1996年4月2日 1630 北フランス パ・ド・カレー県 カレー前進基地
この2カ月ばかり、BETAは不気味な程静かだった。
今日も哨戒行動を兼ねた訓練を終えて基地に戻り、機体をハンガーに入れて機外に降り立つ。
見上げる機体はトーネードⅡIDS-5B。 小改修で現在はブロック153までヴァージョンアップされた愛機。
ハンガーから出て深呼吸をする。 北海から吹き付ける海風が冷たい。 でも火照った体に心地良い。
西の空が真っ赤に燃えて、夕焼けを醸し出している。 薄く垂れこめた雲の隙間から、数条の光帯がキラキラと海面を照らす様も見える。
ふと、同じく機体から降りたばかりのファビオが、CP将校のロベルタ・グエルフィ少尉と立ち話をしている姿が見えた。
あの2人、最近よく一緒に居るわね。 今は中隊のCP将校とその隊の小隊長だけれど。
ロベルタが負傷して衛士を辞める前は、同じ小隊の小隊長と部下の関係。 それに同じイタリア出身だし。
ロベルタがシチリア島で負傷して、戦線離脱した時のファビオの落ち込みったら、知っている極少数の人間から見ても危うい感じだったけれど。
逆に彼女が戦闘管制官として、中隊のCP将校として帰ってきた時は凄く喜んでいたっけね。
―――ファビオも、人の事言えないんじゃない? まあ、でもお互い嬉しそうだから良いか・・・
「お疲れ様、ファビオ。 今日も無事に、愛しのロベルタに会えたわね?」
「えっ!? あ、あの! ち、ちがっ! 違うんです、蒋中尉! あの、その・・・っ!」
「え~? 違うのぉ? そんな風には見えなかったわよ? ロベルタ~ まるっきり、恋する女の顔だったけどぉ?」
「んなっ! なっ! なっ・・・!」
「おいおい、翠華。 苛めるのはその辺で勘弁してくれや。 ―――ロベルタ、後で行くからさ」
相変わらず顔を真っ赤にしたロベルタが、基地の管理棟の方へ去ってゆく。
決定的ね、この2人。 ファビオのこまめさも、ようやく実を結んだってところ?
「何時からそう言う仲になったの?」
ハンガーからドレスルームに向かう途中で突っ込んでみる。 この手の話題、女にとっては大好物よ。
「何時からってなぁ・・・ あいつが入院している時分からかな? 直衛達が隊を出て行って2ヶ月くらいの頃か。
リハビリが始まった頃な。 それまで面会謝絶だったから、見舞いに行ったんだよ。 あいつは部下だったしな、俺は上官だったし」
うん、それは不思議じゃないね。
「部隊の状況教えて。 直衛達が隊を離れた事を教えて。 あいつ、酷く落ち込んじまってなぁ・・・」
儚い恋心、ってヤツよね。 ロベルタもそうだったけど、以前に戦死したリュシエンヌからも宣戦布告されたっけ。―――あの、無自覚、かつ、節操無しの種馬め!!
―――コホン、それはそれとして。
「ま、それからもちょくちょく、休暇の度によ、様子見に行っててな。 あいつも段々、冷静になってきてよ。
次第に自分の事―――今日はリハビリがきつかったとか、随分歩けるようになったとかな」
「へ、へえぇ・・・」
な、何よ? このベタなドラマのような展開は・・・ ファビオに似合わないわよっ!
「で・・・ もしかしてCP将校になったのも・・・?」
「おう、衛士資格を失った時には、流石に落ち込みそうになってな。 だもんで、管制官学校の志願を勧めた。
CP将校になりゃ、また部隊に戻ってこれるって言ってよ。 ま、志望部隊がそのまま通るかどうか、人事局次第なんだけどよ!」
あっはっは! って。 何を無責任に笑っているのよ、ファビオ!
