<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

とらハSS投稿掲示板


[広告]


No.8085の一覧
[0] リリカル・とらいあんぐる転生日記  【完結しました】[satuki](2009/11/06 10:47)
[1] リリカル・とらいあんぐる転生日記 00[satuki](2009/06/19 17:02)
[2] リリカル・とらいあんぐる転生日記 01[satuki](2009/06/19 17:02)
[3] リリカル・とらいあんぐる転生日記 02[satuki](2009/06/19 17:02)
[4] リリカル・とらいあんぐる転生日記 03[satuki](2009/06/19 17:02)
[5] リリカル・とらいあんぐる転生日記 04[satuki](2009/06/19 17:02)
[6] リリカル・とらいあんぐる転生日記 05[satuki](2009/06/19 17:02)
[7] リリカル・とらいあんぐる転生日記 06[satuki](2009/06/19 17:03)
[8] リリカル・とらいあんぐる転生日記 07[satuki](2009/06/19 17:03)
[9] リリカル・とらいあんぐる転生日記 08[satuki](2009/06/19 17:03)
[10] リリカル・とらいあんぐる転生日記 09[satuki](2009/06/19 17:01)
[11] リリカル・とらいあんぐる転生日記 10[satuki](2009/06/19 17:01)
[12] リリカル・とらいあんぐる転生日記 11[satuki](2009/06/19 17:01)
[13] リリカル・とらいあんぐる転生日記 12[satuki](2009/06/19 17:01)
[14] リリカル・とらいあんぐる転生日記 13[satuki](2009/06/19 17:01)
[15] リリカル・とらいあんぐる転生日記 14[satuki](2009/06/19 17:00)
[16] 元ネタ帳(00~14)[satuki](2009/04/30 21:34)
[17] リリカル・とらいあんぐる転生日記 15【前編】[satuki](2009/06/19 00:04)
[18] リリカル・とらいあんぐる転生日記 16【後編】[satuki](2009/06/19 00:04)
[19] リリカル・とらいあんぐる転生日記 17[satuki](2009/06/19 00:04)
[20] リリカル・とらいあんぐる転生日記 18[satuki](2009/06/19 00:03)
[21] リリカル・とらいあんぐる転生日記 19[satuki](2009/06/19 00:03)
[22] リリカル・とらいあんぐる転生日記 20[satuki](2009/06/19 00:03)
[23] リリカル・とらいあんぐる転生日記 21[satuki](2009/06/19 00:02)
[24] リリカル・とらいあんぐる転生日記 22[satuki](2009/06/19 00:02)
[25] リリカル・とらいあんぐる転生日記 23[satuki](2009/06/19 00:02)
[26] リリカル・とらいあんぐる転生日記 24[satuki](2009/06/19 00:01)
[27] リリカル・とらいあんぐる転生日記 25[satuki](2009/06/19 00:01)
[28] リリカル・とらいあんぐる転生日記 26[satuki](2009/06/19 00:01)
[29] リリカル・とらいあんぐる転生日記 27[satuki](2009/06/19 00:01)
[30] リリカル・とらいあんぐる転生日記 28[satuki](2009/06/19 00:00)
[31] リリカル・とらいあんぐる転生日記 29[satuki](2009/06/19 00:00)
[32] リリカル・とらいあんぐる転生日記 30[satuki](2009/06/19 00:00)
[33] リリカル・とらいあんぐる転生日記 31[satuki](2009/06/19 00:00)
[34] リリカル・とらいあんぐる転生日記 32【注:糖分過多】[satuki](2009/06/18 23:59)
[35] リリカル・とらいあんぐる転生日記 33[satuki](2009/06/18 23:59)
[36] リリカル・とらいあんぐる転生日記 34[satuki](2009/06/18 23:59)
[37] リリカル・とらいあんぐる転生日記 35[satuki](2009/06/18 23:59)
[38] リリカル・とらいあんぐる転生日記 36[satuki](2009/06/18 23:59)
[39] リリカル・とらいあんぐる転生日記 37[satuki](2009/06/18 23:58)
[40] リリカル・とらいあんぐる転生日記 38【少年編】[satuki](2009/06/18 23:58)
[41] リリカル・とらいあんぐる転生日記 39【歯車戦士編】[satuki](2009/06/18 23:58)
[42] リリカル・とらいあんぐる転生日記 40【大将と愉快な仲間たち①】(分割しました)[satuki](2009/06/18 23:58)
[43] リリカル・とらいあんぐる転生日記 41【大将と愉快な仲間たち②】(分割しました)[satuki](2009/06/18 23:58)
[44] リリカル・とらいあんぐる転生日記 42【歪んだ物語・その修正方法】[satuki](2009/06/18 23:57)
[45] 【オヤジ】狩り[satuki](2009/06/05 17:07)
[46] 【オヤジ】狩り-01  【続いた。続いてしまった】[satuki](2009/05/18 23:29)
[47] 【オヤジ】狩り-02  【また続いてしまった】[satuki](2009/05/26 20:02)
[48] 【オヤジ】狩り-03  【またまた、続いてしまった……】[satuki](2009/06/02 01:26)
[49] 【オヤジ】狩り-04  【狩るべきオヤジは、まだまだ存在するのだ!!】[satuki](2009/06/07 19:31)
[50] 【オヤジ】狩り-05  【アンリミティッド・オヤジワークス……ソレは地獄絵図でしかないな……?】[satuki](2009/06/29 21:16)
[51] 【オヤジ】狩り-06  【覇王少女のファンには、彼女が女神に見えるらしい……視力検査したら?】[satuki](2009/06/09 18:10)
[52] 【オヤジ】狩り-07  【イロモノはイロモノを呼ぶ…………奇跡の開幕!?】[satuki](2009/06/11 20:03)
