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No.8085の一覧
[0] リリカル・とらいあんぐる転生日記  【完結しました】[satuki](2009/11/06 10:47)
[1] リリカル・とらいあんぐる転生日記 00[satuki](2009/06/19 17:02)
[2] リリカル・とらいあんぐる転生日記 01[satuki](2009/06/19 17:02)
[3] リリカル・とらいあんぐる転生日記 02[satuki](2009/06/19 17:02)
[4] リリカル・とらいあんぐる転生日記 03[satuki](2009/06/19 17:02)
[5] リリカル・とらいあんぐる転生日記 04[satuki](2009/06/19 17:02)
[6] リリカル・とらいあんぐる転生日記 05[satuki](2009/06/19 17:02)
[7] リリカル・とらいあんぐる転生日記 06[satuki](2009/06/19 17:03)
[8] リリカル・とらいあんぐる転生日記 07[satuki](2009/06/19 17:03)
[9] リリカル・とらいあんぐる転生日記 08[satuki](2009/06/19 17:03)
[10] リリカル・とらいあんぐる転生日記 09[satuki](2009/06/19 17:01)
[11] リリカル・とらいあんぐる転生日記 10[satuki](2009/06/19 17:01)
[12] リリカル・とらいあんぐる転生日記 11[satuki](2009/06/19 17:01)
[13] リリカル・とらいあんぐる転生日記 12[satuki](2009/06/19 17:01)
[14] リリカル・とらいあんぐる転生日記 13[satuki](2009/06/19 17:01)
[15] リリカル・とらいあんぐる転生日記 14[satuki](2009/06/19 17:00)
[16] 元ネタ帳(00~14)[satuki](2009/04/30 21:34)
[17] リリカル・とらいあんぐる転生日記 15【前編】[satuki](2009/06/19 00:04)
[18] リリカル・とらいあんぐる転生日記 16【後編】[satuki](2009/06/19 00:04)
[19] リリカル・とらいあんぐる転生日記 17[satuki](2009/06/19 00:04)
[20] リリカル・とらいあんぐる転生日記 18[satuki](2009/06/19 00:03)
[21] リリカル・とらいあんぐる転生日記 19[satuki](2009/06/19 00:03)
[22] リリカル・とらいあんぐる転生日記 20[satuki](2009/06/19 00:03)
[23] リリカル・とらいあんぐる転生日記 21[satuki](2009/06/19 00:02)
[24] リリカル・とらいあんぐる転生日記 22[satuki](2009/06/19 00:02)
[25] リリカル・とらいあんぐる転生日記 23[satuki](2009/06/19 00:02)
[26] リリカル・とらいあんぐる転生日記 24[satuki](2009/06/19 00:01)
[27] リリカル・とらいあんぐる転生日記 25[satuki](2009/06/19 00:01)
[28] リリカル・とらいあんぐる転生日記 26[satuki](2009/06/19 00:01)
[29] リリカル・とらいあんぐる転生日記 27[satuki](2009/06/19 00:01)
[30] リリカル・とらいあんぐる転生日記 28[satuki](2009/06/19 00:00)
[31] リリカル・とらいあんぐる転生日記 29[satuki](2009/06/19 00:00)
[32] リリカル・とらいあんぐる転生日記 30[satuki](2009/06/19 00:00)
[33] リリカル・とらいあんぐる転生日記 31[satuki](2009/06/19 00:00)
[34] リリカル・とらいあんぐる転生日記 32【注:糖分過多】[satuki](2009/06/18 23:59)
[35] リリカル・とらいあんぐる転生日記 33[satuki](2009/06/18 23:59)
[36] リリカル・とらいあんぐる転生日記 34[satuki](2009/06/18 23:59)
[37] リリカル・とらいあんぐる転生日記 35[satuki](2009/06/18 23:59)
[38] リリカル・とらいあんぐる転生日記 36[satuki](2009/06/18 23:59)
[39] リリカル・とらいあんぐる転生日記 37[satuki](2009/06/18 23:58)
[40] リリカル・とらいあんぐる転生日記 38【少年編】[satuki](2009/06/18 23:58)
[41] リリカル・とらいあんぐる転生日記 39【歯車戦士編】[satuki](2009/06/18 23:58)
[42] リリカル・とらいあんぐる転生日記 40【大将と愉快な仲間たち①】(分割しました)[satuki](2009/06/18 23:58)
[43] リリカル・とらいあんぐる転生日記 41【大将と愉快な仲間たち②】(分割しました)[satuki](2009/06/18 23:58)
[44] リリカル・とらいあんぐる転生日記 42【歪んだ物語・その修正方法】[satuki](2009/06/18 23:57)
[45] 【オヤジ】狩り[satuki](2009/06/05 17:07)
[46] 【オヤジ】狩り-01  【続いた。続いてしまった】[satuki](2009/05/18 23:29)
[47] 【オヤジ】狩り-02  【また続いてしまった】[satuki](2009/05/26 20:02)
[48] 【オヤジ】狩り-03  【またまた、続いてしまった……】[satuki](2009/06/02 01:26)
[49] 【オヤジ】狩り-04  【狩るべきオヤジは、まだまだ存在するのだ!!】[satuki](2009/06/07 19:31)
[50] 【オヤジ】狩り-05  【アンリミティッド・オヤジワークス……ソレは地獄絵図でしかないな……?】[satuki](2009/06/29 21:16)
[51] 【オヤジ】狩り-06  【覇王少女のファンには、彼女が女神に見えるらしい……視力検査したら?】[satuki](2009/06/09 18:10)
[52] 【オヤジ】狩り-07  【イロモノはイロモノを呼ぶ…………奇跡の開幕!?】[satuki](2009/06/11 20:03)
