~マイペース天然少女の問題発言~
【リリ】
「リク兄ちゃー、ボクしゅぎょーしたーい」
それは、リクが仕事を終えて帰宅した数日後に突拍子もなくルルが放った言葉だった。どうやら、ルナに読んでもらった本が関係しているようだが、あまりに唐突すぎてルル以外の皆が目を丸くした。ルルが読んでもらっていた本を見ると、ハンターが殺人鬼のような悪党を退治したり、絶滅に瀕した生物を悪党から守ったりという内容で、どうやらハンターに淡い憧れを抱いたようだ。
しかし、ハンターという職業はおいそれとなれるものではない。現存するプロハンターは千人にも満たないのだ。ただの子供の憧れで、すぐに熱も冷めるだろうし、何よりリクやルナがハンターになれるような修行をアタシ達に仮せることはないだろうと思っていた。が、
「そっか、ルルはハンターになりたいんだね。じゃあ修行しようか」
リクは楽しげにそう言った。アタシは耳を疑った。だって、これではまるで修行しさえすればルルがハンターになれると言っているようなものだ。このおっとりした人形遊びの好きな少女が、だ。アタシはリクに問いかけた。
「それ、本気で言ってんの……?」
しかし、アタシが不審の眼差しを向けながら問いかけたにも関わらず、リクは微笑みを絶やさぬままに頷き、そしてさらに言葉を足した。
「そういえば、リリもルルも戸籍がないから、ライセンス取った方がいいね。ライセンスは身分証代わりになるし、持ってて損にはならないから」
そう言って、リクはさらに笑みを深くした。突然の展開に頭が付いてこなかったが、今の言葉はどうにも気になる。まるで、そう、まるで……
「リク……あんたプロハンターなの?」
疑問が口を衝いて出た。不意を突いた質問だったようで、リクの笑みが僅かに崩れる。そして、ボソボソと、「ああ……そういえば……」などと言っているのが聞こえた。そして我に返ると逆にアタシに聞いた。
「俺の仕事なんだと思ってた?」
泥棒。間髪入れずにアタシとルルが答えると、リクは大きなため息をつき、項垂れながら言った。
「俺は、というかルナもプロハンターだよ」
アタシはあまりに理不尽な事実に言葉を失い呆然としていた。しかし、ルルはといえば「すごーい」やら「かっこいいー」などと琥珀色の瞳を惜しげもなくキラキラと輝かせ二人を見ていた。
その日のその後の事はほとんど記憶にない。ただ、食事の時に「いただきます」と「ご馳走様でした」を欠かすことはなかっただろう。そして、なし崩し的にルルの言う「しゅぎょー」が明日から始まることになったのだった。
~あとがき~
今回は異様に短いです(汗
頭の中に設定は色々出来ているのですが、このエピソード部分でわざわざ出す必要もないので書いてません。
どうしたら、うまく話を書いていけるのか、ちゃんと勉強したいと思いました。
駄文ですが感想を頂ければうれしいです。