[53] 【オヤジ】狩り-08  【奇跡は続く!?遅れてきた漢……!!】[satuki](2009/06/18 23:39)
[54] 【オヤジ】狩り-09  【漢女と乙女……オトメ同士の決闘!】[satuki](2009/06/19 17:00)
[55] 【オヤジ】狩り-10  【死亡フラグをブチ折ったモノ……!】[satuki](2009/06/20 00:19)
[56] 妖精00 【良く考えたら、コレが全ての始まりなのかもしれないなぁ……?】[satuki](2009/06/05 16:52)
[57] 妖精01 【妖精爆弾……じゃなかった。爆誕!!】[satuki](2009/06/05 16:52)
[58] 妖精02 【やって来たのは運命にかぶれたロリジャイと、その家族】[satuki](2009/06/05 16:53)
[59] 妖精03 【蝶人になった日】[satuki](2009/06/07 19:32)
[60] 妖精04 【淫獣殲滅作戦――全ては清い【なのちゃん】のために】[satuki](2009/06/10 00:10)
[61] 妖精05 【遠足。それは至上最強の闘い!?】[satuki](2009/06/20 00:20)
[62] 妖精06 【掟破り!?……覇王の蘇る日!】[satuki](2009/06/27 20:12)
[63] 真・転生日記【オヤジ】風味 ――『妖精は覇王の夢を見る!』 01[satuki](2009/06/29 21:17)
[64] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 02  【復活したイレギュラー】[satuki](2009/06/29 21:25)
[65] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 03  【お約束は突然に】[satuki](2009/07/03 18:58)
[66] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 04  【突撃、となりの小学校!?】[satuki](2009/07/12 18:30)
[67] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 05  【誕生!?養護教諭プレシあ!?】[satuki](2009/07/14 20:13)
[68] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 06  【予定とは、乱される為にあるのだ!】[satuki](2009/07/16 21:43)
[69] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 07  【イレギュラー戦隊、参る!!】[satuki](2009/07/24 16:48)
[70] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 08  【仮面対仮面(オマケ付き)】[satuki](2009/07/27 16:53)
[71] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 09  【隣の市は危険がいっぱい!?】[satuki](2009/07/31 21:08)
[72] デザイア!?[satuki](2009/08/02 16:08)
[73] リリカル・とらいあんぐる転生日記 43【本筋は、忘れた頃にやって来る】[satuki](2009/08/04 23:55)
[74] デザイア!? 02[satuki](2009/09/04 19:03)
[75] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 10  【近付いてくる真相!?】[satuki](2009/09/04 19:04)
[76] デザイア!? 03 【女(装)王、誕生】[satuki](2009/09/07 02:14)
[77] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 11  【混沌の始まり】[satuki](2009/09/13 12:20)
[78] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 12  【長い伏線(その一)】[satuki](2009/09/18 00:37)
[79] リリカル・とらいあんぐる転生日記 44【長い伏線(そのニ)】[satuki](2009/09/19 19:34)
[80] リリカル・とらいあんぐる転生日記 45【アインヘリアル?何それ、美味しいの?】[satuki](2009/09/25 21:50)
[81] リリカル・とらいあんぐる転生日記 46【少しだけ本気を出した。後悔はしている】[satuki](2009/09/27 21:52)
[82] リリカル・とらいあんぐる転生日記 47【もう少し本気を出してみた。さらに後悔している】[satuki](2009/10/02 21:46)
[83] リリカル・とらいあんぐる転生日記 48【ついに登場、最高評議会!?】[satuki](2009/10/09 11:11)
[84] リリカル・とらいあんぐる転生日記 49【三人目は…・・・グハッ!?】[satuki](2009/10/11 22:41)
[85] リリカル・とらいあんぐる転生日記 50【歯車戦士、愛の決闘】[satuki](2009/10/16 18:38)
[86] リリカル・とらいあんぐる転生日記 51【人生は闘いだ!!】[satuki](2009/10/17 21:59)
[87] リリカル・とらいあんぐる転生日記 52【魔神の生まれちゃった日】[satuki](2009/10/22 22:08)
[88] リリカル・とらいあんぐる転生日記 53【アニキ+ナイスミドル=???】[satuki](2009/10/27 16:33)
[89] リリカル・とらいあんぐる転生日記 54【変形する揺り籠!?至上最悪の悪魔の登場!!】[satuki](2009/11/06 10:46)
[90] リリカル・とらいあんぐる転生日記 55【ラスト・ラストをキミに……】[satuki](2009/11/06 10:47)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[8085] リリカル・とらいあんぐる転生日記 30
Name: satuki◆b147bc52 ID:a894f6f8 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/06/19 00:00


