「…で、初出動の後始末で死んだ俺になに?」
「にゃはは…あのね?今度海鳴にいくことになったんですけど」
「ああ…そろそろ休暇?」
「いいえ、任務です。レリックの回収を…」
「…ちょっとレリックの定義を考え直したい…地球ってそんなに過去ひゃっほい!な歴史あったっけ…?」
「そ…そういえばかなり無理があるよね…」
「あれってすごい魔力の塊だろ?…この前のガジェットにも装着してたらしいけど」
「うん…本部の見解だと、次元震みたいなのでばら撒かれたか、その時代の時のだれかが隠匿したか」
「隠匿だろ?無人のとこにあるなら兎も角、地球だぞ?そりゃあ無人のとこで発見されることが多いけど、それでも世界見渡しても文明圏にある確率とか…」
「う…なんだか意図的なものを感じるよ…」
「まあいいさ、休暇じゃないけど親御さんにも挨拶しとけ」
「うん!久しぶりだからちゃんと…じゃなくて山本とさんもこないかな?とおもってなの」
「ああ…俺に書類に埋もれて溺死しろ、と」
「…手伝います…」
――――父と故郷の憂鬱――――
「うー…転送だからあんまりありがたみないなぁ…」
「ほな、時空艦で来る?一週間くらいかけて」
「その間仕事は?」
「ちゃんと残してあげる」
「許してください」
「あ、ここがなのはさんの故郷か…」
「なに感動してんのよ、ミッドの郊外と変わらないじゃない」
「ティア、情緒ないなあ」
「アンタにいわれたくないわ」
俺とはやてに続いてスバルとティアナが出てくる、どうでもいいがちゃんとバリアジャケットみたいな格好じゃなくてよかった…どんだけ薄着なんだよ
おじさんちょっと未来が心配だ
…フェイトの事は思い出したくない、ああ棚に上げるさ
「そういや翠屋いくんだろ?」
「はい、荷物置いたら先にいこうかと、サーチャーは飛ばしときますけど」
探索はほぼ自動でだしな、そのへんは特別捜査官のはやてと、執務官が得意だろう
「んじゃあ、俺とフェイト、はやての愉快な家族で荷物持ってくから、残りはついてけば?」
「え?なのはさんのご家族にあえるんですか?!ティア!ご挨拶はどうすればいいかな?!」
「お嬢さんを下さいとでもいうの?いいから落ち着きなさい」
「流石にそれはまだ早いよ!…ってノリ突っ込み大成功!」
「…ヤマモト一等陸士、声真似うまいですね…びっくりしました…」
「すごいですね、ヤマモトさん…キャロのときもびっくりしましたけど」
ティアナがつっこんでから驚き、スバルとエリキャロも口をあけている
「昔から父さん、よくこれで驚かせてたよね」
「ああ、そやなあ、私の声で『今日のご飯はシャマル特製やで!』って言ったときのウチの子らの顔といったら…笑えたわ」
いやはやて、だれが告げてもそれはびびる、ヴィータとか世界の終わりを覗いてる顔だった
あと、バレてないと思っているだろ、ヴォルケンリーダー?お前の膝が震えてたのを、家政婦並みにみてたわっ!
「え?でもそれは悪いし…」
「いいよ、あとで俺らもお邪魔するだろうし、ちみっこどもに本場のスイーツ食わせてやってくれ」
「あ、お菓子屋さんなんですか?」
「おお、すげえうまいぞ、まさに売り物だからな」
「でも私はお父さんのほうが好きだよ?」
「まあ…カロリーとか控えめだからなあ…」
「…ひ」
「ん?なんだティアナ?」
「ぜひそのお菓子教えてください!」
なにこの鬼気迫る顔…理由わかるけど
「あ、ああ…味は落ちるけど、カロリー控えめなのは間違いないから、ほれ」
ずいっと?を浮かべた俺お手製のお菓子で育ったフェイトを前に押し出す
じぃぃぃぃっと舐めるように、わが娘の特に腰を見つめると…
「…お願いしますッ!師匠と呼ばせてくださいッ!」
「面白かったね、ティアナすごい勢いで」
「まあ…年頃だからねえ…」
二部隊に分離、とりあえずアジト確保しとかないとな…後が面倒だし、なのはもゆっくりさせたいし
…いや、なんだかんだいって事務手伝ってくれたしな!
