前回のあらすじ:はじめての遠足(?)にお出掛け。 テレビとかで良く見る庁舎。 角ばっているカタチに、てっぺんにはアンテナが伸びる。 ソレは警察。そこは犯人を取り締まる人間が居る方の建物。 だが現実には、今から犯人が取り締まられにやって来るのだ。 警視庁に保管された【蒼の宝石】を狙って。 それも二組の怪盗が今夜、警視庁へのテロを行うというのだ。 それは異常。 通常では有り得ない現象。 でも在る。これは紛れも無い現実。 頑健さと【常識】によって護られてきた、【正義】という名の社。 幾度目かの怪盗の来襲はその常識という鎧を剥がし、代わりに置いていったのはズタズタにされた【プライド】。 過去の失敗を活かし、専門家に協力を依頼。 そして新生した庁舎は、まさにグレート。 外見は変わらないものの、名前は【グレート警視庁】だ。 ……実は合体済みとかってオチはないよな? 旧警視庁と新警視庁が合体してたとか言われても、その名前では不思議にすら思えない。 その場合、【大警察合体】なのか? それとも【超警察合体】になるのか?「やぁやぁ。皆、ご苦労さま~」 その声は上から聞こえてきたモノ。 現在ボクは、地べたを這いずって光を見上げる者。 ならばソレを引き摺っているのは、当然ご母堂さましか居ない。『お疲れ様です!槙原刑事!!』 野太い野郎隊の声。 整列した野郎たちの間を、まるで廊下のように歩いていくママ上様。 これは警視庁精鋭とやらの歓迎と受け取って良いのだろうか? どれ。どれ程の強者たちなのかな……って、オイ!? メカニカルな脚の束。 ソレと同じように、その脚の持ち主たちの身を包むのは…………マスクドライダーな軍団。「(!?ちょ、ちょっとマテェェェェッ!?何なんだよ、この世界は!?この世界は、アギt○の世界なのか!?)」 全身装甲の鉄仮面軍団。 それは○3-MILDの群集。 その中に一体だけいるG○-Xさん。 名前を聞いてみると、【C3-MILD】と【C3-X】だそうだ。 ……パチモンらしくて涙が出る。 でもこういうのは大好き。良いぞ、もっとヤレ!!「(……つーか、一体どんなヤツがコレらを作ったんだ?もの凄いオーバーテクノロジーなネタ兵器なんだけど……)」 その製作者とは絶対に趣味が合う。 断言出来る。 何というか、同属のニオイがするのだ。「(……しっかし良いなぁ~。こんだけたくさん有るんだから、一体くらい持って帰っても……)」 それはアカンて。 警察に予告状を出す怪盗と、どっこいどっこいになってしまう。 自分の欲望に盛大に突っ込みを入れつつ、ボクは母上さまに引き摺られていく。 C3シリーズ専用トレーラー。専用バイク【ガードチョイサー】。 ソレらが数え切れない程存在する。 ……ココは理想郷か?実はボクの能力に、【妄想具現化】とかないよな? まぁそんな美味しい能力は残念ながら存在しない。 そう。とっても残念だけど、存在しないものはないのだ。 それよりも注視すべきなモノ。ソレがボクの眼前に現れた。 菱形の青い宝石。 ただの一般市民でも分かる。 その存在の異常さ。 ボクは確かに一般人だ。 それは地球上に無いモノ……に関しては、ということだが。 コレは明らかに地球上のモノではない。ましてやこの次元のモノですらない。 ――! 不思議な光を放ちながら、ソレは己の存在を主張する。 自分はココだ。ココに存在するんだ。 そんなことを誰かに報せるように。「(…………コレって、【ジュエルシード】以外の何物にも見えないんだけど……!?)」 何故ココに。 どうやってココに来たのだ。 一体誰が。誰がジュエルシードと闘い、そして封印までしたというのだ!?「(ボク以外の転生者?いや、だとしたら何故こんな所で保管するんだ……?メリットがないじゃないか……?)」 