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No.8085の一覧
[0] リリカル・とらいあんぐる転生日記  【完結しました】[satuki](2009/11/06 10:47)
[1] リリカル・とらいあんぐる転生日記 00[satuki](2009/06/19 17:02)
[2] リリカル・とらいあんぐる転生日記 01[satuki](2009/06/19 17:02)
[3] リリカル・とらいあんぐる転生日記 02[satuki](2009/06/19 17:02)
[4] リリカル・とらいあんぐる転生日記 03[satuki](2009/06/19 17:02)
[5] リリカル・とらいあんぐる転生日記 04[satuki](2009/06/19 17:02)
[6] リリカル・とらいあんぐる転生日記 05[satuki](2009/06/19 17:02)
[7] リリカル・とらいあんぐる転生日記 06[satuki](2009/06/19 17:03)
[8] リリカル・とらいあんぐる転生日記 07[satuki](2009/06/19 17:03)
[9] リリカル・とらいあんぐる転生日記 08[satuki](2009/06/19 17:03)
[10] リリカル・とらいあんぐる転生日記 09[satuki](2009/06/19 17:01)
[11] リリカル・とらいあんぐる転生日記 10[satuki](2009/06/19 17:01)
[12] リリカル・とらいあんぐる転生日記 11[satuki](2009/06/19 17:01)
[13] リリカル・とらいあんぐる転生日記 12[satuki](2009/06/19 17:01)
[14] リリカル・とらいあんぐる転生日記 13[satuki](2009/06/19 17:01)
[15] リリカル・とらいあんぐる転生日記 14[satuki](2009/06/19 17:00)
[16] 元ネタ帳(00~14)[satuki](2009/04/30 21:34)
[17] リリカル・とらいあんぐる転生日記 15【前編】[satuki](2009/06/19 00:04)
[18] リリカル・とらいあんぐる転生日記 16【後編】[satuki](2009/06/19 00:04)
[19] リリカル・とらいあんぐる転生日記 17[satuki](2009/06/19 00:04)
[20] リリカル・とらいあんぐる転生日記 18[satuki](2009/06/19 00:03)
[21] リリカル・とらいあんぐる転生日記 19[satuki](2009/06/19 00:03)
[22] リリカル・とらいあんぐる転生日記 20[satuki](2009/06/19 00:03)
[23] リリカル・とらいあんぐる転生日記 21[satuki](2009/06/19 00:02)
[24] リリカル・とらいあんぐる転生日記 22[satuki](2009/06/19 00:02)
[25] リリカル・とらいあんぐる転生日記 23[satuki](2009/06/19 00:02)
[26] リリカル・とらいあんぐる転生日記 24[satuki](2009/06/19 00:01)
[27] リリカル・とらいあんぐる転生日記 25[satuki](2009/06/19 00:01)
[28] リリカル・とらいあんぐる転生日記 26[satuki](2009/06/19 00:01)
[29] リリカル・とらいあんぐる転生日記 27[satuki](2009/06/19 00:01)
[30] リリカル・とらいあんぐる転生日記 28[satuki](2009/06/19 00:00)
[31] リリカル・とらいあんぐる転生日記 29[satuki](2009/06/19 00:00)
[32] リリカル・とらいあんぐる転生日記 30[satuki](2009/06/19 00:00)
[33] リリカル・とらいあんぐる転生日記 31[satuki](2009/06/19 00:00)
[34] リリカル・とらいあんぐる転生日記 32【注:糖分過多】[satuki](2009/06/18 23:59)
[35] リリカル・とらいあんぐる転生日記 33[satuki](2009/06/18 23:59)
[36] リリカル・とらいあんぐる転生日記 34[satuki](2009/06/18 23:59)
[37] リリカル・とらいあんぐる転生日記 35[satuki](2009/06/18 23:59)
[38] リリカル・とらいあんぐる転生日記 36[satuki](2009/06/18 23:59)
[39] リリカル・とらいあんぐる転生日記 37[satuki](2009/06/18 23:58)
[40] リリカル・とらいあんぐる転生日記 38【少年編】[satuki](2009/06/18 23:58)
[41] リリカル・とらいあんぐる転生日記 39【歯車戦士編】[satuki](2009/06/18 23:58)
[42] リリカル・とらいあんぐる転生日記 40【大将と愉快な仲間たち①】(分割しました)[satuki](2009/06/18 23:58)
[43] リリカル・とらいあんぐる転生日記 41【大将と愉快な仲間たち②】(分割しました)[satuki](2009/06/18 23:58)
[44] リリカル・とらいあんぐる転生日記 42【歪んだ物語・その修正方法】[satuki](2009/06/18 23:57)
[45] 【オヤジ】狩り[satuki](2009/06/05 17:07)
[46] 【オヤジ】狩り-01  【続いた。続いてしまった】[satuki](2009/05/18 23:29)
[47] 【オヤジ】狩り-02  【また続いてしまった】[satuki](2009/05/26 20:02)
[48] 【オヤジ】狩り-03  【またまた、続いてしまった……】[satuki](2009/06/02 01:26)
[49] 【オヤジ】狩り-04  【狩るべきオヤジは、まだまだ存在するのだ!!】[satuki](2009/06/07 19:31)
[50] 【オヤジ】狩り-05  【アンリミティッド・オヤジワークス……ソレは地獄絵図でしかないな……?】[satuki](2009/06/29 21:16)
[51] 【オヤジ】狩り-06  【覇王少女のファンには、彼女が女神に見えるらしい……視力検査したら?】[satuki](2009/06/09 18:10)
[52] 【オヤジ】狩り-07  【イロモノはイロモノを呼ぶ…………奇跡の開幕!?】[satuki](2009/06/11 20:03)
