前回のあらすじ:そうだ、【淫獣】狩りに行こう!! さぁ始めよう。 ある少女の光源氏計画を……違った。 異物の入り込んだ、物語への介入を。 ……とは言ったものの。一体、どうやって物語に介入すべきだろうか? 下手にセオリー通りの介入をした結果、目も当てられないことになったりはしないよねぇ……? それは懸念。だが当然の疑問。 大体魔力を持たないボクが、どうやって介入するっていうんだよ? アレか?HGSだから大丈夫だってか? そんなの無理に決まってる。 第一、コチラを大木を墨に変える位のチカラだと仮定すると、魔導師…………この場合はフェイトが比較しやすいな。 フェイトの雷撃魔法は、一つの都市を壊滅させられる。 如何にHGSの能力が常人から逸脱したモノとは言え、それはあくまで地球での話だ。 良く、高ランク魔導師は歩く核兵器だと揶揄されるが…………ソレは正しい。 一介の魔導師が核兵器のボタンを持ち歩く状態。 それは非常に危険な状態でしかない。 だからボクがフェイトに挑むというコトは……。 【雷神】VS【珍しい程度の羽虫】。ということになる。 ……嫌だ。ソレってどう見ても瞬殺フラグじゃないか!?「(あ~。ほんと、どうしようかねぇ……?)」 もういっそのこと、全て忘れてしまおうか。 そうすれば関与しなくても良いしね? ……うん。そうと決まったら、テレビでも付けて怠惰ライフをエンジョイしないと♪『昨夜未明、警視庁に怪盗【金色夜叉】の予告状が届きました。コレを重く見た警視庁は……』 ――ピッ!『本日零時、金色夜叉の狙う【蒼の宝石】を頂きに参上する。怪盗【ホワイトエンジェル】…………コレが、予告状の内容です……」 ――ピッ!!『いやぁ~、さる筋からの情報では【金色夜叉】も【ホワイトデビ……エンジェル】も、まだ年端もいかない少女だとか……!』 ――プツッ!!「……はぁ~~。世の中平和だねぇ……?こんな、お子チャマ【怪盗】が出現するような世の中だとは……?」 子どもの愉快犯。 若干微笑ましいような気もするが、やはり逮捕すべき存在であるコトには変わりない。 しかし、よりにもよって【怪盗】かぁ……?チョイスが古いと言わざるを得ないねぇ……?「(やっぱ、今の時代はアレだよ!)」 チェスのキングの頭部を模った、怪しいヘルメット。 紫と黒をベースカラーにした、ピッタリとしたスーツ。 勿論片目だけヘルメットの部分展開アリ。「私は…………【エロ】!!全てのブラジャーに対する反逆者なり!!」 とか言って、最初は怪しい奴だと思われて。 でも何だかんだで仲間が増えていき、新しい組織を作ることになるのだ。 その名は【エロの騎士団】。「今からこの建物が、【エロマンガ王国ニッポン】の領土となる!!」 てっぺんにピラミッドが付いたような建物。 凡そ日本の建築物っぽくない、その浮き具合。 ソコは誰がどう見ても、国会議事堂にしか見えなかった。「全ての服を着る者よ、我を恐れよ!」 ……あ。 女性限定にしないとダメだよね? メタボなオヤジたちの裸なんて、頼まれても見たくないしね? 「チカラ無き者よ、我を崇めよ!そして明日からは、【プライド】という名のバリジャケットを着るのだぁぁぁぁっ!!」 段々妄想が一人歩きしてきたな……? 流石にコレでは危ない人だ。 クールダウン、クールダウン。『エロ!エロ!エロ!エロッ!!』 エロの騎士団の仲間が、喝采を送ってくる。 それはさながら【聖者】の誕生。 モーゼの十戒レベルの奇跡だ。『エロ!エロ!エロ!エロッ!!』 ……素晴らしい。 そんな国なら、是非とも住んでみたいモノだな……? 誰か実行してくれないかなぁ……。ま、実際にされても困るんだけどね?「ちょっ、マテよ!今から緊急手術だって~!?それじゃあ、コッチの約束は……!?」 妄想ニッポン万歳。 仮面の人間【エロ】のサクセスストーリーが頭の中で展開中に、突如として響き渡る怒声。 声の主は御母堂様。……あんまり、カリカリしちゃダメだよ?そんなんだと、真雪みたいになっちゃうからね……?「あ~ん?オイ、ボーズ二号……」「……居たの、真雪?」 地獄耳ならぬ、テレパシー。 