「フェイト、大丈夫だな?なのは、悪いがフェイト連れて戻ってくれないか?ジャミング範囲からでたらアースラに連絡忘れるなよ?」
「で、でも!」
「先生を少しは信用しなさい、ほら急げよ?お前ならこの結界から出れるだろ」
「…話はすんだか?」
「ああ、悪いがダンスパートナー交代だ、娘に手を出してただで済むとおもうなよ…?」
「貴様…血?非殺傷設定じゃない?」
「どうした騎士様?まさか血を見たことがないとでも?俺はお前の血が赤くてびっくりしたよ」
「…!愚弄するか…!」
「うるせえ馬鹿が、武器向けといて死なないとか殺さないとか甘いんだよ!」
「ぐぁぁぁぁッ!」
「シグナムッ!」
「はっ、やっぱりもう一人いたか…騎士様らしい戦いですこと」
「貴様……!」
「シグナム!いったん引くわよ!クラールヴィント!」
「…ったく…一人ぶった切るのに左腕一本かよ…割りにあわねぇ…あぁ…血ぃたりねぇ」
――――父と今更な憂鬱――――
「ねえ、人の家に上がりこんで爆睡とかどうなのかな?しかも金髪美女と同衾?」
「…娘だよ…あれ?フェイトは?」
揺り動かされて眼を覚ましたらいきなり失礼なことぼやかれたので、寝ぼけたまま答る…ユーノ?
「僕が部屋に入ったら真っ赤な顔してキッチンに逃げたよ」
「ああ…そういや鰹節か?のにおいするな…」
がりがりと頭をかきつつむくりと起き上がる、ねみぃ
「つってもな、お前が帰れそうだから、できれば待ってて欲しいとかいわなきゃもう帰ってるんだよ…げ!三時かよ…」
「それより予定だと二日は早いよ?それになんだってフェイトまで…」
いうな、15時から仕事ヴィータとフェイトに押し付けて抜けようとしたら、気が付いたフェイトが5時にきっかり終わらせてここまで押しかけてきたんだよ
「まあ…おかげで洗濯が楽だったけどな」
「ごめん、助かるよ」
「いいさ、それよりあの酒いいのか?結構高いだろ」
「司書長だよ?休日にも出歩かないから余裕あるんだよ」
「いいねぇ…俺はいつでも金ねえよ」
おかげで自炊だ、味のことはともかく、外食のほうが時間掛けないですむんだけどなぁ
「いいじゃない、なのはとかにも好評だし。タダシの料理」
「今度焼肉パーティでも開くかな…ミッドの焼肉はアバウトですかんし」
「ああ…たしか地球でいうアメリカの料理に近いんだっけ?」
「多国籍な所はいいんだけど、店の落差はげしいよな。肉炙って塩だけとか…」
食えるけどね?ただ流石に豪快すぎる…
「でも日本料理っぽいのも最近多いよ?…あ、フェイト、改めてこんばんわ」
「こ…こんばんわ」
「料理ありがとう。これは煮物?ポトフ?」
「ううん、父さんの好きな日本風の煮物、家から持ってきて暖めただけだけど」
「おー煮崩れしてないし、いい色だな、娘も順調に育っててうれしい限りだ…」
「親ばかはいいよ、それより寝言で血がどうとかいってたけど?」
「え?父さんまたなにか無茶してるの?」
「またいうな。それはなのはあたりに言え…いや、シグナムとの初戦闘を夢で見てな」
「「あー…」」
「美味いぞ、フェイト」
「えへへ、野菜の種類ごとに別に煮込んで煮崩れしないようにしてるの」
「たしか…日本料理にそういうのあったね。…うん美味しい!そういえば、なんで今更あのときのことを思い出したの?」
「ん?夢のことか?」
「うん、昔のことだし、夢だからって言われたらお終いだけど。やっぱり今更思い出すには理由があるような気がしてね」
「父さん、こっちのお漬物も食べてみて」
「流石にぬか床持ち歩けないし、浅漬けか…お、この白菜っぽいのどこで買った?」
「執務官の仕事はあっちこっちいくし、毎朝混ぜるのは無理だから。エイミィにもらったのよ、だからモドキじゃないの」
「おー久々の故郷の味か、懐かしい…」
「…タダシ、誤魔化さないで。またシグナムにせまられたの?模擬戦」
ユーノ、しつこいな…誤魔化そうとおもったのに
「今回はヴィータ、このことばれたらまたシグナムがうるさそうだ…」
「『次はこの私とだ!』とか?」
「むしろ『ヴィータとして私とはもうしないのか!』とか微妙に誤解されそうなこと言われそうだ」
「「ありえる」」
「ご馳走様、ほんとに助かるよ。こんなに手のかかった料理はどれだけぶりか…」
「ブロックフードばっかりだと恋しくなるよな。時々無性に」
