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No.7678の一覧
[0] Muv-Luv 帝国戦記 ~第1部 完結~  [samurai](2012/01/15 00:56)
[1] 北満洲編1話[samurai](2009/03/31 02:40)
[2] 北満洲編2話[samurai](2009/04/12 14:43)
[3] 北満洲編‐幕間その1[samurai](2009/04/02 03:33)
[4] 北満洲編‐幕間その2[samurai](2009/04/02 23:49)
[5] 北満洲編-幕間その3[samurai](2009/04/04 02:31)
[6] 北満洲編3話[samurai](2009/04/04 22:33)
[7] 北満洲編4話[samurai](2009/04/05 19:23)
[8] 北満洲編5話[samurai](2009/05/16 17:22)
[9] 北満洲編6話[samurai](2009/04/11 02:17)
[10] 北満洲編7話[samurai](2009/04/12 03:34)
[11] 北満洲編8話[samurai](2009/05/05 23:46)
[12] 北満洲編9話[samurai](2009/04/18 21:28)
[13] 北満洲編10話[samurai](2009/04/18 22:35)
[14] 北満洲編11話[samurai](2009/04/19 01:16)
[15] 北満洲編12話[samurai](2009/04/24 02:55)
[16] 北満洲編13話[samurai](2009/04/25 22:53)
[17] 北満洲編14話[samurai](2009/05/06 00:47)
[18] 北満洲編15話[samurai](2009/05/10 04:08)
[19] 北満洲編16話[samurai](2009/05/10 03:42)
[20] 北満洲編17話―地獄の幕間[samurai](2009/05/13 19:48)
[21] 北満洲編18話[samurai](2009/05/16 03:31)
[22] 北満洲編19話[samurai](2009/05/16 03:59)
[23] ちょっとだけ番外編(バカップル編)[samurai](2009/05/17 03:25)
[24] 北満洲編20話[samurai](2009/05/19 23:48)
[25] 北満洲編21話[samurai](2009/05/20 00:32)
[26] 北満洲編22話[samurai](2009/05/24 02:21)
[27] 北満洲編23話[samurai](2009/05/24 04:25)
[28] 北満洲編最終話[samurai](2009/05/24 03:36)
[29] 設定集(~1993年8月)[samurai](2009/05/24 23:57)
[30] 国連極東編 満州1話[samurai](2009/06/09 02:02)
[31] 国連極東編 番外編・満州夜話[samurai](2009/06/09 02:03)
[32] 国連極東編 満州2話[samurai](2009/06/09 02:03)
[33] 国連極東編 満州3話[samurai](2009/06/09 02:03)
[34] 国連極東編 満州4話[samurai](2009/06/09 02:03)
[35] 国連極東編 満州5話[samurai](2009/06/09 02:04)
[36] 国連極東編 番外編 艦上にて―――或いは、『直衛君、弄られる』[samurai](2009/06/09 02:04)
[37] 国連極東編 満州6話[samurai](2009/06/09 02:04)
[38] 国連極東編 満州7話[samurai](2009/06/09 02:04)
[39] 国連極東編 満州最終話[samurai](2009/06/10 07:33)
[40] けっこう番外編(かなりバカップル編)[samurai](2009/06/12 23:53)
[41] 国連欧州編 英国[samurai](2009/06/14 10:27)
[42] 国連欧州編 イベリア半島1話[samurai](2009/06/17 23:46)
[43] 国連欧州編 イベリア半島2話[samurai](2009/06/18 00:38)
[44] 国連欧州編 イベリア半島 『エース』 1話[samurai](2009/06/20 23:34)
[45] 国連欧州編 イベリア半島 『エース』 2話[samurai](2009/06/21 13:54)
[46] 国連欧州編 イベリア半島 『エース』 3話[samurai](2009/06/26 00:07)
[47] 国連欧州編 イベリア半島 『エース』 4話[samurai](2009/06/28 03:55)
[48] 国連欧州編 イベリア半島 『エース』 最終話[samurai](2009/06/28 10:30)
[49] 国連欧州編 シチリア島1話[samurai](2009/07/01 00:59)
[50] 国連欧州編 シチリア島2話[samurai](2009/07/01 01:28)
[51] 国連欧州編 シチリア島3話[samurai](2009/07/05 00:59)
[52] 国連欧州編 シチリア島4話 ~幕間~[samurai](2009/07/05 22:09)
[53] 国連欧州編 シチリア島5話[samurai](2009/07/10 02:30)
[54] 国連欧州編 シチリア島最終話[samurai](2009/07/11 23:15)
[55] 国連欧州編・設定集(1994年~)[samurai](2009/07/11 23:25)
[56] 外伝 海軍戦術機秘話~序~[samurai](2009/07/13 02:52)
[57] 外伝 海軍戦術機秘話 1話[samurai](2009/07/17 03:06)
[58] 外伝 海軍戦術機秘話 2話[samurai](2009/07/19 18:39)
[59] 外伝 海軍戦術機秘話 3話[samurai](2009/07/21 23:41)
[60] 外伝 海軍戦術機秘話 最終話[samurai](2009/08/13 22:32)
[61] 国連欧州編 北アイルランド[samurai](2009/07/25 17:47)
[62] 国連欧州編 スコットランド1話[samurai](2009/07/27 00:36)
[63] 国連欧州編 スコットランド2話[samurai](2009/07/28 00:28)
[64] 国連米国編 NY1話[samurai](2009/08/01 04:13)
[65] 国連米国編 NY2話[samurai](2009/08/06 00:03)
