気で死ぬかとと思った…なんだよヴィータ、微妙に不満そうじゃねえか」
「てめえ最後、本気じゃなかっただろ?」
「あ?引き分けなのがそんなに不満か?無理無理、あれ以上は無理だって」
ギガントを受けつつ剣の魔力を近距離でぶっぱなして無理やり引き分けになったのだ、空中戦だったのですごい勢いで両者おちてきて、エリキャロとフェイトがすげえ慌ててた
そんな3人も今の模擬戦を簡単に説明してからあっちで訓練をやっている…あ、エリオ殴られた…どうしても前衛は傷だらけになるよなぁ
「てめー…最後、フォトンランサーつかわなかったじゃねーか」
「真正面からで止めれねえよ、俺の威力じゃあ」
「普通はな」
レアスキル、使えばいいだろ
「…ああ!」
「ああじゃねえよ!ったく、…わかってて言ってるだろ?」
「んー?」
ごろりと横になる、この訓練場、海の上に出来てるんでこーやって建物の上だと結構いい風がくるのだ
「ったく…お前はいつでも他人を気にしすぎだ、新人二人を気にしてレアスキルをあんま使わなかっただろ?参考にしにくいからな」
横になった俺の髪を隣のヴィータがくしゃくしゃともて遊ぶ
やめて、35にもなると本気で髪の毛気になるの!ハゲたらどうする!
「いつもと戦い方違いすぎるってーの、得意なのは中距離での圧縮した射撃で、ちまちました戦いだろうが」
「圧縮してもね、火力自体低いから数当てないと倒せないんだよねー」
やり返そうとねころっがったままヴィータの頭を掴み、ぐじぐじといじくる
「…やっぱお前ランク受けなおして教導隊こいよ、なのはは遠慮していわねーけど、あそこいつでも人足りなくて困ってんだ」
「…疲れてんのか」
ヴィータは少女の姿だが、周りが思っているより成熟した神経を持っている、そんな彼女がいまさらな話題に触れる
「なのははここ来てすこし柔らかくなったけど、やっぱり無茶しやがるし。他の連中だってお前がいればやっぱり」
言葉を封じるようにぐっと顔を引き寄せる
「…なあ…挨拶だよな」
「ああ…挨拶さ」
だから優しく二つの影が重なって
緩やかに離れていった
「…タバコくせぇ、シャマルに止められてるだろ」
「うるせえ、ガキ。次は一生ねえかもしれねぇんだから味わっとけ」
「おめーこそ黙れ、いつかすんげぇいい男引っ掛けてやっからな」
俺の手を振り払うと、同じように空を見上げて転がった
「…戻ったか?」
「ショック療法にしては短絡的だったけどな」
「次は舌いれるぞコラ」
「フェイトにやれよ」
「許してください」
ゲラゲラと二人して笑いあう、プログラムで考えればヴォルケンリッターが教導に向いてるはずがない
それなのに入ったのはきっとなのはの為だろう、誰にもいわないがはやてが心配してるのでも感じたんじゃないだろうか?
だからたまにこうして不安が見える、主以外を背負う事に
騎士達じゃなく、友人でもない、心配かけても大丈夫だと判断された俺にだけ見せる
「あー…今のフェイト見てなかったよな?」
「俺はまだ死にたくない」
「お前は…まあ気が付いてんだろーけどよ」
「…んー空が青いねえ」
「…ああ、青いな…馬鹿みてーに」
だから、昼まで寝過ごしてフェイトに怒られたのは、きっと青すぎる空のせいだと思う
あとがき
初の戦闘描写、山本の魔法とかメモってみたんですが、見たいッスか?