黒髪の少女セシリアは頑張っていた。
何をそんなに頑張っているのかと言うと、学校での授業を思い出してみるといいだろう、寝ないよう必死なのだ。
いつの間にか同じ部屋にいたはずの上条は外出し、巫女服姿の姫神に至ってはもう横になって寝ている。
「……」
カクッとセシリアの頭が落ちる。
「聞いてる?」
「……はぃ……」
セシリアは使おうと思っている魔術について詳しく教えてもらうために、インデックスがいる上条当麻の部屋にたまたま出くわした姫神と来たのだがこの有様だ。
「とにかく、タロット・カードでの魔術は占星術が基本だから、セシリアのいう、戦うための魔術は、タロットが中世ヨーロッパで弾圧されてた時に、魔女側にながれた占星術師が作り出した悪魔信仰型の戦闘魔術だね。」
(やっと魔術の話になりましたよ……)
セシリアが元の知識から見つけた生贄が必要なく、なおかつ戦闘をするための魔術がタロット・カードを使って行うというものだった。
その説明を銀髪シスターのインデックスに聞いたところ、説明が好きなのか、先ずは歴史からと言ってタロットの背景にある歴史を授業のように延々とセシリアは受けていた。
「基本は占星術だからその辺も知っておかないといけないし、78枚のカードの意味を全て覚える。
少なくとも危険の少ない22枚の大アルカナは覚えないといけないね。
その辺はセシリアは知識として残ってる? 残っているなら、第一段階はクリアだね。
このタロットを使った戦闘術式の最大の利点は、その自由度の高さなの。
戦闘においてどうカードを取り出すか、から始まりその意味を紐解き、それを悪魔的な攻撃型の意味へと変換し、魔術的な意味とそれに合った堕天のテレズマを借りる言葉で呪文を紡の。
意味の解き方一つ、呪文一つ違うだけ同じカード、もしくは配置、もしくは状況だけで術式が変わり効果も変わるの。」
要するにその場にあった術式を使うことが出来るのかな? などとセシリアは思う。
「すごいですね!それじゃあちょっと卑怯じゃないですか?」
状況に合った術式を使うなんてことは、かなりの強みだ、むしろ卑怯と言っても過言ではない。
「う~ん、それがそう言うわけじゃないの。
自分の無意識を知ることで、これから自分の身に起こることや、未来に起こる出来事を予測する。
『無意識の領域にあるものと現実の世界に起こることには一種のアナロジーが存在し、人が偶然として片付ける出来事も、すべては無意識の中にある原因により必然的に起きる』
この一点に絞ったことによって起きる現象をこの魔術は大きな力としているから、カードを自分で選ぶなんてことをすれば、威力はないに等しいの。
それに意味の解釈、それによる呪文それらも、無意識の中にある原因により必然的に起きる。
から離れすぎていると威力はないし、酷いときは暴発することだってあるかも。」
それにタロットの持つ意味それ自体がキリスト教的な世界を越えた、神秘の力にあふれているから、扱うのは大変。
いわく、魔術師なら使おうと思えば誰でも使えるが、その知識量と解釈の難易度が問題で使えてもピンきりだそうだ。
その点セシリアは魔術的な意味を持つ言葉、悪魔的な力を借りる単語、タロット事態の意味も知識としては万全で、あとは状況にあつた解釈をし術式を組めるかどうかが問題のようだ。
「カードの意味は分かっても、解釈が難しいから、。はじめは大アルカナ22枚のみ使うのが無難だね。
それから戦闘での、カードの出し方を考えて、解釈の練習を日々こなすって感じかも」
そうインデックスはセシリアに進める。
「はい! ありがとうございます!」
難しくはあるが、現実的に戦うことが出来るようになりそうになったことで、セシリアは意気込んだ。
だがそれもつかの間……
「説明すると大アルカナは生命の樹を織り成す11個のセフィロトが……」
また説明しだしたようだ。
「あの~?インデックスさん?」
「聞いてるの?」
「……はぃ……」
そう言いセシリアはぐったりとした表情でまた眠気との戦いが始まった。
(上条さん早く帰って助けてくださ~い!)
セシリアは心の中で叫んでいた。