[53] 【オヤジ】狩り-08  【奇跡は続く!?遅れてきた漢……!!】[satuki](2009/06/18 23:39)
[54] 【オヤジ】狩り-09  【漢女と乙女……オトメ同士の決闘!】[satuki](2009/06/19 17:00)
[55] 【オヤジ】狩り-10  【死亡フラグをブチ折ったモノ……!】[satuki](2009/06/20 00:19)
[56] 妖精00 【良く考えたら、コレが全ての始まりなのかもしれないなぁ……?】[satuki](2009/06/05 16:52)
[57] 妖精01 【妖精爆弾……じゃなかった。爆誕!!】[satuki](2009/06/05 16:52)
[58] 妖精02 【やって来たのは運命にかぶれたロリジャイと、その家族】[satuki](2009/06/05 16:53)
[59] 妖精03 【蝶人になった日】[satuki](2009/06/07 19:32)
[60] 妖精04 【淫獣殲滅作戦――全ては清い【なのちゃん】のために】[satuki](2009/06/10 00:10)
[61] 妖精05 【遠足。それは至上最強の闘い!?】[satuki](2009/06/20 00:20)
[62] 妖精06 【掟破り!?……覇王の蘇る日!】[satuki](2009/06/27 20:12)
[63] 真・転生日記【オヤジ】風味 ――『妖精は覇王の夢を見る!』 01[satuki](2009/06/29 21:17)
[64] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 02  【復活したイレギュラー】[satuki](2009/06/29 21:25)
[65] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 03  【お約束は突然に】[satuki](2009/07/03 18:58)
[66] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 04  【突撃、となりの小学校!?】[satuki](2009/07/12 18:30)
[67] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 05  【誕生!?養護教諭プレシあ!?】[satuki](2009/07/14 20:13)
[68] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 06  【予定とは、乱される為にあるのだ!】[satuki](2009/07/16 21:43)
[69] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 07  【イレギュラー戦隊、参る!!】[satuki](2009/07/24 16:48)
[70] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 08  【仮面対仮面(オマケ付き)】[satuki](2009/07/27 16:53)
[71] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 09  【隣の市は危険がいっぱい!?】[satuki](2009/07/31 21:08)
[72] デザイア!?[satuki](2009/08/02 16:08)
[73] リリカル・とらいあんぐる転生日記 43【本筋は、忘れた頃にやって来る】[satuki](2009/08/04 23:55)
[74] デザイア!? 02[satuki](2009/09/04 19:03)
[75] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 10  【近付いてくる真相!?】[satuki](2009/09/04 19:04)
[76] デザイア!? 03 【女(装)王、誕生】[satuki](2009/09/07 02:14)
[77] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 11  【混沌の始まり】[satuki](2009/09/13 12:20)
[78] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 12  【長い伏線(その一)】[satuki](2009/09/18 00:37)
[79] リリカル・とらいあんぐる転生日記 44【長い伏線(そのニ)】[satuki](2009/09/19 19:34)
[80] リリカル・とらいあんぐる転生日記 45【アインヘリアル?何それ、美味しいの?】[satuki](2009/09/25 21:50)
[81] リリカル・とらいあんぐる転生日記 46【少しだけ本気を出した。後悔はしている】[satuki](2009/09/27 21:52)
[82] リリカル・とらいあんぐる転生日記 47【もう少し本気を出してみた。さらに後悔している】[satuki](2009/10/02 21:46)
[83] リリカル・とらいあんぐる転生日記 48【ついに登場、最高評議会!?】[satuki](2009/10/09 11:11)
[84] リリカル・とらいあんぐる転生日記 49【三人目は…・・・グハッ!?】[satuki](2009/10/11 22:41)
[85] リリカル・とらいあんぐる転生日記 50【歯車戦士、愛の決闘】[satuki](2009/10/16 18:38)
[86] リリカル・とらいあんぐる転生日記 51【人生は闘いだ!!】[satuki](2009/10/17 21:59)
[87] リリカル・とらいあんぐる転生日記 52【魔神の生まれちゃった日】[satuki](2009/10/22 22:08)
[88] リリカル・とらいあんぐる転生日記 53【アニキ+ナイスミドル=???】[satuki](2009/10/27 16:33)
[89] リリカル・とらいあんぐる転生日記 54【変形する揺り籠!?至上最悪の悪魔の登場!!】[satuki](2009/11/06 10:46)
[90] リリカル・とらいあんぐる転生日記 55【ラスト・ラストをキミに……】[satuki](2009/11/06 10:47)
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[8085] リリカル・とらいあんぐる転生日記 24
Name: satuki◆b147bc52 ID:34578ed5 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/06/19 00:01



