== Fate/stay night ~IF・緩い聖杯戦争~ ==
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という様に聖杯戦争では
七人の魔術師がそれぞれサーヴァントを呼び出し、
最後の一人になるまで戦い抜くのです。」
「なるほど……。」
「分かって頂けましたか?」
「ああ、やっぱり俺は間違っていなかった。」
第3話 月光の下の出会い③
「は?」
「だから……。
セイバーを呼び出したのは俺じゃない。」
「そ、そうですね……。」
「…………。」
「何か言う事があるんじゃないか? セイバーさん?」
セイバーは、ワタワタとした後、数秒目線を背けると頭を下げた。
「……すいません。」
士郎は、一瞬、勝ち誇った顔をすると直ぐに普段の顔に戻る。
そして、時計を確認する。
(もう、二時か……。)
「ところで……。
セイバーは、これからどうするんだ?」
「もちろん、聖杯戦争を続けます。」
「そうか。
じゃあ、明日からはマスター探しだな。
この家、広いから。
今日は、泊まっていっていいぞ。」
「あ。」
士郎の善意の言葉でセイバーは、肝心な事を伝えていない事に気付く。
頬に冷たい汗が一筋流れる。
「シ、シロウ……。
実は、貴方に伝いそびれた事がある。」
「ん? 何かあったか?」
「その……。
シロウは、既に私のマスターです。」
「ふ~ん。
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……は?」
シロウは驚きの声をあげ、セイバーは罰の悪い顔をしている。
「なんでさ?」
「シ、シロウは、聖杯戦争に参加する気はありませんか?」
「ない!
だから、なんでさ?」
セイバーは、観念したように額を伏せて士郎から目線を外す。
「先程、母屋に赴く時に
『何やった』と言ったのを覚えていますか?」
「ああ、覚えてるぞ。
……ま、まさか。」
「はい。
あれがマスターとの契約です。」
「なんだってーーーっ!?」
士郎は咆哮し、セイバーは苦笑いを浮かべる。
「し、仕方がなかったのです!
現界している時間もなく、貴方は、嘘をついていると思って……。
シ、シロウ、これは不可抗力です!!」
セイバーは、必死に弁明する。
「じょ、冗談じゃないぞ!
命懸けのゲームなんて!」
「シロウ、貴方を巻き込んでしまった事は謝ります。
しかし、私は聖杯を必ず手に入れなければならない!」
真剣に話を続けようとするセイバーを余所に、士郎は俯き、肩が震えている。
「ふ、ふふ……。」
「シロウ?」
「そんな事は知るかーーーっ!
なーに! 焦る必要はない!
この令呪とかいうのを使い切れば全て解決だ!
マスターとも、めでたくおさらばだ!」
「待ちなさい、シロウ!
そんなくだらない事に令呪を使うというのですか!?」
「その通り!
跪け! 命乞いをしろ! 小僧から石を取り返せ!」
士郎は、令呪を高く掲げる。
セイバーは、令呪の発動に身構えた。
「…………。」
「使い方が分からん!!」
セイバーのグーが、士郎の顔面に炸裂した。