「んー…これは…」
「無理…ですよね?」
「きびしいなあ…」
「?なにしてるの?おとうさん、なのは」
「ああ、この請求書をな…受理してくれなかったそうで」
「?それで?」
「んで俺経由で頼め直せないかって」
「それはわかるけど…なんで父さんが?」
「…書類と事務仕事が段々俺窓口になってきてて…」
「…父さんかわりに訓練からにげてるからじゃ…」
「いうな、てかこれが正しいんだよ、基本的に俺武装部隊に登録してないんだし」
「んー…でもエリオと、特にキャロがかなりしぶとく動けるようになって来てていい感じなんだけど…」
「フェイトだって俺が教えたじゃん、お前教えろよ」
「わ、わたしはほら、どっちかというと特殊だし!スピード重視で!」
「フェイトちゃん…教導してる身でそれはちょっと…それよりやっぱり無理ですよね…」
「そ、そういえば何買ったの?…うわあ…この金額…」
「安い軽自動車一台分はアリエナイだろ…いくら任務で使うからって『ドレス三着』で…」
――――父と少女達の憂鬱――――
「まあ、流石にやり過ぎだ、ドレス以外も入ってるとはいえちょっとなぁ、これは…」
たしかホテルでの警護だっけ…?詳しく知らないんだけど、仕事忙しくて
「うう…シャマルさんが張り切りすぎて…」
「吊るしだとはいえ…アクセも高そうだしなあ…制服にしろよ…」
なのはは思いっきり申し訳なさそうにしているが…どうすべえか
「ねえ、父さん、これ返品したほうが…」
「なんでも一度袖通したそうでな。ったくまた裏で子狸が糸引いてそうだ…」
もうあいつの金でいいじゃんか…
「うう…私がシャマルさんにまかせたばっかりに…私が選べば…」
「「それは止めたほうが」」
娘と二人で突っ込む、休みが殆どなくて。休日寝るとかばっかりのワーカホリックに任せるのは流石にきついだろ
「うう…フェイトちゃんまで…」
見事なorz
「いいかげんまともに休み取れ、趣味の一つもない青春時代ってどうなのか?」
「私は結構服とかには父さんから言われて気にしてるけど…」
こいつもなのはの同類だからな
「はぁ…しょうがない、ウチで引き取るよ。ただし、使った後俺が処分させてもらうぞ」
最悪六課でカンパだな
「…でもいいの?負担になるんじゃ…」
無限書庫時代の蓄えがまだあるしな、気にするな
「いいよ、どっかで買い取ってもらって帳消しにしとく、取っときとかったら自腹切るように」
「私はドレス着ないから…いいけど、フェイトちゃんはどうするの?」
「あ、私のもあるんだ」
「うん、私とはやてちゃんとフェイトちゃんのなの」
「んー…着てみてからかな?あと父さんサイズ直しをおねがいね」
「いいよ、フェイトのなら目をつぶっても直せるしな」
「え?そんなことしなくてもシャマルさんは身体データみて買ってるよ?」
それにドレスだからそんなにはサイズ気にしなくても、となのははいうが、甘いよ
「脇とかな、閉めると結構違うよ。ウェストだけじゃなくてバストとかも強調される」
「…!わ、私もお願いしてもいいかな!?」
…一応女の子だったんだ…などと地味に失礼なことを考えつつ請け負った
「さて…今日は…お?スバル?」
「あ!ヤマモトさんいた!」
とりあえずひと段落ついたんで飯にしようかとしていると、廊下でスバルにあった
「ん?ティアナは?ガチな間柄だから離れないと思っていたんだが?」
「?ガチって?」
「…すまん、意味わからなくていいから謝らせてくれ」
「?」
そのまま純粋なまま育ってくれ…
あと帰ってナカジマのおっさんに聞かないように、俺が殺される
「で?どうしたんだ?」
「あ!ヤマモトさんに聞きたいことがあって」
「んー?教導はライトニングだけだったし、なんだい?」
スターズまで手がまわらないっていうか、正規の教導員がいるのに口出ししたくないし
「えっとですね…このまえヴィータ隊長に聞いたんですけど、強いらしいですよね!」
疑問系と断定を一緒に使うなよ、てかヴィータか…
「この前も引き分けだったそうですし!」
…いや、それはいいんだが『挨拶』とか話してないだろうな?
