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No.7779の一覧
[0] 【ネタ完結】Fate/stay night ~IF・緩い聖杯戦争~[熊雑草](2009/05/16 02:23)
[1] 第1話 月光の下の出会い①[熊雑草](2010/08/27 00:09)
[2] 第2話 月光の下の出会い②[熊雑草](2010/08/27 00:09)
[3] 第3話 月光の下の出会い③[熊雑草](2010/08/27 00:10)
[4] 第4話 月光の下の出会い④[熊雑草](2010/08/27 00:10)
[5] 第5話 土下座祭り①[熊雑草](2010/08/27 00:11)
[6] 第6話 土下座祭り②[熊雑草](2010/08/27 00:11)
[7] 第7話 赤い主従との遭遇①[熊雑草](2010/08/27 00:12)
[8] 第8話 赤い主従との遭遇②[熊雑草](2010/08/27 00:12)
[9] 第9話 赤い主従との遭遇③[熊雑草](2010/08/27 00:13)
[10] 第10話 後藤君の昼休みの物語[熊雑草](2010/08/27 00:13)
[11] 第11話 赤い主従との会話①[熊雑草](2010/08/27 00:14)
[12] 第12話 赤い主従との会話②[熊雑草](2010/08/27 00:14)
[13] 第13話 素人の聖杯戦争考察[熊雑草](2010/08/27 00:15)
[14] 第14話 後藤君の放課後の物語①[熊雑草](2010/08/27 00:15)
[15] 第15話 後藤君の放課後の物語②[熊雑草](2010/08/27 00:16)
[16] 第16話 後藤君の放課後の物語③[熊雑草](2010/08/27 00:16)
[17] 第17話 天地神明の理[熊雑草](2010/08/27 00:16)
[18] 第18話 サーヴァントとアルバイト①[熊雑草](2010/08/27 00:17)
[19] 第19話 サーヴァントとアルバイト②[熊雑草](2010/08/27 00:17)
[20] 第20話 サーヴァントとアルバイト③[熊雑草](2010/08/27 00:18)
[21] 第21話 帰宅後の閑談①[熊雑草](2010/08/27 00:18)
[22] 第22話 帰宅後の閑談②[熊雑草](2010/08/27 00:19)
[23] 第23話 帰宅後の閑談③[熊雑草](2010/08/27 00:19)
[24] 第24話 帰宅後の閑談④[熊雑草](2010/08/27 00:20)
[25] 第25話 深夜の戦い①[熊雑草](2010/08/27 00:20)
[26] 第26話 深夜の戦い②[熊雑草](2010/08/27 00:21)
[27] 第27話 アインツベルンとの協定①[熊雑草](2010/08/27 00:21)
[28] 第28話 アインツベルンとの協定②[熊雑草](2010/08/27 00:21)
[29] 第29話 アインツベルンとの協定③[熊雑草](2010/08/27 00:22)
[30] 第30話 結界対策会議①[熊雑草](2010/08/27 00:22)
[31] 第31話 結界対策会議②[熊雑草](2010/08/27 00:23)
[32] 第32話 結界対策会議③[熊雑草](2010/08/27 00:23)
[33] 第33話 結界対策会議④[熊雑草](2010/08/27 00:24)
[34] 第34話 学校の戦い・前夜[熊雑草](2010/08/27 00:24)
[35] 第35話 学校の戦い①[熊雑草](2010/08/27 00:24)
[36] 第36話 学校の戦い②[熊雑草](2010/08/27 00:25)
[37] 第37話 学校の戦い③[熊雑草](2010/08/27 00:25)
[38] 第38話 学校の戦い④[熊雑草](2010/08/27 00:26)
[39] 第39話 学校の戦い⑤[熊雑草](2010/08/27 00:26)
