前回のあらすじ:皆が待ってた【覇王少女】。常識破って、ただ今復活!「……覚悟するんだね?この姿になったら、前ほど優しくはないからねぇ……?」 そこに居たのは。 今ココに居るのは……。 紛れも無くその存在は……!「……元【時空管理局特殊治安維持部隊】部隊長――――【シズカ・ホクト】。ボクがキミたちを【お掃除】しよう!!」 かつて【覇王少女】と呼ばれた存在だった。「さ~て、レッツお仕置きタ~イム♪」 小脇に抱えたのは【魔砲少女】。 既にレイジングハートさんは待機状態に戻っており、淫獣は逃げないようにケージに入れました。 えっ?何でバトルパートが飛んでるかだって? だって意味が無いんだよ? たった一行で終わるモノを、延々と書き綴れと? そう。本当にたった一行で済むんだ。 【顔を合わせた瞬間に、勝負は付いていた】 ホラ?たった一行だろ? 大体基本スペックからして違うんだ。 魔法がないと運動音痴な少女と、屈強な歴戦の勇士なボク。 一瞬で間合いを詰めて、レイハさんを叩き落す。 そして首に手刀一発。 ……ってしたかったんだけど、最初に対峙した時には既にケリが付いてしまっていた。 ボクの顔は凶暴です。 すっかり忘れかけてたけど、ボクの顔を初見で気絶しなかったのはリンディ嬢のみ。 つまり如何に未来の【魔王】とて、ボクの【顔撃】からは逃れられなかったという訳さ。「良~し。それじゃあ、【オシリペンペンの刑】の執行だぁぁぁぁっ!!」 古来より、悪いことをした子にはコレが一番。 ただ従来のモノと比べると、ボクのはもっと恐ろしいモノだけどね? 一応手加減はしてるんだけど、ソレでもこの刑の受刑者は素晴らしいヒップの持ち主になる。 つまり【腫れてる】とも言うべき現象。 小さな子どもでも、大人顔負けのヒップに大変身。 ……どうだい?スゴイだろう……?「いたい!痛い!」「痛くなくちゃ、罰にならないだろうが……!」 悪い子には容赦の無いボクであります。 ともかく、コレでなのはサイドは抑えた。 それじゃあ…………フェイトの方に行くとしますか?「御嬢ちゃん……?ココから先は、ボクが相手だよ…………って、キミもかい?」 以下省略。右に同じ。 フェイトもボクの【顔撃】には耐えられませんでした。 ちなみに水河氏は、ボクが行くまでフェイトと互角の闘いをしていた。 素晴らしい。 地球で、それも御神とかの化け物集団でもない一般人が、【逸般人】になっているとは……。 コレだから人間って言うのは面白いよね? 警視庁の取調べ室。 流石にいつまでもシズカ・ホクトで居ると、被害が甚大過ぎるので、フェアリィに戻っておりまっする。 御母堂さまには【ホクト形態】を、能力の一つッポイと言って誤魔化した。 流石、顔を突き合わせて説得した甲斐があるっていうモノ。 途中で何度も気絶されたのは若干ショックだったが、ソレだけで納得してくれる(させたとも言う)なら、お安いものだ。 さて……話を元に戻すか? 現在この部屋に居るのは、ボクと母上さま。 そんで、捕まえたフェイトとアルフ。 そして……。「……本当に申し訳ありませんでした。私の監督不行き届きで…………」 何故か涙を流している、【プレシア・テスタロッサ】さんです。 未成年が犯罪を行った場合、保護者を呼び出すのが通例でござる。 だからその慣習に従い、呼んでみました。以下はその時のやり取りである。『もしもし?テスタロッサさんのお宅ですか?』『……そうだけど…………貴方何者?』『警視庁の水河と申します。本日お電話したのは、娘さんであるフェイトさんの事でお電話したのですが……』 ココは次元空間に浮かぶ、【時の庭園】。 今この手に有るのは、何時の間にか存在していた黒電話の受話器。 ……マテと。色々と突っ込みを入れたいが、プレシア・テスタロッサは頑張って耐えた。 小皺が気になり始めて、はやウン年。 四十歳という、【年齢】という名の自分との闘い。 ソレは日々の生活の中でも行われる。 洗顔一つとっても気を使い。ずっと引き篭もり生活をしているのに、UVカットとかにも気を遣い出す始末。 【どっこいしょ】という言葉が無意識に出るわ、風呂に入れば【ふぃぃぃぃ、極楽極楽♪】と言ってしまう現状。 そんな自分に嫌気が差しつつも、必死に抵抗するプレシアさん。 だからこの程度の状況を耐えることなど、彼女にとっては造作もない。 顔では困惑、心で涙。素晴らしい程の演技派である。 ……でも何故だ。何でこんな状況になっているのだ……?『……ッサさん?テスタロッサさん?』『…………ハッ!?ご、ごめんさい……ちょっと放心してしまって……』『いえ。無理もないと思います。