[53] 【オヤジ】狩り-08  【奇跡は続く!?遅れてきた漢……!!】[satuki](2009/06/18 23:39)
[54] 【オヤジ】狩り-09  【漢女と乙女……オトメ同士の決闘!】[satuki](2009/06/19 17:00)
[55] 【オヤジ】狩り-10  【死亡フラグをブチ折ったモノ……!】[satuki](2009/06/20 00:19)
[56] 妖精00 【良く考えたら、コレが全ての始まりなのかもしれないなぁ……?】[satuki](2009/06/05 16:52)
[57] 妖精01 【妖精爆弾……じゃなかった。爆誕!!】[satuki](2009/06/05 16:52)
[58] 妖精02 【やって来たのは運命にかぶれたロリジャイと、その家族】[satuki](2009/06/05 16:53)
[59] 妖精03 【蝶人になった日】[satuki](2009/06/07 19:32)
[60] 妖精04 【淫獣殲滅作戦――全ては清い【なのちゃん】のために】[satuki](2009/06/10 00:10)
[61] 妖精05 【遠足。それは至上最強の闘い!?】[satuki](2009/06/20 00:20)
[62] 妖精06 【掟破り!?……覇王の蘇る日!】[satuki](2009/06/27 20:12)
[63] 真・転生日記【オヤジ】風味 ――『妖精は覇王の夢を見る!』 01[satuki](2009/06/29 21:17)
[64] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 02  【復活したイレギュラー】[satuki](2009/06/29 21:25)
[65] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 03  【お約束は突然に】[satuki](2009/07/03 18:58)
[66] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 04  【突撃、となりの小学校!?】[satuki](2009/07/12 18:30)
[67] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 05  【誕生!?養護教諭プレシあ!?】[satuki](2009/07/14 20:13)
[68] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 06  【予定とは、乱される為にあるのだ!】[satuki](2009/07/16 21:43)
[69] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 07  【イレギュラー戦隊、参る!!】[satuki](2009/07/24 16:48)
[70] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 08  【仮面対仮面(オマケ付き)】[satuki](2009/07/27 16:53)
[71] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 09  【隣の市は危険がいっぱい!?】[satuki](2009/07/31 21:08)
[72] デザイア!?[satuki](2009/08/02 16:08)
[73] リリカル・とらいあんぐる転生日記 43【本筋は、忘れた頃にやって来る】[satuki](2009/08/04 23:55)
[74] デザイア!? 02[satuki](2009/09/04 19:03)
[75] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 10  【近付いてくる真相!?】[satuki](2009/09/04 19:04)
[76] デザイア!? 03 【女(装)王、誕生】[satuki](2009/09/07 02:14)
[77] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 11  【混沌の始まり】[satuki](2009/09/13 12:20)
[78] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 12  【長い伏線(その一)】[satuki](2009/09/18 00:37)
[79] リリカル・とらいあんぐる転生日記 44【長い伏線(そのニ)】[satuki](2009/09/19 19:34)
[80] リリカル・とらいあんぐる転生日記 45【アインヘリアル?何それ、美味しいの?】[satuki](2009/09/25 21:50)
[81] リリカル・とらいあんぐる転生日記 46【少しだけ本気を出した。後悔はしている】[satuki](2009/09/27 21:52)
[82] リリカル・とらいあんぐる転生日記 47【もう少し本気を出してみた。さらに後悔している】[satuki](2009/10/02 21:46)
[83] リリカル・とらいあんぐる転生日記 48【ついに登場、最高評議会!?】[satuki](2009/10/09 11:11)
[84] リリカル・とらいあんぐる転生日記 49【三人目は…・・・グハッ!?】[satuki](2009/10/11 22:41)
[85] リリカル・とらいあんぐる転生日記 50【歯車戦士、愛の決闘】[satuki](2009/10/16 18:38)
[86] リリカル・とらいあんぐる転生日記 51【人生は闘いだ!!】[satuki](2009/10/17 21:59)
[87] リリカル・とらいあんぐる転生日記 52【魔神の生まれちゃった日】[satuki](2009/10/22 22:08)
[88] リリカル・とらいあんぐる転生日記 53【アニキ+ナイスミドル=???】[satuki](2009/10/27 16:33)
[89] リリカル・とらいあんぐる転生日記 54【変形する揺り籠!?至上最悪の悪魔の登場!!】[satuki](2009/11/06 10:46)
[90] リリカル・とらいあんぐる転生日記 55【ラスト・ラストをキミに……】[satuki](2009/11/06 10:47)
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[8085] リリカル・とらいあんぐる転生日記 31
Name: satuki◆b147bc52 ID:5579661a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/06/19 00:00