[40] 第40話 ライダーの願い[熊雑草](2010/08/27 00:26)
[41] 第41話 ライダーの戦い①[熊雑草](2010/08/27 00:27)
[42] 第42話 ライダーの戦い②[熊雑草](2010/08/27 00:27)
[43] 第43話 奪取、マキリの書物[熊雑草](2010/08/27 00:27)
[44] 第44話 姉と妹①[熊雑草](2010/08/27 00:28)
[45] 第45話 姉と妹②[熊雑草](2010/08/27 00:28)
[46] 第46話 サーヴァントとの検討会議[熊雑草](2010/08/27 00:29)
[47] 第47話 イリヤ誘拐[熊雑草](2010/08/27 00:29)
[48] 第48話 衛宮邸の団欒①[熊雑草](2010/08/27 00:30)
[49] 第49話 衛宮邸の団欒②[熊雑草](2010/08/27 00:30)
[50] 第50話 間桐の遺産①[熊雑草](2010/08/27 00:30)
[51] 第51話 間桐の遺産②[熊雑草](2010/08/27 00:31)
[52] 第52話 間桐の遺産③[熊雑草](2010/08/27 00:32)
[53] 第53話 間桐の遺産~番外編①~[熊雑草](2010/08/27 00:32)
[54] 第54話 間桐の遺産~番外編②~[熊雑草](2010/08/27 00:33)
[55] 第55話 間桐の遺産~番外編③~[熊雑草](2010/08/27 00:33)
[56] 第56話 間桐の遺産④[熊雑草](2010/08/27 00:33)
[57] 第57話 間桐の遺産⑤[熊雑草](2010/08/27 00:34)
[58] 第58話 間桐の遺産⑥[熊雑草](2010/08/27 00:34)
[59] 第59話 幕間Ⅰ①[熊雑草](2010/08/27 00:35)
[60] 第60話 幕間Ⅰ②[熊雑草](2010/08/27 00:35)
[61] 第61話 幕間Ⅰ③[熊雑草](2010/08/27 00:36)
[62] 第62話 キャスター勧誘[熊雑草](2010/08/27 00:36)
[63] 第63話 新たな可能性[熊雑草](2010/08/27 00:37)
[64] 第64話 女同士の内緒話[熊雑草](2010/08/27 00:37)
[65] 第65話 教会という名の魔城①[熊雑草](2010/08/27 00:37)
[66] 第66話 教会という名の魔城②[熊雑草](2010/08/27 00:38)
[67] 第67話 教会という名の魔城③[熊雑草](2010/08/27 00:38)
[68] 第68話 幕間Ⅱ①[熊雑草](2010/08/27 00:39)
[69] 第69話 幕間Ⅱ②[熊雑草](2010/08/27 00:39)
[70] 第70話 聖杯戦争終了[熊雑草](2010/08/27 00:39)
[71] 第71話 その後①[熊雑草](2010/08/27 00:40)
[72] 第72話 その後②[熊雑草](2010/08/27 00:40)
[73] 第73話 その後③[熊雑草](2010/08/27 00:41)
[74] 第74話 その後④[熊雑草](2010/08/27 00:41)
[75] 第75話 その後⑤[熊雑草](2010/08/27 00:42)
[76] 第76話 その後⑥[熊雑草](2010/08/27 00:42)
[77] あとがき・懺悔・本当の気持ち[熊雑草](2009/05/16 02:22)
[78] 修正あげだけでは、マナー違反の為に追加した話[熊雑草](2010/08/27 00:42)
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[7779] 第11話 赤い主従との会話①
Name: 熊雑草◆890a69a1 ID:9b88eec9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/08/27 00:14
 == Fate/stay night ~IF・緩い聖杯戦争~ ==