基本的に転生や憑依が為され、物語に介入しようとした場合。 その人物が取る行動は大体決まっている。 特にジュエルシード事件に介入するとしたら、捕獲したソレをどうするかは……。 ①自分で持ち続ける。 ②途中まで自分で持っていて、どちらかの陣営(なのは側かフェイト側)に引き渡す。 ③ソレで願いを叶えようとする。 まぁ、③は殆ど無い。 だから①か②が大半を占めるのだ。 ワザワザ危険を犯してまで警察に保管させる。ソコにはどんな狙いがあるのだろうか? 普通に考えればない。 だがもし、その人間が警察と――というか、【地球】と別次元が争うように仕向けていたら? 事情を良く知らない地球側からすれば、【管理局】が災厄の火種と信じてしまうモノもいるだろう。 ではその人間の狙いは、地球と管理局を対立させるコトか? 答えはNO。確かにソレで地球側に管理局を憎ませるコトは出来ても、地球には次元を超える手段が無い。 つまり、最初から話にもならない。 「(……何なんだ?一体何をしたいんだ?その人物の狙いは一体……?)」 分からない。 理解出来ない。 そして理解出来ないのなら……知っているヒトに聞けば良いじゃないか。「あの~、スミマセ~ン」 C3軍団の長っぽい、C3-Xの中の方に聞いてみた。 中のヒトはどうやら良いヒトだったらしく、コチラの質問に逐一答えてくれた。 普通なら子どもがそんなコトを聞いても誤魔化すか言わないだろうが、今回のボクは民間協力者。 無下にせずに、教えてくれましたとさ。 ちなみにその中のヒトは【水河真】というらしく、彼がジュエルシードの暴走体を止めたらしい。 封印処理に関してはC3-Xが勝手にしてくれたらしく、彼自身は魔力の欠片もなかった。 ……ということは。 彼は【転生者】でも【憑依者】でもない。 それは【読心】で分かっている。 じゃあ誰が? どうやって? 【C3-X】の作成者がそうなのか? ……マテ。 【魔力の欠片もなかった】……だと? ボクはそれをどうやって確かめた?「(……気持ち悪い。何だかボクの中にもう一人、誰か居るみたいな感覚だなぁ……?)」 まるで誰かの知識が勝手に流れ込んでくるような。 いやソレはある意味当たり前なのだ。 何せこの身体には、【フェアリィ・槙原】と【それ以前のボク】の知識が有るのだから。 ……でも何でだろう? ナニカが違うと訴えている。 ボクをボク足らしめている【何か】が。 その何かが、全力でソレを否定している。 ソレは確信?それは当然? 何で?どうして?一体何故……? ――ガッシャァァァァァァァァンッ!! 窓ガラスが割れる音。その音は屋上から聞こえてきた。 響き渡るのは非常事態警報。 夜の闇を引き裂いて現れたのは稲妻。 今宵。雷光と共に現れたのは、雷に愛された少女。 その傍らには紅い狼を連れ、その手には黒き大斧。 怪盗【金色夜叉】は――――フェイト・テスタロッサは、予告通りにやって来たのである。 同時刻。 警視庁の庁舎を訪れたのは、【金色夜叉】だけではなかった。 彼女とは別に出された予告状。 フェイトとは違う場所から現れた、茶髪の少女。 白い制服……のような戦闘衣に身を包み、その手に持ちたるは金色と桃色を合わせたような杖。 中心部の紅い宝玉がその存在の現実感の無さを助長させ、それはさながらアニメやマンガの中のモノだった。 お供に居たフェレット……は置いておいて。 ともかく金色夜叉と同様、彼女【ホワイトエンジェル】も警視庁を襲撃にきたのだ。 ただし金色夜叉とは違い、【非常に】目立つ【玄関】からだが。「すみませ~ん!お邪魔しますね~~?」 大声で言えば。正面から来れば、何でも許される訳じゃないんだぞ!? でも彼女の表情には悪気はなさそうである。 オイ。マテや。どうしてそうなんだよ?何で謝れば許されると思ってるんだよ? おかしいだろ? ダメだろうが? 