[66] 祥子編 南満州1話[samurai](2009/08/13 22:31)
[67] 祥子編 南満州2話[samurai](2009/08/17 21:26)
[68] 祥子編 南満州3話[samurai](2009/08/22 19:19)
[69] 祥子編 南満州4話[samurai](2009/08/30 19:03)
[70] 祥子編 南満州5話[samurai](2009/08/28 07:52)
[71] 祥子編 南満州6話 ―幕間―[samurai](2009/08/30 18:45)
[72] 祥子編 南満州7話[samurai](2009/09/06 00:08)
[73] 祥子編 南満州8話[samurai](2009/09/16 23:35)
[74] 祥子編 南満州9話[samurai](2009/09/19 03:15)
[75] 祥子編 南満州10話[samurai](2009/09/21 22:59)
[76] 祥子編 南満州最終話[samurai](2009/09/22 00:42)
[77] 祥子編 南満州番外編~後日談?~ その1[samurai](2009/10/01 23:43)
[78] 祥子編 南満州番外編~後日談?~ その2[samurai](2009/10/01 22:02)
[79] 国連米国編 NY3話[samurai](2009/10/03 13:42)
[80] 国連米国編 NY4話~Amazing grace~ [samurai](2009/10/11 12:38)
[81] 国連米国編 NY5話~Amazing grace~ [samurai](2009/10/14 22:32)
[82] 国連米国編 NY最終話~Amazing grace~[samurai](2009/10/17 03:10)
[83] 国連番外編 アラスカ~ユーコンの苦労~[samurai](2009/10/19 21:28)
[84] 国連欧州編 翠華語り~October~[samurai](2009/10/23 22:58)
[85] 国連欧州編 翠華語り~November~[samurai](2009/10/24 15:34)
[86] 国連欧州編 翠華語り~December~[samurai](2009/11/01 23:21)
[87] 国連欧州編 翠華語り~January~[samurai](2009/11/09 00:17)
[88] 国連欧州編 翠華語り~February~[samurai](2009/11/22 03:05)
[89] 国連欧州編 翠華語り~March~[samurai](2009/11/22 03:38)
[90] 国連欧州編 翠華語り~April~[samurai](2009/11/22 04:13)
[91] 国連欧州編 バトル・オブ・ドーヴァー 1話[samurai](2009/11/24 00:29)
[92] 国連欧州編 バトル・オブ・ドーヴァー 2話[samurai](2009/11/29 02:20)
[93] 国連欧州編 バトル・オブ・ドーヴァー 3話[samurai](2009/12/06 22:19)
[94] 国連欧州編 バトル・オブ・ドーヴァー 4話・前篇[samurai](2009/12/11 22:37)
[95] 国連欧州編 バトル・オブ・ドーヴァー 4話・後篇[samurai](2009/12/12 21:38)
[96] 国連欧州編 バトル・オブ・ドーヴァー 5話[samurai](2009/12/13 20:58)
[97] 国連欧州編 最終話[samurai](2009/12/13 23:06)
[98] 帝国編 ~序~[samurai](2009/12/19 05:05)
[99] 帝国編 1話[samurai](2009/12/20 12:06)
[100] 帝国編 2話[samurai](2009/12/24 00:16)
[101] 帝国編 幕間[samurai](2009/12/25 04:22)
[102] 帝国編 3話[samurai](2009/12/30 05:15)
[103] 帝国編 4話[samurai](2010/02/08 02:09)
[104] 帝国編 5話[samurai](2010/02/22 01:03)
[105] 帝国編 6話[samurai](2010/02/22 01:00)
[106] 帝国編 7話[samurai](2010/03/01 00:28)
[107] 帝国編 8話[samurai](2010/03/13 22:53)
[108] 帝国編 9話[samurai](2010/03/23 23:37)
[109] 帝国編 10話[samurai](2010/03/28 00:51)
[110] 帝国編 11話[samurai](2010/04/10 21:22)
[111] 帝国編 12話[samurai](2010/04/18 10:47)
[112] 帝国編 13話[samurai](2010/04/20 23:21)
[113] 帝国編 14話[samurai](2010/05/08 16:34)
[114] 帝国編 15話[samurai](2010/05/15 01:58)
[115] 帝国編 16話[samurai](2010/05/17 23:38)
[116] 帝国編 17話[samurai](2010/05/23 12:56)
[117] 帝国編 18話[samurai](2010/05/30 02:12)
[118] 帝国編 19話[samurai](2010/06/07 22:54)
[119] 帝国編 20話[samurai](2010/06/15 01:06)
[120] 帝国編 21話[samurai](2010/07/04 00:59)
[121] 帝国編 22話 ~第1部 完結~[samurai](2010/07/04 00:52)
[122] 欧州戦線外伝 『周防大尉の受難』[samurai](2009/09/12 02:35)
[123] 欧州戦線外伝 『また、会えたね』 ~ギュゼル外伝~[samurai](2010/12/20 23:16)
[124] 設定集 メカニック編[samurai](2010/12/20 23:18)
[125] 設定集 陸軍編(各国) 追加更新[samurai](2010/05/15 01:57)
[126] 設定集 海軍編(各国) [samurai](2010/05/08 18:23)
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[7678] 北満洲編23話
Name: samurai◆b1983cf3 ID:3fa3f4a1 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/05/24 04:25
1993年6月2日 1150 黒竜江省 阿城近郊 ≪第1138難民収容所≫ 監視部隊司令部


