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No.7779の一覧
[0] 【ネタ完結】Fate/stay night ~IF・緩い聖杯戦争~[熊雑草](2009/05/16 02:23)
[1] 第1話 月光の下の出会い①[熊雑草](2010/08/27 00:09)
[2] 第2話 月光の下の出会い②[熊雑草](2010/08/27 00:09)
[3] 第3話 月光の下の出会い③[熊雑草](2010/08/27 00:10)
[4] 第4話 月光の下の出会い④[熊雑草](2010/08/27 00:10)
[5] 第5話 土下座祭り①[熊雑草](2010/08/27 00:11)
[6] 第6話 土下座祭り②[熊雑草](2010/08/27 00:11)
[7] 第7話 赤い主従との遭遇①[熊雑草](2010/08/27 00:12)
[8] 第8話 赤い主従との遭遇②[熊雑草](2010/08/27 00:12)
[9] 第9話 赤い主従との遭遇③[熊雑草](2010/08/27 00:13)
[10] 第10話 後藤君の昼休みの物語[熊雑草](2010/08/27 00:13)
[11] 第11話 赤い主従との会話①[熊雑草](2010/08/27 00:14)
[12] 第12話 赤い主従との会話②[熊雑草](2010/08/27 00:14)
[13] 第13話 素人の聖杯戦争考察[熊雑草](2010/08/27 00:15)
[14] 第14話 後藤君の放課後の物語①[熊雑草](2010/08/27 00:15)
[15] 第15話 後藤君の放課後の物語②[熊雑草](2010/08/27 00:16)
[16] 第16話 後藤君の放課後の物語③[熊雑草](2010/08/27 00:16)
[17] 第17話 天地神明の理[熊雑草](2010/08/27 00:16)
[18] 第18話 サーヴァントとアルバイト①[熊雑草](2010/08/27 00:17)
[19] 第19話 サーヴァントとアルバイト②[熊雑草](2010/08/27 00:17)
[20] 第20話 サーヴァントとアルバイト③[熊雑草](2010/08/27 00:18)
[21] 第21話 帰宅後の閑談①[熊雑草](2010/08/27 00:18)
[22] 第22話 帰宅後の閑談②[熊雑草](2010/08/27 00:19)
[23] 第23話 帰宅後の閑談③[熊雑草](2010/08/27 00:19)
[24] 第24話 帰宅後の閑談④[熊雑草](2010/08/27 00:20)
[25] 第25話 深夜の戦い①[熊雑草](2010/08/27 00:20)
[26] 第26話 深夜の戦い②[熊雑草](2010/08/27 00:21)
[27] 第27話 アインツベルンとの協定①[熊雑草](2010/08/27 00:21)
[28] 第28話 アインツベルンとの協定②[熊雑草](2010/08/27 00:21)
[29] 第29話 アインツベルンとの協定③[熊雑草](2010/08/27 00:22)
[30] 第30話 結界対策会議①[熊雑草](2010/08/27 00:22)
[31] 第31話 結界対策会議②[熊雑草](2010/08/27 00:23)
[32] 第32話 結界対策会議③[熊雑草](2010/08/27 00:23)
[33] 第33話 結界対策会議④[熊雑草](2010/08/27 00:24)
[34] 第34話 学校の戦い・前夜[熊雑草](2010/08/27 00:24)
[35] 第35話 学校の戦い①[熊雑草](2010/08/27 00:24)
[36] 第36話 学校の戦い②[熊雑草](2010/08/27 00:25)
[37] 第37話 学校の戦い③[熊雑草](2010/08/27 00:25)
[38] 第38話 学校の戦い④[熊雑草](2010/08/27 00:26)
[39] 第39話 学校の戦い⑤[熊雑草](2010/08/27 00:26)
[40] 第40話 ライダーの願い[熊雑草](2010/08/27 00:26)
[41] 第41話 ライダーの戦い①[熊雑草](2010/08/27 00:27)
[42] 第42話 ライダーの戦い②[熊雑草](2010/08/27 00:27)
[43] 第43話 奪取、マキリの書物[熊雑草](2010/08/27 00:27)
[44] 第44話 姉と妹①[熊雑草](2010/08/27 00:28)
[45] 第45話 姉と妹②[熊雑草](2010/08/27 00:28)
[46] 第46話 サーヴァントとの検討会議[熊雑草](2010/08/27 00:29)
[47] 第47話 イリヤ誘拐[熊雑草](2010/08/27 00:29)
[48] 第48話 衛宮邸の団欒①[熊雑草](2010/08/27 00:30)
[49] 第49話 衛宮邸の団欒②[熊雑草](2010/08/27 00:30)
[50] 第50話 間桐の遺産①[熊雑草](2010/08/27 00:30)
[51] 第51話 間桐の遺産②[熊雑草](2010/08/27 00:31)
[52] 第52話 間桐の遺産③[熊雑草](2010/08/27 00:32)
[53] 第53話 間桐の遺産~番外編①~[熊雑草](2010/08/27 00:32)
[54] 第54話 間桐の遺産~番外編②~[熊雑草](2010/08/27 00:33)
[55] 第55話 間桐の遺産~番外編③~[熊雑草](2010/08/27 00:33)
[56] 第56話 間桐の遺産④[熊雑草](2010/08/27 00:33)
[57] 第57話 間桐の遺産⑤[熊雑草](2010/08/27 00:34)
[58] 第58話 間桐の遺産⑥[熊雑草](2010/08/27 00:34)
[59] 第59話 幕間Ⅰ①[熊雑草](2010/08/27 00:35)
[60] 第60話 幕間Ⅰ②[熊雑草](2010/08/27 00:35)
[61] 第61話 幕間Ⅰ③[熊雑草](2010/08/27 00:36)
[62] 第62話 キャスター勧誘[熊雑草](2010/08/27 00:36)
[63] 第63話 新たな可能性[熊雑草](2010/08/27 00:37)
[64] 第64話 女同士の内緒話[熊雑草](2010/08/27 00:37)
[65] 第65話 教会という名の魔城①[熊雑草](2010/08/27 00:37)
[66] 第66話 教会という名の魔城②[熊雑草](2010/08/27 00:38)
[67] 第67話 教会という名の魔城③[熊雑草](2010/08/27 00:38)
[68] 第68話 幕間Ⅱ①[熊雑草](2010/08/27 00:39)
[69] 第69話 幕間Ⅱ②[熊雑草](2010/08/27 00:39)
[70] 第70話 聖杯戦争終了[熊雑草](2010/08/27 00:39)
[71] 第71話 その後①[熊雑草](2010/08/27 00:40)
[72] 第72話 その後②[熊雑草](2010/08/27 00:40)
[73] 第73話 その後③[熊雑草](2010/08/27 00:41)
[74] 第74話 その後④[熊雑草](2010/08/27 00:41)
[75] 第75話 その後⑤[熊雑草](2010/08/27 00:42)
[76] 第76話 その後⑥[熊雑草](2010/08/27 00:42)
[77] あとがき・懺悔・本当の気持ち[熊雑草](2009/05/16 02:22)
[78] 修正あげだけでは、マナー違反の為に追加した話[熊雑草](2010/08/27 00:42)
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[7779] 第28話 アインツベルンとの協定②
Name: 熊雑草◆890a69a1 ID:9b88eec9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/08/27 00:21
 == Fate/stay night ~IF・緩い聖杯戦争~ ==



