「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっーーー!」
「うわぁ、今日もいっぱいだねぇ」
上の姉、天和が舞台袖から客席を眺めて言った。
「ちぃの魅力で、みんなメロメロにしてやるんだから」
下の姉、地和が自信満々に口を開く。
城外の練兵場に設けられた会場は、今日も大入りである。
南華老仙の太平要術を手に入れてから生活が一変していた。売れない旅芸人に過ぎなかった自分達が、何万、何十万もの人に支持されるようになり、気付けば黄巾党の教祖張角、張宝、張梁として大陸に知らぬ者のない存在となっていた。そしてこの地、広宗は事実上黄巾党が支配する街なのだ。
「えぇー、お姉ちゃんの魅力だよー」
「ちぃの魅力!」
そんな状況に、人和は心中不安を拭い去れずにいたが、二人の姉はそんなものとは無縁のようだった。ただ、何も考えていないだけかもしれないが。
「二人共、けんかしないの。私達三人、力を合わせて歌でこの大陸を制覇するんでしょう?」
「そうだね。大陸中の人達が私達の歌を待っているんだもんね」
「そうね。ちぃ達の魅力で、大陸中の人をメロメロにしてやるんだから!」
二人のどこまでも前向きな姿勢。こういった部分は敵わないな、と人和は思った。それが、二人の人々を引き付ける華のようなものを生み出しているのかもしれない。それは自分には無いものだと、人和は常々感じていた。真っ直ぐに夢に向かう二人を支えるのが自分の役目だ。それで、南華老仙の教えに手を出したのだ。誰よりも人和自身が一番、二人の姉の持つ華に惹かれているのだから。
「それじゃあ、行きましょう。ちーちゃん、れんほーちゃん!」
「ちょっと、何してるの、人和。行くわよ!」
「……ええ!」
人和は二人の背を追って、舞台に飛び出した。
500の兵を率いて、曹仁は小さな林に伏せていた。右に見える岩山には鈴々率いる200が伏せているし、左に見えるこちらよりやや大きな林には愛紗が率いる1000が伏せている。後方の丘には、桃香が残る300ほどを率いて、朱里、雛里と共に伏せている。皇甫嵩率いる官軍や孫策の軍も、遠く見える山中や林に伏せているはずだ。
前方に視線を移す。10里ほど先に、目標となる集団―――公演に集う5万近い数の黄巾党の者達が見えた。埋伏可能な最も近い位置に、夜の内に移動したのだ。目標まで視界を遮るものは何もない。一度、黄巾賊の斥候らしき者が近づいてきたが、ここまでは来ずに引き返していった。斥候兵の質の低さは、組織として未成熟な軍である黄巾賊の弱点の一つであると言っていい。しかしここは、4万以上の兵を埋伏させるという離れ業をやってのけた、皇甫嵩の統率力を褒めるべきだろう。
既に包囲網は完成していた。
今はまだ目が粗い網であるが、皇甫嵩の合図で一斉にそれを絞り込み、2重、3重の包囲へと移行していくのだ。5万の中には非戦闘員も多く含まれているようだが、兵力差は大きくない。こちらの動きに呼応して、素早くひとまとまりに動かれれば、包囲が破られることも十分考えられる。皇甫嵩は、散り散りに潰走されて張角を取り逃すという最悪の事態を避けるために、城内に逃げこんだ敵との攻城戦も想定しているようだ。そのために周囲の黄巾党の拠点を他の官軍に攻撃させて、援軍を断つという算段も立っている。しかし、曹仁は最初のぶつかり合いで終わらせられるという、確信に近い思いを抱いていた。兵達は武装こそ解いてはいないようだが、軍としてそこにいるわけではない。突然の襲撃に、命令系統が正常に機能するとは思えない。曹仁は敵軍を見据えて、気を引き締めた。
