アフ、ツ、シ、イリルミニ、オガニ、コサ、アド、オガニ、コサ、ドゥニ、セレンイタ、イングアル、ミシュラ。
『18話・白翼美青年』
僕は喫茶店の窓から外を見ながら、徒然と物思いに耽っていた。
春麗らかな天気日和。
現在僕の居る地域は、四季的な意味では春ではないけれど、僕の頭が春爛漫だからこの表現を使ってもいいのだ。
自分でも全然意味不明な事を云っているのを自覚しているが、それも仕方ない。ところで、志●あ●こ様の御声は美しいのである。結婚して下さい。僕は貴女の奴隷になります。リアルレーヴァテイルな貴女が素敵。婚姻届を今すぐにでも持ってきます。
そこで、ふと我に返る。またもや思考が暴走してしまった。僕はどうしてしまったのだろうか。頭の調子がどうにも悪い。螺子が取れたのかしら? 巻きますか、巻きませんか。螺子的な意味で。
ここまで、自分でも何を云っているのか不明だ。
だが、云い訳をさせて貰えるならば、一言云いたい。なんなら二言でもいいだろうか。
現状の僕の置かれている立場を鑑みるに、多少の意味不明さ且つ、脈絡のない話の展開、文言構成の乱れは至極当然であるからして。僕は混乱しているからこそ、どうにも狂った文章を頭の中で記入しているのである。
なので更に奇々怪々な文体にて言葉を綴ろうと思う。僕の思考を知り得る丁度良き機会なれば。誰が僕の思考感覚を知り得たところで、得をするかは知らないが。正に誰得である。
しからば、少し、僕の思考をだだ漏れにしよう。思考することは人生に於いて大切なので、何気にとても大事なことさ。
では、少し自分について考察してみよう。
基本的に、僕はあれだ。あれだよ。うん、あれだ。そう、あれなのさ。あれが思い出せないのでここで思考するのを止めよう。
そんな訳で思考終わり。
時間にして約1秒の考え事。うん、僕は基本的に思考するのは苦手なのだよ。
ならば何故、己の思考世界がうんたら的な事を僕は云ったのか。特に意味は無かったりする。
「もしもし、聴いていますか?」
そういえば、上記の話をぶり返すが、●方●き●様のライブチケットが即日完売したのは、まぁ仕方ないと云える。だが、立ち見チケットが30秒完売とはどういうことか。
「おーい、聴いていますか?」
何なのだろうか。貴様らそんなに志●●き●様が大好きなのか。大好きならば何も云えないじゃないか。文句の一つでも云ってやりたいのに、志を同じくする方々に文句など云えるはずがない。
「もしも~し?」
でもね、僕も行きたかったんだよ。●●●●●様のライブに行って、その御尊顔を、美声を見たかったし聴きたかったんだよ。
「お~い!」
「僕の悔しさを思い知れ!!」
「ぬがっ!?」
まぁ、そもそも僕は異世界に居るからライブには行ける筈も無かったのだが。けれど、現在、現実逃避していたら唐突に思いだしたのでどうしても云いたくなったのだ。
あるよね、こういうこと。
「い、いきなり何をするんですか!」
「バカ野郎!」
「ぐはぁ!?」
「バカ野郎!」
「ぐぇ!?」
キャンキャンと喚くスティーノを、全く意味無く2回連続で殴ってみた。
心持ち僕の気持ちがすっきりした。こういう時だけ役に立つな、スティーノ。
「なぜ2回も連続で殴るんですか!?」
「バカ野郎!」
「させるかっ!!」
「バカめっ!」
「ごふぅ!?」
生意気にも僕の3撃目を防いだスティーノの腹に蹴りをお見舞いする。スティーノが痛み苦しむ様は、僕の荒れ狂う心に安らぎを与えてくれる。
ふははは! モテモテ野郎にはこれ位当然なのだよっ!!
痛みに悶えるスティーノを見て、僕は暗い笑みをこれでもかと浮かべる。そんな素敵な僕に乾杯。
「最低!!」
「死ね!!」
「ゴミがっ!!」
「社会の屑めっ!!」
スティーノをボコっていた光景を見ていた、店内の女性客が僕に罵倒を浴びせながら殺到した。
僕は女性客達にフルボッコされながら、恍惚とした表情を浮かべる。
僕にとっては、その一撃一撃が快感を喚起する媚薬なのさ。
ボコボコに殴られ、時には蹴られ、偶に唾を吐きかけられて、僕は快感の渦に翻弄される。嗚呼! もっともっとぉ!!