 前回のあらすじ:逝くぞヤンデレ娘、狂気の貯蔵は十分か。



「お兄ちゃん、やっと見つけたよ!!」

 ソコに居たのは、長く艶のある美しい髪の少女。
 紫がかった髪はボクとお揃いで、顔も瓜二つ。
 そう…………我が妹、【月村すずか】という名の美少女が、ソコには存在していたのだ。






 …………アレ?
 何か前回の引きと違くない?
 もしかしてアレは、必要以上に警戒した、ボクの弱い心が作り出した幻覚?

「……?お兄ちゃん、どうしたの?」

 小首を傾げながら、可愛らしく聞いてくるすずか。
 ……素晴らしい。生きてるって、ソレだけで素晴らしい。
 さようなら昨日までの弱い自分。そしてこんにちは、今日からの清々しいボク。

「……あぁ、ごめんね?あんまりにも突然だったから、ちょっとビックリしちゃって……」
「もう……お兄ちゃんったら、相変わらずヒドいんだから……」
「ゴメン、ゴメン。アレ……?でもさ、何ですずかはココにいるの?」
「……私がココに来たらいけないの……?」

 そんな、上目遣い&涙目で訴えないで下さい。
 なのはたちとスーパー銭湯に行ったと聞いていたから、純粋に疑問に思っただけだよ?
 ソレを問うと、妹は花も恥らう女子大生のモジモジを見せてくれた。

「あのね……?なのはちゃんたちが帰ってきたじゃない……?だからもしかしたら、同じ管理局で働いているお兄ちゃんも……って」
「……何というアバウトさ。だけど結果的には、ケッコウ良い読みをしてたね?流石はすずか、昔から良いカンしてたからねぇ……?」

 兄妹でかくれんぼをした時。
 すずかはいつも、すぐにボクを見つけられた。
 そこには鋭い読みと、天才の持つカンがあったことは否めない。

「お兄ちゃんのことだもん。すぐに分かるよ……?」

 萌えっ子動物が居ます。
 我が妹ながら、この生物は一体何なんでしょうか?
 こんな娘を世に放っておくのは、とっても危険な気がします。

「そういえば、お兄ちゃん?今日はどうしたの……?管理局に入局してから、一回も帰ってこなかったのに……?」
「あー…………ソレは悪かった、ゴメン。謝っても済む問題じゃないって分かってるけど、ソレしか言えないや……」