 イライラしながら士郎を待つ凛に、彼女のサーヴァントは声を掛ける。


 「凛、奴を待っているところ済まないが……。
  来ないかもしれんぞ?」

 「は? 何でよ?」

 (やはり、気付いていなかったのか……。)

 「あの小僧は、凛の話を聞いていなかった。」

 「そんな訳ないじゃない!」

 「……何故なら小僧は、凛のパンチで気絶していたからだ。」


 凛は、衝撃の事実に思わず沈黙した。



  第11話 赤い主従との会話①



 何が何だか分からない凛に、彼女のサーヴァントは説明を続ける。


 「凛の殴り飛ばした方向に消火器があった。
  覚えてないか……?」


 覚えているはずがない。
 凛は、殴り飛ばした後、半身で腕を組み、”目を閉じながら”捲くし立てていたのだから。


 「お、覚えてないわ……。
  何で、アーチャーは、それをわたしに教えないのよ!」

 「普通は気付く。」


 凛は、うっと声をあげると押し黙る。
 今回は、明らかに自分が全面的に悪い。
 しかし、件の人物は、飄々と前を通り過ぎて行った。


 「待ちなさい! 衛宮君!」


 明らかに嫌そうな顔をして、士郎は振り返る。


 「今度は、なんの用だよ。
  俺は、昼飯食べないといけなくて忙しいんだよ。
  放置してくれよ。」

 「そうは、いかないわ!
  あなたには、話があるんだから!」

 「俺にはない!
  じゃあな。
  探さないでください。」


 士郎は、凛を無視して日当たりのいい場所へ向かう。
 その後をズンズンと凛がついて来る。

 士郎は、ピタリと立ち止まる。
 もう、話さないと埒があかない状態になっている。


 「分かった。
  話を聞くよ。
  ……で、なんの話?」

 「ここじゃ、人目につくから、あっちに移動するわよ。」


 士郎と凛は、屋上の人目のつかないところに移動する。


 …


 移動が終了すると凛が、早速、質問を投げ掛ける。


 「衛宮君、本当に聖杯戦争を知らないの?」

 「知らない。」

 「じゃあ、今朝、会ってた外国の人は誰?」

 (出方を変えて来たか……。
  では、こちらも変えよう。)

 「気付いてたのか?」

 「ええ。」

 「だったら、助けろ……。」

 「は?」

 「英語、分かんないんだよ!
  お前、頭いいんだろ!?
  だったら、放置せずに助けろよ!」

 「し、知らないわよ! そんな事!
  そんな事より、何か言ってなかった?」

 (今度は粘るな……。
  マスターか判別出来なくても、サーヴァントかどうかの
  情報だけでも手に入れようって魂胆か。)

 「多分、怒ってた。」

 「怒ってた?」

 「ああ、英語を全て聞き取れた訳じゃないが
  『シット!!』って言ってた。」


 士郎からは、相手を怒らせただけで何の情報も引き出せそうにない。
 凛は、頭を抱える。


 …


 世界に記憶の制限をされても彼女を忘れ切れないサーヴァント……アーチャー。
 肌で感じる現状の異質差……。
 故に、彼女を見て納得いかない彼は、我慢の限界を迎えていた。
 そして、冷静な彼にはあるまじき態度を取る。
 凛に許可なくアーチャーは霊体化を解き、姿を現す。

 セイバーは、一瞬、斬りかかろうとするが、士郎の意図を汲んで何とか自制する。


 「小僧、さっきからポケットに突っ込んだままの左手を見せろ。」

 「ア、アーチャー!?」

 (アーチャー?
  遠坂のサーヴァントは、アーチャーか。
  しかし、洞察力の鋭い手駒を持っていやがる。
  遠坂は、騙しきったと思ったのにいきなり弱点を見破られた。
  ・
  ・
  下手に怒りを買えば瞬殺だろうな。
  死にたくないな……。
  もう、ダメだな。
  うん、バラそう!)

 「参った。
  降参だ。
  察しの通り、俺はマスターだ。」

 「!!」


 士郎の答えに凛は、一瞬、呆けた顔をするが直ぐに緊張感を高めていく。
 何故なら、自分は、『マスター』というキーワードを出していない。


 「出来れば聖杯戦争が終わるまで、
  誰にも知られたくなかったんだがな。」


 士郎は、手をあげてセイバーに合図を送る。


 「姿は見せるな。」


 凛とアーチャーは、士郎を睨みつけたまま退路を塞いでいる。

 セイバーは、霊体化したまま、士郎の隣に来ている。
 士郎は、態度を変えずに、凛に話し掛ける。


 「用件を聞こうか?
  それとも、ここで戦うつもりか?」

 「用件は、幾つかあるわ。
  でも、まず、一番最初に聞いて置きたい事があるの。
  この学校に結界を張ったのは、あなたかしら?」

 「結界? 俺じゃない。
  第一、俺は、結界がある事すら気付かなかった。」

 「マスターであるあなたが、気付かないはずはないわ。
  魔術師なら、誰でも気付くぐらい強力なものですもの。」


 士郎は、頭を掻く。


 (また、魔術師関係か……。
  ったく!
  この誤解から解かないと話が進まないんだよな。)


 士郎は、凛に手を差し出す。


 「俺は、魔術師じゃない。
  嘘だと思うなら俺の手を持って魔力の流れを調べてみろ。」

 「何かの罠じゃないでしょうね?」

 「遠坂が、魔術師じゃないって信じてくれるなら調べなくていい。」


 凛は、アーチャーに視線で合図を送ると、そっと士郎の手を取り魔力の流れを調べる。


 「あ。」


 アーチャーは、凛の言葉を待つ。


 「本当に魔術師じゃない。」


 凛もアーチャーも驚いた顔で士郎を見ている。


 「分かったか?
  俺は、魔術師じゃないから、本当に結界に気付かなかったんだ。
  悪いが、それを前提に話を進めてくれ。」


 凛とアーチャーは、困惑の表情を浮かべて見つめ合っている。
 セイバーだけが、この状況を理解出来る。


 (やっぱり、そうなりますよね……。
  魔術師じゃないというところが、既に前提を崩壊させているのですから。)


