「ああ…昨日は酷い目にあった…」
「あ、ヤマモトさん、おはようございます!」
「お、キャロ、今日は朝錬なしか?」
「ええ、私だけだと効果的な練習が難しいので…」
「ああ、ブーストとかだしな、後衛の仕事って…あれ?エリオは?」
「死んでます」
「…えらい端的にいいきったな…」
「あの後フェイトさんが妙に…」
「いい、いわなくていい」
「いえ、機嫌がよくて」
「いや言わなくて…あれ?んじゃエリオはなんでまいってんだ?」
「…どうも深読みしすぎたそうで…おなかを押さえてずっとうずくまってました…」
「エリオの心情をたとえるなら?」
「…昔、某犯罪組織は、殺す相手に殺意を隠して花束を贈ったそうですね…」
「…エリオ、強く生きろよ…」
――――父は色々と憂鬱――――
「そういえばあのあとどうなったんです?」
「ん?ヴィータ?」
「ええ、正直微妙な空気が漂ってて…」
「…10歳、空気読めすぎ。まあいいや、あのあとはやてを呼んでな」
「ええ、そういってましたね」
「うん、帰らない気まんまんだったからな」
おもいっきり帰る気なかったよ、サバイバルで20人抜きとか止めて
「まあ、顛末をいえば一言でいえば『はやて合流』」
「…朝までですか?」
「オールナイトですよ?」
「…フェイトさんはこのことを?」
「ああ、朝ははやてと一緒らしいから、もう知ってるだろ」
なんでも送ってもらうらしかった、なので朝メシだけ食って帰っていった。
…気持ちはなんとなくわかるが、怯えすぎだ、キャロ
「いや、大丈夫だよ?流石にフェイトもへんな想像はしてないよ」
そのへんは心得ている、たまーに黒いけど、愛娘は大丈夫だ
「…おはようございます…」
「お、エリオ、もう大丈夫だぞ、てか昨日のフェイトは大丈夫なほうのフェイトだ」
「…!本当ですか?!」
「ああ、あーみえてもフェイトは一時期ほど俺に拘ってないって、正直昨日のはあれだ」
うん、アレ、誤解なんだろうけど
「『ついにお父さんにもいい人が』とか考えてたんだろうよ」
それはともかく、ヴィータ相手ってどないやねん
「「うぇぇぇ!?」」
「誤解なんだけどね…」
「いや逆じゃないですか?!なんていうか…『この泥棒猫めくきぃぃぃぃ』的な!」
うん、キャロ、いい演技だ
だがあとで山本家昼ドラ視聴禁止令を出そう
「いや、フェイトはまあ昔はそんなだったけどね…今はまだ違うよ」
大分まともになったよ?というと二人は信じられない顔をした
「私は逆だと思います…」
「僕は今より酷いのが想像できません…!」
「あはは、そう誤解されてもしょうがないかもね」
でもエリオ、今の愛娘をどう思っているかちょっとお話しようか?後で
しゃあない…ちょっと説明とかしよか
「んーまあ、フェイトって生まれとか、親。まあ俺も含めてだけどろくなモンでなくてな…」
ちょっとタバコいいか?と許可を取ってから窓際に移動して話をしだす
今日はライトニングの隊長らは午前中いないし、ちょうどいいか
「まあそりゃあ昔は酷かった、少しでも暇があったら俺んとこきてじっとしてるんだ。でも何も言わないでおどおどしててさ」
そりゃあすずかちゃんあたりに誤解されるさ
「そのくせ上目遣いでこっちの機嫌伺ってるんだ、ぶっちゃけ鬱陶しいくらいだった」
ふぅー、と煙を出す。苦いなぁ
「でも鬱陶しい顔したらさ、もう世界の終わりみたいな顔してなみだ目になるんだぜ?反則だよな?」
「それは…」
「でも、なんでそこまで」
「フェイトな、親に一度見捨てられてるんだ」
「「!」」
「そりゃあもうこてんぱんに見捨てられた、フェイトの生まれって、エリオは知ってるよな?キャロは?」
「あの…一応は…」
「プロジェクトF・A・T・E、人造魔導師を作る計画だ、わかりやすくいえばクローンだな」
「…」
「そう、ですよね」
「俺個人的には生まれはどうでもいいんだけどな、だってそうだろ?気に入るかどうかは別だろ?つっかクローンてことはさ、人間由来じゃん、それいったらヴォルケンズと組んで仕事できねえって」
「…そう…なんですよね」
「話それたけど、まあ子供ってのはそのへんを理解はできても納得は出来ないわけで、『俺に捨てられたらどうしよう』ってずっと悩んでたんだよ」