 前回のあらすじ:高町なのは、昔に【戻る】。




 ソレはトンでもない事態だった。
 前回の【はやてタヌキ化】も問題だったが、コレはある意味もっと厄介だった。
 パッと見は聖祥時代のなのは【さん】だが、その手にしていたのは【初代】レイジングハート。

 現在は気絶中のため、医務室でお休み中。
 しかしある意味においての爆弾は、ココでも落とされた。
 寝言で『……クロノ、くん……』とか言っていたのだ。

 ……いや、ねぇ……?
 そんなことには、ならないよねぇ……?
 ……と言いたくなるけど、多分予想通りのことが起きるだろうなぁ。

 仕方が無い。
 一応準備しておこう。
 それぞれに合わせた道具と【台本】。

 ボクの場合は……ハァ。
 恐らく【アレ】だけで足りるだろうなぁ……。
 【偽胸】。そう呼ばれるモノさえあれば、ボクは大丈夫なんだろうなぁ……憂鬱だ。























 なのはが目を覚ました。
 その報せは瞬く間に六課を駆け巡り、皆が医務室に殺到する。
 一番乗りは、なのはさん大好き人間のスバル。自慢の機動力を以って、最速で到着した。

「なのはさん……!!」

 バンッ!という音をさせて入室するスバル。
 ……病室ではお静かにねぇ……?
 そんな天からの声は華麗にスルーし、ズカズカと進んでいくワンコ娘。

「……あの…………晶ちゃん、どうしたの……?」

 空気が凍りついた。
 同時にスバルも凍りついた。
 無理もない。尊敬する【なのはさん】に忘れられ…………ついでに、人違いをされたのだから。

「……しょうがない。ボクが行くしかないみたいだなぁ……」

 盛大な溜息。
 それと同時にちょっとした決意を固め、ボクはボクの闘いをする。
 自己暗示だ。今のボクは月村静香じゃない。今の【わたし】は…………。

「ハイハイ。【晶ちゃん】は、ちょぉっと外へ行きましょうねぇ……?」

 我、月村。
 この身は月村のモノ。
 故に今の【わたし】は……!!

