「あ、スバル」
「ヤマモトさん?珍しいですね。こんな朝早くからなにを?」
「ああ、一応な、本人の口からもきいとこうかと」
「陳述会の事ですか?」
「いや違う…エリオとキャロは退院したよな」
「うん、ヤマモトさんも聞いてるでしょ?」
「ああ、フェイトから聞いた、今日の晩はご飯作ってくれないかなっていってたな」
「いいなぁ…ここのご飯おいしくないんですよぅ」
「病院になに期待してんだよ、ほらチョコムースケーキ。皆には内緒だぞ?こんだけしかないから」
「うわあ…!おいしそう!私一度でいいからホールで食べたかったんですよ!」
「…俺のは無しか。まあいいけど」
「いい匂い…チョコだ!」
「カカオ分が多いからな、まあ期待してくれ…ってもう食べてる!?」
「おいし――――!」
「…いいけどさ…で。聞きたいことなんだけど」
「ふぁい?」
「お前の体のことだ」
――――父と機人の憂鬱――――
「報告書みて分かったんだけどな、申請書に機械が入ってれば誰だって気が付く」
「…そう、ですね」
そういうと今までずっと動かさなかった左手をゆっくりと動かす、微かなモーター音がして機械だと分かる
「気にするな、とは言わないし俺も今まで知らなかったし。あぁ、かまわんぞ、誰だって隠しておきたい事くらいはあるだろ?」
はやては今まで隠してきたのに今おれの所に書類がある、これ以降は公開していくつもりなんだろう
「でも…」
「いいんだ、てか仲間とはいえ個人だからな、どうしたって隠し事くらいはな」
俺なんか一杯である、古いのでは『フェイト女の子になるの巻』とか…アルフは当てにならんし、薬局で何買えばいいか…いやもう恥ずかしかった…最近の事は…うん、いいよな
「すいません…でもヤマモトさんは知ってると思ってました」
「いや、そのへんの書類とかははやてが出さなかったからな…まあギンガの事とか、お前の事故で隠せる範疇から出ちゃったし」
あの怪我で、腕の中に機械があるの映像ででちゃったし。流石に隠せないよな…
「で、一応この書類で確認をして欲しいんだよ、担当のマリエルさんは忙しいし…」
「あ、はい…」
「まあ、ここ来る前に連絡したら数日で直るって言ってたし、休暇だと思ってゆっくりな。書類はそんときでいいよ」
「…ヤマモトさんは…何も思わないんですか?」
「あー…体のことか…」
ああまあ、想定内だなぁ…子供のころってそういうの結構気にするし、大人になると正直諦めるっていうか…そこそこなれるけど
「思わない、ってかいいとこ…『あのタフさと馬鹿ちからはそういうことか』って思っただけだな」
「そ…の程度ですか?」
「おまえら子供は客観的に見れないのが悪いとこだよな。じゃあ聞くけどさ、実は俺。サイボーグなんだ」
「えぇ!」
「まあ、左腕だけだけど」
しかも骨の一部だけだけど、まあ嘘じゃないよな?サイボーグとかって体に無機質いれることだよな?…よくしらないんだけど
「それは…でも私は生まれつき壊すために作られたんですよ」
「んじゃあ、デバイスと同じだなぁ…おや?ヴォルケンリッターはお前以下か、なにせ生命として誕生すらしてない」
「あ…でも隊長達は人間ですよ!」
わけわからん、矛盾してるってわからんのか?デバイスに相棒って言ってる時点で答えでてるだろ?