「難民避難、第3陣、車両乗り込み完了しました」
「輸送コマンド司令部より、第1陣、ハルビン駅の輸送列車搭乗完了」
「第4陣、準備よし」
「第5陣、第6陣、誘導場所へ移動終了。待機します」
「残り難民数、2万1000」


「2時間で、9000人。 夕刻までには、完了しそうですな・・・」

国連難民支援部の、李斉明・極東統括次長補が疲れた顔で呟く。
傍らの監視部隊司令官・ヴァンデグリフト准将は相変わらず、難しい表情だった。

「2つのエリアに関しては、ですがな」

「准将・・・ やはり、RLFは?」

「全く、聞く耳を持ちませんな。 まぁ、我々も過去、連中に対して徹底した制圧を加えております。
お互い、相手の言葉が只の戯言に聞こえる事には、違い無い・・・」

李統括次長補が、その言葉を暗澹たる気持ちで聞いていたその時、オペレーターが近著した声で報告した。


「ハルビン防衛司令部管制より緊急電! 第1防衛ライン東側付近でコード991発生! 
現在、国連軍第22戦術機甲師団、中国軍第112機甲師団が防戦中!」

「日本軍第10戦術機甲師団、増援出撃しました。 
韓国軍第5戦術機甲師団、国連軍第88機甲旅団、国連軍第221航空打撃旅団、出撃しました」

「BETAの規模、師団規模です」


「むっ!」

李統括次長補が緊張の声をあげる。 ヴァンデグリフト准将が、それを制して答える。

「次長補、慌てられますな。 既に戦術機甲1個師団と、機甲1個師団が対応中です。
増援の戦術機甲2個師団と、1個機甲旅団、1個航空打撃旅団も直ぐに展開可能だ。
打撃機甲軍団の戦力であれば、余程大量の光線級が存在しない限り、対応可能です」

そして、未だ光線級の存在は確認されていない。 間引き攻撃が間に合ったのか。
いずれにせよ、想定範囲内の状況だ。


「しかし。 こちらとしても、対策は取らねばなりません。 厄介なメディアもおりますし」

「そうですな。 メディアについては、私の部下の広報官に対応させておりますが。
して。 どう言った対策を?」

「戦術機甲部隊を、2つに分けます。 本隊を避難民の間接護衛に。 支隊をRLFの監視と、キャンプの直接護衛に。
間接護衛は、ここからハルビンまでの避難ルートの警戒に当てます」

「浸透してくるBETAも、皆無では無いでしょうからな。 判りました。 よしなに」











≪ゲイヴォルグ選抜隊 周防直衛≫


『直接護衛に、3機残す。 周防少尉、長門少尉、久賀少尉。 3名は残れ。 他は私と避難ルートの警戒だ。 小物が浸透してこないとも限らん。
美綴、4機で第2区の警戒に当たれ。 私は5機で隣接の3区に当たる』