 セイバーとイリヤは、なんとなく分かって来ていた。
 士郎は、自分と関わりを持った者は、きっと、なんとかしようとするのだろうと。


 「なんかセイバーとイリヤだけで納得してるなぁ。
  まあ、いっか。
  ・
  ・
  聖杯戦争の話は、今日は、ここまでにしよう。
  イリヤの協力を約束出来ただけで大きな進展だ。
  素人同然の俺に本物の御三家の情報が入るんだから。
  それに……今後、どうするか考えないと質問も出来ない。」

 「うん、それがいいんじゃないかな。
  わたしも士郎の家に行く理由があるのは嬉しいもの。」

 「では、シロウ。
  イリヤスフィールと手を組むという事ですか?」

 「そうだな。
  でも、出来れば御三家のイリヤと聖杯戦争のあり方を話したいかな。」


 イリヤは、何の事だろうと首を傾げる。


 「簡単に言うと、もう、冬木で聖杯戦争をしないようにしたいんだ。」

 「そんなの出来ないよ!」

 「だから、話し合い。
  イリヤが聖杯を手に入れれば、聖杯戦争が起こらないって話なら、
  それも考慮に入れようかな、と。」

 「シロウ!
  そんな勝手な事を!」

 「そう、勝手な考えだ。
  だから、話し合い。」

 (どうやら、無理難題みたいだな。
  でも、やる事を明確にしないと何をすべきか決めらんないし。
  大体、一般人の住む所で戦争って……。
  天下一武道会みたいに武舞台でも作って戦えばいいんだよ。)



  第28話 アインツベルンとの協定②



 時間は、0時を回っていた。
 士郎は、遅くまで引き止めてしまったイリヤを気に掛ける。


 「遅くなっちゃったけど、家の人に連絡しなくて大丈夫か?」

 「う~ん。
  そういえば、予定の時間より遅いかな?
  士郎をサクッと殺して帰るつもりだったから。」

 「包み隠さない言い方だな……。」

 「…………。」

 「家の人が心配するといけないから電話しよう。
  電話番号は?」

 「え? 士郎が電話するの?」

 「そうだけど?」

 (ちょっと、セラの反応が見てみたいかな?)