 士郎は、平然としているが、凛とアーチャーは、軽いパニック状態だ。
 異質過ぎる対象に、どう対処していいか分からない。


 「ごめん、衛宮君。
  少し時間くれる? 何が何だか分からないの。」


 凛は、アーチャーと後方に撤退する。


 …


 撤退が完了すると、凛とアーチャーは、士郎に背を向けてしゃがみ込む。


 「……理解出来ない。
  何あれ?
  何で、魔術師でもない奴が、令呪持って平然と聖杯戦争に参加してるの?」

 「私は、それ以前に、どうやってサーヴァントを召喚したのかが気になる。
  多少なりとも魔力が必要だろう?」

 「そうよね。
  もう、事の始まりから説明して貰わないと
  用件を聞くどころじゃないわよね?」

 「まったくだ。
  まさか、こんな風に前提条件が崩されるとは
  思いもよらなかった。」


 コソコソと赤い主従相談の密談は続いた。


 …


 放置された士郎は、セイバーに話し掛ける。


 「仲いいな……アイツら。
  一体、なんだってんだよ?」

 「シロウ。簡単に言えば、昨夜、貴方と怒鳴りあった事の再現です。
  私と貴方は、マスターとサーヴァントの関係のため揉めましたが、
  彼女達の場合は、敵が魔術師じゃないという事で混乱をきたしています。」

 「やっぱり、魔術師であるっていうのが前提条件だもんな。
  それは、お前の説明を聞いて納得してたけど……。
  どうしようもないもんな~。
  っていうか、俺自身が被害者みたいなもんだしな~。
  ・
  ・
  ところで、これから話って進むのかな?」

 「さあ? 私だったら、例え敵でも説明を求めますね。
  シロウの様子は、キャスターなどに操られている様には見えませんから。」

 「そうか~。面倒臭くなりそうだな。
  本当は、お前と今後について話すつもりだったのに。
  何も分からないまま、アイツらの質問に答えるのかよ。
  いっそバックれるか?」

 「ここで先延ばしにしても、
  学舎に来る度について回りますよ。」

 「仕方ない……。
  ここで、しっかり白黒つけよう。
  それにしても長いな。
  昼休み終わっちゃうぞ?」


 士郎達の視線の先では、赤い主従の話がようやくついたようだった。


 …


 赤い主従が、こちらに仲良く戻って来る。


 「ちょっと、いいかしら?」

 「もう、なんでも聞いてくれ。
  俺のサーヴァントと話した結果、
  状況が納得出来ないと、話が進まないという結論に達した。」

 「あなたのサーヴァントが、冷静で良かったわ。」

 「そうか……。
  その前にさ、条件あんだけど。」

 「何かしら?
  無理難題なら受け付けないわよ。」

 「いや、そうじゃなくてさ。
  話し終わるまで物騒な事なしにしない?
  大方、そっちも俺がイレギュラーな存在だって分かるだろ?
  しかも、魔術師でもない雑魚なんだし。
  大目に見て欲しいんだけど。」

