~はじめてのおつかい~
【ルル】
ボクがしゅぎょーをお願いしてからたくさん時間が過ぎた。どのくらいたくさんかっていうと、しゅぎょーが始まった時にはボクの髪は耳にかかるくらいだったのが、今では腰くらいまで伸びたくらい。っていっても、ルナ姉ちゃに切り揃えてもらってたりしたから本当ならもっと伸びてたかもしれない。追いかけっこもだんだん遠くまで行けるようになって、最近は朝ご飯を食べてから出発してお昼ご飯より前に街が見えるところまで来れるようになったんだー。あと、内緒なんだけど、夜中にこっそり家を出て、森の動物さん達と遊んだりもしてた。かくれんぼのしゅぎょーをしてた時に動物さん達と遊んでたらリリに怒られたから、今は内緒でしてるの。でも、なんでリリは怒るんだろう? みんな可愛くていい子達なのに。そりゃあ、引っ掻いてきたり、噛みついてきたりもするけど、ボクはそれで怪我したことなんてないもん。
っと、しゅぎょーを始めてからそんなこんながありました。それで、いきなりだけどルナ姉ちゃにおつかいを頼まれました。
リク兄ちゃはお仕事で(今度は泥棒じゃないみたい)ここ一週間くらい家から出てて、まだしばらく帰ってこれないみたい。だから、リリと一緒にルナ姉ちゃにしゅぎょーを見てもらってたんだけど、最近はもうリリと二人で森の中を自由に遊びまわってもいいって言われてたし、街までの道もばっちり。だから、ルナ姉ちゃは安心してボク達におつかいをお願いしてきたんだ。今までにも街で服とか森で手に入らない食材とかのお買い物をしたことはあったけど、リリと二人で行くのは今日が初めて。ちょっぴりわくわくする。ボクはお気に入りの黒のワンピースで、リリはいつも着てるひよこのワンポイントの入った黄色いジャージで、ルナ姉ちゃにメモとキャッシュカードの入ったポーチを持たされて、朝ご飯を食べて出発した。もちろん、ボクはお気に入りの熊のぬいぐるみを抱えて。
「それじゃあルナ姉ちゃ、いってきまーす」
「……いってきます」
ボクは元気よく、リリはなんだか不満そうに、ルナ姉ちゃにそう言って家を飛び出した。もうすっかり慣れた森の中。木はとっても大きいのばっかりだし、葉っぱも大きくていっぱいいっぱい重なってるから薄暗いけどもう慣れてる。木の根っこに足を引っ掛けない様に少しだけ気をつけながら森の中を走る。ベアウルフちゃん達の姿がところどころに見えて遊んであげたくなるけど、今日はお気に入りのお洋服を汚しちゃダメだから手を振って挨拶するだけにしておく。クモザルの巣にも引っ掛からないように気をつけて、リリと並んで森を駆け下りてく。この森には本当に色んな動物さんがいるし、色んな植物がある。キノコや木の実、草や葉っぱ、たぶんこの森の物はほとんど食べたと思う。中には食べると体が痺れたり、気持ち悪くなったり、お腹が痛くなっちゃうのもあったけど、ボクもリリも別に食べても平気だった。あんまり食べたいとは思わなかったけどね。リク兄ちゃやルナ姉ちゃに聞くと「それには毒があるんだよ」って言われた。普通の人はひどい時には死んじゃったりもするみたい。だから、食べても大丈夫なボクとリリは少し特殊なんだよ、って言われた。あと、それをどう使えば相手に効果的なのかも教えて貰った。
そうやって、森の色んな物を見て、教えてもらったことを思い出しながら走っていたら、知らないおじさん達が見えた。ワカメみたいな頭をしたずんぐりした体形で猟銃を持った人とその人に付き添うみたいにした人が3人。ボク達は気配を殺しながら移動してたから当然向こうは気づいてない。リク兄ちゃが言うには、リク兄ちゃかルナ姉ちゃが呼ばない限りは、この森に入ってくる人はだいたいがみつりょうしゃ? って人達だから、なるべく捕まえて街のおやくしょ? に突き出してって言われていたから、ボクはその人達を捕まえようと思った。リリにそう言ったら、リリも頷いた。
さっきまで以上に気配を殺してみつりょうしゃさん達の真上の枝に移る。リリから合図が来たらここから相手の後ろに跳んで首筋に手刀。うん、よし。いつでもいいよー、とリリに目配せすると、リリが指を3本立てた。――2本。――1本。リリの人差し指が閉じられると同時に枝を蹴って後ろに付き従ってる3人の内一人に手刀を当てる。ドサッと人が二人倒れる音。リリもうまくやったみたい。もう一人をリリに任せて次にボクはずんぐりした人へ。仲間が倒れたことに気づいたのか猟銃がこっちを向いている。ボクは大事なぬいぐるみをその射線に割り込ませながら男の人に急接近、する途中でパンッっと乾いた音がしてぬいぐるみに衝撃がきた。それを気にしないまま男の人の鳩尾を殴ると、そのままドサリと倒れた。リリの方を見るとリリも上手くやったみたいで、ボクとリリのすぐ近くに4人の人が倒れていた。ボクはぬいぐるみが気になって、熊さんと目が合うように両手を突き出して見たけど、ちょっと汚れてしまっていた。このぬいぐるみはルナ姉ちゃ特製で、防弾防刃加工がしてあって、中には鉄の砂が入っているから滅多なことでは壊れない、けどちょっぴり重いし、汚れるときは汚れるのだ。汚れを手でパンパンと落とし、元のように抱えるとリリから声が掛けられた。
「アタシ達、力加減間違っちゃったみたい。4人とも死んでる」
「そっかぁ。じゃあおやくしょに出せないねー」
「そだね」
うーん、失敗しちゃったかぁ、とぼやきながら、おつかいを頼まれてたことを思い出す。
「リリ、おつかい行かなきゃだめだよー」
そうリリに言ってまた森を二人で下りて行った。
そんなことがあってから20分もすると、もう森の出口に着いてた。ここからはあまり目立たない様にゆっくり歩くように言われてる。あと、森から出る時に人に見つからないようにとも言われたから、今日もしっかり言いつけを守って街へ入り、メモを頼りに二人でふらふらとおつかいして無事帰ったのでした、まる。
~あとがき~
すみません、まだ本編入ってません。。。
とりあえず、キャラ設定上乗せついでにルルのキャラ定着を目指した回です。
終始ルル視点のルル口調。
おつかい自体がかかれてない事態に自分で驚愕。
タイトル意味ないじゃん・・・と。
こんな駄文を書いてる自分ですが、感想いただければ嬉しいです。
辛口評価でも書く力になりますので、どうかよろしくお願いします。