 前回のあらすじ:なのは、【正統派魔法少女】にやられる。



 今更だが、ヴォルケンリッターは優秀な騎士である。
 そもそも優秀な存在でない限り【騎士】という呼称は名乗れず、その中でも群を抜いた存在。ソレが彼女らだ。
 しかし現在、その才能を無駄に発揮しているモノが居る。

 湖の騎士【シャマル】。
 コレがそのモノの名前であり、同時にトンでもないことをやってしまった…………咎人でもある。
 彼女の仕出かしたことは二つ。

 一つ、窃盗。ヒトのモノを勝手に持ち出し、着服したこと。
 二つ。その持ち出したモノを貸与されたモノと同等のモノと勘違いし、その危険性を認知しなかったこと。
 そして最後に…………【ソレ】を他人に【与えてしまった】こと。

 ……前置きが長くなってしまった上に、滅茶苦茶暗い出だし。
 重い話題は嫌いなので、今回もサクっといきまっしょい。
 というワケで、キャロ先生にありがたいお言葉を頂きました~。



 『だいじょうぶだよ!絶対、だいじょうぶだよ!!』



 ……うん。
 何だか元気が出てくるよね?
 コレなら、明日からも頑張れそうだ……!!


















 ホテル・アグスタ。
 ソレはミッドチルダにある大型ホテルの名称であり、今回の六課の任務先でもある。
 隊長陣の服装は、レジアス謹製の特別ドレス。

 修正を施したソレは、既に彼女たち専用の戦闘衣装。
 上流階級のモノがひしめく、この会場。
 その会場という名の戦場に、彼女たちはそれぞれに誂えられた戦闘衣装を纏って立つ。

 振り返る賓客たち。
 お近づきになりたいと思うモノども多数。
 だがしかし、如何せんソレらは眩し過ぎた。

 太陽と月。それに蒼い地球を思わせる彼女たち。
 どう考えても近付き難いオーラが出ています。
 これじゃあ、誰もアタックを仕掛けてこないのは明白。

 でも本人たちは気付いていない様子。
 だから、【何で灰色の青春を……】てなことになるのだ。
 狂想倍率……もとい、競争倍率が限りなくゼロに近い状態。

 今ならお買い得ですよぉ~?
 ……ただし、【最狂の高町家】や【最兄の黒乃提督】。
 それに【最凶の守護騎士】たちに勝てるのなら……だけどね?