娘さんがそうなったら、誰だって同じような反応をしますから……』 内容を要約すると、フェイトが警視庁とかいう治安維持組織の本丸に突っ込んだ。 ソレはジュエルシードを盗む為。 ただ幸いなことに、フェイトは殆ど警官を傷付けていないので、保護者を呼んで【超】厳重注意。 それは元々、罪がもう一方に比べて軽いというコトと、対峙した水河の嘆願によるモノだった。 何か、【仕方なしに闘っているような眼】だったと。 ソレを見抜いた水河氏が、保護者の話を聞いてから判断することで終結。『……ということなので、申し訳ないのですが……』『…………分かったわ。ソチラまで行けば良いのね……?』 かくしてプレシア・テスタロッサの、【初めての(管理外世界第九十七番での)お出かけ】イベントが発生したのである。 「あの人形、本当に使えないんだから……!」とか思いながらも、この事態を平然と受け入れている自分が居ることに、彼女は最後まで気付くことがなかった。 ……余談だが、【警視庁を騙った詐欺】かもしれないとビクビクしながら出て行ったのは、彼女だけの秘密である。 こうしてフェイトの方は意外な程あっさり片付いたのだが……。 なのはの方は、そうは問屋が卸さない。 彼女は傷害や公務執行妨害など、罪状を挙げればキリが無い状態だった。 勿論フィリスやセルフィのような状況もあるので、ソレでも無罪放免にすることは出来なくも無い。 この世界はそういったコトに寛容らしく、ソレは【リリカルなのは】シリーズでも随所に登場する。 だから地球だろうがミッドだろうが。 無罪で釈放や、保護観察処分などが可能なのである。 ……だがそれをやる為には、彼女に責任能力がないことを証明しなければならない。 そして登場したのは、彼女の(頭がぶっ飛んでる)父親【高町士郎】。 保護者を呼んだので来るのは当然だが、事情を説明している内に、何だか怪しい雲行きになってきた。 「ウチのなのはが、そんなことをする訳がない!!」とか、「貴様ら!さては御神に恨みを持つ奴らだな!!」とか。 勝手に勘違いし、どんどんエスカレートする思考。 ついには隠し持っていた小太刀を抜き、警官に襲い掛かる始末。 ソコで警察は思った。 こんな親では、この娘がこうなってしまったのは仕方が無いことだと。 幸い、次になのはを引取りに来た人間(桃子)は常識人だったので、なのはは母と共に帰宅。 その代わりに喫茶【翠屋】のマスター、高町士郎が逮捕されましたとさ。 ……まぁ。彼が居なくても翠屋は普通に回るので、問題ないと言えばそうなのだが……。 後日。釈放された士郎となのはは、揃ってフィリス・矢沢のカウンセリングを受ける羽目に。 ソコでフィリスの出した結論は、【娘の方は矯正可能。父親の方は…………お気の毒ですが……】だったらしい。 こうして警視庁のブラックリストに、【高町士郎】の項目が加わり、そしてソコには★★★★★の評価が下されたのだった。 ――プシュゥゥゥゥ! 地球ではない【何処か】。 今その場所では、シズカ・ホクトの覚醒と合わせたかのように、一つの医療カプセルの扉が開いた。 黒髪の美青年。 まるで以前から時が止まっているかのような、老いの皆無さ。 長い間閉じられていた双瞼が、ゆっくりと。本当にゆっくりと開かれていく。 刻が動き出したのだ。 彼の目覚めは、【彼の者】の覚醒が引き起こしたモノ。 変わる物語。 その変化の先に何が待っているのかは…………今は誰にも判らないコトだった。 あとがき >誤字訂正 俊さん。毎度ご指摘いただき、本当にありがとうございます!! 今回は凄く多かったようで…………本当に申し訳ありませんでしたぁぁっ! >感想 皆が大好き、覇王少女。 ……の復活だったせいか、感想数が十四個も!! 皆様、ありがとうございます! 頂いた感想は、いつもsatukiのエネルギーとなっています。 なので、すごい嬉しいです! ありがとうございました!!――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 以下、本編とは何の関係も無いお話。【デザイア】「……バブー」 目が覚めたら赤ん坊になってました。 コレで幾度目だろうか? もう数えるのも馬鹿らしい位の転生人生である。「……ウゥ」 今までを振り返ってみると、ボクは一体何処の聖人君子なのだろうかと問い詰めたくなる。 思い返すと、何時も何処かでフラグらしきモノはあった。 でもボクは気が付かなかった。 フザけたフリをしながらも、結局ボクは何時も世界平和の為に奔走していた。 本人はそんなツモリはないのに。 結果としてはそんな【善】を押し付けられた人生を、幾度も幾度も繰り返していた。 良く馬鹿は死ななきゃ直らないというけど、まさにその通り。 