「ま、そんときゃ、そん時だな? とにかく一歩前進だしよ。 俺はあいつの暗い顔は見たくねぇ、そんだけさ・・・」
ロベルタが管制官学校に居る間も、休暇で都合がつけば会いに行っていたそうだ。
今は飛び級で大学に通っているファビオの妹さんや、友人達も時折連れだして。
「賑やかな方がいいだろ? 同じイタリア人同士さ。 将来の夢とか、話したりよ」
「・・・将来、ね。 ポジティヴね、このご時世に・・・」
「んだよ? らしくなぇなぁ。 何かあったか?」
2030 カレー前進基地 サロン
自分からお酒を飲むのって、久しぶり。 それに相手がファビオだけっていうのも、何だか新鮮味と言うか、逆に違和感と言うか。
「酷ぇな、違和感ってよ?」
「だって。 何時もはギュゼルやミン・メイなんかが一緒だもん」
チビチビとカクテルを舐めながら言い訳。
ファビオはウィスキーをストレートで飲んでいる。 あんなのよく飲めるわね?
「ああん? 知らないか? ウィスキーって言葉はよ、ゲール語の uisce beatha(ウィシュケ・ベァハ:「命の水」)って言葉にに由来するんだぜ?
命の水だ、何かで割ったりするのはウィスキーに対する冒涜だぜ? ま、許容範囲はオン・ザ・ロックか、クラッシュだな。
正式な作法ってヤツは、こうやってウィスキーのストレートと水を交互に呑むのさ。
他にウィスキーと水とを1対1で割る『トワイス・アップ』って飲り方もあるけどよ?」
「酒飲みの蘊蓄はどうでもいいわよ・・・ ゲール語って?」
「知らないのかよ・・・ アイルランド語やスコットランド・ゲール語、マン島語なんかと同じだよ、古アイルランド語・・・ ケルト語の一派さ」
意外な蘊蓄、アリガト・・・
にしても、機嫌が良いわね? いえ、ここ数カ月そうなのだけど。
「ロベルタが配属されたから?」
「そこまで露骨じゃないけどよ? ま、あいつがまた、生きる為に戦う事の意味を見つけてくれた事は、正直に嬉しいぜ?」
「生きる為に戦う事の意味・・・?」
グラスの中身をグイッ、と飲み干したファビオが、そのグラスを持つ手の指を1本、私に突き指して笑う。
―――片目なんかつぶっちゃって。 正直こう言う仕草、彼は似合うわね。
「おう、そうさ。 あいつは、ロベルタはもう衛士としては戦えないけど、その戦いを支援する事は出来る。
元衛士だからな、その辺の戦闘管制官よか、余程的確だろ?」
言われてみれば。 彼女のCP将校としての優秀さは気づいていた。 的確・かつ正確。 過不足無く状況情報を伝え、時にはアドヴァイスさえ。
実戦を経験した衛士あがりと言う事も頷ける手腕なのだ。
「一人でも多く、生きて欲しいってよ。 例え負傷しても、絶望しても、悲しみに溺れても。
時は癒してくれる。 自分がそうだったように、生きてさえいれば、道は眼の前に続いている。 あとは歩きだすだけ・・・ そう言っていたよ」
「時が癒す? 時が病気だったらどうするの?」
このご時世。 時勢は、時は、まるで不治の難病のようだ。
「ちっちっち、ネガティヴだぜ? 翠華? 偉そうな奴が、偉そうに言った言葉が有る。 『諦めるな。 一度諦めたらそれが習慣となる』ってよ?