 エリオが焦っていた。
 原作を知るモノからすると、【有り得ない】と断じられそうなコト。
 だが実際に彼は焦っていたのだ。そう……【強くなりたい】という想いに、その身を焦がしながら。

 良く考えれば、ソレはすぐに分かるハズのことだった。
 自分以外の新人たちが、新たな力を得てパワーアップしていくその姿。
 フォワード陣の中で唯一の【男性】なのに、他の【女性】たちの方が圧倒的に強いという事実。

 腕力的なモノは仕方ない。
 身体能力的なモノだってしょうがない。
 彼はまだ成長期前の身体なのだ。今は同年代の少女のソレと比べても大差はない。

 つまり、現在の彼が女性陣の中に埋没してしまうのは……仕方のないこと。
 分かっている。理解しているのだ。
 ……でも。それでも……。

 だけど……!!

 男という生き物は悲しいことに、ソレでは納得出来ないようになっている。
 オトコというモノは、生まれた時よりその役割が決まっている。
 【オンナを護る】。ソレがDNAに刻み込まれた本能であり、生きる理由でもある。

 彼が【ある程度】世の中を知った存在なら問題ない。
 割り切りというモノを知り、己が限界を見極められるからだ。
 確かに少年は、【世の中の裏】を知っている。

 ソレは彼の出自から始まり、フェイトに会うまでの間に嫌という程知ったのだろう。
 だがソレとは別のベクトルで。
 彼はやはり、【まだ少年】なのだ。

「(……もっと強く、もっと速く。もっと、もっと…………!!)」

 彼の強みは速さだ。
 だが、その速さでもフェイトには及ばない。
 自分は彼女の半分くらいしか生きていない。故にソレは当然のこと。

 だけど諦めたくない。
 皆を護りたい。
 その為なら何でも出来る。少年の心は、そう考えてしまうまでになっていた。

 焦り。
 苛立ち。
 満たされない心。

 そんな状態の彼の眼前に。
 【護れそう】なヒトが居た時。
 彼は一体どうするだろうか……?



 答えは一つ。

 その存在を護るために、無茶をする。

 ソレがその答えだった。







 その日の彼は他の前線メンバーと同じく、オークションの会場警備の任にあった。
 そして訪れる【ガジェット】たち。
 すぐに迎撃戦になり、愛槍と甲冑を装備してソレらに立ち向かう。

 圧倒的な力を見せ付ける、両副隊長。
 フォワード組もまた、それに負けじと奮戦する。
 空を【駆ける】ウイングロード。

 精密な射撃と共に、複数の敵を打ち落とすスナイパー。
 相棒との掛け合いをしながらも、【いかにも】な魔法でガジェットを追い払う少女。
 少年も敵機を墜としてはいるものの、彼女らのようにはいかない。

 何かが足りない。
 どうしてもその境界から抜け出せない。
 何故だ。どうしてボクは…………!!

「キャァァァァッ!!」

 思考の底から引き上げたのは、女性の悲鳴だった。
 即座にその悲鳴が聞こえてきた方向を見る。
 するとソコに居たのは金髪の女性。

 機動六課では女医として知られる彼女。
 悲鳴の主は……守護騎士のシャマル。
 四方をガジェットで囲まれたその状態は、百戦錬磨の猛者でも苦戦どころでは済まない。

 ましてや彼女は後方支援型。
 どう考えても危険な状態だ。
 ソニックムーブ。雷のような速度を目指すソレは、一瞬の内にシャマルとガジェットの間に割って入る…………ハズだった。