『了解しました。 では、自分と木伏、永野、間宮で2区を』

『頼む。 三瀬、伊達、有馬、佐野。 行くぞ』

『『『『 了解 』』』』


地表面噴射滑走で9機の「疾風」が去ってゆく。
その姿を見ながら、圭介と久賀に通信を入れる。

「さて・・・ 居残り組は、さっさと集合しましょうか」

『国連から3機と、中国軍が3機だっけ?』

『ああ。 そこのB-223付近に居る、あれじゃないか?』

確かに久賀の言う場所に、国連カラーのF-15Cが3機と、中国軍の殲撃9型が3機いる。
まずは、顔合わせか。
集合地点へ近づき、通信回線を入れる。

「日本帝国陸軍 第14戦術機甲師団第141戦術機甲連隊。 周防直衛少尉以下3名。 直接護衛隊に合流します」

網膜スクリーンに、国連軍の中尉が現れた。

『了解した、周防少尉。 私はディン・シェン・ミン国連軍中尉だ。 暫定的に、直接護衛隊の指揮を執る。 宜しく頼む。
他は、部下のギュゼル・サファ・クムフィール少尉と、ファビオ・レッジェーリ少尉だ』

隊長がベトナム系の女性衛士。 他の2人はトルコ系の女性衛士に、男がイタリア系か。

『向うは中国軍から来てもらった。 中国陸軍の・・・』

『お久しぶりね、周防少尉。長門少尉』

はっ!?

「え? 趙中尉? 趙美鳳中尉ですか? それに、朱文怜少尉も・・・」

趙美鳳中尉に、朱文怜少尉って事は。 もしかして・・・

『な・お・え~。 やっぱり私達って、縁が有るのよ。 祥子よりも、私の方が ♪』

翠華・・・ 今、その話題をするか?


『なんだ、知り合いか? だったら、手間が省けるが・・・』

『おいおい。 それよりもよ。 聞いてたら、何か? 女2人を口説いているのか? 周防、だっけ?』

ラテン野郎が、目ざとく聞きつけてやがった。

『・・・違ぇよ・・・』
『違うわよ! 私は直衛のオ・ン・ナ。 ん? 違った。 直衛は私のオ・ト・コ、なの』

・・・翠華!

『ほぉ~~・・・』 『あら・・・』 『ふぅ・・・』

『んじゃぁよ。 さっき言ってた、サチコ、だっけ? 女の名前だろ? その彼女は何なんだい?』

しつこいぞ。 パスタ野郎。

『直衛の、恋人』

『『『『 おおっ!? 』』』』

け、圭介・・・

『ついでに、上官の小隊長』

『『『『 おおおっ!? 』』』』

く、久賀・・・!


『ほう・・・ で? どちらが正妻で、どちらが妾なのだ?』

「ディ、ディン中尉・・・ 真面目な顔で聞きますかっ!?」

『ん? 何故だ? 私の父も正妻の他に、何人かの妾を持っていたぞ? 私も、妾腹だが?』

ベトナム・阮王朝、恐るべし・・・ これで普通の感覚なのか? 
いやいや。 日本だって、武家連中の中には当然のように、側室や妾を持っている連中だって居る。
ディン中尉は、貴族階層出身なのかもしれないな。

『かっ! かはははっ! 日本人ってのはよぉ! 真面目一辺倒だとばかり、思っていたけどよ? なかなか、男もいるじゃねぇかっ!? ええ、おい!』

『・・・ファビオ。 貴方の≪男≫の基準は、それですか?』

うわっ! クムフィール少尉の声の、冷たい事。

『おいおい。 人生は ≪マンジョーレ≫ ≪カンツォーレ≫ ≪アモーレ≫ だぜっ!?
美味い食事! 楽しい歌と音楽! そして情熱的な恋! これが人生のすべてだぜっ! 
周防は少なくとも、≪アモーレ≫の実践者だぜ!? なぁ! 兄弟!!』

お前に≪兄弟≫なんて、言われる覚えはない・・・

『まぁ、いい。 よし、では布陣を確認する。 国連軍3機と、日本軍3機は第1、第2エリアと、第3エリアの境界に布陣。
趙中尉。 中国軍3機は、左後方の丘の上で、周辺警戒をお願いしたい。 宜しいか?』

『了解ですわ、ディン中尉』

中国軍の3機が離れていく。 翠華がまたぞろ、何か問題発言しやしないか、気が気でなかったが、どうやら無事で済みそうだ・・・

『周防少尉・・・』

朱少尉が、回線を繋げてきた。 何だ?