その時。
スコンッ。
包丁が、僕の頬を裂いて床に突き刺さった。
僕の愛らしい頬から、赤い雫が流れる。
僕を含めて、その場の全員が、包丁の飛んできた方角を見遣る。
そこには、とても綺麗な笑みを浮かべている喫茶店のマスターがいた。
「他のお客様の邪魔になるので、それ以上騒ぐと殺しますよ?」
絶対零度の笑みを浮かべるマスターを見て、女性客の皆さんが即行で喫茶店から逃げ出した。
それを見届けて、マスターは自分の作業に戻る。
今日も恐いね、マスター。僕と同年代なのに、漂う貫禄が桁違いです。何が僕達の持つ雰囲気を、こうも違わせたのだろうか。
「……取り敢えず、落ち着きましたか?」
「……割と」
主にマスターの気迫でハイテンションが沈下しました。
*****
「それで、何だっけ。貴様の惚気話を聴けば良いんだっけ? 死ね」
「違います!! 話が改竄されている上に、私を罵倒するとは何事ですか!!」
「瑣末事だ」
「私が悪意の言葉を浴びせられるのが瑣末事!? なんですか、貴方はそんなに私が嫌いですか?!」
「うん!!」
「なんて爽やかな笑顔っ!?」
何故か慄いているスティーノ。
その姿さえ様になるのだからムカツクことこの上ない。
背中にある、目に眩しい2枚1対の白翼を毟って燃やしたい。
イケメンは僕の敵だ。僕は敵には容赦しない。
短い付き合いだったな、スティーノ。
「なにか邪悪な事を考えていませんか!?」
「いや、びっくりするほど善良な事を考えている」
どうにも僕の邪心を気取った様子のスティーノ。流石は鳥。殺意に敏感だ。
これでは、スティーノ焼き鳥計画は頓挫だな。残念極まりない。
「……はぁ、まあいいです」
「溜息を吐くと幸せが逃げるぞ。貴様に幸せが来たら、どのみち僕が握り潰すが」
「陰湿だな! 貴様は本当に!!」
「陰湿じゃない! 陰険なんだ!!」
「どちらも変わらないだろ!?」
「意味合いが少し変わるわ!!」
ほんのり変わる。
詳しくは辞書を引こう。
「どうでもいいが、貴様口調が粗暴になっているぞ」
「むぅ」
「反省しろよ。全く、粗野なことこの上ない」
「……誰のせいだとっ!!」
ワナワナ震えるスティーノを見て、僕はニヤニヤと笑う。
ストレスで禿げてしまえっ。
「貴様とは本当に、一度決着を付けなければな!!」
「望むところだ! 今すぐやるか!!」
いきり立つ僕とスティーノ。お互いにテーブルに手を着いて立ち上がる。ギラギラした眼は、油断なく、相手を射殺さんばかりに睨み合う。
正に掴みかからんとした瞬間。
手がテーブルから離れようとする、正にその時。
スコン、スコン、スコン。
ストン、ストン、ストン。
広げていた指の間に、ナイフとフォークが突き立った。
それを切欠に、僕とスティーノの動きが止まる。ギリギリと、油の切れた機械人形の如く、白銀の軌跡を描いて飛んできた方向を見る。
にこりと微笑みを浮かべたマスターが、音もなく口を動かす。
こ・ろ・す・ぞ。
その口の動きを視認すると同時に、土下座を敢行する僕と直立で最敬礼をするスティーノ。
「次はないよ?」
マスターは、壮絶な笑みを顔に張り付けて仰った。
僕とスティーノは、ガタガタと震えるばかり。
どうでもいいが、マスター。あんた何者だ。
*****
「───と、云う訳です」
「……要は、ジジとメアを説得しろと?」
「はい」
平然と頷き返すスティーノ。
貴様は自分が何を云っているのか理解しているのか。
「そんなの自分でやりやがれ」
「私では無理だから頼んでいるんですよ」
困った顔をするスティーノを見て、新たに入って来た女性客達が小さな歓声を上げる。
……畜生。本来ならば、ここいらでスティーノに殴り掛かるか女性客達に襲い掛かる所なのだが、マスターがニコニコとした顔つきで、しかし鋭い眼光を僕に突き刺しているので、うかつな真似が出来ない。
くっ、まさか僕が男に屈する日が来るとは思わなかった。
「っち!」
「何故いきなり舌打ちを!? そんなに嫌ですか?!」
「それもあるが、まぁ、他にも色々と」
いつの日かマスターに下剋上をしてやる。
そんなことを密かに決意しながら、話を戻す。
「なんというか、あれだ。説得程度の事、てめぇで勝手にやれよというのが本音だ。ただでさえ、ムカツク貴様と二人っきりで喫茶店に来てやってるのに、その上、僕に頼み事とか巫山戯るな」
「……そこまで私は貴方に嫌われているんですか……」
「何を云う。まだまだこんな物ではない」
「それ以上、云わないで下さい。そこまで確然とした嫌われ方に、私は慣れていないので、普通に凹みますから……」
「結構な事じゃないか」
「……全然結構じゃありませんよ」
「僕は嬉しい」
「私は嬉しくありません!」
「……そうか」
「本当に心底残念だ、みたいな顔をしないで下さい!!」
人の表情にまでケチをつけるなよ。
「それで、どうですか。やって頂けませんか?」
「めんどい」
「お願いします! 貴方が頼りなんですから……」
「ジジとメアを王都に、ねぇ……」
「ええ。どうか、どうかお願いします!」
「メアなら簡単に説得出来そうだけど、ジジがなぁ……。下手したら、骨の二・三本覚悟しなきゃならないからなぁ……」
説得しなきゃ駄目なほどに、王都に行く事に対して消極的ならば、それこそ本格的に八つ当たりされるかも知れない。
どちらにせよ、ジジからの痛みは快感に変換可能だから、八つ当たりされることはどうでもいい。だが、それで骨をやられて自由気侭にジジやメアにボディタッチ出来なくなるかも知れないのが辛い。
うんうん唸りながら悩む僕に、スティーノが意外な事を云ってきた。
「いえ。おそらく、最も説得が必要なのは、むしろ魔女殿の方かと」
「……なに?」
そうなの?