「わからないでもないけど…」
「ああ、ティアナな、よくスバルとでかけるんやけど、ほら、スバルすごい食べるやろ?」
「ああ…やっぱりデザートとかは釣られて食べるんだ…」
「武装隊とかはカロリー消費おおいゆうてもな」
「この前、更衣室で体重計の上で片足上げて計ってる姿みてこっそり腹を抱えてわらってもうたわ」
「…ひどいよ、はやて…」
「…その時自分のおなかの感触感じて…な…触ってみ…」
「…ひどいね、はやて…」
「最近は事務仕事ばっかりで…」
うちの六課はいろいろ大丈夫なのだろうか?ちょっと不安におもうがまあ、こんな自虐ギャグ飛ばして反応するくらいなら大丈夫か
…俺がはやてのとこにどなりこんでから微妙な空気がしばらくしたしな
うん、はやてはまだいいんだ、フェイトがな…あの時追い出したフェイトが…!
隊舎でもソニックフォームはやめろ、速度重視だってんでレオタードにブーツと肘までのグローブ、しかも黒
引くわぁ…
さらにマント
…さらに引くわぁ…なにそのマント、紳士服売り場にでもあるのかよ…外にはでなかったようだが、その格好でうろうろされると流石に…
しかも笑顔がこぇぇ…なにも言ってこないし…
『励ましただけだ』とはやてに説明させなかったら…
…いや、ロングアーチと連判ではやてに説明するように頼んだんだけど、胃に穴が開くって…
…まあ、まじめな話、なにかあったと思ったんだろ、出て来たはやてがなにか吹っ切れたような顔してたし
それを家族である自分にも内緒にするのが気に入らなかったんだろうけどー…
まあ、娘には出来るだけ裏側とか見せたくないんだよな…教えたくはあるんだけど、『こういうこともあるんだよ』とはね
そのへん汲んでくれて、逆に俺だけに重荷を乗っけたくないんだろうな、娘も大人になったし…まあしょうがないか、俺親なんだし
「そういや今回ははやてのとこ泊まるのか?」
「いや。アリサちゃんのとこに間借りすることになっとんで」
たのしみやなぁ、とはやて部隊長
だが俺は知っている、こっちでホテル借りる予算、一応確保していたことを…子狸め…!
「んじゃあアリサとすずかは合流するのか…まあじゃないとアリサがバーニングだろうけど…そしてしわ寄せは俺だな」
「しまった…それもアリやった…!」
「死ねばいいのに」
無論、すずかモードである
「うへえ…終わった終わった…」
「おつかれ、って山本先生殆ど食べてなかったけどよかったの?まあ私にはどうでもいいけど」
ツンデレか!
とつっこんで話を大きくしないくらいにはアリサ扱いに慣れた
「ツンデレか」
「なななななにいってるのよ!」
慣れてなかった
「ま、まあいいけど…あ、すずか」
「こんばんわ、山本先生」
「はいこんばんわ、でももう先生ってやめてくれない?二人とも」
「いいじゃない、私らにとっては先生って接点が最初一番なんだし」
「なのはも変わったしさ、一時期『正さん』って呼んでたくらいだぜ?」
「仕事仲間だからだとおもいます、それに一年くらいで戻っちゃったし」
「まあ、いいけどね、ほら、デザート配ってくれないか、女性向けにタルトにしたんだけど、なのはのお土産もあるけど、別腹だからいけるだろ?」
無理ならエリオとヴィータとスバルに食わせとけ、と指示をだして持っていかせる、タルトは切り分けるから量を個人で決めやすいかな?と思って選んだ
…やれやれ、やっとバーベキューも終わりか、なかなか面白かったが
シャマル包囲網とか
こっそりレアスキルの炎熱変換をしてるシグシグとか
ほろ酔いでソニックフォーム発動した愛娘とか
それで引くみんなとか
馬鹿みたいに食うスバルとエリオとか
結構大人なヴィータとか
少し困った顔のなのはとか
…ってなのはどこだろ?デザートを食ってないけど
「お、いたいた、魔法なしでこんなとこ登ったのか?」
「にゃはは…実はちょっと…内緒ですよ?」
「ま、登れないこともないしな、だまっときゃいいけど」
カラン、とグラスの中で氷を回す
「これは…?」
「もう0時過ぎた。お前オフだからな、これくらいの飲酒はいいだろ」
「えっと…どうやって屋根の上に?二個も」
「秘密だ」
「…だから!もっとティアナも自信もってね!」
「うんうんわかる、訓練付き合ったことないけど、スターズと」
「でしょ?だからもっと自信もって!間違いなく光るもの持ってるんだから」
「…絡み酒だったか…」
ちょっと失敗、てへ☆
…じゃなくて!
