それでも僕に出来る事は笑う事だったりなんだったり。
『29話・学園編でもしようかしら?』
「貴様には、この城から出て行ってもらうわ」
朝食の時間。ルンルン気分で食堂に赴いた僕に、女王陛下が開口一番に云い放ってくださった言葉である。
「……えぶりでー?」
「え、えぶり……?」
「……間違えた。改めて、WHY? どうして? 何故?」
「……器用に間違えたのぅ」
メアが僕の言葉に戸惑い、ジジは言葉を訂正した僕に突っ込みを入れてきた。
「どうしてもなにも、正直、貴様が居ると邪魔なの」
「そんな! 酷い! 一体僕が何をしたというの!?」
「貴様のここ一週間の生活態度を振り返ってみなさい」
生活態度? 特に何か問題になる様な事をした覚えはないのだけれども。取り敢えず、云われた通りに振り返ってみる。
初日、敵意満々な宮仕えの視線を華麗に無視したあと、エリンちゃんと出会って修羅場った。その後、スティーノと死闘を演じた。
2日目、城内を探索しながら男の騎士共が敵意の視線を向けて来たので鼻で笑った。その後、乱闘してスティーノが仲介。
3日目、再び城内を散策していたら、今度は女性の騎士の方々に敵意の視線を向けられたので興奮した。スティーノが女性騎士の方々を宥めていた。
4日目、更に城内探検する。中庭に出たら、庭師のおじさんがお仕事していたので手伝った。無断で。植木をGOZIRA型にしたら泣かれた。喜んで貰えたようでなにより。スティーノが謝っていた。何故だろう。
5日目、流石に城内構造は覚えた。なので暇潰しに城内の図書房に行って、一人蔵書ジェンガ大会を開催した。図書管理の人が泣いていた。僕の素晴らしい腕前に感動したのだろう。スティーノが慰めていたが、どうしたのだろうか。
6日目、エリンちゃんの所に行ったらエロエロな空気になって「キタコレ!」と思っていたら、メアがやって来て修羅場再び。ちょっとした魔法大戦が勃発。城の壁が崩壊しまくった。スティーノが手で腹を押さえていた。
7日目、給仕の女の子を手伝おうと思い立ち、給仕服を着込んだ。しかしながら、少しデザインに不満があったので改造。フリフリ度とヒラヒラ度が上がったついでに露出度が増えた。その姿で城内を闊歩していたら、道行く人々が全員目を押さえて呻いていた。なにかの流行病だろうか。スティーノが口から血を吐いた。
「特に何も問題はありませんが?」
一週間を振り返ってみたが、やはりと云うべきか、特に問題はないように思う。
そんな僕の態度に、口を引き攣らせているマリエル女王陛下様。そんな表情も美しい。……ところで、『陛下』の後に『様』って付けていいんだっけ? よく分かんない。日本語って難しい。
「……スティーノが衰弱してきているのよ。労働過多で」
「……あー」
「そういえば、そうでしたね」
気の毒そうな顔をするジジとメア。
この場に居ないスティーノに憐憫の情を向ける。別にそんなこと思わなくてもいいのに。
「身の丈に合わぬ仕事量をするからそうなる」
「その原因の8割が貴様だと知りなさい」
「そんな馬鹿な!?」
「安心せい。お主は真性の馬鹿じゃ」
「ジジにさり気なく罵倒された! 会話の繋がりを無視してまで云う事なのかな!? ちょっと興奮したけれども!」
そんな会話が喧々囂々と続いたが、結論としてはあれである。
僕は無力だったということだ。
*****
自室へと戻るなう。
いやまぁ、用意して貰った来客部屋なので、厳密に云えば僕の部屋では無いのだけれどね。
取り敢えず、今は僕の部屋だ。否、部屋だった。まさか追い出されるとは想像していなかったもん。
そんなことを考えながらも廊下を歩いていたら、いつの間にか部屋まで辿り着いていた。ドアノブを回して扉を開ける。
そして広がる眼前には――何もなかった。
「ええ!?」
僕が持ち込んだり拾ってきたりした小物を始め、各所から拝借してきた下着類、最初から備え付けられていた寝台や机さえもなくなっている。どういうことなの……。
文字通りの意味で空室となった部屋を前に呆然とする僕。なにこれどういうことなの。……思わず2回も云ってしまった。
「ああ、戻って来ましたか」
背後から聴こえてくるイケメンボイス。この声はっ!?