死んだら理解出来た。 きっとこの言葉を考え付いた人は、転生者だったに違いない。 ともかくボクの人生は【エロス】の欠片もない、エロゲーからエロを抜いたようなモノだったのだ。 ……ソレって商品価値あるのか? どうせだったら、最初からコンシューマ機体でのデビューがしたかった。 まぁ、中にはエロを抜いても成立する素晴らしい作品もある。 ……というか、エロスがオマケ程度のモノもある。 だがソレでもその内容はスバラシイのだ! とか、今受信した毒電波を言葉にしてみる。 病気かな?病気じゃないよ?電波だよ? ちょっと有名な歌のリズムで歌ってみたけど、明らかに内容が浮いている。「ブゥ……」 何回も転生を繰り返すと、若干肉体の影響を受けるものの、その精神は達観したモノとなる。 つまり常時賢者モード。 ……有り得ない。我がコトながら、良くそんな人生を幾度も歩んできたものだ。 通常の人間だったら、恋人作って結婚して……子どもを作っていることだろう。 でもボクはそういう考えにならなかった。 思考回路の破綻か。それとも脳に異常があったのか。 どちらでも良い。 今の現実として、それらを過去の自分として見られるのは幸いなこと。 そのキッカケが看護士に頭から取り落とされたからとかいうのは、どうかと思うが。 良し。まずは聖王教会を目指そう。 あそこに行けば、きっと誰かしらが保護してくれるに違いない。 時代背景は不明だが、きっとカリムはいるだろう。居るに決まっている。 じゃないと話が進まない。 病院をハイハイで進み、入り口までやってきた。 ……弱った。自動ドアが反応してくれない。 最初の敵は、無機物だった。 それもストライクゾーンが(体重的に)小学生からご老人までというツワモノだ。 そんな強者が、おいそれと通してくれるハズはない。 仕方が無いのでストレッチャーの脚にしがみ付き、ソレの移動と共に病院を脱出した。 おのれ、自動ドアめ……。 この借りは、いつかキッチリ返させて貰うからな!! ――【拾ってください】 聖王教会の門の前。 乳幼児の入ったダンボールが一つ、ポツンと置かれている。 中に入っているのは、厚顔美麗な赤ん坊。 ……ウソです。 まだそんなコトが判明する前の、猿みたいな時期です。 何とかハイハイと強化魔法だけで、ココに辿り着いたボク。 とりあえず転生者のスペックを活かして、人払いの結界を設置。 こうすれば弱者は近付かず、強者が見に来る。 そこから辿っていけば、きっといつかはカリムの所に着くでしょう。 以前の転生の時を思い出すと、彼女はとってもグラマラスになるコトが確定済み。 ならば変な虫が着く前に、ボクが抑えてしまおう。 と、いう作戦なのだ。「……?こんな所に赤ん坊が……?」 誰かが網に引っかかったようです。 長い髪……○。 丁寧な喋り方……○。 カリムか?カリムなのか!? ハリー、ハリー!!はやくその顔を見せてちょうだいな!!「参ったな……。キミもボクと同じ境遇なのかい……?」 ……チェンジ。 ねーよ。この展開はねーよ。 男だったら、そんな糞長い頭に何かするなよ!!紛らわしいだろうに!!「……ブゥゥッ!!」 将来のスケコマシ査察官を、魔力を込めた拳で殴る。 例え赤ん坊の力でも、握る力は大したモノ。 ソコに魔力を加えれば、腕白の小僧などイチコロよ。「ブファァァァッ!!」 派手に吹っ飛ぶヴェロッサとかいう人。 良いリアクションだ。 ミッドでお笑いを普及したらどうだい?「ブゥゥ……(良いか?あの胸は既にボクのモノなんだ?コレで分かっただろう?義弟フラグなんてとっくにスルーで、今は【養子】フラグの時代なんだよ!)」「な、何だってぇぇぇぇ!?」「ロッサ……?赤ちゃんを相手に、一体何をやってるんですか……?」 ヴェロッサにのみ伝わる念話。 ソレが分からない周囲からすると、今の彼は頭が可哀想なヒト。 ケッケッケ……!コレでヤツの評価は、どん底よ……!「あのね?ボクが大きくなったら、おかーさんをお嫁さんにするの!!」「……まぁ。ありがとう、嬉しいわ♪」 お子様恒例の、【将来ママ(パパ)のお婿さん(お嫁さん)になる!】発言。 当然カリムは本気にしていない。 だがソレは、ある意味チャンス。「……ホント?」「えぇ♪」「ホントにホント?」「本当に本当よ?」「じゃあ……コレにサインして!!」 取り出したのは一枚の紙切れ。 しかしただの紙切れと思うこと無かれ。 それはある意味世界で一番重い紙なのである。 【婚姻届】 軽い調子でサインしてから。 カリムはその用紙に、司祭のサインが入っていることに気が付いた。 つまりソレは正式なモノ。「…………きゅう」 あ、倒れた。