生を受けて21年間男でありつづけた渡辺隼人は目が覚めると黒髪碧眼の美少女になっていた。
「うおぉぉお~!なぜだ~!あと萌え!」
机に置いてあった鏡を覗きながらそんなことを叫ぶロリっ子隼人もなんだか可愛らしい。(笑)
「笑うな!……ハァ……ハァ……疲れた。」
昨日は都内で一人暮らしを始めて3年、やっと見つかった就職先に明日から出勤ということで、早めに寝た隼人だったが、起きると初出勤どころではなくなった。
「起きたら何か山小屋みたいな所で寝てるし!姿は違う!、これはあれですか!いきなり麒麟に主上なんて呼ばれないですよね?そんな血生臭いの許しません、就職先は王様じゃなくて、ツンデレ美少女の使い魔がよかった~!」
そうやって暫く取り乱していた隼人だったが、ようやく落ち着いたのか状況確認と情報を集めることにした。
「もう姿は分けわかんないからいいとして、ここどこ?」
そう言って窓の外を見るとそこは絡み合う根、じめじめとした空気、どこか薄暗い空間、まさに樹海であつた。
ため息をつきつつも8畳ほどある部屋を見渡す。
ほとんど何もない。隅にベッドと机が置いてあるだけだ。
唯一机の上だけは分厚い本や封のしてない手紙で散らかっていた。
隼人は手紙に目を向ける。どれも英語や中国語など外国語だらけな手紙の中に日本語のものを見つけ手にとる。
~状況について、驚いているあなたへ~
これを読んでいるってことはあなた日本人ですね。
結論から言うとあなたの今いる世界はあなたの居た世界ではないです。
私が無理やり魂だけ呼び寄せました。
それでははじめまして私はセシリア・アロウ41歳です。ちなみに今のあなたの体に元々いた持ち主です。
あなたは私の望みを叶える為に来てもらいました。
その望みとはあなたに私として生きてもらいます。
そしてあなたが作った私の人生によって私の今までの人生を塗潰してください。
あなたは魔女です。ほぼ間違いなく最強の、なので自由にやって下さいその為の力と知識も用意しました。
あの10万3000冊の魔道図書館にもない悪魔の魔道書に私が生涯得た知識があれば早々はやられはしないはずです。
ともかく死ななければいいです。
でも、ネセサリウスには気をつけて下さい。ここ数年執拗に追われているので。
気をつけて下さいね(笑)
「って笑うな~!41ってなんだ!どう見ても14~5だろ!あと勝手すぎるだろ!てか10万3000冊ってここは黙示録(インデックス)の世界ですか!セシリアなんて知りませんよ。オリキャラ憑依ってことか。てか追われてるって!不良神父になんて会いたくないですよ!」
隼人改めセシリアは手紙の一枚目を読み終わるや叫びだした。まぁ王様ましといったところだったが、元セシリアの理不尽さに頭にきているようだ。
追われている。いくら強いと書いてあっても正直わからない、急に怖くなったセシリアは誰か助けて……とブツブツ言っていたと思うと急になにか閃いたような顔になり言う。
「ここがインデックスの世界ならきっとあの人なら助けてくれる……そうだ!きっとそうだ……早く会いに行かなくちゃ……」
言い終わると碧眼の瞳に涙をためながら両の手を胸に当ててセシリアは叫ぶ。
「助けて上条さぁ~ん!」