 すずかを警戒していたせいで、ボクは海鳴はおろか地球にすら帰っていなかった。
 たまにビデオメールはするものの、ソレは一方的なモノ。
 相手からの返事が怖くて、連絡先を教えなかったのだ。

「……ううん。気にしないで?お兄ちゃん、仕事がすごく忙しかったんでしょ……?」
「…………ウン。【どっかの】上司とかが、全然休みをくれなくてねぇ……?」

 そう言ってボックス席に鎮座している大将殿に、半眼気味での視線を送る。
 ……あ。メニューの方に視線をずらしやがった。
 丁度良い。ついでだから、アイツらの紹介をしておくか。

 フロアーの隅にあるボックス席。
 ソコではレジアスとカリムが、対面するように座っていた。
 ならボクはレジアスの方、すずかはカリムの方に座らせてもらうか。

「ちょっと、ゴメンよぉ?レジアス、カリム。悪いんだけど、少し詰めて……?」
「あぁ。構わないが……ソチらのお嬢さんは、お前の妹さんか?」
「そ。それも含めて説明するから、とにかく座らせてよ?立ったまんまだと、お店に迷惑かけるし」
「……そうですね。さぁ、すずかさん?どうぞお掛け下さい……」
「あ、ありがとうございます」

 カリムよ。
 ココは聖王教会ではないのだよ?
 何でそんな、上から目線なのよ?

 如何に生粋のお嬢様と言えど、カリムの放つオーラには何かを感じたのか。
 我が妹は多少気後れしながらも、勧められるままにカリムの隣に座った。
 ……何というか。凄く不思議なモノを見た気がするな。























「そんじゃあ、すずか。パッパッと、自己紹介をば……」
「う、うん。私の名前は【月村すずか】……ソコに居る、静香お兄ちゃんの妹です……」
「……ソレだけ?」
「…………他に何を言ったら良いか、分からないよぉ……」

 そういえばウチの妹、昔は結構引っ込み思案だったよなぁ。
 ボクたちは普通の人間とは違う。
 だから夜の一族は、みんな人と関わらないように生きてたりすることが多い。その一部なのだろうねぇ。

「わかった、わかった。そんじゃレジアス、お願いね?」
「……分かった。オレの名前は【レジアス・ゲイズ】。管理局地上本部の大将で、シズカの上司をやっているモノだ。……君のお兄さんには、いつも世話になっているよ」
「た、大将さん……!?ソレって、すごく偉い人なんじゃあ!?」
「……大丈夫、大丈夫。こう見えてこのオッサン、炊事・洗濯・料理・その他と、プロ顔負けのオモシロパパだ。怖くないから、安心しなって……」
「……そうなの?何か、ノエルさんみたいだね……?」

 何か一気に親しみが湧いたらしい。
 キラキラした眼差しで、レジアスを見るすずか。
 対するオッサンは、非常に居心地が悪そうだ。

「次はカリムね?」
「はい。私の名前は【カリム・グラシア】。管理局では少将をやっており、私もシズカさんの上司をやっています。どうぞ、よろしくお願いしますね?」
「ハ、ハイッ!こちらこそ……!」
「……カリムは本来、別の組織のお偉いさんなんだけど……まぁ、兼業してるようなモノだと思えば良いよ……?」
「……お兄ちゃん。ソレって、そんなレベルの話じゃないと思うけど……」

 ニコニコと微笑みながら、ボクとすずかのやりとりを見ているカリム。
 自分とヴェロッサを重ね合わせたのか。
 それともシャッハとヴェロッサか。ともかく彼女の機嫌は、上々のようだ。

「オイオイ。リンディさんだって、あんな調子で【中将】なんだぞ?」
「エェ!?そ、そうだったの……?」

 いつも甘々なハラオウン提督様のことだ。
 そう見えないのも、無理はない。
 ……というかボクだって事実を知らなければ、あんなほんわか妖精の正体を読めるワケがない。

「シズカ……お前だって准し……」
「さぁて……!ココからは質問タイムだぁぁ!!」

 強引に話題を修正。
 ボクは一介の雑務係。
 ソレ以上でも、ソレ以下でもない。OK?

