「…で、なんでたまの休みに町に呼び出されたんだ…?」
「はぁ…私もよく分からないんですが…」
うん、フェイト。どういうことよ?しかもその場面をサーチャーを使って録画とか…街中でよく許可でたな
「うん、はやてに頼んだ」
「よし、ちょっとここで待ってろ。地上が平和になる為には、狸が居てはいけないと神からの啓示があったんだ」
詳しくは地上というか、俺の平穏の為なんだが
「訓練の一環としてしたんだって、それは兎も角…父さんは気がついてたじゃない」
「いや…俺は魔力に敏感だからなぁ…それにしてもなんでまたその時の映像を見せられるんだ?あの時って何もなかったよな?ティアナ」
「はい…ああ、そういえば」
「卵か」
「卵です」
「なんでそれだけで帰りに寄った特売で卵がすごく安かったことを思い出せるの?!二人して!!」
「だって…なぁ?」
「ええ…でもフェイトさん凄いんですよ?Sサイズでお一人当たり…」
「いいから!もうちょっと二人が周りからどう見えるか分かって欲しいの!!」
…なんだ?今日のフェイトはやたらとテンション高いんだけど…久しぶりに家に顔を出したと思ったら、なんで?
そう思いつつティアナの顔を見ると『さぁ?仕事では変わりなかったんですが、まぁ最近はどうもテンションが高めでしたし。そういえばなのはさんは矢鱈と鬱ってましたけど?』と目で返してくる
「ふむ…二人とも変なのか…」
「だからなんでそこまでアイコンタクトが出来るのよ!現実を見なきゃ!父さん!!」
いや、少なくともお前にはその台詞を言われたくなかったぞ、父は
――――父と補佐官の幻影――――(ティアナルート番外編)
「いいから…一昨日、AV機器に詳しいなのはとダイエットしながら編集した録画があるから…」
「そういえば…痩せたか?具体的には750グラムくらい」
「…父さん…もうちょっとデリカシーを…」
「むしろ師匠、その目はどんなスカウターなんですか…」
「すかうたー?」
「知らないんですか?地球のアニメです、名作だそうなので見てみたんですが…私は途中の強さインフレで見るの止めましたけど」
馬鹿だなぁ、そのへんが面白いんだけど。やっぱり女の子には向かないのだろうか?でもはやては大好きだったけど
特にヴィータとかは凄い喜んで
『スーパーベルカ人!』とか叫びながらユニゾンしてたけど、リインもすっげぇノリノリだったけど
それを見て俺もちょっと羨ましくなったけど…いやぁ、やっぱ男の子としては変身とかには憧れるよね!
「そういえば小さい頃再放送で見たような…」
「まぁそれはいいけど、とりあえずこれ見ればいいのか?」
「うん。そしてちゃんと現実と向き合ってね!」
…お前のテンションこそ現実を見ろ。などと喉まで出掛かったが止めれる俺って大人だな
「じゃあ…スタート!」
『あ』
『ん』
雑踏の中、この前の休みに呼び出された俺とティアナの二人が写っていた。確かこのときは…
「父さん…一応聞くんだけど、このとき何してるの?」
「いつもの服装チェック」
うん、流石に口にだして人前で注意はしたくないし、気になったところを手で直してるところだが?