普通は『子を思わない親はいない』とか言えるんだけど、プレシアのことがあるからなぁ…てか俺昔もっと酷い扱いの子供とか見てるし
「でも…フェイトさんは立ち直ったんですよね?」
「いんにゃ、見てのとおりだ」
「「えええぇ!!」」
「いや依存してるってお前らも思うだろ?」
「それは…」
「その…」
「まあ、それでもフェイトの中ではなんとか折り合いつけたんだよ、勿論俺もちゃんと話し合ったし、ちゃんとフォローはしたつもりだけどね」
「なにが…フェイトさんが変えたんでしょう?」
「時間」
「それは…それでも色々したんでしょう?」
「そういったじゃん、でもさ」
でもさ、やっぱり自分を変えるのは自分だけなんだよ
「耳障りのいい言葉、かっこいい行動、そんなので心の真ん中からばっさり変わるってのはさ、駄目なんだよ」
個人的にいえばだけど、ね
「じゃあさ、昨日まで何いっても否定的な人がさ、今日からずっとポジティブになる、これってどうよ?」
「…いいことじゃないんですか?」
「いいとかじゃなくって、これってなにがあったか」
「…それは、世界観変わるくらいいいことじゃないですか?」
よくわからないですけどとエリオとキャロは答える
「そうか、んじゃエリオ、今日からどっかの新興宗教にはいれ、あっという間に変われるぞ」
「!それは…」
「そうだ、それは良かれ悪かれ『洗脳』だと思う、結果よくなったとしても、過去の悩んでた自分はどこにいったんだ?あの苦しみは全否定か?」
だまって二人は考え込んでしまった。ちょっと早かったかもしれない、でも、特にエリオには話しておかなければいけない
「いいか?世の中そんなに甘くないんだ、自分で考え、自分で変わっていけ、親である俺には見守ることしか出来ない」
そう、悩みは黙って自分で消化しろ、俺らに出来るのは手助けだけだ。道を示せても背中を押すわけにはいかない
「いいか?二人とも、『自分探し』なんて大吉出るまでおみくじ引くのとかわらない、でもそれを選んだならそれを歩け、間違えたら道を戻れ」
わかるか?
「助言を求められたらそのとき、俺たち大人は経験で『多分こうだろう』といえるだけだ、背中押された気になって進んでも全責任は」
取れない
時間は戻らない
それはその道を選んだお前を侮辱する行為だ
「悩んで悩んで悩みぬいて道を選べ、ミッドではどうか知らんが、お前らはフェイトが保護して、俺が責任を背負っている」
だから
「時間限定だが、それでも子供の間は出来るだけのことは絶対に、やる」
だから、お前が胸を張って歩ける道をいけ
俺は教えられることは教えれる、教えさせて欲しい。ろくでもない人生だが、二人よりも経験だけはある
「俺ら大人が付いている、多少は信用して欲しいし」
いつの間にか短くなったタバコを最後まですって。吐いた
「お前らが悩んで選んだ道なら、なにがあっても俺とフェイトは肯定してやる!間違ってたらひっぱたいてお仕置きしてやる!」
だから
「絶対にお前らを間違った道には進めない!絶対にだ!」
気が付いたら二人ともぽろぽろ涙を流していた
正直支離滅裂で、突き放した言い方だったと思う。それでも今のフェイトを見て、それなりに納得してくれたんだろう
「ヤヴァモトザン…」
どこのマスクドライダーだ、そんなことを片隅で思いながらキャロの鼻にハンカチをあててやる
「……」
エリオの涙を人差し指で拭ってやる、俺に今出来ることはこれくらいだ
「いいか、生まれや育ちは選べないし、変わらないけどさ」
うん、俺も色々あった、孤児院ではやんちゃだったし、黒歴史は多い、思い出してそのへん転がって悶えそうだ
「それでも、出来るだけのことはするよ。後で思い出して『楽しかったな』ってそう思えるくらいには」
だから泣くな、俺って子供の涙に弱いんだよ…
お昼にシグナムとフェイトが帰ってきて、真っ赤な目をした二人を見てまたひと悶着あったが。まぁそれは蛇足というものだろう
あとがき
大体一日に一作か二作くらいでもう数日はいけるかな?それ以上は原作見てないんでなんとも…なのですよ
そこまでで一度板移動するかなぁ
PS アダルトなバージョンを脳内で妄想してみたらフェイトとなのはがえらいことに!えらいことに!大事なことなので二度いいました!!
PS2 ちょっとシャレにならないエロ度なんですが【どうすればいいですか】