でもよ、正直な話、俺達は明日を精一杯生きるより、今日を精一杯生きなきゃいけない。
それに死ぬよりも、生きているほうがよっぽど辛い時が何度もあるさ。 でも俺達は生きていかなきゃならないし、生きる以上は努力しなくちゃよ?」
「努力・・・?」
「そうさ。 立派に死ぬことは、実はそう難しいことじゃないさ。 それよか立派に生きることが難しいな。
んじゃよ、どうやって立派に生きるかだ? やり方は三つしかない。 正しいやり方。 間違ったやり方。 そして俺様のやり方さ。
どれが正しくて、どれが間違いなんだか判らなねぇからよ、俺は、俺様のやり方でご立派に生き抜いてやるぜ?」
「どんなやり方よ・・・?」
「はっ! 決まっている、幸せに! 問答無用でな!」
―――はっ?
一瞬、頭の中が真っ白になった。
幸せにって、誰しもそう願うわよ。 誰しもそうありたいわよっ!
カクテルをどけて、空いたグラスにウィスキーを注ぐ。 ・・・でも、ストレートは自信無いから、水割りで。
ぐいっ! って勢い良く飲んで、そして・・・
「げほっ! げほっ! げっ、ほっ!」
「何やってんの・・・ いくら水割りでも、飲み慣れないのにそんな、勢い良く飲む奴がいるかよ?」
の、喉! 焼ける! 濃過ぎたよっ!
「けほっ、 ふぅ~・・・ あのさ、ファビオ。 幸せにって、誰しもそう願うわよ。 誰しもそうありたいわよ?
私だって、そうありたい! でも、思うようにはいかないもの! 大尉だって、ニコールだって、そう思っていた筈よ! でも・・・っ!」
「でも? 死んじまったからか? じゃあよ、死ぬまでのニコールは不幸せだったかよ? 大尉とずっといてよ。 違うだろ? 幸せだったんじゃないのかい?」
「それはっ! そうだろうけれど・・・っ!」
「んじゃ、そうなんだよ。 大尉はニコールを幸せにしていた。 大尉もそうだろうな?
残念ながら、ニコールの時間は終わっちまったがよ、大尉は続いているよな?
だったらよ、ここで不幸せだー! なんて嘆いていたらよ、ニコールも怒るわな?」
そ、それはそうだけど・・・ って、ファビオ、アンタ一体何杯目なのよ?
またまたボトルから、なみなみとウィスキーをグラスに注いで。
「翠華ってよ、最近やけに大尉の事、気にかけるよな? ま、それは良いけどよ」
「いいでしょ、別に・・・ 何か、助けたいと言うか。 力になれないかな、って言うか。
ニコールがあんな事になってしまったし、心配だし・・・」
「そりゃ、自分の為かい?」
「どう言う事?」
「最近、落ち込んでねぇか? ギュゼルからも相談されててよ。 直衛の事、お前さん、気持ちがグラついていねぇかい?」
―――ギュゼルめ! どうしてファビオに話すのよっ!?
仕方無く話した。 直衛の事、祥子の事、大尉とニコールの事、そして私の事。
「私自身、モヤモヤしているのだけれど。 大尉はそれ以上だし・・・ やっぱり心配だし・・・」
「惚れたって事かよ?」
「違うわよっ!!」
―――そんな節操のない女じゃないわよ、私はっ!
「いんや。 翠華、そりゃ、違わないと思うぜ?」
―――えっ?
思わずファビオの顔を見る。
普段は陽気で、ちょっと不真面目な彼だけど、その瞳は真剣だった。
「いいか、翠華? あんたは今、自分の為じゃなくって、大尉を助けたいと言ったよな?
まあいいさ、悪いことじゃない。 誰しも助けて貰えるんなら、助けて貰いたいいもんさね。
けどさ、その動機が負い目や憐憫から来たものなら、それは無視するより質が悪いぜ?」
「・・・何を言っているの?」
「分かり辛かった? なら例えばの話だ。
ある場所に、すっげえ不幸な目に遭っているヤツがいるとするぜ? ある日、アンタはそいつの事を知って落ち込んじまうんだが、それは意味のない感傷なんだよなぁ。
自分と関わりの無い世界の話にゃ、関われねぇよ? 自分と関わりのない場所で、誰かが不幸な目に遭ったとしても、アンタは笑っていろ」
「どう言う事よっ!?」
そんな、よくもそんな無情な言葉を! ファビオ、貴方!!
