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No.7187の一覧
[0] のび太 VS ゴルゴ13[かるめん ](2009/03/14 12:42)
[1] のび太 VS ゴルゴ13 ACT2[かるめん ](2009/03/14 12:44)
[2] のび太 VS ゴルゴ13 ACT3[かるめん ](2009/03/26 23:25)
[3] のび太 VS ゴルゴ13 ACT4[かるめん ](2009/03/26 23:28)
[4] のび太 VS ゴルゴ13 ACT5[かるめん ](2009/03/26 23:24)
[5] のび太 VS ゴルゴ13 ACT6[かるめん ](2009/03/30 01:22)
[6] のび太 VS ゴルゴ13 ACT7[かるめん ](2009/04/06 01:48)
[7] のび太 VS ゴルゴ13 ACT8[かるめん ](2009/04/14 00:27)
[8] のび太 VS ゴルゴ13 ACT9[かるめん ](2009/04/24 01:18)
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[7187] のび太 VS ゴルゴ13 ACT5
Name: かるめん ◆6f070b47 ID:53a6a4cf 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/03/26 23:24

(月刊GunSmith 誌20XX年4号より抜粋)
 
『GunSmith誌記者』
みなさま、今日は。私は現在、銃メーカー「サンダース&マクドナルド社(以下S&M社と記載)」の新製品の取材に来ております。
かの高名な護り屋ピースメーカーを特別顧問に迎えて、開発されたという今回の新製品。
「ショックガン」と名前はシンプルながらも、その性能は実にエキサイティング的なものでした。
カラーページで、すでに御覧になったと思いますが、最新のボディーアーマーに身を固めた元海兵隊の私がショックガンの一撃でいとも簡単に気を失いました。
ここで、S&M社のモーリス開発部長に、ショックガンの長所について簡潔に説明していただきましょう。
 
『モーリス開発部長』
ショックガンの威力については、記者さんが今、ご自分の体験を交えて語ってくれたので、私はそれ以外の長所を三つにまとめてお話しましょう。
一つめは命中性、ショックガンは従来の銃器と違って光線を発射します。光は鉛玉のように放物線を描いて落下することはなく、直進します。
もちろん、撃ったときの反動で手がぶれることもありません。
二つめは軽さ、ショックガンは強化プラスチックの部品を数多く使い、重量は従来の拳銃の半分以下。
女子供でも簡単扱うことができて、長時間射撃姿勢をとっても腕が疲れることがありません。
三つめは装弾数、ショックガンは弾倉の代わりに充電式のエネルギーカートリッジを使っております。
射撃回数は拳銃の比ではなく、電気のあるところならどこでも充電をすることができます。
 
『GunSmith誌記者』
聞けば聞くほど、革命的な性能ですね。
唯一の欠点は、人を殺せないことぐらいでしょうか?
 
『モーリス開発部長』
リミッターを外せば、殺傷力の問題も解決しますが……。
ピースメーカーも、私たちも人を殺さないことが、短所だとは思いません。
テロリストたちが、女性や子供を構成員として、利用することはよく知られています。
彼女らに対して銃を向けることの心理的な抵抗が、より大きな悲劇が起こすことは珍しくありません。
標的を傷つけないショックガンは、優しい兵士たちから引き金を引く躊躇を取り去るでしょう。
それにストッピングパワーに限って言えば、ショックガンは従来の銃器に劣るどころか、大きく凌いでいますよ。
近年、人工義肢や遺伝治療の発達による犯罪の凶悪化が社会問題になっております。
しかし、ショックガンは標的の神経をかき乱し、体格に関係なく無力化します。
野獣並みの生命力を誇る獣化兵や建築用の重サイボーグといえども、この銃の前には沈黙あるのみ!
もちろん、貴方が体験したとおり……

生身の人間がいくら体を鍛えたところで、ショックガンの一撃に耐えきれるものではありません。
 
 
 
  のび太 VS ゴルゴ13
 
    ACT5「銃口」
 
 
 
ショックガンの青い光が指先に触れた瞬間、衝撃が猛毒のようにゴルゴの全身を駆け巡った。
肉体は硬直、神経は迷走、精神は真っ暗な闇へと転がり落ちていく。
しかし、弾丸にぶつかって光線の威力が半減していたことが、ゴルゴに瞬き三回ほどものを考える時間を与えた。
 