「ええ。聖魔様はそこまで毛嫌いしておりませんが、魔女殿は相当に抵抗があるようなので」
「メアがねぇ」
中々に信じ難いな。
「それで、どうでしょう。引き受けてくれますか?」
スティーノが縋るように僕を見てくる。キモいから止めてくれ。
しかし、どうしたものか。別に引き受けても僕は困らない訳だが。断られても、それはそれで良いし。僕とは関係ないことだから。
その前に、先程から気になっている質問をしてみよう。
「ひとつ質問だ」
「なんですか?」
「どうして僕なんだ。他にも居るだろう適任は。イリーヤさんとかエリーナさんとか」
他にも色々と。
「皆さん、貴方が最適だと仰ったので」
「……何故に?」
解せぬ。
云ってしまうと情けないが、僕はただの居候だぞ。特段特別な関係では無い。未だに、恋人が行う夜の営みとかしたことないし。
今晩にでも挑戦してみようかしら?
「それに、私も個人的に貴方は凄いと思いますから」
「急にどうした!? 貴様も頭が春爛漫なのか!!」
「茶化さないで下さい。これでも本気でそう思っているのですから」
真剣な表情を浮かべるスティーノ。その表情に熱い吐息を漏らす女性客達。まだ居たのか貴女達。
「私は、常々不思議に思っているのですが……」
「ん?」
「その……」
俯いて云い難そうに、ともすれば居心地悪そうに、言葉を濁すスティーノを見てどうしたのだろうかと思う。
云い難い事なら無理して云わずにそのまま失せろ。
そんな事を思っていると、意を決したかのように顔を上げ、しかし若干、気まずそうに言葉を発した。
「貴方は、聖魔様や魔女殿が、その、怖くは無いのですか? 恐ろしくは、無いのですか?」
「全然」
何を云ってるんだ、こいつ。
「……凄いですね。即答ですか」
「何が凄いのかさっぱりだ。貴様はさっぱり妖精を呼びたいのか?」
「そんな気はありませんよ。ただ、純粋に凄いと思っただけです」
「貴様の云ってる事は、最初から理解するつもりは無かったけども、流石に今のは本気で理解できなかった」
可愛い女の子と可愛い子猫を相手に、怖がる理由も恐れる理由もないだろうに。
こいつ、ついに頭に蛆でも湧いたのか?