「な、なに・・・?」

『ふっ、不潔ですっ!!』

顔を真っ赤にして、一方的に言った後。 唐突に回線を切断した・・・
ふ、不潔、って・・・


『朱少尉って、如何にも純情と言うか。 真面目と言うか』 圭介が。
『まだ、経験皆無だろうな、あれは』 久賀が。
『どうだぁ? いっそ、彼女もモノにしちゃえよ?』 軟派パスタ野郎が。
-
したり顔で、解説してんじゃねぇ、こいつら・・・


『・・・では、エレメントと布陣を決めるぞ。
3機づつだし、どうしても1組は違う機種でのエレメントになる。 
ならいっそ、ヴァイパー・ゼロ(F-92J「疾風」の非公式呼称)と、イーグル(F-15C)の組み合わせを3組にする。
私と久賀少尉。 長門少尉とクムフィール少尉。 周防少尉とレッジェーリ少尉の組とする。
ヴァイパー・ゼロの機動戦能力と、イーグルの戦域制圧能力を組み合わせる。いいか?』

『『『『『 了解 』』』』』

『部隊名称は≪ガルーダ≫ 私が01だ。 周防・02、長門・03、久賀・04、クムフィール・05、レッジェーリ・06 
因みに中国軍は≪香蘭(シャンラン)≫ 趙中尉が01、蒋少尉が02、朱少尉が03だ。
02、いくら恋人でも、作戦行動中の甘ったるいストベリートークは、控えてくれよ?』

「・・・しませんって・・・」








≪1510 監視部隊司令部≫


「難民退避、2万4000 残り6000名です」
「RLF制圧中の第3エリアの難民数、最終確認完了。5089名です」
「第9陣、準備完了まで20分」
「第11陣用輸送車両、入ります」


「何とか、なりそうですな。 第1、第2エリアは」

李次官補がほっと息をつく。 これで、3万人の難民はなんとか無事に、後方の安全区へ避難できそうだ。
問題は、第3エリアで『人間の盾』にされている、5089名だが・・・

「RLFからの回答は、未だ有りません。 連中、やはり計画的では無かったようだ。
恐らく、実行部隊がヘッドハントの最中に、何らかで暴発したんでしょう。 他の人員はキャンプ内の≪協力者≫でしょうな」

何らの声明も無く、ただひたすら睨み合っている。
本当なら、強引にでも制圧するところだが。 米国のTV取材クルーが目ざわりなのだ。
国連司令部からも、彼等の前で強硬手段はとるな、との通達が来ている。
下手を打って、米国内でネガティブキャンペーンを張られたら、非常に厄介だ。

「まぁ、BETAの掃討も順調のようですし。
連中も孤立したら、どうしようもない事は判っている筈です。 直に墜ちますよ。 神経戦と言うやつです」

「次長補は、軍歴の御経験が?」

「・・・カシュガルに降着ユニットが落ちた頃、新兵でしてね。 大学では心理学を専攻していたが。 徴兵で引っ張られました。
最も、BETA相手には何の役にも立たなかったが」


ふむ。となると、案外次長補は、あの凄惨な撤退戦の経験者かもしれんな。
ヴァンデグリフト准将が、ふとそう考えた時。 司令部オペレーターが凶報をもたらした。

「ハルビン防衛司令部管制より緊急電! BETAの一部をロスト! 防衛線内に侵入の可能性大! 想定エリア、N-33-78近辺です!」
「進入が想定されるBETAの規模、旅団規模相当。 大型種は約500 小型種約5000」
「日本帝国軍第14戦術機甲師団、側面警戒に入りました。 索敵1個中隊、行動中。 続いて中国軍第301機械化歩兵装甲師団、第117機甲師団、展開開始」


「・・・なんとかなる。 3個師団を投入すれば。 避難ルート警戒に、2個中隊強の戦術機甲部隊も展開しております」

「私は、スタッフの避難を指示しましょう。 部下の中には、文官も多い。 戦場では役に立てそうにありませんからな」

「お願いします」

李次長補が司令部を退出すると同時に、次の報告が入った。

「ロストしたBETA群の一部を発見しました! 座標N-22-81! キャンプよりの距離、1万! 近いです! 数、約2000! 時速60km/h 到達時間は6分後!」

「ッ! 間接護衛隊、呼び戻せ。 戦術機甲1個大隊であれば、十分対処可能だ」

「間接護衛隊指揮官・グエン・ヴァン・ディン中佐より入電! N-23-77、N-24-70の2か所でBETA群発見! 交戦中です! 2か所とも、大隊規模!」

「くそッ! 重火力大隊、自走高射大隊で砲列を形成しろ! 直接護衛隊・ディン中尉に指令! ≪絶対死守≫! 全滅しても、守り切れッ!
間接護衛隊には、2個重火力中隊を送れ。 避難民の列の側面に、軽歩兵大隊の展開を急がせろッ
盾になるんだッ! 急げッ!」


距離1万!? そんな至近に近づけるまで、どうして探知できなかった!?