一人の女の顔が、光の速さで脳裏をよぎる。
その名は、エフゲーニャ・アンドレーエヴァ、通称アンナ。
まだ世界が冷たい戦争をしていた時代、KGBのエスパー研究所に所属していた超能力工作員。
彼女の能力に対抗するために身につけた技から、ゴルゴはこの窮地を脱するアイディアを得た。
 
あたかも激流にもまれる一枚の木の葉のごとく。
ゴルゴは目をつむり、押し寄せる青い怒涛に身を任せる。
心はヨガの達人のみが達しうる精神の秘境に滑り落ち、身体は重力に引かれるまま、床へと沈んでいった。
 
落ちる。ゴルゴの体が落ちていく。
倒れる。ゴルゴの体が倒れていく。
あと数ミリで地面に口づけしそうになったところで、二人の戦いが始まった時に天井からこぼれおちた水滴が床で弾けた。
 
 ……ぴちゃん。
 
突然、ゴルゴが目を見開いた!
テレパスで殺気を察知し、狙撃を妨害する超能力者に対して、ゴルゴが取った対策は、ヨガの瞑想で意識を消し去り、後催眠で瞬時に肉体を活性化させて放つ刹那の一撃!
彼の体に起きているのは、まさに当時の再現。
今、眠れる神経に覚醒の稲妻が吹き荒れる!
 
指は動くか?
指が動いた!
腕は動くか?
腕が動いた!
体は動くか?
体も動いた!
 
ショックガンを開発した技術者たちですら、想像もできなかっただろう。
あたかも誤作動を起こした電脳を再起動させるように、ゴルゴは肉体では抵抗のできないショックガンの効果を精神の力でねじ伏せたのだ!
 
目の前に迫る床を掌で叩き、その反動で体を横へ転がせる。
急速に回転する視界の中で、こちらに背を向けている敵の姿が見えた。
間違いようもない絶好のチャンス!
 
しかし、その勝機をつかみ取ろうとする腕はあまりに重く、鈍い。
ショックガンの力は、まだ鉛のようにゴルゴの手足にまとわりついていた。
それなのに、残された時間はあまりに少ない。
のび太は、すでにゆっくりと振り向き始めていた。
ゴルゴは、まだ霞む視界で狙いを定め、言うことをきかない指で引金を引き……
 
再び、赤いマズルファイアと青いショックパルスが闇を切り裂く。
銃声は長々と尾を引いて、建物の影に逃げ去り、あとには押し殺したような静寂だけが残った。
そして、薄暗い通路の中にただ一人立っていたのは―――
 

 
 ―――野比のび太!
 

 
しかし、少年の細い体はゆっくりと傾き、地に倒れた。
遅れて、銃弾によって弾き飛ばされたショックガンが、乾いた音を立てて床の上に落ちる。
陰々と反響する音を聞きながら、今度こそ、真の勝者が―――
 

 
 ―――ゴルゴ13が立ち上がった!
 

 
床から起き上がるなり、ゴルゴは疲れた体に鞭打って、敗者の方へ駆け寄った。
ショックガンを靴の底で踏みしめ、リボルバーの銃口を倒れた少年の頭に押しつける。
のび太は、鼻先まで迫った生命の危機に対してなんのリアクションも返さなかった。
コーヤコーヤの決闘の時より深く無の境地に潜った反動で、少年の精神は底知れない潜在意識の海に沈んだまま、まだ浮上できずにいた。
 
目の前の強敵が完全に無力化したことを確信すると、ゴルゴはようやく最初に銃声が響いてきた方向に視線を向けた。
そこには、今回の戦いで彼の勝利をになった一因が転がっていた。
 
(……俺を守った? いや、こいつらの殺気に反応しただけか……)
 
そろって間抜けな顔を晒していたのは、ゴルゴを追いかけてきたやくざ者たちだった。
全員、銃を手に握りながら、交通事故にあったヒキガエルみたいな恰好で気絶していた。
『無念無想』によって精密機械となったのび太は、男たちが銃を手に通路の中に躍り込んだ瞬間、引き金にかけた指を1ミリ動かす余裕も与えずに彼らを打ち倒した。
しかし、そのせいで殺気を消していたゴルゴの反撃に気づくのが、一瞬遅れてしまったのだ。
 
生来の能力によって睡眠を操ったのび太、工夫と修行によって睡眠と覚醒の両方を支配したゴルゴ。
今回の勝敗を分けたのは、決して運ばかりではない。
生まれてから培ってきた二人のすべてが、今日の勝者と敗者を定めることになったのだ。
 
一人一人、ゴルゴは慎重に倒れた男たちの様子を伺う。
こいつらは、自分に不意打ちをかけようとしていたのか?
ならば何故、弾の当たらないところで銃を発砲したのか?
三人の顔に刻まれた身の毛もよだつような恐怖の意味は?
 