「そうですね……?それでしたら、昔のシズカさんのことでも……」

 騎士カリム様は、転んでもただでは起きません。
 今の彼女は猛禽類。
 獲物を捕らえることのみに特化した、非常に優れた存在なのです。

「昔のお兄ちゃん……ですか?」
「えぇ。私とレジアス提督は、八年前より昔のことは知らないのです。ですから、貴女の口からどんなお兄さんだったかを聴きたくて……」

 その言い方はズルイ。
 すずかは既に昔の記憶の引き出しを模索中だし、レジアスもソレを止めない。
 ……もしかして、さっき台詞を遮った仕返しか?







 ソレから数十分。
 桃子さんが注文したモノを持ってきてくれて、ソレを食べ尽くしても妹は話し続けていた。
 話題は昔、すずかとアリサが誘拐された時のこと。

 色々と尾ひれが付いているのは、すずかがソレだけ怖い思いをしたからだろう。
 何だかボクは、妹の中ではヒーロー染みたモノになっているな。
 ……そんなの、ガラじゃないんだけどなぁ……。

「あ。ボク、ちょっとトイレ……」

 居心地が悪くなったので、とりあえず戦略的撤退。
 少し時間をズラせば、ほとぼりも冷めるでしょう。
 そう思ってボクは席を立ち、バックヤードの方へ入っていった。

「桃子さ~ん。ちょっと良いですかぁ?」
「アラ、お友だちの方は良いの?」
「えぇ。今はボクの過去バナになってるんで、ちょっと逃げてきました」
「しょうがないわね~?」

 そう言いつつも、彼女は咎めることをしません。
 ほんわか優しいママさん。
 ソレが【高町桃子さん】なのですよ。

「……それで?いったい、何の用なのかしら?」
「実はですね?向こうの知り合いに、紅茶とコーヒーをお土産に持って帰る約束をしちゃったんですよ?」

 三老人の内、二人の方に頼まれた土産。
 ソレが地球での、美味しい紅茶と美味いコーヒー。
 翠屋のソレは、世界中から選りすぐった業者のモノを使っているので、分けて貰えると助かるのだ。

「モチロン御代は払いますので、少し分けてもらえませんか……?」
「えぇ。勿論OKよ?一番良いの持ってくるから、ちょっと待っててねー?」
「あ、ハイ……!」

 どうにも桃子さんの前だと、肩が強張ってしまう。
 士郎にああは言ったものの、ボクにとって桃子さんは憧れのヒトだった。
 でも既に相手の居る女性だし、憧れは憧れのままでその想いを封印。

 そして現在に至るという、コレまたテンプレちっくな展開。
 丁度、恭也の美沙斗に対する想いと同じようなモノだ。
 初恋は甘酸っぱいのです。

 ソレは幾度人生を繰り返しても同じ。
 変わることがない、ヒトの性(さが)とも言うべき存在なのだ。
 ……ヘタレとか言うなよ?

「ハイ、お待ちどうさま!!コッチが紅茶で、コレがコーヒーね?」
「ありがとうございます。それで、おいくらになりますか……?」
「……あのね?静香ちゃんは、ウチの子みたいなモノなのよ?子どもからお金を取る親がいるかしら……?」

 探せば幾らでも居るだろうが、ココではそんな話は通じない。
 申し訳ないと思いつつも、どこか有り難いと思う自分が居るのも確か。
 ソレは桃子さんに、【ウチの子】として認められたからなのか?それとも……?

「(……考えてもラチがあかん。それより、ソロソロ戻るか……)」

 桃子さんに感謝の言葉を述べて、ボクは厨房を後にした。
 出てすぐに転送魔法を展開。送り先が送り先なだけに、魔法申請とか不要だ。
 ……権力って、美味しいよね?

 あと流石に嘘はいけないので、ちゃんとトイレにも行きました。
 温風で手を乾かしても良いのだけど、今日は何となくカリムからもらったハンカチで拭いてみた。 
 デザインを良く見たら、如何にもな女性モノ。……コレからは使用を控えよう。

 そう思いながら、ハンカチをしまいつつフロアーに出ようとすると……。



「……お兄ちゃん……桃子さんと、何楽しそうに話してたの……?」



 我が妹が待ち構えていました。
 どうやら帰りが遅い兄を心配して、見に来た御様子。
 でも何だが、雰囲気が怖いです。

「ん?向こうでの知り合いに、紅茶とコーヒーのお土産を頼まれてね?桃子さんにちょっと分けてもらったんだ……」
「…………ふぅん。その割には、随分とお喋りしてたみたいだけど…………」

 ……参ったな。
 結構前から見てたらしい。
 でもおかしいな?視線や気配らしいモノはなかった。一体、どうやって……?