両親は一体、どういう教育を……って、そうだ!! この【なのはちゃん】は、要教育対象だったじゃないか! ある意味ゆとり教育?の被害者。 我正義。我最強みたいな思考を直す、絶好の機会。 クックックック……! メイド害ではないけど、笑いが止まらない。 って、だからメイド害って誰だよ!?また知らないハズの知識!?もう勘弁してよ!?「ジュエル……じゃなかった。【蒼の宝石】を頂きにきました!」 だから堂々とすれば良いというモノじゃないんだって……!! それじゃあ、【赤信号、みんなで渡れば怖くない】と同じだってば!? ちくしょう!淫獣は何処だ!?アイツさえ抑えれば、何とかなるハズ……!「なのは!ジュエルシードの反応は、中層階にあるみたいなんだ!だから……」「うん!わかった!!」 ちょっと? 少し待って下さいよ? 何でレイジングハートさんをシューティングな状態にするの? どうしてソレを、天井に向かって構えるの? 彼女の本領は大魔力による一切の障害の排除。 だから壁抜きなんてお茶の子サイサイ……って!?「ディバイィィン、バスター!!」 その声は引き金。 トリガーヴォイスの名の通りに役割を果たしたソレは、そのモノによって破壊をもたらした。 貫かれる天井。 警戒態勢を強いていた庁舎内には、警官がいっぱい。 となると、答えはどうなるか? A:みんな吹っ飛ぶ。 極めて単純明快。 その結果はすぐに分かった。 C3軍団の屍(中身は生きているが)を越えて現れる、【魔砲少女】。 いくら中身が無事だからと言って、ソレは許されることではない。 それは少女の怪盗【ゴッコ】では済まされないのだ。 そしてソレは、上の階から進撃してくる雷少女にも同じことが言える。 ただソチラは広域魔法などは一切使わず、雷撃の初級魔法をスタンガン代わりにしようとするのみ。 ……お~い? コレじゃあ、どっちがジュエルシードの強奪&襲撃犯か分からないじゃないか!? ――ドォォォォォォォォンッ! ――パリィィィィン!! ソレは人の形をした兵器。 まるで屍で築いた路を行くが如く。 その少女はあっさりとジュエルシードの待つ部屋にやって来たのだ。「チィッ!!いくら何でも、あっさり来すぎだろう!!」 ママ上様の怒声が響く。 無理もない。 警視庁の精鋭――C3-MILD軍団が一方的に蹂躙されているのだ。憤慨しない方がおかしい。 ココは蒼の宝石を保管した部屋。 今回の為に耐震・耐熱はおろか、複層構造で再設計された壁。 ソレをいとも簡単に。非常にアッサリと破って来たのは、【ホワイトエンジェル】――――高町なのはの方が先だった。 現在フェイトはC3-X、つまり水河真氏と交戦中。 大魔法を庁舎内では使わないフェイトと、C3の上位機種で必死に闘う水河氏。 そのチカラは……まさに拮抗している。 同じ【科学】というベクトルで創られた、存在を異とするモノたち。 片や【魔力】という存在を介して進化したモノ。 そしてもう一方は【科学】のままで進化したモノ。 フェイトの方が全力でないとしても、この庁舎の中がバトルフィールドなのだ。 その【全力でない】力が、今の彼女の全力であると置き換えられる。 故にその闘いは互角。 人の行きつく先の光。 ソレを確かに水河氏は掴みかけていた。 まるで人の可能性を示すかのように。【ただの人間でも、ココまで行けるぞ】と言っているかのように。 ――ドォォォォン! また一つ。また一つ花火が上がった。 ソレはなのはの砲撃の結果。 一つのC3と一人の装着員を吹き飛ばし、彼女は爆炎と共に現れる。「そのジュエルシード…………渡して貰います!」「……違うだろ?奪いに来た――――【盗み】に来ました……だろ?」「……!!」 ホワイトデビ……じゃなくて、ホワイトエンジェルと御母堂さまの会話。 