 イリヤは、悪戯心を刺激され笑みを溢す。
 セイバーは、何となく、この雰囲気が士郎に似ている感じがした。
 イリヤは、士郎に電話番号を教える。
 士郎は、早速、電話する。


 「ところで、誰が出るのかな?」

 「多分、セラが出ると思う。」

 「セラ?」

 「わたしの家のメイド。」

 「メイドが居るのか……。
  お屋敷に住んでるんだな。」

 「お城だよ。」

 「…………。」

 (お城?)


 そうこうする内に電話が繋がる。
 イリヤは、電話のスピーカーボタンを押す。
 セイバーは、何をしたのか分からず見守る。


 『ハイ。』

 「ヤブに恐れ入ります。
  衛宮という者ですが……。」

 (なんて言えばいいんだ?
  『イリヤさんのお宅ですか?』か。
  『アインツベルンさんのお宅ですか?』か。
  ・
  ・
  どちらにせよ、外人の家には電話を掛けづらい……。)

 『あの、もしもし。
  どうかなさいましたか?』


 電話の向こうでは、メイドさんが聞き返している。


 「すいません。
  え~……。
  あなたは、セラさん?」

 『は?』

 (シロウ、何ですか突然……。)

 (さすが、士郎。
  もう、予想外の展開。)

 『何故、貴方が、私の名前を知っているのですか?』

 「ああ、その、イリヤに聞いて。」

 『イリヤ!? お嬢様を馴れ馴れしく愛称で呼ばないで下さい!』

 「す、すいません。」

 (なんで、怒られなきゃいけないんだ。)

 『それで、ご用件は何ですか?』

 「え~とですね。
  イリヤ……。」

 (しまった!
  イリヤイリヤって、呼んでてフルネームが出て来ない!
  もう、いいや……。)

 「イリヤが、今、家に居てですね。」

 『貴方は、私の話を聞いていたのですか!?
  馴れ馴れしく呼ぶなと言っているのです!』

 「イリヤさんが、家に居ましてね!」

 『あくまで、対抗する訳ですね。』


 …


 セイバーとイリヤは、こそこそと話しをしている。


 「なんで、士郎は、イリヤスフィールって言わないんだろう?」

 「イリヤと呼んでたから、フルネームが出て来ないのでは?」

 「横文字に弱いって本当だったんだ。」


 …


 再び、電話では、士郎とセラが鬩ぎ合う。


 「ああ! もう!
  セラ、しつこい!」

 『な!?』

 (あ、士郎キレた。)

 「イリヤと俺は、お前が考えているより深い絆で結ばれてんの!
  だから、イリヤでなんの問題もないの!」

 『何故、お嬢様が見ず知らずの方と絆など結ぶのです!』

 「それをお前に説明する義務はない!」

 『な!?』

 (一方的ですね、シロウ。
  しかし、これでは、イタズラ電話と勘違いされるのでは?)

 「いいか! 用件だけ言うぞ?
  イリヤは、帰りが遅くなったけど、今から帰るから!」

 『ちょっと、待って下さい!
  貴方、衛宮と名乗りましたよね?
  何故、敵である貴方から電話が来るのですか!?』

 「俺が勝ったからだよ!」

 『フ……貴方如き、俗人にお嬢様が敗れる訳ないでしょう。』

 (なんなんだ、このメイド!? 妙に腹立つな!)