「忍さん!?」
「は~い、忍ちゃんで~す♪なのはちゃん、ちょっと待っててね?すぐに戻るから~!」

 現在の【わたし】は【月村忍】。
 とらハシリーズで唯一公式カップルに認定された、恭也の内縁の妻……!!
 ……ハァ。ソレが今のボクが演じる役割だ。

 悲しいかな、現在でもすずかと双子に間違われるくらいだ。
 偽胸を入れて髪をストレートにすれば、【月村忍】の一丁あがり。
 生まれてからずっと見てきた存在だ。マネをするのは楽勝…………なんだけど、心はズタボロさぁ……笑えよぉ。

「…………というワケで、キミたちには特殊任務に当たってもらう……!!」

 外見は月村姉なボク。
 説明先は六課の面々。
 面識……?そんなモンないヤツも居るけど、勢いで何とかなるんだよ……!!

「最初、スバル!オマエさんは、【コレ】で胸を潰して、台本読み!!」
「…………この、【晶】っていうヒトを演じれば良いの……?」
「ん。そんではやて……!!」

 晶に胸はありません。
 正確にはちゃんとあるんだけど、スバルのソレは大きすぎる。
 故に【さらし】で、フラット気味にしてもらいまっしょい。お次ははやてだ。

「オタクは、髪の毛を【緑色】に染めて、髪留め外せ。そんで中華風衣装を着ること……!!」
「なんや、ソレは!?」
「反論は認めません。次、フェイト……!」

 本音を言えば、拳法の達人じゃないと不味いんだが、贅沢は言えない。
 とりあえず外見を取り繕う。
 まずはソレからだ。

「フェイトはこの【青玉】を舐めて、巫女服。そんで狐耳と尻尾を着用!!」
「え?えぇぇ!?ちょ、ちょっと待って下さい!!何でそんな……!!」
「……この命令は、地上本部の将官連名のモノです。異議は通りません……!」
「そ、そんなぁ……」

 コレで子狐も確保。
 あとは誰が居たっけ……?
 ……そうだ。【妖精】さんも、一応用意しておくか。

「最後にリンディ。アンタは常に【羽】出したまま、身体を妖精サイズにして!」
「…………取り戻せるのね?こんなハズじゃなかった【過去】を……!!」

 息子の名台詞を台無しにするなよ……?
 まぁ分からんでもないし、本人がノリノリの方がやりやすい。
 コレで迎撃準備はOK。あとは試すしかないなぁ……。







「なのはちゃん、ゴメンね~?ちょっと晶が、変なモノ食べちゃってねぇ……?」
「変なモノ……もしかして、おねーちゃんの…………」
「……じゃあないんだけど、ソレみたいなモノかなぁ~……?」

 スバル悪い。
 今のオマエは変なモノを食べて錯乱した、可哀想な娘だ。
 ……アレ?普段と大差なくね?

「晶ちゃん、大丈夫なんですか……?」
「うん、もう大丈夫だから♪あとで会ったら、普通どおりに接してあげなよ……?」
「…………ハイッ!」

 良い娘だぁ……。
 騙してるのが悪いくらいに良い娘だぁ……。
 でもコレでほぼ確定だ。この娘は、【なのちゃん】なのだ。

『なのちゃん!!』

 バンッ!!と勢い良く扉が開け放たれて、入ってきたのは【レン】と【晶】。
 ……のパチモンである、はやてとスバル。
 どう見てもソックリさんなので、あとは中身次第だ。

「なのちゃん、無事やったんやな!?良かった~、ホンマに良かったぁ……(何か疲れる喋り方やなぁ……)」

 はやては京風関西弁がベースだけど、レンはコテコテ風関西弁。
 若干?の差異を修正すれば、あとはタヌキから亀へと変化する。
 元々タヌキは騙すのが商売みたいなモンだ。コレくらい朝飯前だろう。

「なのちゃん、ケガとかしてないよな!?ドコも痛いトコとかないよな!?(なのはさん!無事ですよねぇ!?)」

 スバルも中々の演技を見せてくれます。
 元々アホ的な要素を抜けば、頭の良い彼女。
 それも【なのはさん】のためなら、芝居に熱も入るでしょうなぁ……。

「やめんか、このおサル!!なのちゃんがビックリしてるやないか!!」
「んだと~?このカメ!!」

 熱が入りすぎて、【レン】に止められる始末。
 まぁ予定通りと言えば、そうなんだけどね?
 この【二人】らしいやり取りを見せるという点では、結構重要な場面だし……?