疑問はたくさんあったが、人目に付かないところまで運んで尋問している余裕はなかった。
ゴルゴは、倒れている男たちに銃口を向けると、一発目で一人を、二発目でもう一人を、三発目で全員の命をコンクリートの上にぶちまけた。
 
迅速に用を済ませると、足を上げ、おもちゃのような奇妙な武器を手に取った。
こちらは始末した男たちとは、また別の意味でミステリアスな存在だった。
古典的な和弓から最新の失明用レーザーガンまで、ゴルゴはあらゆる飛び道具を分解し、組み立てた経験がある。
その彼でさえ、目の前にある銃のようなものを見たことはなかった。
 
着弾の時にできた亀裂から中身を覗く。
どうやら実弾ではなく、一種の光線を打ち出す道具らしいことがわかった。
銃把にメーカー名と思しきものが刻印されていた。
『ザンダーズ&マクドナルド・PMスペシャル』、聞いたこともない名前だ。
メーカー名の下には、製造年月日を表すロットナンバーがあったが……
 
(……これは、いったい何の冗談だ?)
 
この場で手に負えない謎は、脇に置いて、ゴルゴは視線を床に倒れている少年に向ける。
寝顔だけを見れば、のび太は歳相応の痩せた子供にしか見えなかった。
その細い首などは、二本の指もあれば簡単にへし折れそうに思えた。
しかし、ゴルゴはこの少年が、自分をあと一歩と言うところまで追い詰めたことを忘れてはいなかった。
 
まさに、恐るべき才能であった。
この若さにして、少年の射撃技術は、すでに神域に達している。
これほど銃を巧みに扱う者は、ゴルゴを入れても、全世界に五人もいるかどうか……。
 
今日、ゴルゴが勝ったのは生きてきた時間とくぐり抜けてきた修羅場の差があったおかげ。
だが、もしこの勝負が20年後に起きたとしたら、結果はどうなっていただろうか?
年月は若者を成長させるが、老いたものの背中に重荷となってのしかかる。
 
今、足元で寝息を立てている少年は、決して見た目通りの小さな子供ではない。
それは、いつ爆発するか分からないのに、時と共に破壊力を増していく時限爆弾。
臆病ものを自認するプロならば、必ずこの場で摘んでおかねばならぬ禍の芽であった。
 
にもかかわらず、ゴルゴはやくざ者たちと同じようにのび太を始末することを躊躇していた。
かつて、ゴルゴをもっともよく知るある男が、彼の人間像について聞かれた時、こう答えたことがある。
 
「彼が仕事をして、つまり人を殺して、パッと振り返って歩こうとした時に、足元に蟻が一匹いたとする、彼は殺さんように、慌てて跨ぐかもしれない。
 なぜかというと、彼にとって殺人は目的を持ってやっていることなわけで、もう一方の蟻を殺すことに関しては目的がないわけです」
 
ゴルゴ13は決して、世間で思われているような冷酷無情なだけの殺人鬼ではない。
むしろ、蟻一匹の命を奪うことにも、目的や理由を求めずにはいられない男なのだ。
無意識の底までしみ込んだその信念が、今少年の頭を撃つ抜くことを阻んでいた。
 
少年が偶然、この場に居合わせた無関係な第三者であることは、もう間違いない。
この場所を選んだのはゴルゴだから、待ち伏せのはずはない。
やくざ者たちと無関係であることは、少年が自分で証明したばかりだ。
 
もし、殺人の現場を目撃されたのなら、何が何でも始末しなければならないところであった。
だが、運よく少年は気絶していたので何も見ていない。
こんこんと眠り続けるのび太は、少なくとも今はゴルゴにとってまったく無害な存在だった。
はたして将来の脅威などというあやふやなもののために、この子供の命を奪っていいものか。
 