「ほわぁぁぁーーーーーっ」
視線の先の集団から、意味をなさない喚声の様なものが響き、遠く曹仁の耳にまでその残滓を伝えた。
「兄貴、聞こえたか?」
ここまで声が届いたのは、何度目だろう。初めは空耳かとも思ったが、どうやら目標の集団が発しているもので間違いないようだ。会場は、大変な盛り上りを見せているらしい。あそこに、漢朝400年を転覆させかねないほどの反乱に民を導いた人物がいるのだ。想像を絶するような求心力を有しているのだろう。華琳や桃香、そして孫策とも少しは語る機会があった。視線の先にいるはずの張角は、自身を慕う民にどのようなことを語って聞かせているのだろうか。
(……考えても詮無いことか)
曹仁はもうひとつ気になっていた問題に思考を移すと、視線も蘭々に移した。
「? なんだよ」
「……お兄さまは?」
「誰が呼ぶか!」
華琳達の本営から帰って来た当初は、蘭々の言葉遣いは昔の礼儀正しいもの戻っていた。曹仁のことを、お兄さまと呼んでくれていたのだ。しかし、幸蘭の元に生け贄の様な形で残してきたことで、蘭々の機嫌は悪く、曹仁はほとんど無視されているような状態だった。そして機嫌が治るのに呼応するように、言葉遣いも再び乱暴なものへと変わっていったのだ。結局数えるほどしか、お兄さまと呼ばれることはなかった。
それどころか、最近では桃香達の前で、幸蘭から聞かされた曹仁の私性活もとい私生活をちらつかせることで、こちらを屈服させようとしている節がある。
「……何だかお前、華琳に似てきたか?」
「ん? そりゃあ従姉だからな。似てもおかしくないだろ」
「どうせ似るなら春姉に似て欲しかったぞ」
「兄貴、春姉みたいに馬鹿愛い(ばかわいい)のに弱いよな」
「思い切った造語だな。春姉の可愛さをよく表わしてはいるが。本人が聞いたら怒―――っ! 行くぞ! 全軍前進!」
遠く見える山の頂に、旗が立ち、2度大きく振られた。曹仁は無駄口を切り上げ、兵に指示を出した。
気が付いた時には、包囲を受けていた。周囲の監視に当たっていた兵も、公演に気を取られ、気付くのが遅れたようだ。5日に一度の休養日である1万を除いた、3万の兵には武装をさせていた。まさにこういった事態に備えてのことであるが、ここまで見事に急襲を受け、そのまま包囲まで受けてしまうというのは想定外であった。命令系統を確認し、軍の体裁を整え終えた頃には、既に半里ほどの距離で対峙する形までに、包囲網は絞り込まれていた。
「馬元義さん、状況はどうですか?」
人和が話しかけてきた。不安そうな表情だ。馬元義はそんな顔をさせてしまっている自分を恥じた。
「ご安心下さい、人和様。何としても御三人は守り抜いて見せます」
「……お願いしますね」
人和は、ぺこりと頭を下げた。馬元義は闘志が沸き立つのを感じた。馬元義は元々は天和派だったが、三姉妹の側近として働くうち、最も触れ合う機会が多く、こちらを気遣ってもくれる人和のためなら、命もいらぬを思うようになっていた。
人和にも知らせてはいないことだが、三人の替え玉を用意していた。背格好の良く似た者を信者の中から選んだだけだが、それだけに三人の細かな容姿が官軍に知られることのないように気を使ってきた。この地が知られたということは、ある程度の情報は漏れているのかもしれないが、実際に三人を目にしたものでもない限り騙し通せるはずだ。