「ふたりともー!!ケンカはダメって、言ってるでしょう!?」
「でもなのちゃん!(!?なのはさんに、いつもと違うオーラが!?)」
「このおサルが!(ホンマにこの子、なのはちゃんなんか!?何かいつもと違うような……!?)」
「ふたりとも、ソコにすわってください!!」

 強制的に、と言ってもソレは武力的なモノではない。
 言葉の力と【なのちゃんオーラ】で二人を押さえ込む。
 ……ヤバイ。感動で視界が歪んで見える……。

「なのはちゃん、ちょっと良いかなぁ……?」

 このままでも良いんだけど、話が進まないんだよね?
 仕方ないので、二人に助け舟を出す。
 ……というかこの二人って、立場が違うとこうなるモンだったのか……意外。

「なんでしょう?忍さん……?」
「あのね?ココって、【ミッドチルダ】っていうトコロなんだけど…………知ってる?」
「えぇ~~!?ミッドチルダって……………………リンディさんと、クロノくんの…………」

 OK。
 【リリカルなトイボックス】までの記憶は、存在している……と。
 じゃあ次は、【リンディ】さんに登場願いましょうか?

「失礼します…………なのはさん、お久しぶりですね……?」
「……リ、リンディさん……?」
「ハイ♪」

 スモール&羽展開リンディ、通称【妖精さんリンディ】のご登場です。
 ココはミッドチルダなので、本来はこの姿である必要はない。
 だけど【リンディさん】だと信用してもらうには、コレが一番なのである。

「あ、あの!ここが【ミッドチルダ】だっていうのは……」
「……本当です。イデアシードとは別のモノによって、皆さんは偶然コチラの世界に来てしまったのです……」

 ウソ設定その一。
 とりあえずココに居る理由を作る。
 コレで第一関門は突破。

「そんな!それじゃあ、わたしたち…………帰れるんですか……?」

 心底心配です。
 そんな表情とオーラを出す、【なのちゃん】。
 ……もはや別種の生物だと言われても信じられるな、コレは……?

「……少し手続きとかに時間が掛かりますが…………大丈夫です。何と言っても、わたしもソレで地球に行きましたから♪」
「…………そういえば、そうでした……」

 良し。次弾装填。
 逝くぞ、金色の獣娘よ。
 覚悟の貯蔵は十分か……?

「なのはちゃん、実はね?わたしたち以外にも、【コッチ】に来てる子が居るんだぁ~~♪」
「え?そうなんですか……?」
「うん。それじゃあ、【久遠】!!入ってきてぇっ!!」

 ガタン!
 ゴトンッ!!
 どうにも不安な効果音を響かせながら、ソレはやって来た。

「…………なのは………………」

 身長が縮み、狐の耳と尻尾を装備。
 そしてその身に巫女服(風)を纏って立ったのは…………【久遠】。
 もちろん、アレもパチモノ。中身はフェイトだ。

「!!く、くーちゃん!?」
「くぅん♪(あぁ……なのは可愛いなぁ……。まるで出会った頃に戻ったみたいだ……)」

 寝かせられたベッドから飛び起きて、なのはは【久遠】に飛びついた。
 無理もない。【原典】の時系列で言えば、久遠となのはは大の仲良し。
 むしろ、こうならない方がおかしい。
 
 それから質問攻めに遭う【久遠】だが、中身はポンコツ風味であっても執務官。
 きちんと台本どおりにこなし、つっかえつっかえの【久遠語】を話せていた。
 ……段々となのはに抱きつかれてるのが、嬉しそうに見えてきた。……まさかね?

「……あの、リンディさん……?」
「?何でしょう、なのはさん?」
「……クロノくんって、今どこにいるんですか……?」



 ――ピシリッ!!



 空気の割れる音が聞こえた。
 そういえば、あやつを【用意】するの忘れてたっけ……?
 どうしよう?中身は殆ど今のフェイトなんだけど、やっぱ男装させるのはムリがあるよなぁ……?

「エーと、クロノは…………そう!!今日はお仕事なんですよ!!」
「……そう、なんですか……」

 明らかに落ち込みムードだな。
 コレで精神状態が不安定になって、ジュエルシードが暴走でもしたら……。
 堪ったモンじゃないな。……良ぉし。ココはミッドのために【クロノ】も用意するか……!!

