前回のあらすじ:スーパー【レジアス】タイムなおも発動中。もう既に彼が主役と化している、今日のこの頃。 突然ですが、姉が彼氏を連れてきました。 お相手は、高町さんちの恭也君です。 彼の人柄の良さや腕っ節の強さは、皆さんもご承知の通り。 姉の彼氏としては、申し分ない青年だと思いますよ? 逆に、どうやって彼をゲットしたのかが非常に気になります。 ……前に【既成事実】がどうたらって言っている姉に遭遇しましたが、まさかねぇ……?「……君のお姉さんとの――忍との関係を認めて欲しい……!」 凄い。姉は一体どんな手段を用いたんでしょうか。 あの究極至高の朴念仁が、こんなストレートに恋愛感情を出すなんて。 ヤクですか?一服盛っちゃったんですか? 知りたいけど、聞く勇気は生憎持ち合わせていない。 君子危うきに近寄らず。 ソレとは別に、やることもあるしね。「……恭也さんの言いたいことは分かりました……」 彼程申し分ない人材はいないでしょう。 そんなことは理解しています。 だけど感情が追いついてこないというのもまた、人間として当然のことなのだ。「……一つ貴方に問います。もしも、なのはちゃんが彼氏を家に連れてきた場合、貴方は……」「潰……失礼。『貴様如きになのははやらん!どうしてもなのはが欲しければ、俺を倒していけ!!』と言います」 間髪入れずに答えが返ってくる所が素晴らしい。 流石は御神の剣士……ではなく、スーパーシスコン人なだけはある。 もう互いに言葉要らなかった。彼の答えそのものが、この後の展開の口火なのだから。「永全不動八門一派御神真刀流小太刀二刀術――御神正統」「永全不動八門一派御神真刀流小太刀二刀術――御神不破」 瞬間、稲妻が走った。 ソレは比喩でも何でもなく、本当に背景に雷が落ちたのだ。 後で分かったことだが、コレには久遠が協力していたらしい。 勿論那美経由での、忍による計画。 我がお姉さまは、どんな時でも遊び心を忘れない一流のエンターティナーなのだ。 その証拠に、少し離れたテラスでは観客席が設置されていた。 小さな旗を振って応援する桃子。 オロオロしている、なのはとすずか。 美由希と士郎は剣士の顔付きでコチラを見ているし、ノエルに至っては彼らのお茶を提供している。「(……どうしよう。普通にやったら負けることはないけど……)」 流石に年季が違うので、まだ恭也に負けることはない。 だがしかし、それでは今度は姉上様に泣かれてしまうのだ。 手を抜くことも出来ず、また本気で勝ってもいけない状況。 心情的には完膚なきままに叩きのめしたいところだが、ソレをやれば空気を読まなすぎる。 悩みに悩んだ結果、彼の主人公属性に期待することにした。 何度も叩きのめして、それでも立ち上がってくる恭也。そして彼はついに、【アノ】光を手にする……とかなってくれるのが希望する。 その後、彼は見事に主人公属性を発揮。 奥義の極【閃】の発動に成功し、ボクの役目は終わった。 ただ一番のダメージは、肉体外面よりも内面――特に胃に来ていたとだけ言っておく。 だるい。 身体が妙に火照って、疼きが止まらない。 コレはアレか。とうとう来てしまったのか。あの【発情期】というヤツが。 一応この日の為に色々と対策を講じてきたが、ハッキリ言って無事に乗り切る自信がない。 なので一応事前に特別な部屋を作り、ソコに篭ることにした。 部屋に入ってすぐ。ほんの十分もしないうちにヤバ気にになったので、対策その一を発動。 対策その一:三百倍の重力室。 事前に実験したところ、百倍だと耐え切れてしまった。 流石に夜の一族のスペックは伊達ではないらしい。 故に三百倍の重力室を作成。 重力に押しつぶされれば、余計なことは出来ないだろう。 単純にそう考えた過去の自分を、現在のボクが笑い飛ばしてやりたい。 最初の頃は確かに効果があったのだ。 でも一日二日と過ぎていく内に、効果が薄れていくことが判明。 夜の一族の身体は、この環境にも適応出来るように進化していたのだ。 ……本当にヒトの進化というモノを、蔑ろにする一族だこと。 対策そのニ:スポーツとか身体が疲れることをして、発散させる。 ダメでした。 御神流剣士たちにも協力してもらったのですが、全然ダメでした。 それどころか、駄眼鏡に襲い掛からんとする始末。自分の身体が怖い。 対策その三:強制的に血液を抜いて、仮死状態。 もうコレでダメだったら後がない。 とか悲壮感を漂わせながら考えていたが、結果的には成功。 次回からもコレで行こうと決意。 別に女性が嫌いなわけではないが、こういうことには愛がないとダメだと思う。 百五十年モノのDTは、夢見るスーパー賢者なのだよ。 だから、機会に恵まれなかったのかもしれないが。 補論:妹が兄の必死な抵抗を見て、発情期について異常に怯えるようになった。済まない、妹よ。 おまけ:中将日記。 今日は比較的スムーズに仕事が終わったので、現在十八時半を回ったところ。 ならばと、地上本部内のトレーニングルームに向かい、筋トレに精を出すレジアス。 丁度ルームランナーで走っていると、隣で白髪頭の中年仕官がトレーニングを始めた。 結構な鍛え具合に、思わずどうして鍛えるのかを聞いてみる。 すると返ってきた答えは、「いやぁ~、ウチの女房や上の子どもが強くてなぁ。コレ位は鍛えておかないと、付き合えないんだよ」 とのこと。 非常に微笑ましい答えに、レジアスは羨ましいと思った。 ちなみ中年仕官の名前は【ゲンヤ・ナカジマ】。後に陸士一○八部隊の部隊長になる漢である。