バッと勢いよく振り返る。グキリと首が鳴った。
「ぬぉおおおっ!!」
「なにをしているんですか、なにを」
首の痛みに悶える僕へと、呆れた様な声が掛かる。
「おのれスティーノ、よくもやってくれたな!」
「理不尽過ぎますよ!?」
「利府人って何処の人だ!!」
「なにを云っているんだ貴方は!?」
「なにかだ!」
「そりゃそうでしょうけど!」
「誰が僧だと云った! 僕は坊主じゃないぞ! ふっさふさやぞ!」
「貴様は諸僧の方々に謝ってこい!!」
「車窓がどうした! 世界を旅するのか!?」
「聴き間違えてるんじゃねぇえええええええ!?」
段々と意味の繋がらない会話になって来たので中断する。
まったく、コミュニ……コミニュ……コミ? ……コミなんとか力の低い奴め。
「それはそうと、この部屋は一体どういう訳だ」
「そういう訳です」
「いや、ちょっとなにを云っているのか分かんない」
「つまり、貴様の部屋ねーから、と」
「イヤ、チョットナニヲ云ッテイルノカ分カラナイデス」
「現実を受け入れなさい」
「現実は目を背けるものだ」
「背けた先には何も在りませんよ?」
「否、僕の嫁が173人在る」
「何の話だ」
「オタい話さ」
頭が痛い、と嘆息するスティーノ。所詮は鳥頭か。3歩歩くと忘れてしまう低脳な奴故に、僕の高尚な会話にはついて来れないのも仕方ない。
「それはそれとして、これを」
「なんぞ?」
スティーノが一枚の用紙を渡してきた。なにやらグニャグニャした文字が書かれている。こちらの世界の文字である。
しかし、僕は召喚されてからの一年で既に文字知識を取得しているのだ。なので普通に読む。
「なになに、『うっふん♪弩エロパークシティ☆』とな」
「何処にそんな物が書いてある」
「ああ、間違えた。えっと、『デルエント魔術学院入学許可証』か」
「有り得ない読み間違いをするな」
スティーノを無視。
それはそれとして。
「むぅ? 入学許可証?」
手渡された用紙を見て首を傾げる。こんな物をどうしろというのか。
「貴方には此処へ移って頂きます」
「入学しろと、この僕に」
「そうなりますね」
「受験勉強とかしていないのに?」
「試験はありません。貴方は行くだけで大丈夫です。入学手続きもとってあります」
「本人の与り知らぬ所でやっていいことなのか、それ?」
「一般市民と女王陛下、どちらに重きを置くかなど、云わなくとも明白でしょう?」
「汚いさすが政府汚い」
世の中の闇を目の当たりにする僕。一個人の意思が国に潰されている。由々しき事態だ。純真無垢な僕ちゃんには目の毒過ぎる。
「誰が純真無垢だ」
「違うとでも云う気か?」
「違うでしょう。どう見ても」
「失礼な鳥だな!」
「それはそれとして」
「あ、この野郎無視かこの野郎」
「取り敢えず、先方には既に伝えてありますので、とっとと出て行け」
酷い物云いだ。
「というか、僕の私物とかは?」
「向こうに送ってあります。向こうの方に聴いて下さい」
「僕が向こうに行っちゃうとジジとメアとこの城の女の子たちが悲しんじゃうよ?」
「聖魔様に魔女様は、良い経験になると仰っていました。この城の女性陣は諸手を挙げて喜んでいました。大丈夫です」
「……ムードメーカーの僕が居なくなると城の空気が悪くなるよ?」
「貴様が居るよりは大分マシだ。いやマジで」
「…………エリンが泣くよ?」
「……なんとかします。大丈夫です」
「………………僕が泣くよ?」
「泣け」
なにこいつ非道い。
*****
なんやかんやとあって、正門前。
盛大な見送りがあるかなと思ったけどそんなことはなかったZE!