「人間、自分しか救うことしか出来ないんだぜ? 余所の世界の他人の為に、その他人を救うなんて、俺は言えねぇな、恥ずかしくってよ?
だってそうじゃね? 俺は俺以外のヤツを救うなんて事、出来やしねぇもんな。
自分の世界に無いものを救おうなんて、それは自分の世界を否定することになるわな? 自分のケツを拭いてからやれってよ?」
「うっ・・・!」
言い返せない。 彼はこう言っているのだ。
『そんな綺麗事では誰も救えない。 他人も、そして自分自身さえも。 けど―――それでも自分以外の誰かを救いたいなら―――』
「―――そうさ。 それでも誰かを救いたいというのなら、笑いな。 笑えない奴に誰かを助ける事なんてよ? 出来やしねぇって。
せめて、笑いながら助けな、そうして支えるんだよ。 そうじゃなきゃ、アンタもそいつも幸せを掴めないな。
見捨てられないから助けるとか、可哀そうだから救うとか、そういうのは余計なお世話だ。 何様のつもり?ってね。
一緒に苦楽を共にしようなんて、間違っても抱くなってコトでさ」
「苦楽を共に。 ―――良い言葉なのではないの?」
「判っちゃいねぇな! 共にするのは楽だけで良いのさ! 苦しみを連れて救いに来られた日にゃ大迷惑さ! 冗談じゃないね。
望むのは問答無用のハッピーエンド! 失われた日々を上回る愛と幸福! ア・モーレ! それと幸福! これに尽きるさ!」
1996年4月14日 0945 イングランド南部 ドーバー基地群 カンタベリー基地
『自分自身以上に愛する者が居る時、人は本当に傷つくものなのだよ』
ユーティライネン少佐がそう言っていた。
『愛されないということは不運だわ。 そして愛さないということは不幸なのよ』
フランソワーズが言った言葉だったかしら?
『懸命に生きている限り、失敗しても良い。 だが、後悔するのは最低だ』
アルトマイエル大尉を懸念していたウェスター大尉が呟いた言葉。
『俺達は明日を精一杯生きるより、今日を精一杯生きなきゃいけない』
ファビオが言っていた。
―――もし私が一人の心を傷心から救う事ができたのなら、私の生きる事は無駄ではないはずよ。
―――もし私が一つの魂の悩みを慰めることができれば、あるいは一つの苦痛を覚ます事が出来れば。
―――あるいは一羽の弱っている鳥を助けて、再び羽ばたけるようにしてやることが出来るのなら、私の生は無駄では無いのだろう。
『・・・大尉。 貴方が出来る事、したい事、そして夢見られる事を。 再び始めて下さい。
毎日を生きて、生き続けて。 この朝が、貴方の人生が再び始まった朝で有ります事を』
あの時、私が言った言葉。 そして、ニコールが言った言葉。
そして私も探そう、私の出来る事、したい事、そして夢見られる事を。
それが見つかった時、私は幸せになれる。 きっと、きっとなれる。
目前の滑走路を見る。 大型輸送機が着陸後のタキシングで駐機スポットに向かっていた。
遥々アラスカから、何度かの給油を経て飛来したのだ、ご苦労様。
「・・・もっとはしゃぐかと思っていたけれど?」
右横からヴェロニカが小声で話しかけてくる。
「・・・色々あるのよ。 あったのよ」
私も小声で言い返す。
「良いんじゃない? それで」
左横のギュゼルが、正面を見ながらそっと呟く。
『私の生きる理由? そうね・・・ 幸せになりたい。 幸せになった自分を夢見たい。 いいえ、夢見ているの』
だから、その日が来るまで絶対に生きてやるんだ、そう言っていたギュゼル。
どんな幸せかは、教えてくれなかったけれど。