やっぱ現実を突きつけられるのは厳しいんだろう。 覚悟はした。だから突き抜けてきた。 でもいざソレを思い出させられると。 自分の内側から嫌悪感と後悔と……凡そ負の感情のミックスが込み上げてくる。 ソレが犯罪。ソレが人を傷付けるということ。 確たる想いもない暴力は、人を簡単に瓦解させる。 それは彼女の実家の剣術――【御神流】がそうであるように。 正しき理と精神で抑えられない力は、ただの暴力。「……そうです。だから…………ソレを渡して下さい!!そうすれば……!」「……そうすれば?何だい?ソチラの要求を呑めばボクたちを傷付けない、とでも言うつもりなのかい……?」「…………はい」「……………………ハッ!」 あ、キレた。 それはもう、プッチンと。 綺麗サッパリと、後腐れない程に切れてしまった。「ジョーダンはそのカッコウだけにして欲しいね!!」 切れてしまったのは【堪忍袋】。 その持ち主は御母堂さま。 つまり親愛なるマイマザーは、ホワイトマジシャンガールにご立腹なようです。「良いかい?悪いコトをしたら、謝罪して罪を償う。ソレは何処の世界でも一緒なんだよ!例えソレが【魔法】だとか、【管理外世界】だとか、訳の分からん世界の話でもねぇ!!」『……!?』 驚愕は三者のモノ。 一つ、【高町なのは】。二つ、【ユーノ・スクライア】。 そして三つ目は言わずもがな、ボクのモノ。「(……そうか、【読んだ】のか!?)」 【読心】。 ソレはボクとママ上さまが使える、共通の能力。 レベルを上げれば上げる程、読み取れる情報は多くなる。 故に心の奥底まで覗けてしまう、反則な手段。 そう認識しているからこそ、普段はボクも母上さまも封印している能力。 でもその必要は無い。そう判断したのだろう。 だからこその封印解除。 それ故の読心。 よってなのはの内面情報は丸裸だ。「オイ。ソコのフェレット!キミの方が詳しい情報を持ってるみたいだなぁ……?」「心を……読めるっていうのか!?」「……フン。やっぱり、しゃべれたのか。まぁ喋って変化する動物がいるんだ。オマエさんも同類か何かなんだろうねぇ……?」 そう言えば久遠が居たか。 ならそんな不可思議世界の話も、すんなり飲み込めるよな? ……というか、ボクたちHGSの存在も、普通に考えれば五十歩百歩か……?『(フェル、バリアーを頼む。ボクは…………あのちっこいのに【お仕置き】してくるから……)』 テレパシー。 念話なんか使えなくても、ボクたちにはコレがある。 だから負けない。魔砲少女になんて、負けてやらないんだから! 無常だ。 リスティがサンダーを幾ら落としても。 またボクが如何に最大出力でバリアーを張っても、悪魔を止める術はなかった。 非殺傷設定でも、人は傷付くし血を流す。 ソレを見て心が痛もうとも痛まなかろうとも。 止まってくれなければ、そこに大した差は存在しない。「(ち、っくしょぅ……!やっぱ悪魔は悪魔なのかよ……!?)」 未来は変えられない。 いや。それどころか、ボクの知る【歴史】よりも悪くなっているじゃないか? どうして?ボクというイレギュラーが居るから? ならボクが死ねば? 元通りになるっていうのか? ……いや。もうココまで来てしまったら、今更ソレだけで片付くとは思えない。 悔しい。 くやしい。 スゴク、クヤシイ。 転生して。HGSになって。力を手に入れて。 何が足りないっていうんだよ!? どうしてこの【怪盗】たちを止められないんだよぉ!?「……もう、立たないで下さい。すぐにいなくなりますから。お願いですから、その間だけ見逃してください……!」 勝者の余裕か? それとも弱者への哀れみか? 確かに彼女は――なのはは優しいかもしれない。 でも違う。ソレは強者の優しさ。 彼女の【強さ】というベールを剥いだ時、ソコには優しさよりも【恐怖心】が先に出てくる。 