城を背にして正面を見据えた。“漢”の旗が見える。自身が率いる2万を先頭に、まずは一度そこにぶつかる。5000は退かずにそこに残って、追撃を食い止める。残りは反転して張曼成率いる本隊1万を先頭にひとつとなって突き進み、そのまま城内になだれ込む。三姉妹は本体の中ほどだ。敵中に残した5000は全滅することになるだろうが、とにかく三姉妹を城内に逃がすことだけを考えた。騎兵を用意しておかなかったことが悔やまれた。騎馬隊があれば、包囲を抜け、歩兵が壁を作って、三人を逃がすことも可能だったろう。三人の公演を直接見た後である。歩兵達は喜んで死兵となって、敵を食い止めたことだろう。
武器を持たない兵は、5000ずつ分けて、それぞれに加えた。死んだ味方や敵兵から武器を奪うように言ってはあるが、どこまで役に立つかは分からない。兵以外の者も1万ほどいたが、彼らには特に指令を出さなかった。こちらで招待した街の有力者達は、本隊で三姉妹と共に保護している。他の者は逃げるに任せるしかない。それが敵軍への撹乱にもなってくれるはずだ。
「よし、行くぞ!」
漢旗目掛けて駆けた。包囲網にぶつかる。ほとんど何の抵抗もなく、敵陣を押しやる。脆い。官軍などこの程度のものなのか。あるいは、三姉妹と共にあることが、我が軍に力を与えてくれているのか。このまま敵将の首を討てるかもしれない。そうすればそのまま勝ちに乗ることも可能だ。馬元義の胸に、淡い期待が湧きあがった。
その思いが、視界を狭めたのか。気付くと、前を進む兵が詰まっている。敵の抵抗が増しているのだ。前線がほとんど進めていない。否、逆に押し込まれつつある。それでも勢いのついた軍は、前へ前へと進み、隊列が崩れていく。左右に目をやると、こちらを押し包むように敵軍が動き始めている。兵を退く機を逸した。馬元義はようやくそのことに気付いた。
「くそっ、退け、全軍退け!」
言って後ろを振り向く。兵達が慌てて向きを変えている。混乱が起こる。今はとにかく、城に向けて駆けることだ。敵への備えも何もなく、ただ兵達を駆けさせた。兵が、横から、後ろからと斬りつけられ、命を落としていく。前方にわずかに開けていた城への道が、敵兵によってゆっくりと塞がれていくのが見えた。
自分が率いていた2万と5千はほぼ全てが取り囲まれてしまったようだ。しかし、城側の張曼成の本隊にいた三姉妹は抜けられたはずだ。
後方からの兵達の喚声が大きくなった。馬元義は振り返った。包囲の一部が開き、そこから騎馬隊が突撃を仕掛けてきていた。
「馬元義隊、止まれ! 周囲の敵兵を殲滅するのだ! 我らの奮闘が、張角様達の御身を守るのだ!」
騎馬隊に抜かれれば、そのまま本隊まで襲われかねない。ここで止めるしかない。ここで戦い続ければ、本隊に向かう敵兵も減らせるはずだ。
元来、侠客とは名ばかりのただの暴れ者に過ぎなかった。人より少しは頭が切れて、人々を煽動するのは得意だった。それを活かせる場などなく、どこかで野垂れ死にするのだろうと思っていた。三姉妹の公演を始めてみたとき、全身に稲妻が走ったようだった。彼女達のために何かしたいと、無秩序に増え続ける信奉者達をまとめ上げた。しかし、次第に暴走し出す者達を抑えきれなくなった。気付けば叛徒として、官軍に追われる立場となっていた。そのことで、世直しを叫ぶ侠客達が仲間に加わり、組織としては強固なものへと変わっていった。三姉妹の本来の目的から外れてきてしまっていることは、馬元義自身が誰よりも理解していた。しかし、一度朝敵と見なされてしまった以上、他に道はなかった。そのことだけが、心残りだった。
三姉妹に出会えて、初めて人生を生きていると思えたのだ。人和のために死ねるのなら悪くない。馬元義は、そう口中で呟いた。