「え…………?」

 貫かれたのは己の心臓。
 貫いたのはガジェットの触手。
 普段なら予測出来たソレは、焦りを抱えた彼には分からなかった。

「……ガッ、ハッ…………!!」

 口から出るのは紅い液体。
 心臓から抜け落ちるのもまた、ソレと同じモノ。
 人間の身体を構成する上で、とても大事なモノが、二箇所から抜け落ちていく。

 ソレは致命傷だった。
 バリアジャケットすら抜いて訪れる一撃。
 本来そんなことは有り得ない。

 だが彼は高速移動中だった。
 そしてガジェットは、偶然彼の槍を回避して、その攻撃が入れた。
 つまりはカウンター。少年は高速移動で、自ら的に成りに行ったようなモノだったのだ。

 こうなってしまえば、ジャケットの強度も落ちるというもの。
 偶然が重なった結果。だが結果は動かしがたい事実。
 エリオ少年の命の灯火は、まさに消えかけていた。
 
「エ、エリオ君!?し、しっかりして下さい……!!」

 目の前で起こった出来事に、驚きを隠せないシャマル。
 彼女の予定では、ワザと悲鳴を上げて囲まれた後に、刻金を使って殲滅。
 その予定だったのだ。

 しかし実際は、ソレが成功することはなかった。
 一人の少年がソレを本当の窮地だと勘違いし、救援に来てしまったから。
 流れ出る血液。ソレは目の前の少年が、致命傷であることを教えてくれた。

「そ、そんな……!!心臓が修復困難な状態……コレじゃあ…………!!」

 すぐさまガジェットを一閃し、少年の診察をする女医。
 状況は最悪。
 どう見てもそうとしか言いようがない状況で、シャマルはあることを思い出した。

「…………そうだわ。コレを……【刻金】を使えば…………!!」

 茜屋の店主から貰った刻金。
 その使い方の説明中に聞いた、ヒトの命を救う【使い方】。
 ……迷っている時間はない。この一瞬の間にも、命はどんどん削られているのだから。

「……じゃあ、いきます……!」

 密かに入手した、【LXX】の刻金。
 ソレをエリオの胸に当てて、その身の内に吸い込ませていく。
 やがてソレは一体化し、完全に少年のモノとなる。

 安定する少年の身体。拍動も安定域で固定され、息遣いも安らかなモノになる。
 ここにクローンとして生まれた少年は死んだ。
 今居るのは……一人の【ヒト】として生まれ変わった、【エリオ・モンディアル】という名の少年である。






















「…………じゃあ次は、ライトニングね…………」 

 最近なのはの様子がおかしい。
 スターズの訓練の時には問題ないのだが、ライトニングとの訓練の時のみ、その調子が崩れるのだ。
 消える笑顔。容赦のない攻撃。特にキャロを狙ったソレは、明らかに私怨が入っていた。

『コラァァッ!キャロに、何てことしてくれるやぁ!?このオバハンがっ!!』

 吹き替えリンディ。
 どう見ても楽しんでやってるソレは、ソレによってキャロたちを窮地に立たせていた。
 今回のターゲットは、ソレのせいでキャロとフリード。エリオは放置されている。

「……キャロ、フリード…………少し、頭冷やそうか…………?」

 絶対零度の表情。
 集まっていく、【少しではない】魔力。
 ソレはティアナの得意技のクロスファイヤーだが、ソコには【大魔王と魔導師の初期炎熱魔法程の差】が存在していた。

「…………シュート」

 轟炎が迫って来る。
 【風】の壁をカードで作り、ガードに入るキャロ。
 だが甘い。今のは余のメ……じゃなかった。なのはのクロスファイヤーだ。

「…………そっか。なら、手加減はいらないよね……?」

 集まる魔力。
 その異常なほどの猛りは、明らかに必殺の構え。
 ご覧。アレがブラスタービットだよ……?

「全力全壊…………エクセリオォォォォォォォォンバスタァァァァァァァァッ!!」

 明らかに背後に般若を背負った一撃。
 表情がとっても漢らしいです。
 明らかに生まれる性別を間違えてますねぇ……?

