「で、お前は何をしているんだ?」
「いや、現場検証、俺がここ担当してたし。お前もだろ?シグナム」
「そうではない、お前はなのはやテスタロッサを励ますのではなかったのか?」
「知るか、隊長だぞ?そんくらい出来なくてどうするよ?」
「…お前、甘いときと厳しいときのギャップが激しいな」
「馬鹿、普段はちょっとガード甘いだけだ。こういうときに厳しくしとかないと育たないよ」
「…そのくせ立ち直ったらただ甘のくせに…」
「親ってのはそんなもんでいいだろ?まぁ、頼ってこられたら答えるが」
「よくわからんが…そういうものか?」
「そんくらいでいいのよ、で。ティアナは?」
「気もそぞろだったのでな、病院のほうに行かせた」
「まぁ…対面だけでも繕えないとなぁ…」
「そういう意味で言ってないのだが…ああ、あと主は発破をかけてくれたそうだな」
「ん?やる気は元からあったし、ただのきっかけだよ」
「まあ、それはありがたいのだが…ちょっと行き過ぎたようだ」
「…まあ、分かるよ…」
「…いきなりクロノに通信してアースラを引き取るって言い出したときはもう正気を疑ったよ…そりゃあ手に入れやすいし、拠点は必要だが…」
「処分寸前と言う事は破棄寸前だからな…少なくとも戦闘は避けよう…」
「…知ってるか?はやて、宇宙戦艦ヤ〇トのファンなんだぜ?」
「…単身のこって突撃とか…悪夢だな…」
――――父と事後の憂鬱――――
「で、シグナム。そっちのほうは?」
「うむ、ザフィーラは峠を越えた。シャマル、ヴィータももう復帰している。あとは細かい検査すれば現場に戻ること自体は出来る」
「んじゃ、リィンは?」
「ヴィータを庇って今は調整中だ、だが…大事はない」
「ザフィーラもシャマルを庇ったらしいな」
「ああ、だが…戦闘機人か…強敵なようだな」
「それに…死んだはずのストライカーゼスト、か」
「ああ、私もヴィータから聞いたときは聞きなおしたが…」
「そうか…それではやてはアースラを拠点にしたのか」
「?どういうことだ」
分からないか?管理局で死亡認定でてる、過去の雑誌でしか見たことないが陸でエース中のエース、ゼストのだ。調査はしっかりしてるだろうよ?
それで…でてくるってことはクローン?馬鹿な、身体能力はともかく、技術の全てが聞いていた騎士ゼストの物だったってヴィータいっててか?
少なくとも、そんな技術あったらフェイトはアリシアになっていたはずだ。技術的に進歩して出来るようになった?ありえるが分からないし、それより可能性が高いのは?
「ならば…拉致してスカリエッティが洗脳したか、死体かなにかを蘇生したかだろ?」
クローンにしても過去のデータはあったほうが良いだろう、やっぱり局が関わっていると思っていいしな
「なるほど…ありえそうだな、戦闘機人のことがある、蘇生もありえるか」
「さっぱり技術的なことは分からんからな、どうともいえんがどっちにせよ…管理局が関わっている可能性が高い」
「そうか…たしかに行方不明扱いになっていない。拉致も蘇生も死体が確認できないはずなのに」
「まぁ、考えすぎかもしれんしが、どっちにせよはやては管理局を疑っているな…それ故の移動出来るアースラを持ち出した、か」
たぶん、ほぼ確定で管理局を疑える情報を持ってるだろうな…どんなのか知らんし、一介の陸士とかに話すもんじゃないんだろうが
「こっちの情報が漏れにくい上に管理しやすくなる、か。たしかに人間の移動や情報の出先を判別しやすいだろうな」
そう考えるとアースラを使うのはやむなく、か?
