「ひま~!」
「暇です!」
「はい!ヒマです!」
「とう!」
「ティ!」
「暇~!」
さして大きくもない8畳ワンルームにああるシングルベッドの上で、黒髪碧眼の少女は右へ左へゴロゴロと動き回っていた。
「ステイルの兄貴いつになったら来るんですか~!もう一週間くらいたってますけど~!」
セシリアはステイルが迎えに来てくれるまでとして、青髪ピアスの所に転がり込んだはいいが、ステイルがいつまでたっても来ないのでまだ待っているというところだ。
初めこそ遊びに行ったりなど、新鮮なこともあったのだが、青髪ピアスのバイトが再開すると、金銭に余裕のないセシリアは暑い中外へと行くわけにもいかず、部屋でヒマを持て余しているというわけだ。
「マンガもパソコンも触ったら駄目とか、青髪さんって案外神経質?」
まぁ、パソコンの中身見られたくないってのは分かるけど……と言ってまたベッドの上を動き回る。
やることのないセシリアの一日はここ4日ほどはずっとかんな感じだ。
「最近思ってきたんだけど、なんか男とか女とかどうでもいいかも、でもこれってよくある精神が体に……とかじゃなくて、周りから女の子として見られてるとそんな気になってくるっていうか……思い込みですかね?」
そんなことを考えてはやめるということをセシリアは繰り返している。
「青髪さん昼過ぎても来ないってことは忙しいのかな?」
青髪ピアスのバイト時間は午前十時から閉店までといった、結構ハードなものだが、昼ごろには昼を食べるために休憩として一旦セシリアの所に来るのがいつものことだった。
「ともかくヒマです~!」
そう言ってまたセシリアは動き回る。
上条当麻の部屋には、魔術師ステイル・マグヌスが来ていた。
「……というわけで明日にでも連れてくるから外出はしないでおいてくれ。」
赤髪の長髪に咥えタバコの神父ステイルは言う。
ステイルは10万3000冊の魔道図書館インデックスおよび、その管理人上条当麻に魔女セシリア・アロウとの取引について説明に来ていたところだった。
他の事件で少々遅れたらしい、まだその事件は解決してないらしいがあまり、相手を待たせすぎるのはいけない、ということであちらの方は仲間に任せてステイルはこちらに来たということだった。
上条はステイルが話している間もなんだか考えてるようだったが、話しが終わってもなにか唸っていた。
「どうした?さっきからなにか文句でもあるってのかい?」
ステイルは訝しげに上条に問う。
「いや……その名前どっかできいたことあるような……」
首を捻って考える。
「とうま?まえに私が魔女について話したからそれじゃないかな?」
「いや……そんなんじゃなくてなんか……あ!思い出したぞ!入院中に青髪ピアスが連れてきた女の子がそんな名前だった!」
「とうま~!セシリア・アロウは結構な歳だから人違いじゃないかな?」
そうインデックスが言うとステイルは面倒臭そうに話し始める。
「ああ、なんか彼女見た目は14~
5くらいになってたから、君が見た女の子がそれだってことは十分ありえるよ。いまも学園都市の中にいるはずだしね。……とりあえず明日連れてくるよ。」
そういい残しステイルは部屋を後にした。
「やっぱりな~!どこかで聞いたと思ったんだよ!でもあの子が魔女って……」
上条は思う、見た目は普通の女の子だったような気がするし、あの子が危険な魔女なのか?と……
「とうま~……なんでもう会っちゃてるのかな~?とうまは魔女も危険も関係無しに女の子が寄ってくるように出来てるんだね?」
「出来てるって言われましても……偶然としか言いようが……ってインデックスさん?どうしてもう噛む準備万端!って顔してるんでしょうか?いや……やめて~!」
上条は頭を噛み付かれている痛みに耐えながらも思う。
(青紙ピアスとどういう関係?まぁ明日聞いてみりゃいいか、悪い子にはみえなかったし。)
上条が傷みに耐えているころセシリアに手紙が届く。
内容は遅れたことへの謝罪と明日の15時に、セシリアが学園都市に入った初日に倒れた公園で、待っていてくれというものだった。
それに目を通したセシリアはベッドの上にたって魔導書を高々と掲げ叫ぶ。
「これで上条さんに堂々と会えますよ~!」
……なんだかいろいろと間違えているセシリアであった……。