「司令官、拙い事が判明しました」

首席参謀が駆け寄ってくる。 何事か、通信用紙を握りしめている。

「何がだ? 首席参謀。 拙い事とは?」

「キャンプ前面のセンサー群が、敷設されておりません。 いえ、敷設されていたのを、撤去されてしまっております」

「何だと・・・?」

馬鹿なっ! 一体何者だ! そんな間抜けはっ!

「・・・センサー群の広範囲敷設の為に、キャンプの面積を大幅に削っています。 その為、過剰な人口密集となったのですが・・・」

「だから、より安全な後方に、広大なキャンプを新設した。 そこに移転する為に」

「はい。 しかし、難民にはその理由は知らされておりませんでした。
結果、短期間ですが疫病の蔓延も重なり、死者の数も多く。 RLFにそこをつけ込まれました」

「やつらが、掘り返した、と? 軍管理区域だぞ? 連中は忍び込めん」

国連軍・各国軍と、RLFは言わば第2の天敵同士だ。 あり得ない。

「マスコミです。 ≪軍の横暴。 衰弱死する難民たち≫ 先ほど、連中のテントに『調査』に入った際、見つけたキャプションです。
どうやら、プレスカードを渡す代わりに、特ダネを掘り起こさせたらしいです」


いくら、第1防衛線では無いとは言え。 最前線に近いこの場所で。 そんな取材を許可するとはっ! 誰だ? その大馬鹿は!?
プレスも、プレスだ。 結果的に、自らの命も危険に晒していやがる。 

「≪ガルーダ≫より入電! ≪我、接敵≫ 戦術機甲部隊、交戦状態入りました!」









≪1525 難民キャンプ防衛線付近 『ガルーダ』隊≫


『05より01! 発砲許可を! BETA群、距離1000! 1分で到達します!』

『03より01! キャンプの避難民がまだ残っている! 今発砲したら、彼等を巻き添えにするっ!』

クムフィール少尉と圭介が、必死の形相で具申する。

完全に裏を突かれた。 発見したのが5分前。 大急ぎで展開しようとしたのだが、機体の周りにパニックになった群衆が集まりだし、身動きが取れなくなったのだ。
今回は支援砲撃部隊(間接砲撃部隊・重砲隊)が居ない。 直接打撃戦しか出来ない。 それも足枷だった。

逃げまとう難民達を、踏みつぶしそうになるのを、なんとか堪えて移動したものの。 移動経路が大きく逸れた形になり、今はBETAとの間に難民キャンプを挟む形になってしまった。
そしてキャンプには、未だ1000人近い難民が取り残されている。

噴射跳躍もままならない。 今それをしたら、噴射後流で至近に居る難民を焼き殺してしまう。
前方には、空きスペースが無い。 難民の住居―――バラックが密集している。

『ガルーダより、香蘭(シャンラン)。 大型種は確認できるか? こちらからでは、些か視界が悪い』

こちらは斜面の底になっているため、向こう側が視認できない。
高台に陣取る ≪香蘭≫ 中国軍の3機に対して、ディン中尉が確認する。

『香蘭より、ガルーダ。 いいえ、確認できず。 戦車級は比較的数が居るわ。約400 他は、闘士級ね』

続けさまに、3機の殲撃9型が突撃砲の120mmキャニスター弾を発射する。
少しでも距離が有るうちに、BETAの数を減らす為だ。
残り、20秒。 振動センサーと音紋センサーは既にBETA群を捉えている。

難民が押しあい、へし合い、逃げてくる。 俺達だけじゃない。 同時展開した重火力大隊の方へも、流れている。 これでは迎撃出来ない・・・!