未来の危機を取るか。
現在の信念を取るか。
二つの選択肢の間で揺れるゴルゴの思案は、長続きしなかった。
 
ぴちゃり、と湿った音がした。
ぴちゃり、ぴちゃり、と動物が水を飲むような音がした。
 
振り返ったゴルゴが、かすかに顔をしかめた。
ネコ科の猛獣に似た巨大な獣が、床にたまった男たちの血を桃色の舌で舐めとっていた。
細く尖った金色の瞳がじっと、ゴルゴと少年の方を見据えている。
 
これで、わかった。
ホテルの中に入った時に感じた獣臭の正体も、男たちの顔に刻まれた恐怖の意味も。
あの時、響いた銃声は、この獣に向けられたものに違いない。

残る問題は、こいつが何者かということだ。
獣の外見は、大きな黒豹にそっくりだった。
ただし、体格は豹というよりも虎に近く、尾を入れた体長は3m、体重は300kgを下るまい。
頭と肩には地球上のどんな動物にも見られない巻き毛のような器官と長い触手がついていた。
 
そして、その行動だが、これは肉食獣としてみるなら不合理極まりないものだった。
獣が新鮮な肉を好む捕食者なら、わざわざ音を立てて、不意打ちの機会を台無しにする理由がない。
もし、腐肉食型の動物なら、男たちの亡骸を人気のない場所まで運んだ後で、ゆっくり味わえばよかったはずだ。

結論、こいつには人の心理を推し量る知性があり、獲物に恐怖を与えて喜ぶサディスティックな性質を持っている。
 
ゴルゴの推測を証明するかのように、獣は顔をあげ、ゆっくりと距離を詰めてゆく。
嗤いを含んだ金色の目を細めながら、語りかけるように喉を鳴らす。
猿よ。小さな猿よ。
その疲れ切った体で何をするつもりだ?
 
ゴルゴは倒れた少年から離れ、よろけながら近くにある壁に体重を預ける。
顔には隠しきれぬ消耗、額にはびっしり浮いた脂汗、肩は呼吸をするたびに大きく上下していた。
 
獣は舌で口を舐め、喉を鳴らす。
猿よ。小さな猿よ。
お前のちんけな武器には、あと何発弾が残っている?
 
持っていたショックガンを床に落とし、開いた左手で、右手の銃身を支える。
S&W38口径リボルバーの装弾数は六発。
のび太とのクィックドロウ勝負で二発の弾を使った。
男たちを始末をするためにさらに三発撃った。
今、ゴルゴの銃に残っている弾の数は……
 
獣の力強い四肢が大地を蹴る。
焦らすような足取りは、抑えきれぬ早足に変わり、ついに飢えを隠そうとしない疾走に加速する。
 
黒い破壊者が、牙をむく。
最強の暗殺者が、銃を構える。
鉄骨とコンクリートの建築物の中で、獣の咆哮と銃声が同時に轟いた!


あとがきのやうなもの



まずは、皆さまごめんなさい(土下座)
作者の怠慢により、いつも土日に二話更新していたのを、今回は一話しか更新できませんでした。

それから、SFファンじゃない人には、クァール猫のことをあまり知らない方もいると思うので、今回はクァール猫の簡単な設定を載せておきます。

【クァール猫(あるいは単にクァール、またはケアル)】

惑星クァール(仮名)に生息する巨大な黒豹のような生き物。
性格は残忍、知能は狡猾、でもちょっとぬけているので凡ミスを連発したりする。
いろんな意味でねこねこした宇宙ナマモノである。
その能力は、まさに超生物と呼ぶのに、ふさわしいもので……

酸素はいりません。塩素も要りません。ぶっちゃけ、真空でもおっけーです。
エネルギーを吸収する力場を張れます。力場で吸収した力をビームで撃ち返せます。
電子ビームで機械を遠隔操作できます。いろんな道具を組み立てられます。
始めてみた異星人(地球人)の宇宙船の運転、余裕っす!
寿命がありません。むっちゃ頑丈です。人間をミンチにできるぐらい力も強いです。
殺したければ、原子破壊銃か宇宙船の主砲をもって来い!!

なに、このエイリアンとプレデターを足して、二で割らないクリーチャー……。
まあ、この超生物相手に、銃弾一発で立ち向かわせないと危機感が出せないゴルゴもいいかげん化け物ですけどね(w)




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