「大丈夫だって!!クロノくんだって、明日には来てくれるから♪そうですよね、リンディさん……?」
「え、えぇ……!そういうわけですから、明日には会えますよ?クロノったら、なのはさんに会えるのを、とても楽しみにしてましたからね~♪」
「……そ、そんなぁ……♪」

 危機は脱した。
 しかし新たなるピンチの到来。
 さーて……クラウディアに連絡を取らなきゃねぇ……?













 大将日記00 second season



 エリオ・モンディアルは、実に見所のある少年だ。
 その出自に関しても、逃げることなく受け止める心。
 一時危ぶまれた精神状態も、現在は回復している。

 自らの強さに溺れることなく、ソレでいて強さを求めることを忘れない。
 焦りを抱えていた彼は、文字通り【死んだ】。
 だからこそ、今の彼は強いのだ。精神的にも……技量的にも。

「よぉしっ!!次は、刺突の型を二百回だ!!」
「ハイッ!!…………ところで、キャプテンベラボー……」
「……ん?どうした、何か質問か……?」

 実に感心。
 コレ程熱心な生徒は、そうは居ない。
 そういう意味では、少年は最高の弟子になりそうだ。

「どうしていつも、そのジャケットを纏っているんですか……?」

 成る程。そちらが気になるか。
 だがココで、己の正体を明かすわけにはいかない。
 ならば、こう答えるより他ないだろう!!

「……答えは秘密。その方が、【カッコイイ】からだ……っ!!

 バックで雷が落ちた。
 今回の音響効果は、エリオ本人によるモノ。
 ソレくらい、今の彼は感銘を受けたようだ。
 






 ゲイズさんちのオーリスちゃん【拾八】



 シャマルが家に来ると、メイド害は現れない。
 そしてその女医は、メイド害を探して家に来たがっている。
 そのコトに気が付いたオーリスは、それからシャマルを連日家に招いた。

 二人で酒盛りし、酔いつぶれる毎日。
 そして二人が潰れている間に、メイド害が掃除をする。
 まるで、小人さんや妖精さんのような働き。普段の彼からはとても想像出来ない。

 逆を返せば、それだけ変態メイド男は、あの女医を恐れているということ。
 そしてソレこそが解決の糸口と気付いたオーリスは、シャマルと一芝居打った。
 酔っ払って寝たフリをして、メイド害をおびき寄せる。

 普通なら騙されないだろうが、シャマルに認識阻害の魔法を掛けてもらい、コトに及んだ。
 結果、引っかかった。
 そして現れたのだ、あの男が。

「フッフッフッフ…………ついに捕まえましたよぉ……?」
「フン!このメイド害を欺くとは、良い腕だな…………?」

 バインドで固められた変態メイド男。
 ソレを恍惚の表情で悦る女医。
 ココに勝敗は決した…………と思われた。

「だが、このコマラシ!!これしきのことで、止められるモノか……!!」

 長い黒髪。
 ソレが針金のように変化し、女医のバインドを破り裂く。
 化け物め。その時オーリスは、改めてそう思った。

「……流石はRIKIちゃん。なら、【コレ】はどうですか……!!」

 いつの間に付けたのやら、左耳に付けたピアス。
 その中心部には絢爛な宝玉が填め込まれており、ただのピアスでないことを証明している。
 空を見上げるシャマル。

 その視線の先には月があり、ソレは一瞬にして黒く染まる。
 ソコに二本の紅いラインが走り、中心部には丸い点。
 月が紅く光り輝いた時、ピアスの宝玉が紫色の光を帯びる。

「【マデリアライス】…………!!」

 アンダースーツは白。
 外套は少しくすんだ緑。
 首・両手首・腰に銀色の金属パーツが走り、その中央線に金色の輝き。

「……ホウ。ソレが伝説の【マスターロープ】か……。良いだろう……相手にとって、不足はないようだな……?」

 メイド害VS女医……改め、【マスター乙女】。
 その闘いの火蓋。
 ソレが今、切って落とされようとしている……。












 あとがき

 >誤字訂正

 俊さん、円冠さん。ご指摘いただき、ありがとうございます!






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