『死者は我々がまったく忘れてしまうまで、本当に死んだのではない。 そして彼らが与えてくれた幸せを覚えている限り、我々は新たな幸せを掴めるのだ』
昨日、アルトマイエル大尉がポツリとそう呟いた。
エンジンを停止した輸送機から、数人の軍人が降り立った。 衛士の徽章をつけている。
本日の基地当直将校であるアルトマイエル大尉の前に並び立ち、敬礼する。
「周防直衛中尉、本日1000時を以って国連欧州方面軍、即応第1兵団に着任しました」
「長門圭介中尉、本日1000時を以って国連欧州方面軍、即応第1兵団に着任しました」
「久賀直人中尉、本日1000時を以って国連欧州方面軍、即応第1兵団に着任しました」
「イルハン・ユミト・マンスズ中尉、本日1000時を以って国連欧州方面軍、即応第1兵団に着任しました」
「サーマート・パヤクァルン少尉、本日1000時を以って国連欧州方面軍、即応第1兵団に着任しました」
「フレドリック・ラーション少尉、本日1000時を以って国連欧州方面軍、即応第1兵団に着任しました」
懐かしい顔が見える。 見知らぬ顔もいる。
本当に不思議ね、もっと胸が高まると思っていたわ。 でも、凄く穏やかな気持ち。
「6名ともご苦労だった。 配属部隊などについては、旅団本部で指示が有るだろう、後で向かってくれ。 ・・・周防、長かったな?」
「些か、居心地が良すぎたようです」
「怠ける暇は無いと思う、覚悟しておけ。 長門も、久賀もな」
「「 はっ! 」」
「マンスズ中尉、パヤクァルン少尉、ラーション少尉。 中東戦線、東南アジア戦線、北海戦線。 いずれも大変な事は承知の上で着任して貰った、有り難い」
「「「 はっ! 」」」
新着の6人が談笑しながら、こちらに向かって歩いてくる。 ふと、彼と視線が合った。
ギュゼルとヴェロニカに背中を押される。 彼にも圭介と直人が何か囁いている。
「・・・久しぶり」
「・・・ああ、久しぶりだ」
その言葉がどうして自然に出たのか判らない。 そして彼もまた、自然にそう言い返してきた。
後方で何が合ったのだろう? ベルファストやスコットランド、それにアメリカのN.Yやアラバマ、果てはアラスカまで。
いろんな所に行っていたようだけど。 うん、前に部隊を去って行った時の様な、絶望が滲んだ虚ろな瞳では無いわ。
以前の様な、無理をしてでも走り続けるかのような瞳の光でも無い。 一瞬見せた哀しげな色は気になったけど、でも、とても穏やかな瞳。
「・・・いろいろ、あったのね?」
「うん、いろいろあった。 ―――お互いにそうだね?」
少なくとも今の私は、北満州で死ぬ事に震えていた、初陣間もない新米衛士じゃない。
戦場に出て丸々4年、中尉の3年目。 そろそろベテランの端っこに引っかかる程にはキャリアを積んだ衛士になっている。
そしてそれは彼も同じ。 私を不器用でも受け止めてくれた、まだ少年だった日本の若い衛士じゃない。
あの頃、お互い18歳の若い新米衛士だった私達は、今年22歳になる中尉指揮官の端くれになっていた。
私の雰囲気と表情と―――瞳から察したのか。 彼はそれ以上何も言わなかった。
―――ビュオォォ・・・!
一瞬、風が勢いよく吹きすさぶ。 基地周辺の緑や木々もびっくりして、ざわめいていた。
髪の乱れを直して、そして再び彼を見据えて。
「お帰りなさい、直衛。 ―――激戦場になりそうよ?」
「ただいま、翠華。 ―――話は聞いている、覚悟は完了したよ」
―――多分、私の初恋は今、終わったのよ。