というか、ジジもメアも見送りに来てくれないってどういうこと。泣いちゃうよ、僕ってばわんわん泣いちゃうよ?
「泣け。わんわん泣け」
唯一の見送りがスティーノである。ムカツク顔をしやがって。いや本当にどういうことなの。何故にこいつなんだ。詳細仔細委細を求む。
因みに門兵は見送りに含まれない。ここはテストに出るような気がするよ!
「くっそぅ!」
腕を目に当てて、ダッと走り出す。
泣いてないもんね! 目から溢れてるこの水は幼女の涎だもんね!
走り去る僕の背に、スティーノが元気溌溂といった感じで言葉を投げかける。
「貴様の居場所ねーから!」
「ごぶふぅ!?」
なんという必殺の言葉《》。
心が痛い。僕じゃなければ耐えられなかっただろう。
僕は走る。ひたすら走る。悲しみを背負って。
視界が歪むこの世界を風のように駆ける。全力で駆け抜ける。悲しみを振り切るように。
駆け抜けた先に、きっと輝かしい未来《》があると信じて!
こけた。痛い。
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新年明けまして
おめでとうございます!
と思ったら既に5月。どういうことだ。4月馬鹿に乗り遅れてしまった。なんということでしょう。世の中には不思議なことがたくさんありますね。
とりあえず、私は頑張りますよ、ええ。2年に一回の頻度で更新しますとも。私にあるまじき勤労宣言。普段見られないやる気が垣間見えますっ。
しかし、正直誰得更新なのだろうと思うけど、一番得するのは作者っていうね。
▼お久しぶりね~!覚えてる~?
>はじめまして。
>今回の話を読んである極地にたどり着けたので御礼を言います。ありがとうございます。
>たどり着いた極地ですが・・・
>紳士は変態には成れず、変態は紳士に成れる、ゆえに変態の方が優れている。・・・ですね。
>おかげ他の変態紳士系ssをより楽しめそうです。
>これからの更新楽しみにしてますよ。
今ならまだ大丈夫だから帰っておいで!
>主人公に好意的な女性だと・・・ 洗脳良くない
経緯から考えると確かに洗脳染みた展開だったり。良くない!
>尻assな作者に報告
>削除したdataを復活させるソフトがあった希ガス
>たしか名前はdata recovery
そんなことより痔に効くソフトがあれば…いや、作者は痔じゃないよ?ホントだよ?
>途中までは主人公を好意的に見れましたが
>コルディーナちゃんをご褒美と受け取れない彼には失望しました
>非常に残念です、ですが、彼には高い素質を感じました
>男の娘がヒロインになるときを信じて……
ちょっと何云ってるか分かんないです。
>主人公に好意的?これはエリンさん「ついてる」フラグ来たな。二人目の男の娘か。
>主人公は男の娘がだめって時点で変態としては今ひとつ物足りないよね。
>尻assなんだからそっちもおいしくいただけばいいのに。
残念、それは主人公のお稲荷さん的なノリにはならないんだ。
あと、エリンは完全な女性ですたい。
>ところでエリンさん初登場ですよね?チョイ役がいっぱいなせいで思いだせん人がちょくちょくいるんだよね。
大丈夫!作者もだよ!
>ところどころ(15話とか)微妙かなあと思いながらも概ね楽しく読ませてもらいました。
>続き楽しみにしています。
基本的に脱力系深夜推奨作品なので、微妙な話ばかりな気がしなくもないです。15話とか特に。
>最近更新ないですね~。
>楽しみにしてますので頑張って下さい^^
頑張ったよ!作者頑張った!
>ぬう、続きが読みたい・・・・・
>まだなのかぁぁぁぁぁぁぁぁ!
まーだだよ!