「…………!!ダメ、防げない……!?」

 風の壁を突破して突き刺さる一撃。
 命の危機すら覚悟し、キャロはその目蓋をギュッと瞑る。
 だが、思った一撃は来なかった。頼りになるチームメイト。彼が助けに来てくれたから。

「うぉぉぉぉぉぉっ!!貫け、ボクの無双錬金…………!!」

 ソレは長槍だった。
 突撃槍と言った方が正しいかもしれない。
 ストラーダよりも打突部の面積が増し、大きな飾り布が特徴的である。

「…………!?そ、そんな!?どうして、どうしてキャロは…………!?」

 絶体絶命のピンチに助けに来てくれる相手。
 そんな夢みたいな存在は、自分には居なかった。
 羨ましい。妬ましい。そんななのはの心が、思いもしないモノを引き付けてしまった。



 ――キィィィィィィンッ!!



 蒼い軌跡が、なのはの防御壁に吸い込まれていく。
 ソレは高速で飛来したジュエルシード。願いが強ければ強い程、ソレに引き寄せられる宝石。
 かつてフェイトと競い合って封印してきたソレが、今度は自分をターゲットに選んできた。
 
「…………そ、そんな!?何で、どうして【ジュエルシード】が…………!?」

 信じられないモノを見た。
 地球ではやてに降り掛かった災い。
 ソレと同種のモノが、現在進行形で自分に襲い掛かって来ている。

 普通なら防げる。
 もしくはカンタンに封印してしまうであろう、その宝石。
 だが今の彼女には無理だった。

 全力技を撃った直後の、隙だらけの状況。
 一定時間経たないと回復しない、その魔力。
 ソレに比例して、紙っぺら同然の防御壁。

 一瞬。
 本当に一瞬だった。
 なのはが蒼の宝石に寄生され、その身に変化が訪れたのは。

 徐々に小さくなる、その身体。
 髪も段々と短くなり、衣服はバリアジャケットの元になったソレに変化していく。
 レイジングハートはその無骨な外見から、非常に愛らしいハートをあしらった短杖に【戻っていく】。

 過去からの刺客。
 ソレが今度の六課の敵であり、同時になのは自身の敵でもあった。
 ……どうなるのよ、コレ……?













 大将日記00



 エリオ・モンディアルが死んだ。
 ソレはシャマルと、【内偵軍団】のみが知っていることだ。
 無くなった刻金。蘇生したエリオ。

 どう考えてもシャマルの仕業なのは、明白なことだった。
 即座に査問し、シャマルには厳罰。
 詳しい内容は省くが、かなりの精神的なダメージを与えることに成功。

 しかし問題は別にあった。
 彼女がエリオに与えてしまった刻金。
 失敗作を偽装したソレは、どう考えても危険なモノ。

 故にその扱い方を、同じく刻金を持たされたレジアスが務めることに。
 彼の正体を隠す意味でも有効だった刻金は、レジアスの場合は防護服だった。
 頭部まで覆われる、ジャケット型の無双錬金。

 【ズィルパージャケット】。
 ソレを纏ったレジアスは、地上本部の大将でもなければ、六課の事務員でもなかった。
 【キャプテンベラボー】。ソレが少年を特訓する時の、彼の名前である。







 ゲイズさんちのオーリスちゃん【拾漆】



 先日、シャマルと仲良くなったオーリス。
 今日は女医のたっての希望により、飲み会をゲイズ邸でやることに。
 反対した。ソレはもう、反対した。

 だがシャマルは【是非とも】と聞かず、今日に至る次第である。
 あの変態メイド男が、何か粗相をしないだろうか?
 ……いや。しない方がおかしかった。

 しかしもう後には引けない。そう思って帰宅すると、あのメイド害の姿がない。
 気になって家中探すが、本当に何処にも居なかった。
 あったのは一枚の書置き。

『ご主人。今日貴様が連れてくるオンナは、オレに想いを寄せるモノだ。ソレでは仕事にならんので、暫しの間消えているとしよう……クックックック……』

 そんなバカな。そんな天変地異、有るワケがないだろう。
 そう思いながらも、オーリスは冗談半分でシャマルに問いかける。
 すると返ってきた答えは……。

「……あら、RIKIちゃんたら…………こんな所に居たなんて……♪」

 ……どうやらこの【シャマル】という女性も、只者ではないようだ。












 あとがき

 >誤字訂正

 俊さん。毎度ご指摘頂き、本当にありがとうございます!!






前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.029868125915527