「…………お兄ちゃんってさ……昔から桃子さんにベッタリだったもんね…………?」
「…………あのなぁ、相手は桃子さんだぞ?恭也や美由希、あとなのはの母親。つまりは人妻だぞ?そんなヒトを相手に、お前さんは何を考えてるんだ……?」
「………………………………そうだよ。人妻じゃなかったら、真っ先に排除対象だったからね……………………」

 酷く小さく。
 それでいてハッキリと。
 聞き間違いだとは思いたいが、妹の様子を見る限りその線は薄そうだ。

「すずか、お前……!」
「…………アレェ?お兄ちゃん、そのハンカチ…………一体どうしたのぉ…………?」
「…………!!コレは…………」

 しまいそびれたハンカチ。
 何を言っても誤解しそうな妹。
 どうする。どう言えば誤解しないように、事実を伝えられるのだろうか。

「…………ソレ、明らかに女物だよねぇ…………?」
「…………」
「…………そのニオイ…………………………………………【アノ】オンナノツケテル、コウスイのニオイダ…………!!」

 ワーニング!
 ワーニング!!
 非常警戒態勢発令!!総員は速やかに退避してください!!

「……!!」

 神速発動!!
 急いでフロアーに出て、カリムを人攫い同然に引っ張っていく。
 慌てふためくレジアスを尻目に、翠屋の扉をくぐるボクたち。

 外に居たザフィーラに、後で念話することを短く伝え、超スピードで駆け抜けるボク。
 ちなみに騎士のお姉さまは、お姫様抱っこです。
 手に手を取っての逃避行なんて、やっている余裕はないのだよ。






 この日。様々な意味での忘れることが出来なくなった、この日。
 ボクは…………運命と出会った。













 大将日記G




 シズカが騎士カリムを連れて、逃避行を始めた。
 ソレは嘘でも偽りでもなく、本当のこと。
 その証拠に、彼の妹が凄まじい勢いで追いかけていった。

 自分では到達出来ないであろう、あの速度。
 まさしくシズカの妹であると、言わざるを得ない。
 【人間の真剣という行為】を突き詰めると、ヒトはあそこまで行けるという、良い手本だった。

 ……しかしこの店の菓子は、どれも素晴らし過ぎる。
 流石は、シズカの師匠が作っているだけのことはある。
 コレもまた、ヒトの行ける可能性を追求せしモノ。……自分も負けてはいられないな。



 その後、ザフィーラがシズカから念話を受けたらしく、自分は勘定を済ませて外に出た。
 ザフィーラが言うには、シズカの【地球での】秘密基地の座標を聞いたので、先に行っていて欲しいとのこと。
 その場所は……あまりに非常識過ぎて、ある意味とてもシズカらしいと思った。






 ゲイズさんちのオーリスちゃん【捨壱】



 ゆり。
 百合。
 ユリ。

 先刻から挑み続けて、三時間。
 現在の彼女は、いっぱしの不良娘になっていた。
 金色の髪。

 どう見ても金髪です。
 本当に……とか言っている場合ではない。
 彼女のコレは、ユリ花粉が髪にくっ付きまくったせい。

 コレでは一旦、家に帰らなければならない。
 だがそうすると、もう面会時間には戻って来れない。
 どうしたものかと悩むオーリスの下に、再び一枚の写真が。

 ソレは、何処からどう見ても【風呂場でのティアナ】。
 送り主は特定出来ない。故に、止めさせることも逮捕することも出来ないのだ。
 そのことを悔しく思いつつも、彼女は別のことで悔しい想いをすることになる。



 ……ティアナのある特定部位が、オーリスのソレを大きく上回っていたのだ。



 その日。オーリスは浴びるように酒を飲んだ。










 あとがき

 >誤字訂正

 俊さん。毎度ご指摘いただき、本当にありがとうございます!!




 


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