まず髪型、いつも通りだけど服装とちょっとミスマッチ。フェイトのセンスだろうけど黒が多いのにツインサイドテールは子供過ぎるから、即座に解いて手櫛で軽く撫で付けて大人っぽさを増やす。このとき万が一にも引っかからないようにあくまで優しく、そして髪のクセに逆らわないように頭皮まで指を沈めて緩やかに行う、いつものことなんだけど衆目の中で手直しされるのが恥ずかしいらしいティアナは、顔を赤らめつつ下を向いてしまったが…これはフェイトのせいなんだし、気にするな。と軽くぽんと頭を叩いて慰めてやる
そして服装本体、これは言ったとおり黒で、レディースのジャケットとタイトスカート。多分普段の執務官補佐の時のイメージなんだろうけど、たて襟でカジュアルを出しているのに全体的に硬い感じなので首のボタンを一つ外して軽く、ノータイなのを強調。これも普段のきっちりした服を好むティアナは恥ずかしがるんだが…『こっちのほうが似合ってるよ』と気負わず言うと納得してくれた、フェイトと同じくこの子もおしゃれのセンスは俺に丸投げだからなぁ
「ふむ…こんなもんかな?服自体が結構いいものだかし、ティアナの素材もいいからいいね。うん、いつもより大人っぽくて綺麗だよ、ティアナ」
「もう…からかわないで下さいよ」
「ははは、すまんな」
「…フェイト、どうした?」
なにやら堪えるように床につっぷした愛娘。どうした?
「フェイトさん?」
「ぶ…ぐ…う…ううん…なんでもない…」
「…いやなんでもあるだろ…口とか押さえて…病気か?」
「…今は口を開きたくないの…次を…」
「いや…まぁ見るけど…」
「あ、師匠、次はデパートですよ」
おー時間飛ぶな。確かここは
「軽い食事でも、と食べ物を探してたときですよ」
そっか、そういえば…お、ああそうだクレープだ
「ティアナ、クレープ食べるか?」
「あ、はい…いいですよ、私が払いますよ」
「いや、男女で出かけてる時は男が払えってのが山本家家訓でな」
「もう…いつもそれなんですから…でもフェイトさんやなのはさんと一緒の時は払わせてるそうじゃないですか」
「そうだっけ?んじゃあティアナ専用家訓かもな」
「何言ってるんですか、それじゃあ家訓になってないですよ?」
そうか…ふむ、それじゃあ
「いつも頑張っている未来の執務官への賄賂ということで」
「はぁ…私はそんなもので買収されるほど安い女じゃないです」
「それはそれは…じゃああのストロベリースペシャルでどうだ?」
サンプル食品の上部に鎮座されている日本の円で1000円以上もするそれを指差すと
「う…そ、それは」
うん、やっぱり女の子はこうでなきゃな。俺は予想通りの反応を見せてくれたティアナの額をこつんと突付いてから、こっちをなぜか生暖かい目で見ていた店員さんにオーダーを出すことにした
「…美味しいですね。でも師匠はそんなプレーンでいいんですか?」
「いいよ、ちょっとここの生クリームの味を盗みたかったんだ。テカリといい、柔らかさといい…気になってな」
「ふふ…また二人で作ってみましょう。私もこの柔らかさには興味ありますし」
「ああ、また作ろう…あ、ティアナ落ち…」
流石スペシャル、具が大きすぎて上からイチゴがぽろりと落っこちてしまったので、手のひらで地面に落ちる前に受け止めるとそれを顔で追っていたティアナの鼻の頭にクリームが…
「あ…」
ぺろり。
「うん、ストロベリーソースも旨いな…っとすまんなティアナ、この通り両手がクレープとイチゴで塞がっててな」
そう咄嗟にしてしまったことに弁解の言葉をかけると、ティアナは流石に恥ずかしかったのか体を縮めながら
「い…いいです…けど…人前でやるのは止めてくださいね。こっち食べたかったら交換しますから」
「ん、ソースの味分かったからもういいよ、ってティアナ」
ティアナはいきなり空いていた片手で、風呂上り以外まずなっていない長髪の自分の髪をかき上げながら、俺の手の中にあるイチゴをちょっと犬っぽく啄ばんで食べた
「ん…勿体無いじゃないですか。ほら師匠、食べたかったら変えますよ?それに私もちょっとそのプレーンに興味があるんです」
むう…そう言われると変えざるをえないな、と問いかけると、はいと目で返してきたのでお互いのクレープを取り替える。ふむ、だけどやっぱりプレーンの方がクリームの味が分かるな
「そうですね」
ふむ、同意してくれたので少しここで何が違うのか考えてみるか…
「ああ、グラニュー糖?」
「卵白?」
「あれか?」
「いえあれですよ」
「あー…そういえば」
そういえば言われた通り、この前のフェイトへのケーキ作った時使った卵がそうだったような…確かこのコクはこんな感じだったかも?