最近俺…ガード低い気がするんですが…ああ…溜まってるのかなあ。またユーノとかと一緒にいくかなあ…
「それでちょっと私にも教えて貰おうかと!私も接近戦でもっと手数の多い相手とかとやってみたいですし」
「それならシグナム隊長がいいと思うよ。俺は我流だし、高速移動で離脱とかが多いし」
いやもう、ぶっちゃけシグシグには勝てないっす、足止めてやりあったら100に2回くらいじゃないだろうか?勝てるの
いや…俺のペースでも2割行けばいいとこだろうけど
「んー私の戦い方だと、その、高速離脱に弱くって…」
あの、シューティングアーツっていうんですけど、ガンガン動いてこう、ガ―――!ってやる戦法なのでっと説明するが
擬音で喋るなよ…本当にこれが陸士訓練学校主席か…?
「ならフェイトにたのめ、あれは本当に目で追えないくらいはやいぞ?」
「それが…最近ライトニングに掛かりきりですし…合同の模擬戦だとガジェットばっかりで…」
…まあ俺が訓練から離れたってのもあるんですが…あんだけはやてに啖呵きっておいて動いてないしなぁ…どうしよう
「それでちょっとお願いしようかと」
「まあ、一度くらいは…俺底浅いから一度だけでいいだろうし、俺の方が近接付いていけないと思うけど…でティアナは?」
「ティアナは自主訓練です、接近戦より射撃スタイルなので」
「…俺、元々射撃と近接の併用だけど?」
「そ…そうなんですか?副隊長曰く『あれと殴り合ってるとムカつく』っていってたんで…」
…いいけど…ヴィータ…どんな風に俺のこといってるんだ…あとで舌入れるぞ…!
「まあ、相棒の戦闘も見といていいだろうし、ティアナもよんどけば?」
「あ、はい!今デバイスでよんどきました!」
…今?
「…なあ、今からなの?」
「ええ!お昼から15時まで自主訓練なんです!午前中の座学の消化のために」
「…こいつ…人の都合かんがえてねぇ…!」
「え?だって今日は訓練もなくて暇なんじゃないですか?ライトニングはフェイトさんですし」
…本当に主席か?てか部隊にいたんだろ?事務とか面倒なのわかってる?
この前の事件の保障とか色々まだ残ってるっていうのに…列車とか保険がすごいんだぞ?
「いい…もういい…なんていうか、諦めた…あとで終わらせる…」
ああ、午後からの仕事の分は残業でなのは呼んじゃる…明日のしごきはヘルモードでやるようにいいつけちゃる…!
「あ、師匠いいんですか?こんなに急に呼んでしまって…」
ティアナ、なんていうかおじさん惚れるかも…スバルと違う意味でそのまま育って欲しい…
「ったぁぁぁぁ!」
「おせえ、っててことはないけどかわかりやすすぎ」
圧縮しといた魔力弾を、ひょいと避けた後ろにサイドスローで投げつける
「んのぉぉぉぉぉ!」
それを流石に繰り返しているから後ろも振り替えずに左右に振って避けるが
「…その程度の速度と旋回半径で誘導弾避けれるか」
「いたっ!」
フェイトとやってる俺だぞ?読めるってーの。あれは正に閃光だぞ、逆とかにすげえ速度で動く
まあ。スバルのバリアジャケットは抜けても一撃では倒せないんだけどな、俺では
「くのぉぉぉおおぉぉぉ!」
あー高速でぶんぶん動くからドップラー効果がすごいなぁ
「…師匠、飛ばないんですか?」
「あれ見てみろ。どう考えても3次元で戦ったほうが向いてる戦い方だぞ?付き合うヤツは馬鹿だ」
ちなみに後ろはビルだ、あっはっは。たまにビルに飛び込んで後ろからこようとするが、視界からスバルが消えたら即離脱、鬼である
ちなみにスバルの動きは…あれだ、戦闘機のドッグファイト、あれみたいな感じ
「なんていうか…陸士らしくないよなー。まあ有効ではあるが」
「師匠…犯罪者側の戦法っぽいですよ、もっとぶつからないと」
「だって無理無理、あんなブロークンなマグナムくらったら俺一撃で死ねる」
デバイスのギアが回転とかしながらすんげえ魔力集中させて、すんげえ速度でくるんだぞ?普通に死ねるって
…てか、非殺傷とかこれ意味あんのか?自動車とかレベルの速度で重さ50キロとかの物体がぶつかると内臓とか原型留めていられるんだろうか?