皇甫嵩の軍が、一瞬押されたと思った。しかしよく見ると、兵に犠牲がほとんど出ていないことに曹仁は気付いた。そして、突出してきた敵軍を包み込むように、兵が動いて行く。騎馬隊が切り離されて、大きく回って勢いをつけると、そこにぶつかっていく。囲みこんでいた歩兵は、自然な動きで騎馬隊に道を開ける。騎馬隊の中に、孫策達も混ざっているのが見えた。
囲み込みから脱した敵軍に向けて、残る兵は追撃をかけている。これも、包囲を狭めるような動き方だ。曹仁達にもそちらの敵軍を追うようにと、伝令が来た。曹仁も初めからそのつもりだった。張角を討てば、この反乱は治まるのだ。こちらの包囲網に突撃を仕掛けた時、逃げる敵軍は堅陣敷いたまま、ほとんど動かなかった。それで囲い込まれずに済んだとも言えたが、張角がいると、教えているようなものでもあった。
「曹仁隊、行くぞ! 狙うは張角の首一つ! ここで長かった戦いを終わらせるぞ!」
曹仁は500を率いて駆けだした。500の兵の指揮であれば、相手が誰であっても負けるものではないと思っていた。義勇軍が2000を超える様になって、動きにもどかしさを感じるようになった。隅々まで血が通わなくなった、そんな感じだった。たった今目にした皇甫嵩の用兵は、曹仁の眼に衝撃的だった。万を超える軍を手足のように自在に扱っている。経験を積めば、自分もあそこまで見事に兵を動かすことが出来るのだろか。曹仁には、そんな自分が想像できなかった。
城側を包囲していた官軍と黄巾賊のぶつかり合いが始まった。官軍が押されている。今度は実際に犠牲も多く出ている。逃がすなら城側にと皇甫嵩が考えていたため、他の部分の包囲網より幾分薄いのだ。包囲を抜けられれば、3里も駈ければ城門だった。城にはまだ兵も残っているはずだ。ここまでの早い展開に対応できていないようだが、救援を出されると面倒だ。
「騎馬隊のみで駆けるぞ!」
白鵠が速度を上げた。敵軍との距離が、見る間に詰まってく。左右を見ると、官軍も騎馬隊を切り離して駆けだしている。包囲網が抜かれるのが見えた。そして城門が開いた。だが遅い。
「よし、間に合うぞ。―――!」
進行方向にいた20人ほどの集団を避ける様に、白鵠が迂回した。武器を持っていない。どころか、女子供も混ざっていた。突き崩せばいいと気にも留めていなかったが、他にもいくつも似たような集団がある。どう見てもただの民間人であるが、彼らはこちらの進行を阻止するような動きを見せていた。集団のなかに、指示を出しているような人間も見えない。ならば、彼らは自発的に張角を守ろうと動いているということか。
「曹仁殿!」
「お兄ちゃん!」
愛紗と鈴々も騎馬隊のみで駆けよって来た。二人の率いる隊も、民間人の集団を避けるために大きく蛇行した縦列となっている。
「曹仁殿、これは」
「ああ。厄介だが、避けながら進むしかないな」
隣に馬を寄せてきた愛紗に答えた。武器を持たない民間人と戦うことなど、義勇軍には出来ない。そしてそれは、皇甫嵩の官軍にも言えることのようだった。どの騎馬隊も民間人の集団を避ける様に進んでいる。
「くそっ、間に合うか!?」
白鵠が駆けた。最小の回避動作で、うまく速度を落とさずに駆けてくれている。後続も同じ進路を通って駆ける。愛紗達将校が乗る馬は、何とか離されずに付いて来ている。曹仁が元から率いていた10数騎も付いて来ている。しかし、他は徐々に距離が離れていく。
城門から敵兵が救援に向かってくるのが見えた。しかし間に合う。少なくとも自分と後続20騎ほどは、合流前に喰らい付ける。敵はほとんど陣も組まずにただ城門に向けて駆けている。形としては方陣に近い。数は2万に少し足りないほどだろうか。張角が中央付近に居るとすれば、100人も抜けば辿り付ける。追撃の形で100人。愛紗に鈴々もいてくれる。他の騎馬隊が追いついてくれば脱出も難しいことではないだろう。いけると、曹仁は思った。