「どちらにせよ…次がある、だろうな」
ああ、ここまで姿を出してきたんだ。いくら陸が人手不足で協力的じゃないとはいえ…アジトが見つかるのも時間の問題だろう。ならば
…次が最終戦だな…
「お?」
シグナムと別れて隊舎内をちょっと気になったことがあるので回っていたら、誰かが廊下に座り込んでいた
「…なのは?」
「!…山本…さん?」
その手にはヴィヴィオがお気に入りだった小さなウサギの人形が…焼け焦げた人形があった
「…なのは…」
「…山本さん…私…私…」
守れなかった…と涙を浮かべながらぽつりと呟いた
「そうだ、な」
「…私はいつも…魔法がちょっとうまいだけの…ただの人だから…」
「そうだ、な」
多少じゃないけどな、空気読めるから言わないけど
「いつもいつも…失敗ばっかりしてる…フェイトちゃんの時も、最後に心を救ったのは山本さん。はやてちゃんの時だってそう」
いつだって、私は最後に救えなかった
「…そうか」
「ヴィヴィオも…やっぱり救えなかった…懐かれたから…いい気になって母親代わりになんか名乗りでて…」
やっぱり…やっぱり…
「最初、ヴィヴィオに面会に行く前に思ってた通り。山本さんに、預ければよかった、な…」
「んじゃそれ、ヴィヴィオの前でいえるか」
ああ…コイツの悪いとこが…なのはって見えないとこで落ち込むんだよよな…なんでかそういう場面によく会うから分かるけど
「フェイトやはやての前で言えるか?『私なんかいなくていい、いないほうが良い』って」
「…」
反論するだけの元気もないか、重症だな
「なあ、PT事件だって、闇の書事件だって、お前がいなくちゃ始まりさえしてなかったさ。俺なんか闇の書の時なんていってたか知ってるか?」
「え…?」
「フェイトに聞いても良い『面倒くさそうなんで、逃げていい?』だぞ?なのははやられてたけど、後遺症とか出ないって聞いてさ」
だって、それなら休ませるだけでいいじゃん、次元世界で有名な事件とか誰が進んで関わりたいかよ!フェイトだってまだギクシャクしてて大変な時に
「それは…」
「いつもいつも…解決しようとしたのは…なのはなんだ、俺やフェイトは『お前』がいるから手伝っただけなんだ」
分かってるか?
「PT事件だって、お前が教え子で。フェイトを知りたい、友達になりたいって言うから手を貸したんだ」
俺みたいな面倒くさがりがそんなでかい事件で好き好んで前にでるかよ…まあ、闇の書の時はあとから地球にアルカンシェル撃つとこだったって聞いて冷や汗かいたが…
「でも…私は…」
「なあ?今さ、ギンガとヴィヴィオがさ、攫われてるんだ」
「…はい」
「殺さず攫った、公開陳述会の方でも死人は少数でもでてる、なのに殺さずに、だ」
なら、その手間をかける理由は?六課は特にヴィヴィオ以外に目的ないようにすら見えたその理由は?
「…!生きているんですよね、まだヴィヴィオもギンガさんも!」
「可能性は極めて高いな」
間違いないだろうよ、あの火力と戦力あればもっと六課を楽に倒せたはずだ、遠距離からぶち抜くとか。しなかったのはヴィヴィオを探すためだろうしな
「どうする?俺にまかせてなのはママはお留守番か?…言ったよな?大人なら責任持て、って」
エリオ達にも言葉を変えて言い続けてきた、管理局に正式に入る時だって、自分で決めたなら最後まで責任もて、と。社会人になったら大人なんだぞ、と
「…エースとかSランクとかSSとかどうでもいい、高町なのは。お前はどうしたい?言っとくが、返事しだいでは考えがあるぞ」
ああ、そりゃあもう、全部ぶちまけて魔力封印して20歳だろうと高校からいかせて、地球で普通に過ごさせる!
…士郎さんとか桃子さんとかにぶちまけてな!
「…私、ヴィヴィオを救いにいきたい。こんな、拉致なんか許したくない!きっと泣いてるヴィヴィオを笑顔にしたい!」
「そうか、そうだよな。それがなのはだよな」
ああ、これがいつも俺に、ちっこいのにがんばって背中見せてたあのなのはだよな…
「んじゃあ、いこうか。はやて達にも聞いて方針決めようぜ」
「…はい!」
で、一日終わればいいのにその日の深夜、いきなり自宅をなのはが襲撃してきた
「で…これか」
「う…すいません…」
「…おまえ裁縫くらいできろよ…」
あの焼けてしまったウサギの人形を新しく作りたいと挑戦したのはいいんだが…
「…指を刺すってのは想定内だったが…なにこのエイリアン…」
半分出来上がった人形はなんていうか…まあとりあえずそれは耳じゃないと思うぞなのは、それは頭部に付いてはいるが、もはや腕だ
「…白いアリ?いやヴィヴィオがこれ見たら泣くんじゃないか…?」
「…うう…」
「いいよ…現物見たことあるから、俺作っとくよ…」
「すいません…新しいのかってあげようとしたら。売り切れてて…」
はぁ…またもやエースオブエースの伝説が増えそうだ…
あと、『山本さんって、子供の扱い凄く得意ですよね?』って凄いいい笑顔で言われた。
…裏がないと俺は信じている
あとがき
六課襲撃の後日談、フェイト、はやてときたんでなのはって見ました!
PS さて、ノルマ達成。ディスなガイア2をやろう…とりあえずレベル500までは…
PS2 最終戦以降はやっぱ外伝で書いたほうがいいですかね?
PS3 間違って全消去してしまいました、ご感想下さってた方々申し訳ないです