…軽く計算して㌧単位だと思うと避けるのにさらに集中できるよね☆
「…しかしタフだよなあ…ランク高い魔導師だとこんなもんだけど」
魔力削る戦いだからね、おおざっぱに言った非殺傷での戦いって。だからシグナムとの初戦では非殺傷を切ったわけで
「んーまあそろそろ終わろうか、スバル、終わるぞー?」
「まだです!まだ負けていません!」
「…どんだけ人の言うこときかないんだ…」
「すいません師匠…いつものことなんです…」
ああティアナ、君が悪いんじゃないから、うん、君は何も悪くない。マジその普通の感性を大事にしてほしい…!
「まあいいか、終わらせるのは楽だし、っと」
フラッシュムーブで避けた後、目の前にプログラム操作画面をだす
ここの午後からの訓練はなのはだったが、ステージ変更の為に俺の教導用のIDでここの設定を行った。つまり
「…AMF、全域作動」
「うああああウイングロードがぁぁぁぁ!!」
ちゅどぉーん
…ビルと熱いベーゼ…頑張れー?相手はお堅いぞ
「おー…生体反応あり,生きてるんだなあ」
「…師匠、鬼ですね」
馬鹿、俺が勝てるっていえばこういう方面ばっかりだぞ、模擬戦のときに『パンツ見えてる!』とか叫ぶのは基本だ
まあ、ここの訓練施設にAMFもどきを展開できる機能があってよかった…ガジェットとの戦闘想定だし、スバルもさすがにいきなりでしかも疲れてたしな
反応できまいて、くくく…
「本当に鬼ですね…まあ、相棒の弱点がわかったってのは勉強になりましたし」
「逆に言えばな、スバルみたいな機動型とティアナがやるときは出来るだけこういう戦い方すりゃあいんだけど」
「んー…でも私は師匠みたいにフラッシュムーブとかないですし、やっぱり厳しいですね」
そのあと限定空間での指揮とか、高速移動のコツとか有意義な話していると
「…ひどいよティア…」
「ああ、スバルお帰り」
「あーあー…またシャワー浴びないとだめねなにやってんの?」
「ううう…」
「ま、これで教導としては終わりだ、もう俺も仕事残ってるから帰るよー」
「あ、すいませんでした、急に呼び出したりして」
「いいよ、まあ気分転換になったし」
「ヤマモトさん!卑怯すぎです!決着つけましょう!」
「いいよ、今度はスイーツ作りでな」
「ひどっ!勝てませんよ!」
「んじゃあボタン付けかレース編み」
「ううう…35のおじさんに家事で完全に負けてるような…」
一人暮らし舐めるな、あと俺の特技は108式あるぞ
「…このまえフェイト執務官に聞いたんだけどね、普通に裁縫すごいらしいよ…制服とか詰めてもらうと腕とか動きやすいんだって…格段に」
「まあ、俺のは邪道だけどな、やっつけ仕事だし。あんまり誇れないレベルだよ」
お前らも洋裁くらいそこそこできるといいぞ、結構潰し利くスキルだし
嘱託魔導師の時に色々習ったのだよ、あと10台のころにも基礎してたし、孤児院出身なめるな
「まあ、スバル。シューティングアーツは火力を速度でチートする格闘技っぽいからな、フェイントよりも攻撃のバリエーションを増やすといいかもね」
結果的にそれがフェイントになるし
「なのはさんにもそういわれましたが…遠距離とか向いてないです」
「まあ…今はそうだろうが、色々ためすといいだろ?若いんだし」
「そりゃあ師匠からみれば若いですが…もう一人前ですよ」
ああ、ミッドの悪習慣がここにも…
正直、百歩譲って情緒とか育ってるとかいっても…二次性徴とかあるしさ、14つったら終わったばっかだろ?まだ出来上がってないじゃん、体
体できてないと心も出来上がらないって…
「まぁ…体制に反逆とかこの年で考えてないけど…まだ成長する余地は大きいんだ、試してみればいいよ」
はぁ、と、気のない返事を受けつつ納得してない二人を残して。残った雑務で俺の頭の中はいっぱいだった
だからまあ、あの事件は俺のせいでもあると、誰が言っても俺は思うわけだ
あとがき
んーまあ今回は糖分カットで。でもキスはした、スバルとビルだけど。
PS ティアナとかと相性良さそう、とこれ書いててふと思った。
落としていいですか?
PS2 そろそろ脳内ストック終了、更新速度は遅くなると思います