『・・・ガルーダ01より各機。 BETA視認まで20秒。 視認後、全力射撃開始』

「ッ!」 『中尉ッ・・・!』

俺と圭介が絶句する。

『周防・・・ 長門。 命令だ』

久賀が青ざめた顔で回線を接続してくる。

『胸クソ悪ぃけどよ? やんなきゃ、後ろの数千人が死んじまうわな? BETAに喰われてよ・・・ クソッ! ナポリと同じ光景、見たくなかったぜッ!』
『イスタンブールも、同じよ・・・』

レッジェーリ、クムフィール・・・ そうか。 こいつら、国を失っている。 同じ様な経験をしてきているのか。

『残り10秒・・・ 5、4、3、2、1、ゼロッ!』

BETAの津波が、稜線上から現れた。

「おおおおお!!」 『くたばれッ!!』 『くそおお!』 『死になッ!』

36mmで薙ぎ払い、120mmキャニスターで纏めて吹き飛ばす。
あっという間にBETAがキャンプ内に侵入した。 一旦射撃が止まる。 部隊までの距離、800

戦車級が避難民に喰らいつき、胴体を真っ二つに食い千切る。 
頭部を齧り取られる女性。 
闘士級の長鼻に、両足を引き千切られる子供。
数匹に集られ、悲鳴を残してBETAの群れの中に消える男性。
生きる事を諦めたか、座り込んだまま、一気に食い殺される老人。

獲物を前にして、BETA群の動きが鈍る。

『ガルーダ01より、ガルーダ、香蘭全機。 ・・・目標! 前方のBETA群! 全力射撃、再開しろッ!!』

くそおおおおっ!

36mmのトリガーを引く。 くそっ! 指が離れねぇ!!

『くっ・・・!』 『ちく・・・しょうっ!!』 『許して・・・』 『地獄で、文句聞いてやるからよ・・・』

俺も、圭介も、久賀も、クムフィールも、レッジェーリも・・・ これ以上の苦痛は無かった。
俺達の射弾は、BETAを吹き飛ばすと同時に―――避難民をも、バラバラに吹き飛ばしていた。
ディン中尉は・・・ 無言で、歯を食いしばって、射撃していた。 涙を流しながら。

上方から砲撃の飛来音が聞こえる。 ≪香蘭≫の3機もまた、避難民ごと、BETAを吹き飛ばしていた。
スクリーンの端に、青ざめ、顔を引きつらせた趙中尉が射撃を続けている。 
顔をくしゃくしゃにして泣きながら射撃する朱少尉が居る。
そして―――泣きながら、その憤怒を如何すればいいか判らない表情の翠華。 蒋翠華少尉もまた、BETAに射弾を送り続けていた。 避難民を吹き飛ばしながら。



『射撃止め! 射撃止め!』

どれ位時間が経ったのだろう。 ディン中尉から射撃止め、の命令が入った。
36mmの残弾はまだ余っている。 そう長い時間では無かったようだ。 でも、俺には。 俺達には、永劫のように感じた時間だった。

見ると、小型種ばかりのBETA群は殲滅されていた。 支援の重火力部隊からの射撃もあったようだ。
しかし。 直近でBETAの死骸は、機体のほんの10mほど前まで居た。
ギリギリでの阻止だった。

そして。 その死骸の中に―――人の、いや、かつて人だったものの残骸が、混じっていた。

『・・・うっ』 『うえっ・・・』

クムフィール少尉と、朱少尉が顔をしかめる。

『ギュゼル。 吐くのは後にしろ』 『文怜。 貴女も』

ディン中尉と、趙中尉が部下を窘める。 自分達だって、吐きたいだろうに・・・


『ガルーダよりHQ。 BETAの阻止に成功。 繰り返す。 BETAの阻止に成功。 侵入BETA群は全て殲滅した』

≪HQ、了解した。 ガルーダは引き続き周辺警戒に当たれ≫

『ガルーダ、了解・・・ HQ、本隊はどうなった?』

≪HQよりガルーダ。 2か所でBETAと接敵、交戦したが、これも殲滅阻止に成功した。 損失は2機だけだ≫

『ガルーダ、了解。 01より各機! 聞いての通りだ! エレメントで周辺警戒続行! ≪香蘭≫は3機編成でキャンプから避難路までの誘導ルートを警戒』

「02、了解」 『03、了解・・・』 『04、了解です』 『05・・・ りょ、了解』 『06、了解、了解』
『香蘭、了解したわ』



その時だった。
1台の高機動車両が乗り付けてきた。 降りてきたのは・・・ 民間人?