 「そうね……。
  分かったわ。
  話が終わるまで戦闘行為はしないであげる。」

 「了解だ。
  じゃあ、どっちから質問する?」

 「我々だ。」


 納得のいかないアーチャーが前に出る。


 「貴様がマスターである経緯を理解しない内は、話が進まん……。
  ・
  ・
  ? 貴様、何をしている!?」

 「お昼の用意だけど?」

 「…………。」


 アーチャーは、士郎の襟首を掴んでブンブンと縦に振りまくる。


 「貴様という奴は!
  聖杯戦争の大事な話をする時に昼食を取るなーっ!」

 「言っている事は、尤もなんだけどさ。
  お昼休み終わっちゃってんだよ。」


 辺りには、予鈴が響いている。


 「大体、時間取ったのって、あんた達だろう?
  『少し時間くれる? 何が何だか分からないの。』
  とかって言ってたじゃんかーっ!?」

 「ええーい! 気持ちの悪い裏声を使うな!」

 「そっちこそ、俺の昼飯タイムを返しやがれ!」


 士郎にはセイバーの、アーチャーには凛のグーが炸裂する。


 「あんた達、いい加減にしなさい!
  話が進まないじゃない!
  衛宮君! 昼食は、話が終わってからにしなさい!」

 「~~~っ!」

 「衛宮君?
  何で、そんなにダメージを受けてるのよ?」

 「俺のサーヴァントが武装解除しないで殴ったから
  篭手が顔面に来た……。」


 士郎は、顔面を押さえて蹲っている。


 「いい気味だ。」


 アーチャーは、士郎を見下しているが、凛に殴られた赤い跡が残ったままでは威厳も何もなかった。
 そして、どうしようもない状況の中で、凛が続きを促す。


 「はあ……。
  じゃあ、衛宮君がサーヴァントを
  召喚したところから話してくれる?」

 「待て、凛。
  その前に小僧に聞く事がある。
  何故、お前のサーヴァントは姿を現さん?」

 「ああ、それか。
  俺が雑魚だから、相手にクラスが分かるのも嫌なんだとさ。」

 「…………。」

 (何か衛宮君のサーヴァントって不憫ね……。)


 士郎は、周りの空気を無視して、早速、話を始める。


 「え~と、結論から言うと俺は、呼び出していない。
  さっきも言ったが、俺は、魔術師じゃないから
  召喚する事が出来ない。」

 「やっぱり、そうよね。
  じゃあ、どうやって呼び出したの?」

 「こっからは、サーヴァントと話した予測なんだけど。
  蔵にあった魔法陣とかってのが誤動作したんじゃないかって。」

 「誤動作? そんな事あるの?」

 「俺は、魔術師じゃないから、なんとも言えないけど。
  魔法陣っての使って、サーヴァントを呼び出すんだろう?
  でさ、サーヴァント自身が受肉とかすんのに魔力使うらしいから、
  こっち側じゃなく魔法陣のサーヴァント側から魔力が供給されて
  召喚したんじゃないかってのが、俺の考え。 故に誤動作。」

 「……ありえない。」

 「……酷いもんだな。」


 凛もアーチャーも呆れた顔をしている。


 「それで? その後、どうなったの?」

 「さっきのお前達と同じ。
  サーヴァントは、俺が召喚したんだって疑わないし。
  俺も、呼んだ覚えがないから大混乱。
  その後、30分間、怒鳴り合い……。」

 「わたし達以上に酷い……。」


 凛とアーチャーは、頭を抱えている。


 「何か、これ以上聞きたくないけど……。
  続きを話してくれる?」

 「その後、俺が嘘ついていると思ったサーヴァントが、
  勝手に俺と契約した。」

 「もう、聞きたくない……。」

 「やめてもいいけど?」

 「ごめん、続けて……。」


 凛とアーチャーは、頭痛を引き起こしていた。


 「埒があかないので、家で落ち着いて話したら、
  俺が魔術師じゃない事が判明して、
  サーヴァントに俺が謝罪させた。」

 「何? その『謝罪させた』って?」

 「文字通り謝らせた。」

 「こっちの主も酷い……。」


 アーチャーの口から、本音が漏れる。
 凛は、少し顔が引き攣っている。


 「しかし、俺は、命を懸けたゲーム……聖杯戦争なんてしたくなかった。
  そこで、マスターをやめるために令呪を使い切ろうとした。」

 「「!!」」


 凛とアーチャーが、勢いよく吹いた。


 「馬鹿か!? お前は!?」

 「何を考えてんのよ!」

 「ああ、案の定……。
  サーヴァントにぶん殴られた。」


 凛とアーチャーの頭痛は、更に悪化していく。


 「でも、何で、衛宮君の令呪は残っているの?」

 「ふ……。
  使い方が分かんなかったんだ。」

 (使い方を知ってたら、使う気だったのね……。
  本当に不憫だわ……。
  衛宮君のサーヴァント。)

 (登校の時の会話で分かった事だが、
  令呪は、魔力がないと発動しないから、俺には使用出来ない事が判明した……。
  俺に解約の自由は、完全に絶たれたという訳だ……。)