他人への恐怖心。家族からの疎外心。それらが彼女を偽りの優しさや【チカラ】への依存を促す。 それは違う。 そんなモノに頼ってはダメだ。 そんなチカラに頼らなくても、キミには大事な友だちも居るっていうのに……! 【アリサ・バニングス】。 【月村すずか】。 少なくともこの二人は、魔法がなくなっても――そんなモノがない【素のままの】高町なのはの親友だろうに!!「(……言葉にしたい。でもチカラのない言葉は、なのはの心には響かない。どうすれば、どうしたら……!!)」 ……ん? 何だ?何かが今、引っかかったような気が……? アリサ……違う。すずか…………違う、けど……何か近いような……? ソレは予感。 何かが開く。何かを思い出すキッカケ。 もう少し。あと少しで、【何】が開くっていうんだ……?「(【す・ずか】……【せ・ずか】…………違う。何か遠くなった。じゃあ、【し・ずか】……?)」 ――カチリ。 何かが填まった。 まるで穴だらけのパズルのピースが埋まるように。 奔流が巻き起こる。 まるで八ミリビデオのテープが巻き戻されるように。 一コマ一コマが鮮明に蘇り、そして流れていく。 逆行する記憶。思い出される存在。 覇王少女。 シズカ・ホクト。 メイド害。 ルナパパ。 クライド。 レジアス。 ゼスト。 リンディ。 三提督。 機動六課。 勇者ロボたち。 スカリエッティ。 そして。 そして…………【月村静香】の、姉妹たち。「(ボクは……ボクは…………!?)」 最初の人生。 御神の剣士として生きた人生。 魔導師として。そして医者として生きた人生。 【月村静香】。 【シズカ・ホクト】。 再び一般人の人生を歩み…………そして【今のボク】が居る。 もしかして最初の人生は、ボクが初めだと【思い込んでいる】だけかもしれない。 でも関係ない。ボクは既に幾つもの人生を生きた。 その分の記憶が、いっぺんにボクに還ってくる。「(…………ッ!?痛い、痛いって……!?)」 頭が焼きつきそうになる。 元に【戻った】記憶は、魂が記憶し、そして【封印】していたモノ。 魂は同じ。魂は消滅せずに、ずっと生き永らえてきた。 つまりボクは死んでいない。 ずっと死んでいなかったのだ。 故にボクが死なない限り消滅しない、【ボクの剣】はボクの下へやってくる。 ボクだけの剣。 ボクの為だけに創られた、【シズカの剣】。 時も場所も。あらゆる障害を越えて、アイツはボクの手に戻ってくるんだ! ――キィィィィン! 鳥の翼を思わせる鍔。 その中央に填め込まれた宝玉。 ボクが死なない限り、その輝きが失われるコトはない。 故に輝き続けていた。 まるでボクの【帰還】を待っていたかのように。 そしてソレが、当然だと言わんばかりに。 ――シャァァァァァァァァ! スプリンクラーが発動し、ソレが煙と混じって霧状になる。 好機だ。 その霧はまるで、ボクの帰還を祝福するかのように、ボクに纏わり付いてくる。 メキ。メキメキ……! バキィ。ボキボキボキ……!! ソレは【変身】。 ヒーロー戦隊や、マスクドライダーとは違う。 正真正銘の【変身】。 強いて言うのなら、【オカマ口調の変身型宇宙人】に似ているかな?「……あなたは…………誰、ですか……?」 霧が晴れると、ソコに居たのは別の生物でした。 そんな状況に遭ったら、誰でも驚くし恐怖するだろう。 今度恐怖するのは向こう。そんで恐怖させるのは……当然ボク。「……覚悟するんだね?この姿になったら、前ほど優しくはないからねぇ……?」 そこに居たのは。 今ココに居るのは……。 紛れも無くその存在は……!「……元【時空管理局特殊治安維持部隊】部隊長――――【シズカ・ホクト】。ボクがキミたちを【お掃除】しよう!!」 かつて【覇王少女】と呼ばれた存在だった。