『見たわよッ! 民間人の虐殺をッ! 何の罪もない、無力な難民を、重火器で虐殺しまくる様をッ!
告発してやる! 全世界に、知らしめてやるわッ! ≪マンチュリアの虐殺部隊≫ をねッ!!』

後で司令部で聞かされた。 従軍取材中の、米国のTVクルー。 目の前で喚いているのは、その女性レポーターだった。


『・・・ついでに、殺してやろうか? この女・・・』
表情の失せた圭介が呟く。

『36mm喰らったら、人体なんかバラバラだしな』
久賀が面倒臭そうに吐き捨てる。

「どうせ、死体の残骸は、ここに捨てておけば、見分けつかないしな」
俺も頭が麻痺している。

『いいアイデアだけど・・・ タイムリミットだな。 国連の広報官の奴。 今頃泡喰って来やがった』
レッジェーリが忌々しそうに言う。

『広報官って、一応軍人でしょ? 彼も戦死して貰う?』
お前が一番ヤバいよ、クムフィール。

まぁ、そうもいかないか。 皆、そう言って、喚き散らす目前の女を無視して、周辺警戒を継続した。







1993年6月12日 2030 ハルビン基地 未決収監所


面会に来た愛姫と永野から、美綴大尉が戦死した事を聞いた。
避難民の列に集ろうとしたBETAを、誤射を恐れて一瞬、トリガーを引くのを躊躇したらしい。
その隙に、難民の列に突入された。 

その後、大尉は火器を捨てて、短刀のみで掃討し続けたと言う。 難民への誤射を避ける為に。 そして、戦車級に集られた。
永野と間宮が、周辺掃討をして、木伏中尉が救出した時には既に、大尉は半身を齧られて、半死半生だったと言う。

そして、収容先の野戦病院で息を引き取ったそうだ。 


「大尉はね・・・ 難民への誤射の可能性がある限り、射撃許可を出さなかったわ・・・」

永野が呟く。

「≪我々は人類の盾で有り、護剣だ。 難民への誤射は絶対に許容しない≫って。 
お陰で、あちこち集られて。 跳躍ユニットなんか、残骸しか残らなかったけどね。 私も、間宮も。 木伏中尉も。 ・・・大尉も」

そうか。 大尉。 それが、貴女の出した答えだったんですか。
羨ましいよ・・・ 貴女は、衛士として死ねたんだ。


「盾と、護剣、か・・・ じゃ、俺はその正反対だな。 難民を、何百人と殺した。 彼らにとっちゃ、俺はBETAだな・・・」

「直衛・・・」 「周防、貴方・・・」


俺の居る場所は、隊の管理事務室でもなければ、PXでも、自室でも、祥子の部屋でもない。
基地へ帰還後、俺達 ≪ガルーダ≫ の6人と、≪香蘭≫の3人を待ち構えていたのは、各国と国連の憲兵隊だった。

即時拘束されて放り込まれたのが、ここ。 未決収監所だ。

罪名は『民間人虐殺容疑』

大隊長、中隊長、小隊長達は、面会を許可されなかった。
帰還後、祥子とは顔も合わせていない。

(・・・その方がいいか。 順当に考えて、階級剥奪後に銃殺、ってのが、妥当だろうしな・・・)

衛士を目指して、訓練校に入校して2年と数か月。 思えば短い軍人生活だったな。
戦死は覚悟していたが。 戦争犯罪人で銃殺ってのは、予定外の幕引きだ・・・

急に可笑しくなってきた。 もう、どうでもいいや・・・
笑いが止まらない。 驚いた表情の愛姫や永野。 その顔も、急に可笑しくなってきた。

「なっ、直衛!?」 「周防!? ど、どうしたのよっ!」

「・・・・お前ら。 もうここに来るな。 いいな? 他の連中にも言っておけ。
痛くない腹を、憲兵隊に嗅ぎまわれるぞ・・・」

「「ッ・・・・・!!」」

「・・・愛姫」

「何・・・?」

この伝言。どうしようか? 結局、彼女を苦しめるだけだろうか? 


「直衛・・・ 祥子さんに、伝える事、無いの・・・?」

くそっ! 伝えたい言葉なら、山ほどあるっ! 伝えたい。会いたい。会って話したい。 会って抱きしめたい。 祥子を!


「ねぇ・・・ 無いのっ!? 本当に、本当に無いのっ!? 直衛ッ!!」

・・・やっぱり、良い奴だな、お前は。 
圭介の他に、同期で1番の親友って、誰だ? って聞かれたら。
躊躇なく、お前の名を言うよ。 愛姫。


「・・・・・無ぇよ・・・」


看守兵に両脇を抱えられる。 そして扉の向うへ。
最後に振りかえり、言った。


「生きろよ・・・ お前等」


扉が、閉まった。



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