敵軍を注意深く見据えた。目を凝らすのは中央付近。張角の位置。それを確認出来れば、躊躇なく飛び込んでいける。
張角、張梁、張宝の三人については未だ謎の部分が多い。腰まで伸ばした髪と、それより長く伸ばした髭をもつ大男、という情報は流れている。しかし掴まされた情報という感じもする。一つ、旅芸人の女だという情報があった。曹仁達が独自に黄巾党に潜入させていた者からの情報だった。それが、曹仁には気にかかっていた。
あれか。中央付近に、他と足並みの揃っていない集団が見えた。兵ではない。100人ほどの集団だ。そこにいたとして、正確に張角達を見つけられるのか。駆ける馬の勢いが失われるまでに見つけられなければ、押し包まれてこちらが討たれる。一つの賭けではあった。考えているうちに、もう敵軍は目前まで迫っていた。
「!」
白鵠が急激に速度を落とした。先ほどの迂回と違い、今度は急停止だ。民間人が、反転して壁を作っていた。その数1000人以上。
「迂回……は、間に合わないか」
敵軍の先頭は、既に救援の隊と合流しつつある。今から迂回して突っ込めば、そのまま城内まで共に侵入することになるだろう。さすがに城内からの脱出は無理だ。張角を生け捕れれば不可能ではないだろうが、本人を特定出来ない以上、さすがに分が悪すぎる賭けだ。
「民の力に負けたか」
否、民を動かした張角に負けたのか。曹仁はその思いは言葉にせずに胸の内に仕舞った。言葉にすると、悔しさが込み上げてきそうだった。
「張角は討てなかったみたいね」
「……ああ」
孫策が声を掛けてきた。民間人も含め大量の捕虜を得ていたが、不満が残る結果であった。
「ふふ、悔しそうね」
「……あんたは上機嫌だな」
「まあね、馬元義の首を取れたし」
孫策が上機嫌にそう答えた。馬元義といえば、黄巾党結成時からの張角の腹心だ。実質的な黄巾党のまとめ役だとも言われている。その価値は大きい。彼女のことだ、馬元義を討ち取って、そのまま突き進んで張角の首も取るつもりだったのではないだろうか。それは、馬元義隊の力戦に阻まれたようだ。しかし、自分の様に執着はしていないようだった。
「悔いていても仕方ないか。次に頑張るさ」
そんな孫策の姿に、曹仁も気持ちを切り替えることにした。広宗の城に視線を向けると、こちらに向けて歩いてくる皇甫嵩の姿が見えた。城の包囲の指示は終わったようだ。皇甫嵩の官軍も、馬元義の率いた隊の奮戦に少なくない犠牲を出していたが、すぐに編成が組み直され、城の包囲が始められていた。
「城の包囲はどう?」
「ああ、完璧だ」
孫策の言葉に、皇甫嵩が自信満々に答えた。こうも自信有り気に答えられると、彼女の力量を知る者としては信じざるを得ないのだが、曹仁は疑念を口にしてみた。
「将軍。聞くけど、あんた、攻城戦の経験は?」
「ん? 数えるほどしかないな。羌族との戦は、野戦ばかりだったからな」
想像通りの答えが返ってきた。皇甫嵩は涼州の一郡を任された太守だったはずだ。野戦経験は豊富だろうが、城攻めの経験はないのではないかと思っていたのだ。孫策も呆れ顔だ。
「なんだ? 私が信じられないのか?」
皇甫嵩は悪びれもせず、真っ直ぐに聞いてくる。この自信が、時に大胆な作戦を成功に導くのかもしれない。
「まあ、あんたのことだから、きっと大丈夫なんだろうけどな」
曹仁は不安を拭い切れないまま、広宗の城に視線を戻した。