「ダメだよ、父さんもだけど。ユーノも皆が心配してたよ?」
あはははは、善処します。と答えていたが
知ってるぞ、フェレットフードをたまに齧ってること
「まあ、たまにはこっちに顔だせるように休みとれよ?俺らの中だとダントツで有給溜まってるだろ」
「んー出来るだけ個人的な調べ物のときは、休日扱いとかにして消費してるんだけどね」
「詐欺だろそれ」
「そうでもしないと組合から訴えられるしねぇ」
苦笑しながらユーノは笑うが、それでもダメだろ
「まあいいさ、あのラップの中身は薄めに切ってクッキーとかと一緒に食べるといい。かなり甘くしてあるから」
「わかった、少しは日持ちする?」
「一週間くらいは、だがまあ冷蔵庫にいれとけよ?お前なら一日とかで消費しそうだけど」
「まあ、最悪みんなで分けるよ、好評だしね。タダシのおやつ」
「くそ甘くしなきゃいけないけどな…おかげで何度スポンジケーキを焦がしたか」
砂糖多いと焦げやすいのだ、それが面倒で面倒で…
「そういわずまた頼むよ、甘くなくても女性には好評だし」
「私も父さんのケーキ好きだし、今度エリオたちにも作ってあげて。きっとキャロも喜ぶから」
「そうだな…まあそれはおいといてそろそろ帰ろう、もう5時過ぎてる」
「あ!シャワー浴びて着替えなきゃ…じゃあユーノ、またね!」
俺も帰ってデバイスのメンテしとくか…ヴィータめ…!
「うん、ごめんね、僕が帰るのおそくなっちゃったせいで」
「もう覚悟してるさ、元司書とその娘をなめるなよ?」
「ははは、それじゃあまた今度ね」
「またな」
「たまにはメールでいいから連絡してね」
「ねえ、父さん」
「ん?」
左腕を組んで、ゆっくりと朝の光が出だした中二人で歩いているとぽつり、とフェイトがつぶやいた
「あんなこと…二度と起こらない、よね?」
組んだ腕をゆっくりと撫でる、もう組んでいるというより、左腕に絡まれているといったほうが近い
「ん、ないさ」
シグナムに叩ききられたことの有る腕、それに触れる娘はひどく頼りなく。『閃光』などと呼ばれる姿は想像もできなかった
あのときのフェイトの取り乱し方は酷かった。きっと、それは
プレシアとは違う意味で深い傷をこの金色の魂に刻み込んだのだと思う
フェイトは限りなく優しく、頑固で、そして脆い
なにかあっても、きっと他者を優先するだろう
でもそれは酷く歪なこと
まず自己の安全が優先されなくては、個人ではなくなってしまうのだから
それは他者の付属物に成り下がってしまうのだから
そしてそうしてしまった一端は俺だ、だからできるだけ彼女を俺は守る
せめて俺のつけた傷が癒えるまで
せめてフェイトを優先してくれる誰かが出来るまで
「ね…とうさん」
くるりと向きを変えて俺の歩みを止める
「ん」
そしてじっと見つめてくる、だから何時もの様に優しく、飴細工でできた美しく脆い娘を引き寄せる
「…んん…舌、入れないよね」
「俺を変態にしたいのか、娘よ」
だから緩やかに重なり、離れ
でも組んだ腕で一つになったまま、二人は歩き出す
「いいじゃない、それくらい」
「だめだ、てかこの年で口にってのもぎりだぞ」
「いいじゃない、これくらい」
前を向きなおし歩調を合わせて歩き出す
「ん、お父さん分チャージ完了」
「なにそのファザコンパワー」
「私向きエコパワー」
「環境に優しいのか?」
あはははは、と二人は笑う、フェイトは本当に歪だ、父に愛情を向けるのも、他者に依存するのも本当に
でも、それが愛らしい
ああきっと、娘はやらんッ!とか親馬鹿丸出しになるんだろうな、などと考える、などと甘く考えていたのはここまでだった!
「もう恥ずかしいからやらんぞ」
「いいじゃない、キスくらい」
「また職場で針のむしろになる」
「だって、『挨拶」でしょ?」
…世界が凍るってこういうのをいうんだよな?
だが動揺をださないあたり俺素敵、30台なめるな、これくらいまだ修羅場ですらないわっ
「…なにが?」
「?キスって挨拶でしょ?」
…いや、真実は朝焼けの中。ということで、藪は突付かないことにしておこう、また一日が始まるんだし、ね
あとがき
反響が多かったので、二度ネタ
このSSは半分が感想で出来ています
作者の半分は赤マルソフトとコーラで出来ています
PS あと、この作品とらは板に以降させたほうがいいですか?
PS2 あとXXX板バージョンは順調に…うわなにをするやめr