人生びっくりな事はあるものです大学の研修旅行で行ったニューヨークで突如出現した白い化け物に掴まれ、成す術も無く口に放り込まれて咀嚼されました人生びっくりな事は続くものです前世の記憶があるまま転生って、『○ー』の与太話ですか?人生びっくりな事は一気にくるものです転生した先が『ゼロの使い魔』の舞台となっているハルケギニアだったのですから私ですか?今の私はケティ・ド・ラ・ロッタと申します。中身は元・日本人の大学生(♂)ですけれども。名前?いいじゃないですか、そんなのどうでも。どうせよくわからない化け物に美味しく戴かれてしまった前世なのです。そんなことよりも今の私の身の上を。今の私はラ・ロッタ男爵家の12女で上に姉が11人、下に弟が1人います。全員年子なのです。男の子がなかなか生まれなくてついムキになって頑張り過ぎたのですね、わかります。祖父と祖母も同居でまさに大家族なのですよ。ちなみにラ・ロッタ家は男爵家でありながら領地こそ肥沃で広大なのですが、とある理由で耕作地が狭くて分散している上に、これといった特産品があるわけでもないのです。火メイジなので軍人を多数輩出していますが、性格が戦いに向かないのか大成した人は一人もいおりません。まあ土地はそこそこ肥沃だったので食べるのには困りませんでしたが、交易路から離れていたので、売ってお金を得られたとしても微々たる物でした。領主自ら領民と一緒になって、畑を耕したり野焼きをしたりしながらのんびりと暮らすという家風がある。そんな、貴族とは名ばかりの少し裕福な平民みたいな家に私は生まれなおしました。兎に角、私は異世界に転生してしまったのです。生まれた直後のことはうすらぼんやりとしか記憶していませんが、2歳頃には意識がはっきりしていました。前世のことも昨日の事のようにはっきり覚えています。死の直前なんて、思い出したくない記憶ですが。まず始めたのは、文字の習得です言語は既に幼児語ながらハルケギニア語を勝手に習得できていたので、文字を覚えるのは英語を一から学ぶよりも遥かに楽でした。お父様とお母様や姉達は『天才だ!』と喜んでいましたが、残念ながらあなたの娘は唯のチートキャラであって、別に特別優秀だってわけではないのですよ。次に文字の習得を早める為と情報収集の為に読書を始め、こちらの情報収集を始めました。何せ、小説内に出てくる情報が少なすぎますから。主に読んだのは政治や地理の本ですが、政治の本は兎に角、地理は読むだけ無駄だとわかりました。そうだね、天動説だね、大地の果ては崖で水が流れ落ちていくんだよねってやつです。いやまあ魔法があるような異世界ですから、本当にそうかもしれませんけれども。まあ、ハルケギニアの大まかな地理がわかっただけで良しとしましょう。ちなみに政治や地理の本を読み漁る私を見て『天才だ!』とお父様とお母様や姉達が喜んでいますが、贔屓目に見てもキモい子供じゃあありませんか、私?最後に魔法なのです。ラ・ロッタ家は火メイジを多く輩出して来た家系らしく、私にも火の魔法の特性がありました。まあ、作品内でも《燠火》とかいう二つ名があったみたいですし、火メイジだというのはわかっていましたが。…で、練習してみるとこれが面白いのです。何も無い所から、火が出るのですよボーって。原理はよくわかりません『考えるな、感じるんだ』ってやつです。ええ気にしませんとも、私はどうせバリバリの文系ですから、持ってる科学知識なんて高校生レベルのものでしかないのです。ささやき…えいしょう…いのり…ねんじろ!*おおっと*ひょうてき は はいになったガンガン燃やすのですよー!火の魔法はすごいのです。使うとどんどんハイになって行きます。標的もどんどん灰になっていきます。どうやって燃やすか?火の勢いを上げるにはどう集中すればよいのか?命中率を上げるには?面白すぎて毎日精神力が尽きてぶっ倒れるまで魔法の練習に明け暮れ続け…結果として、入学前までにトライアングルメイジになっていました。お父様とお母様や姉弟は『天才だ!』と喜んでくれましたが、これは単なる『好きこそものの上手なれ』ってやつであって、ガノタがモビルスーツの型番まで暗記しているのと同等なのです。…まったく、何でこんなに底抜けに暢気なんでしょうか、我がラ・ロッタ家は。領民も私をラ・ロッタ家の宝だと褒めてくれます。この家に生まれなければ、気持ち悪がられた可能性のほうが高い私を家族領民皆が愛してくれました。優しい人たちなのです。そんなこんなで家族から『天才少女』呼ばわりされていた私ですが、とうとう来るべき日が来たのです。トリステイン魔法学院に入学する日がやってきたのですよ。私の家は貧乏ですが、魔法学院は国内の貴族の子弟からは授業料を取らず、寮費食費もタダなので行くことができます。実際、姉様達の二人も既に通っていますし、来年は弟のアルマンも入学する予定です。「ではお父様、お母様、姉さまたち、そしてアルマン、行って来ます。」学校で待っているのは、原作の登場人物たち。ルイズやシエスタ、キュルケにタバサ、ギーシュにマリコルヌ、それから私の入学後に召喚される才人。私が彼らの紡ぐ物語に積極的に関わっていったらどうなるのでしょうか?今の私はそれが楽しみでなりませんでした。