というか読心術だにゃ、コレは……? ……話題を逸らそう。逸らさねば!!「あ、真雪さぁ……?腐女子狙いの、良いネタがあるんだけど……」「ホゥ。ソイツは良いなぁ……?何せオマエさんのネタは、どれも使えそうなモンばかりだしな……」 そりゃ、そうだ。 ボクが自分の元居た世界にあった、既存の人気漫画たち。 その存在が無いのを良いことに、ボクはソレをさざなみ大魔王に提供しているのだ。「……で。それはそれとしてだなぁ…………さっき何考えてたんだぁ……?」 隊長、無理です! 戦略的撤退は不可能です!! ……流石はさざなみ寮の生き字引。年季が違い過ぎる……!!「えっと、それはぁ……」「……フーン。ま、言いたくないなら、言わなくても良いんだけどさぁ……」 視界がブレる。……否。真雪の姿がブレたのだ。 ボクの視界から、アッという間に消え失せた彼女。 次に彼女が現れるポイントは……! ――ムニュ。「……う~ん。やっぱ小学生じゃあ、まだまだだなぁ……?」 被害はボクの胸部。やられたのはボクの精神。 ……オノレ。 元オトコとしては無くて当然なハズなのに、いざ無いと言われるとソレはソレでムカつく。「……真雪。キミには有るのか……?【覚悟】ってヤツが……!!」「覚悟ぉ~?一体何のコトだよ……?」 HGSさまを舐めるな! 超短距離テレポートで、真雪の背後に出る。 その後にPKを発動。彼女には凄まじい重しが圧し掛かったのと、同じ状況になる。「揉んで良いのは、揉まれる覚悟があるヤツだけだ!!」「何っ!?」 ――ポヨン! 隊長!! ユートピアは在ったんですよぉぉっ!! ココに存在したんですよぉぉぉぉっ!!「……チッ!やり返してくるたぁ、良い根性してるじゃないか……?」「……やられたらやり返す。ソレが家の家訓なんだよ……?」「…………オーイ。槙原家には、そんな物騒な家訓はないぞぉ……?」 あら、ママ上様。 どうやら電話という名の闘いから、帰って来たらしい母上。 呆れ顔でコチラを見る限り、ボクと真雪は同一線上の存在らしい。「そういえばママや。さっきのお電話は何だったんだい……?」「あー。最近、警視庁に怪盗が出現するって知ってるかい?」「うん。さっきニュースで見たばっかりだけど……?」「……でだ。相手が何かHGSみたいなチカラの持ち主らしくて、警察側もHGSで対抗するコトにしたんだ……」 毒を以って毒を制す。 あまり褒められたモノではないけど、この場合は仕方ないか。 HGSのチカラは絶大。普通の人間では手出しが出来ないしねぇ……?「だから攻撃はボクが担当して、もしもの為にバリアー要員にフィリスを連れてくつもりだったんだけど……」「……緊急手術だったっけ?それでドタキャン、と……?」「そ。だから困ってるんだよねぇ……?」 攻撃は大事だ。 しかしその他の人々を護るには、防御も大事なのである。 一人ではない。皆で闘う場合には、皆のことを考えて行動しないといけないのだ。「あ~、困った。今からじゃあ、他のHGSは探せないぞ……!?」 HGSは稀少です。 その中でも戦闘に耐えうる程の能力を持った者は、さらにレアな存在である。 ……嫌な予感がする。ナニか背筋に冷たいモノが伝い、ソレがボクの嫌な予感を倍化させる。「…………良ぉし、フェル!!今からママと一緒にお出掛けだぁ~~♪」「イヤァァァァッ!!お決まり通りの展開過ぎて、イヤ過ぎるぅぅぅぅっ!!」 何やら【ド】とか【ナ】が交互に聞こえてくる。 それはまるで、市場に売られる子牛への追悼歌のよう。 ……あぁ。こんなコトになるんだったら、能力制御を出来るようにならなきゃ良かった。「耕介~!お弁当二つ、準備しといてねぇ~~♪」 まさに遠足気分。 でもボクにはそんな余裕はない。 強いて言うのなら、初めてジェットコースターに乗る前の気分だ。 ――カッ! ――――ゴロロロロッ!! 外では先程までの晴れ具合を吹き飛ばす、雷雨が渦巻いていやがりました。 ソレはボクたちへの歓迎の挨拶か。それとも、【金色夜叉】とやらの歓迎か。 ……ま。こうなったら、なるようにしかならないよねぇ……? あとがき >誤字訂正 俊さん。毎度ご指摘頂き、本当にありがとうございます!