「その台詞を、この世の中の何人が云えると思っているんですか……。それも即答だなんて」
「何気に沢山居るんじゃないか?」
「………どう、でしょうね」
「貴様は違うのか?」
「私は、真っ先に浮かぶ感情は、畏怖と畏敬ですから」
「ふーん」
「貴方は、そんな感情も無いのですか?」
「家族相手に畏怖だの畏敬だのと云った感情を持つ訳ないじゃん。尊敬の念は抱いても、畏れの念を抱く筈がないだろう」
どれほど強くても、どれだけ凶悪な能力を保有していても、例え犯罪的な可愛さを振り撒こうとも。
「家族なんだから、その全てを受け入れるのは当然じゃないか」
「───そう、ですか」
そう云うと、スティーノは目を細めた。
まるで、眩しい物でも見ているかの様に。
その視線を僕に向けている。
「貴様! 僕が禿げているとでも云いたいのか!!」
「ええ!? いきなりなんですか!?」
「眩しそうに人を見やがって! あれか、僕の頭頂部が光輝いているとでも云いたいのか!? 僕はフサフサだあ!!!」
「突然意味不明な事を云わないで下さい!」
があああ! と雄叫びを上げながらスティーノに突進しようとした瞬間に、ヒュンという風切り音が聴こえ、喉元を何かが掠る。
カツンという音がして、出刃包丁が壁に突き刺さっていた。
恐る恐る、出刃包丁が飛んできた方向を見る。
「……学習しろよ」
温度の無い笑顔を湛えたマスターが、ギラリと手に持った刺身包丁を光らせて見ていました。
即座に土下座をして、且つ皿洗いなどの雑務を手伝わせて頂きましたよ、ええ。
ジジやメアよりも、ここのマスターの方が普通に怖いだろ。
因みに、説得の話は有耶無耶に流れましたとさ。チャンチャン。
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@がき
本来作者は怠け者なのです。作者の座右の銘は「頑張りません!死ぬまでは!」なので、基本的に怠惰に身をやつすのがライフスタイルなのです。
何が言いたいのかというと、更新を凄まじく不定期にしようということです。なんかもう、色々と面倒なのです。あーうー。
次回の更新はもう、再来年程度でいいんじゃないかな?ほら、この作品のコンセプトとか言うのは「暇潰し」であるからして、作者も暇つぶしに書けばいいじゃないかと。本来の文章力向上という目的を無視していることには、作者は全く気付きません。
結論、更新頻度はガタ落ちさせるんだ!忘れた頃に投稿すればいいじゃない!だって怠け者だもの!
▼感想を見るとニヤニヤしてきます。嬉しさで。
>この主人公タダモノではない。ケダモノである。
なん…だと…っ!?
>[67]お茶漬け
>粥…うま…。
そこは、お粥じゃなく、お茶漬けを食べようぜ?
>とても面白かったです、ナイス変態。
ありがとうございます。楽しんで頂けたようで何よりです。それと、一つ。
変態じゃないよ!紳士だよ!
>素敵。惚れた。
誰に?クルーノに?正気か!?
>ところで、ジジの擬人化はいつですか?(*´Д`*)ハァハァ
やっぱり必要ですかねぇ?希望が多ければ擬人化させてみようかしら。
今の所、2通りの構成があるのですよ。完全獣娘ルートと定番人型獣娘ルート。この2つが。でも、どちらで進むかは未定。
>こんな面白いのがチラ裏にあったのか!
>とりあえず主人公には激しく同意出来る俺がいる。
>まぁ守備範囲はもう少し前にいるけど。
面白いと言って頂きありがとうございます。
頑張れば守備範囲は広がると思います。頑張って!
>ただの人間には興味ありません。この中に、幼女、少女、いね、ぬこがいたら、あたしのところに来なさい
「にーにー!」
「おにいちゃーん!」
「わんわんお!」
「君はホントにバカだなぁ」
願いが叶った感想はどうだい?
>ワイール!
>なつかしぃ・・・
もうすでに懐かしいと言われる程の時間が経っているんですねぇ…。
個人的にはクイッキー大好きだった。
>ほの…ぼの…?
>君が何を言っているか分かんないよ…
>どう考えても尻assです、本当にありがとうございました。
(´・ω・)もう、何も言うまい……。
>超絶美女な顔面のガチムチとか、どう考えても尻assすぎんだろ…。主人公の貞操的な意味で。
>超音波放つガチムチとか強すぎる。これは剛田家の長男を呼び出すしかない。
早まるな!思い出せ!破壊的なバイオリンの音色を奏でる少女がいるじゃない!どうせなら、そっち呼び出そうぜ!
そして繰り広げられる、騒音という名の暴力。
>ほのぼの純愛かと思って釣られた俺バカスwwww
(´◉◞౪◟◉)悪いな。人生そう甘いことばかりじゃねーんだ。
>全部読んだがなぜか国語の先生が一番印象に残った・・・
国語の先生は可愛いから仕方ないさ!
あそこまで積極的なアプローチを、死んだ後でもいいから受けてみたいです。
>遂にオリジナル板に進出か……。
>めでたいような恐ろしいような(紳士集結的な意味で)。
>まぁ、主人公に激しく同意できる俺が言うことじゃないけどね!
>ちなみに8話で男の娘は出てるような?
>ところで男装少女はマダー?
進出さ!もうチラシの裏に帰ろうかしら?
恐れる事は、あんまりないさ(紳士終結的な意味で)。
主人公はきっと、皆の心の代弁者さ!決して作者の心を代弁している訳ではない!ここ大事よ!
8話のは「女装男児」だから「男の娘」じゃないのさ。「男の娘」はあれだ、最近人気の「●たな●」なんだよ、きっと。
男装少女……出して欲しい?出演キャラが多くて、頭がこんがらがるとかなりそうだね。それが心配。