「んん…いいな、これは」
「はい、あどうぞ」
「ああ、はい」
流石に値段的に数倍のものを俺の金で買ったとはいえ、食べきるのはちょっと悪い気がしてたので元の通りに取り替えて戻すと、ふとティアナを見るとこの味がかなり気に入ったみたいで、まるで小動物みたいに、仕事中なんかでは絶対見せない、目を細めた笑顔でクレープにかぶりついてた
「ん…なんですか?」
「いや、なんでもないよ」
「?」
「ああ、やっぱり高いだけあって旨いな」
「ええ…まぁそうですけど…へんな師匠」
「…おいフェイト、フェイト、大丈夫か?」
「フェイトさん?!吐く?吐くんですか?!顔真っ赤で何か悪いものでも食べたんですか?!」
「…イッツラブ…」
「え?なんだって?声が小さいけど?」
「…なんでもないの…うん…それより父さん、この映像を見て何か…ティアナも何か感じない?こう…客観的に見て」
いや客観的といわれても…なぁ?本人だし、無理だろ?
「師匠の言うとおりですよ、本人が客観的に見れるわけないじゃないですか、この前のことなんですし」
「ねぇティアナ。今父さん声出してなかったよね?」
「そうでしたっけ…?」
「うん、確か声だしてなかったけど。ティアナの言うとおりこの後見ても感想は同じだぞ?どうしても主観が入るから」
「父さん、ティアナは『そうでしたっけ』としか言ってないよ?この後とか何も」
あれ?そうだっけ?まぁいいけど
「…ねぇ。この映像みても何も感じない?こう…甘いというか、しつこいというか、いっそ殴ってしまいたい的な」
「わけが分からん、てか殴るなよ?お前が本気になったら俺なんか一撃なんだから」
「…本当に分からない?この編集するのに、なのはと一緒にカロリーというかぶっちゃけ砂糖を吐きまくって作ったのに!」
「…何故砂糖だけを吐けるのか」
「器用ですね…」
「…言うことはそれだけなの…?」
「「うん」」
「「…ぶるあぁぁぁぁぁあぁ!」」
「おいどこから出てきたなのはっ!」
「お久しぶりですなのは教導官!ですからレイジングハートをこちらに向けるのは止めてください!!」
「つっかいきなりマガジン部が金色なんですけど!そしてビットは止めろよ!泣くよ?」
「それよりフェイトさん!それ以上脱ぐのは不味いですよ?!それもう紐!紐ですから!せめてライオットのレオタードで我慢してください!あぁさらに魔力が…脱ぐんですか?!最終手段までいっちゃうんですか?!それでもブーツとグローブは脱がないのはどうしてですか?!」
こうして第21回フェイト企画の『父さん、現実を見なきゃ!』作戦はどうも失敗したらしい。いやさっぱり訳がわからんけどな…?
あ。ちなみにこれから一年後にティアナと籍を入れました、うんまぁ年の差とかあっけど。なんていうか世間体とか…あれ?なんでみんな石を…?
あとがき
ゲリラ第一弾、これを読んでからティアナルートを見直すと、フェイト視点から考察できるかも、そしたらどんだけ甘いか…!
PS いやぁギャグ楽しいなぁ!らっくだーーーー!
PS2 しかしフェイトは兎も角なのはも使いやすいな、裏とは違う!そしてついに叫ぶ本家。いや本家って…
PS3 さて、もうちょっとあっちも進めないとな。しかし黒と白、どっちかにぶっちぎると楽しい!コレ、一時間かかってないですよ?楽すぎwwww