「それならお前も同じだろ?…まあいいとこ…そうだな、お前と付き合った男が困るくらいか?」
「え?」
「そりゃあもう恋人とかになったら色々と体は気になるだろ?」
げっへっへ、と笑いながらいうとシーツを即たくし上げて胸を隠しやがった
ちょっとショック
「…まあ、その程度だよ」
だから俺は関係ないさ、と続ける
「…そう、ですか?」
「ぶっちゃけな?お前が少々強いっていっても脅威とか感じないんだよ。街中で暴れられたら怖いとかも思わん」
「それも…ちょっとショックかも…」
馬鹿、なにいってやがる
「フェイトとなのはが暴れてみろ?お前ぐらいで勝てるもんか」
「…なんだろう…いきなり戦闘機人な危険性が薄れていくような…」
ぶっちゃけ、せめてあのクラスで強くないと戦闘機人だけを危険視できねえって
「それでも!私はお母さんから生まれてない!人じゃないんです」
「…デザインベイビーね…まあこれからは例えとして聞いて欲しいんだが」
そしてゆっくりと話し出した。愛娘の事、勿論名前は出さないが分かるとおもう。本人に承諾とってないからこれくらいだろう。ま、笑って許してくれるだろうがな
「…そう、だったんですか…」
「一応いっとくけど、フェイトじゃないかもだぞ?俺の娘とはいってないからな?『俺の知ってる娘』だぞ?」
「…嘘、思ったより下手ですよね。ヤマモトさん」
なんでか皆に言われる。やっぱり体が若いからかなあ…?反応しやすい気がする
「まあ、それでもあいつは頑張ってる」
「そうですね…もう乗り越えたんですね」
「いや?色々といまだに不安は多いよ?」
いいたくないが、お前も死ぬまで不安は残ると思う
「え?でもフェイトさんそんな風に見えませんよ?」
だからフェイトじゃないかもって…いいけど
「んー…まあそろそろいいか、スバル、お前さ。子供とか…欲しいか?」
「え?!ちょ!ちょっとヤマモトさん!いきなりすぎですよぅ!そんな…フェイトさんとかなのはさんとかティアに悪い…でもあのその」
「…何を動揺しとるか、そうじゃない。体のことだ」
「で…出来ますよ!ちゃんと調べてもらいましたし!マリエルさんとかティアに!」
…マリエルさんは兎も角、ティアナに何を調べてもらったか具体的に聞きたい
「まあ…できるとかじゃなくてな…あー…妊娠出来るか、って話さ」
「あ…それは…マリエルさんは出来るようにはなってるって言ってました、ちゃんと機能してるって」
「だな、まあ例えでだした娘もな、機能はしてるんだよ。でもさ」
不安に、ならないか?
「受精までは出来るだろう、でもそのあと育つかどうか、それに生まれても奇形児かもしれない…そんな不安がずっとあいつには付きまとっている」
少なくとも、フェイトはそのことでずっと悩んでいる。夜なんか泣いてたときもあった、普通の体に生まれたかったって
「…」
「あいつはクローンだからな、色々と不具合が出るかもしれない、でもさ」
だからこそ
「お前達は精一杯生きろ、好きな男が出来ても、そんな不安はついて回る。それでも生きていくんだろ?ってかな」
それくらいのハンデ、世の中にはいっぱいいる
でもその分、お前たちを守ってくれる人とのつながりはでっかいだろ?
「ハンデあっても変わらなく付き合ってくれてる人々をお前は捨てるのか?そのままのスバルを支えてくれてるんだぞ?」
お前はな、なんだかんだいって恵まれてるんだぞ?体のこと知ってもちゃんと付き合ってくれてるだろ?
「…私、恵まれてるんですか?」
「ああ、少なくとも。そんな体だから出来た絆もあるだろ?いいじゃんか、普通の生活は望めなくても、スバルの生活が待ってる」
誰だってそうだ、コンプレックスくらいある。それがちょっとでかいだけって考えろ
「…そうなんですか?」
「そうだ、じゃなかったらギンガとだって姉妹じゃないだろ?」
「…うん…ギンねえ…」
「ギンガのことは皆で当たることになってる、それにむけてゆっくり休んで飯くっとけ」
ほら、ケーキ、と渡すともぐもぐと食べ始める
癒されるなあ…こう…上目かちにこっち見ながらもきゅもきゅ…ああ、いつもこうだったら…小動物っぽくていいのに
「ねえ…ヤマモトさん。私、普通の女の子になれるのかな?」
流石に食べるところをじろじろと無遠慮に見られるのには羞恥があるのか、顔を赤らめて聞いてくるスバル
「知るか、俺なんかが調べれないっつーの、マリエルさんに聞け」
「…少しでいいから、しらべてくれないかなぁ?」
…いやまあ、14とかの少女の興味とかって侮れないよね?
ベットがあるからって、事に及んでたりはしないゾ?ええ、あくまで触り程度だよ?触り触り、さすりさすり。その程度ですよ?
まあ、励ますより不安にさせてたから…少々挨拶の次を見せてしまった…まあいいけど、俺基本フリーだし。
「ヤマモトさん…」
「こっから先はもっと好きな人が出来たら調べてもらえ」
「…うん、もっと好きになったら勇気だす」
「んじゃあ帰るぞ?ちゃんと寝ろよ?あとこれは内緒だからな?今回だけのサービスだぞ?」
「!うん……」
「ま、数日したら会えるんだし、そんな顔すんな」
「……うん!」
…本気でガードが最近低い気がする…なんとかしないと…ああユーノにでも癒されてくるかなぁ…なんていうか男に頼る時点でだめかもしれぬが…
あとがき
誰も思っていなかったスバルフラグ回収、いやぁこうでもしないと数の子との接点とか出来ないし…どうせ絡むの決戦後だから、山本の性格からして自分から会いに行かないし
PS だが、数の子ENDは書くかどうか未定ですが、まあモブではでるか?
PS2 いやまあ、勢いで書いた。ついに程度でいくとフェイトと並んだ気がする…いやフェイトとそんなことしたこと有るかどうかは皆様にゆだねるけど