「まあいいけど…そろそろ寝ようぜ、一応いつ見つかるかわからんし」
「だいじょーぶ!もう夜だし!」
訳わからん
「…まあ、いいか…消音の結界張っておいたし、はやてに許可貰ったし」
はやても微妙になのはが張り詰めてるのがわかったのか二つ返事で許可だしてくれた
『落とすんなら、ユーノ君に報告かんがえとかなあかんよ』
…いらん世話である、それより翠屋さんのほうの報告んが問題だっつーの!
なにあのスーパー地球人的な戦闘部族、普段着に鋼線とかありえねぇ…
「はぁ…お前も溜まってるな…」
「ん…」
などと考えに没頭していると、眠くなったのかふらふらと頭をゆすり始めた
「…おい、なのは、寝るな。寝るならベットいけ」
この時間だと同室のフェイトの部屋に送らねばならん
それは許して欲しい、ぶっちゃけ送り羊になる
…意味はわかると思う。
「ん…ねえ、先生。私、いい子だよね」
「ああ、いい子だよ」
先生、か…懐かしいな、なのはに言われるのは
魔法少女ってやつになった頃と、なのはの事故のあとあたりだな、言われてたの
「だから…大丈夫だよね…」
なにが?
「私…嫌われたり、してないよ、ね」
「ん…」
酔っ払いに説教するのは俺の趣味じゃない、だから頷くだけにしておく
だがまあ、みんなには好かれてるんじゃないかな?
「嫌われてないかな…先生に…」
俺かよ!
「…先生に…私のせいで寝込ませちゃって…私が体調管理が…悪いのに…みんなには…いつも言ってるのに…」
体調管理いいだしたのは事故の後だろ、いい感じに意識が混じってるな
「ねえ…私怖いんだ…一番怖いんだ…みんなの真ん中の…先生に嫌われたら…」
「いい、いいから寝ろ」
寝ろ、そんな告白、起きて素面でしろ。じゃないと対処しきれねえよ、もうフェイトの蜘蛛の巣でも送ってくよ!
俺だって万能じゃねえ、無理な事だっていっぱいあるんだからさ
「ねえ、嫌いじゃないよね…そういって…私…怖い…」
くそったれ、なんでこう俺の前ではしおらしいんだよ!どっかの誰か!もうちょっとエースを労われよ!くっそう!ああもう…!ちくしょう!
ああもうなんていうか、いやなんていうか分かってるんだけど!
「…酔い、醒めたか?」
「…うん…はい」
「そっか、なら戻ろうか」
「うん…戻ろ」
『戻る』…いろんな意味で、いつものみんなの寝ている日常に戻る
「…俺はお前を嫌ってなんかいないよ」
「…うん」
「わかったら、なのは一等空尉殿、降りるぞ」
「…今はオフでしょ、だから…もうちょっと…終わったら」
肩を寄せ合い、カラになったグラスが月光を反射している屋根の上でゆっくりと。唇を震わせて続きを紡いだ
「…終わったら、戻るから…もうちょっと、確かめさせて…」
今だけでいいから
「…タバコ、くさい…」
「バーボンの味しかしねえよ」
明日から空に『戻る』
そんな地に戻れない道を歩み続ける白いエースを、ほんのちょっと休める止まり木くらいには、俺だってなれると思う
「…だが、今回限りだぞ?」
「…わかってるの、んー…今度はグリフィス君あたりに頼むの、予定は未定だけど」
「地味にロックオンかよ!」
「私はこれがバレたらフェイトちゃんにロックオンだよ!」
ちなみになんて言うかは分かってるよね?
『毒を食らわば皿まで』
あとがき
期待通りなのはやってみた
PS ちょっと山本に殺意感じる作者がいる
PS2 XXX版を一話書いてみた、投下するまえに推敲…これはないわぁ…没
PS3 ちょっと山本とおはなししてくる、拳で男のやつを夕日の似合う川原で