 「じゃあ、お前は、
  なんで、俺がイリヤの電話番号知っていると思うんだよ?」

 『そ、それは……。』

 「いいか? よく考えろよ。
  アインツベルンの呼び出したバーサーカーは最強だ。
  そいつが本気になれば俺なんか、本来、5分で殺せる。」

 (シロウ、完全な敗北宣言じゃないですか……。)

 (士郎、勝ったのに自分を貶めてる……。)

 『た、確かに……。』

 「それが、今になっても連絡がなく敵から電話が来てんだぞ?
  キレる前に状況を把握しろよ!」

 (キレたのは、士郎が先なんだけどね。)

 『ま、まさか、本当に……。
  お嬢様に何かあったのですか!?』

 「だから! 俺が勝ったの!
  でも、イリヤと仲良くなったから危害は加えてない!」

 『嘘ですね。』

 「は?」

 『聖杯戦争でありながら、危害を加えないなど。』

 「馬鹿か!? お前は!」

 『な!? ば……。』

 「危害を加えたら、電話番号を聞き出せんだろーが!」

 『……貴方が、お嬢様を身代金目当てで
  誘拐したとも考えられますが?』

 「バーサーカーより、強い誘拐犯なんているか!」


 イリヤは、お腹を抱えて笑っている。


 『では、先程の勝ったという話は、どう解釈するのです?』

 「ああ~~~。
  つまりだな。
  バーサーカーに勝てないからイリヤを狙ったんだ。」

 『やはり、お嬢様に危害を加えたのではないですか!』

 「だから、危害は加えてない。
  ・
  ・
  体には……。」

 『体? 何をしたんです!?
  衛宮士郎ーーーっ!』

 (なんで、コイツ、俺の名前まで知ってんだよ?)

 「……あれ?
  そーいえば、随分、酷い事したな。」


 士郎は、あらためて思い返す。


 『だから! 何をしたのです!?』

 (士郎、煽るなぁ。)

 「え~と。
  ・
  ・
  転倒させて、首に刀を突きつけた?」

 『衛宮士郎ーーーっ!
  殺します……貴方は、絶対に殺します!』

 「待て、セラ!
  俺は、最初に戦いたくないって、イリヤに言ったんだぞ!?」

 『殺します。』

 「それに初めに殺そうとしたのは、イリヤだぞ!?」

 『お嬢様は、いいのです!』

 「なんだ!? その理屈は!?」

 (流石に今のは酷い理屈ですね。
  それにしても、シロウは死んでいいけど、
  イリヤスフィールには危害を加えるなとは……。)

 (う~ん。
  セラ、キレてる。
  だんだん脈略がなくなって来てる。)

