――都内某所
真夜中の路地裏、人の気配はなく静寂が空間を染めていた。
遠くからは車のエンジン音が聞こえそれが、ここの静けさを引き立たせている。
「た……助けて…な……なんで」
どこにでもいそうな、中年のサラリーマン風の男は、肩から血を流し訴える。
「なんで?……ハハ!『奴』を殺す為に決まっているじゃないか!その憎しみが 今の私を……
わたしたらしめている、のだからなぁ~!」
透き通るような高い声で、女は荒アラしく言葉を吐く。
銀髪のショートカット、身長は160前後といったところだろう。
夏の暑い中、黒のコートを羽織っている。
まだ幾分か少女の面影が残る顔には、蛇が張り付いたような奇妙なタトゥーで埋まっており、より不気味さを増していた。
女は手に持ったナイフを軽く一振りする。
あたりは血の海と化していた。
セシリアは外へと遊びに来ていた。
波乱の一日も明け、青髪ピアスの誘いにより、日常を楽しむ形となったのだ。
あさから出掛け、ゲームセンターや様々な店を見て周り、昼も食べ、午後もボーリングに行ったりと、あらかた遊びまわり、もうそろそろ帰ろうかな?とブラブラ歩いている最中だ。
「セシリア嬢、楽しかったか~?」
青い髪にピアス身長は180を越える大男『青髪ピアス』は問う。
「目新しいものが多くて、どこ行っても楽しいですよ~!」
黒髪に碧眼、手には漆黒の魔道書、黒のワンピースといった、黒尽くめの見た目14~15の美少女、セシリア・アロウは答える。
学園都市には様々な最新技術が、溢れかえっているためどこへ行こうとセシリアの目を引き付けるものばかりなのだ。
「あ!そうや、さっきカミヤンにメールしたら昨日怪我して、今入院中らしいから明日一緒に見舞いにでもいこか?
セシリア嬢、会いたい言うとったしな。」
「え!お見舞いですか?……」
(会っても大丈夫かな?不良神父に怒られたら嫌だし……でもお見舞いくらい……いや!ちょっと見るだけなら!)
もう『助けて上条さん』云々はどこへいってしまったのか。
「じゃあ、ちょっと見るだけなら……」
魔道書を両手で抱え、なにかを決心したように真っ直ぐ青髪ピアスを見て言った。
「見るだけって……カミヤンはアイドルか!」
「上条さんはヒーローですよ!ちなみに私はパン屋下宿組のアイドルになりましたが、なにか?」
「それは知っとる!」
そう言い青髪ピアスは漫才のように突っ込みをいれる。
「次遊ぶときはカラオケや!これも定番やろ。」
青髪ピアスは言う。
「お~!歌えるか分からないですけど。」
セシリアは言う。
「私は邦楽は歌えないけど洋楽でがんばるさ!」
いつの間にか後ろにいた変体ロリコン神父こと、ロバート・ディーンは言う。
「「……」」
「だれや?」
青髪ピアスが当然の疑問を口にする。
すると突如隣のセシリアが叫びだす。
「なんでいるんですか変体ロリコン神父~!あれですか、ノリでグループに混じろうと思っても、そうはいきませんよ!あなた嫌われてますから!
あなた嫌われてますから!」
セシリアはファーストキスを、この神父(男)に奪われたのを混乱するほど、相当根に持っているらしい
それを聞いて神父は固まりつつ言う。
「なぜ……二回も言う……君と私の仲じゃないか!」
「青髪さん、こいつにローキックして下さい!もう立てなくなるくらいまで、ローキックしてください!」
「セ、セシリア……」
神父は完全に固まったようだ。
「ま、まぁ、変体さんも固まったことやし、もう帰ろうな?な?」
「ローキック!」と叫び続ける、セシリアを、(なんでローキック限定?)と思いながら促し帰路へと向かう青髪ピアスであった。