 「で、その後は?」


 凛もだんだん聞いた事を後悔し始めた。


 「まだ、話さなきゃダメか?」

 「ええ、聞きたくないけど。
  校門であった時には、混乱がなくなっていたから……。」

 「その後、マスターやめるためには、
  聖杯戦争に勝利するしかないって事になって情報収集する事にした。」

 「やっと、まともな話になったわね。」


 凛とアーチャーの頭痛は和らいだ。


 「で、パートナーとなるサーヴァントの事を知るために
  サーヴァントの聖杯への願いを聞いた。
  願いを聞けば、どういったサーヴァントか分かると思ったからな。」

 「なるほどね……。」

 「フ……。
  ただの馬鹿ではないようだな。」

 「…………。」

 「どうしたのよ? 続けなさいよ。」

 「ああ……。
  願いを聞いた俺は、その願いが気に入らなくて、
  サーヴァントの首を絞めて、畳に叩きつけた。」

 「「!!」」


 再び、凛とアーチャーは、勢いよく吹いた。


 「やはり貴様は、ただの馬鹿だ!!」

 「サーヴァントに喧嘩売るって、何考えてんのよ!」

 「まあ……その、色々あって。」


 治まった頭痛は、再びぶり返す。


 「あんた、サーヴァントに喧嘩売って、よく生きてたわね?」

 「いや、その後、精神的ツボの捨てゼリフを吐いて寝たんだけどさ……。
  それを聞いたサーヴァントは、起きるまで泣き続けてた。」

 「最低……。」

 「もう、何と言っていいか分からん……。」

 「で、俺も悪い事をしたと思って土下座した。」

 「当然ね……。」
 「当然だな……。」


 凛とアーチャーは、頭痛の他に眩暈もする気分だった。


 「聞きたい?」

 「聞きたくないけど、最後まで聞かないと気持ち悪い。
  ・
  ・
  はあ……。
  何か罰ゲームを受けているみたい……。」

 「その後、俺は、土下座し続け、
  サーヴァントも俺を怒らせた原因があると土下座した。
  事態は、硬直状態に陥り、我が家に藤村先生が来るまで土下座は続いた。」

 「律儀なサーヴァントなのね……。
  でも、何で、土下座し続けるのよ。」

 「頑固なんだ……。この上なく……。」

 (確かに私といた彼女も負けず嫌いで頑固だった……。)


 アーチャーは、少し昔へと思いを馳せていた。


 「そして、藤村先生に気付いた俺たちは顔をあげた。
  サーヴァントの目に流れる涙を見て、
  虎は咆哮し、俺の顔面にパンチが炸裂した。」

 「もう、訳分かんない……。
  一体、いつになったら、あんた達は、共闘するのよ!」

 「やめていい?」

 「ダメ。続けて。」

 「サーヴァントは、一方的に殴られた俺が理不尽だと言って、
  藤村先生に自分も殴ってくれと言った。
  ・
  ・
  で、ほら、藤村先生もそういうノリが嫌いじゃないもんだから、
  サーヴァントに平手打ちを一発。」

 「もう、サーヴァントの素晴らしさ以外伝わって来ない……。」

 「理不尽だな……。
  我が主、以上に……。」


 再び、アーチャーの口から本音が漏れる。
 凛は、再び、少し顔が引き攣っている。


 「その後、藤村先生が、サーヴァントと話し合って、
  サーヴァントの願いと悩みを聞いた。
  どうも願いと悩みというのが表裏一体でな。
  答えは、出ているが出ていない状態なんだ。」

 「何それ?」

 「これは言えない。
  サーヴァントと俺の約束だからな。」

 (そうすると……彼女は、この時点で答えを得たのか?)

 「へ~。
  衛宮君でも、ちゃんと相手を立てるのね。」

 「サーヴァントに殺されて、死にたくないからな。
  後は、サーヴァントと話をしていた藤村先生が遅刻して。
  登校時に聖杯戦争の詳細を聞いて。
  遠坂をからかって。
  遠坂に殴られ気絶して。
  お昼休みに今後の事を話そうと思ったら、
  お前達に邪魔されたという訳だ。 長かった……。」

 「あんた、やっぱり、わたしをからかっていたのね?」

 「仕方ないだろ。
  こっちは、正体知られたくないのに、
  ストレートに聖杯戦争の事、聞いて来るんだから。
  とぼけたフリするしかないじゃないか。」

 「その件は、もういいわ。
  今の話だけで頭痛いのに余計なものまで蒸し返したくないもの。
  そうなると衛宮君の目的って、何になるのかしら?」

 「死なない事が、第一。
  それ以外は、これから決めるつもりだった。
  正直に言えば敵になるかもしれない遠坂に、ここまで話すのは大サービスだ。」


 士郎の説明を終え、やっと本題に入る事が出来る。
 凛とアーチャーは、気を引き締め直して会話を続ける事にした。


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