 『大体、婦女子に刃物を突きつけるなんて
  恥ずかしくないのですか?』

 「いや、恥ずかしいよ。
  凄く恥ずかしいよ!
  でもな、殺されそうになってんのに、何もしない訳にはいかないだろう!?」

 『お嬢様に殺されるのだから、
  ありがたく死になさい。』

 「だから、死にたくないんだ!
  生きていたいんだよ!」

 『世の中のために死になさい。』

 「~~~っ!
  お前が死ね!」

 『お嬢様にとんでもないトラウマを刻み付けておいて
  生きているなど、虫がいいにも程があります。』

 「もう、訳分からん!
  何!? アインツベルンって!?」


 …


 セイバーは、イリヤを指で突いて、そろそろ助け舟を出せと合図する。
 イリヤは、士郎から受話器を奪い取ると話し始める。


 「セラ? わたし。」

 『お嬢様!』

 「士郎の話は、概ね本当よ。
  そして、今から帰るから。」

 『声を聞いて安心しました。
  お怪我などはないのですね?』

 「大丈夫よ。」

 『精神的疲労などはございませんか?』

 「大丈夫よ。」


 電話の向こうで、安堵した息が漏れる。


 『では、お帰りをお待ちしています。』

 「心配掛けて、ごめんね。じゃあ。」


 イリヤは、受話器を置く。


 「あのメイド! 全然、態度違うじゃねーか!」

 「セラは、真面目だから。」

 「電話とは、あの様に会話をするものなのですか?」

 「例外よ、セイバー。
  ただ、こうなると思っていたけど。」


 イリヤは、可笑しそうに笑った。


 …


 電話も掛け、時間も大分経ってしまった。
 縁側に移動し、イリヤがコートを羽織る。
 士郎とセイバーは、縁側でイリヤを見送ろうとする。


 「士郎、楽しかったわ。」

 「ああ。また、来てくれ。
  メイドは、連れて来んなよ。」


 イリヤは、再び、可笑しそうに笑う。


 「これ、好きなの持って行っていいぞ。」


 士郎は、戦利品のぬいぐるみをイリヤに見せる。


 「え? いいの?」

 「つい取り過ぎたからな。
  本当は、ライオンと虎も居たんだけどな。」

 「どこいったの?」

 「ライオンは、騎士に捕獲され、
  虎は、虎が持って行った。」

 「ふふ……何それ?」

 「ライオンは、セイバー。
  虎は、藤ねえが持って行ったって事。」

 「シロウ、アーチャーのマスターが黒猫を。」

 「そうだった。」

 「わたし、猫嫌いだからいい。
  じゃあ、残り貰っちゃおうかな?」

 「すまんなぁ。余り物で。
  今度、一緒にゲームセンターに行こうな。」

 「うん!」

 「そういえば、シロウ。
  アーチャーに、何を渡したのですか?」

 「アーチャーにも、何か渡したの?」

 「言って分かるかな?
  地上最強の生物を渡したんだ。」

 「…………。」


 セイバーとイリヤは、固まる。


 「何それ?」

 「言葉じゃ、説明しづらいな。
  絵で書いてやる。」


 士郎は、家の中からスケッチブックと鉛筆を持って来る。
 そして、僅か30秒で背中に鬼を浮かべた地上最強の生物を書き上げる。


 「これだ。」

 「「!!」」


 セイバーとイリヤは、絶句する。


 「こんなものをあげたのですか!?」

 「アイツ、鍛えてそうだったから。」

 「…………。」

 「ちょっと、バーサーカーに似てるかも?」

 「うん?
  そういえば、後姿は……髪の具合とか似てるかも?」


 士郎は、次のページにバーサーカーを地上最強の生物と同じポーズで書き上げる。


 「似てますね……。」

 「っていうか、士郎、絵上手過ぎ!
  ・
  ・
  そうだ!」

 「どうした?」

 「このバーサーカーに色塗ってよ。」

 「でも、色鉛筆ないし。」

 「このシマウマの鬣、色鉛筆だよ。」

 (最近のぬいぐるみは変わってるな。
  あ、危なくないようにキャップまでついてる。)

 「じゃあ、色つける。」


 士郎は、さらに30秒で色をつける。


 「ありがとう! 士郎!」

 「どういたしまして。」

 (帰るのどんどん遅くなるな……。)

 「ねえ、今度、セラとリズ書いて。」

 「メイドか?」

 「うん。」

 「見た事ないから、特徴言ってくれ。」

 「え~と、目が……。
  ・
  ・


 士郎は、モンタージュを作成するように2人のメイドを書き上げていく。


  ・
  ・
  そうそう、そういう服装。」

 「変わった服だな。
  色は、これでいいんだな?」

 「うん。
  あ、出来た?」

 「出来た。」

 「またまた、ありがとう!」

 「またまた、どういたしまして。」

 (シロウは、手先が器用ですね。
  ・
  ・
  それにしても、妙に変な特殊能力を持っていますね……。)

 「これ、おまけ。」


 シロウは、優しく微笑むメイド二人の間に笑顔のイリヤを書き加える。
 そして、三人の後ろにバーサーカーを書き加える。


 「わあ。」


 イリヤは、嬉しそうに絵を眺めている。


 「しまった……。
  セラの顔に皺の一つでも書いてやるんだった。」

 「そんなのダメだよ!」


 イリヤは、スケッチブックを士郎から遠ざける。


 「仕方ない……諦めるか。
  ・
  ・
  他に何かあるか?」

 「う~ん……。
  思い付かない。」

 「無理して考えなくていいから。」


 イリヤは、スケッチブックをぬいぐるみの入っているビニール袋に大事に仕舞う。
 そして、帽子を被ると縁側から外に出た。


 「楽しくて遅くなっちゃったから、
  今度こそ帰らないと。」
 
 「バーサーカー居るから、送らなくていいかな?」

 「うん。
  バーサーカーより、強い誘拐犯は居ないから。」

 「全くだ。」

 「じゃあね!
  お土産、ありがとう。」

 「ああ、おやすみ。」


 イリヤは、手を振って帰って行った。


 「なんか聖杯戦争で命を懸けた気がしない……。」

 「よく言います。
  この状況を作り出した本人が。」

 「!」

 「どうしました?」

 「こんな時間掛かると思ってなくて風呂の火を消してない。
  今頃、煮えたぎってるな。」

 「とりあえず、今日は、ゆっくりしてください。
  これからの話も体を癒した明日にしましょう。」

 「そうする。」

 「!」

 「どうしました?」

 「この荒れ果てた庭は、どうしよう?」

 「…………。」

 「大河にバレないように明日、修復ですかね?」

 「直せる自信がない……。」

 「確かに……。」


 士郎とセイバーは、荒れ果てた庭を見なかった事にした。


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