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No.9906の一覧
[0] ひぐらしのなく頃に剣~騙神殺し編~【とらいあんぐるハート3×ひぐらしのなく頃に】[剣の舞姫](2009/06/28 23:37)
[1] プロローグ[剣の舞姫](2009/07/11 18:18)
[2] 第一話[剣の舞姫](2009/07/11 18:15)
[3] 第二話[剣の舞姫](2009/09/04 16:08)
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[9906] プロローグ
Name: 剣の舞姫◆9c21d489 ID:6b6ecf66 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/07/11 18:18
ひぐらしのなく頃に剣
~騙神殺し編~

プロローグ



 時は平成15年6月、海鳴市に住む高町恭也が大学3年になった夏。恭也はゼミの課題で日本の歴史、特に過去に起こった災害などのレポートを作ることとなった。
 最初は阪神淡路大震災について書く心算でいたのだが、なのはに教わりながら見ていたインターネットの『日本の災害』というページにあった言葉が気になった。
『雛見沢大災害』
 その名前は聞き覚えがあった。今から20年前、昭和58年の6月××県鹿骨市にある雛見沢という村を突如襲った大災害の名前だ。
 興味を覚えた恭也は雛見沢大災害のページを開いて見た。内容は恭也が知っている事は勿論、災害の内容や被害者の数、それと雛見沢村についての事が書かれていた。

「毒性の強い火山性ガスが一晩で村を覆い、村人は全員死亡または行方不明で、死者・行方不明者の数は2000人にも及ぶ・・・」

 確かに大災害と呼ぶに相応しい出来事だが、恭也は何か腑に落ちなかった。書いてある自衛隊の対応は的確だが、その対応の早さが異常だった。素人なら気付かなかっただろうが、見る人間が見ればその異常性が理解できるし、何より怪しいのが村の調査を当時の政府が禁じていた事だ。

「・・・・・・ん? 隠しページ、か?」

 何となくマウスを動かしていた恭也が何も無いところでアイコンが矢印から指に変わったのを見て隠しページの存在に気付いた。

「っ!?」

 隠しページを開いてみると、警察のパスワードが必要と出たので、以前リスティが教えてくれたパスワードを入力してクリックすると、真っ黒なページに一枚の写真が載っていた。小学5年生位の少女が惨殺されている写真だった。その横には更に驚愕する事が書かれている。

「彼女の名は古手梨花、雛見沢御三家の一つ、古手家の最後の一人で、雛見沢大災害の後に古手神社の境内にて他殺体で発見された。死因は腹部を切られ大量失血した事による出血性ショック死、死亡推定時刻は大災害直前の夕方から深夜前の間で、雛見沢大災害の後で発見された唯一の他殺体・・・か」

 明らかに警察か警察関係者が書いたのであろう内容だった。何故このようなページが隠されていたのかは解らないが、これで恭也の選択は決まった。雛見沢について調べること、それを即座に実行した恭也は先ず雛見沢についてのホームページを片っ端から検索、印刷を開始した。

「災害直後から雛見沢は閉鎖されていたが、最近になってその閉鎖も終わり・・・一般人も自由に行き来できるようになったが、訪れる者は殆ど居ない」

 それからもう一つ、大災害の日に雛見沢唯一の診療所医である入江京介という人物が死亡している。死因は睡眠薬を大量に飲んだ事による中毒死で、状況から自殺と断定。遺体が発見されたその日の内に捜査は打ち切られた。その捜査打ち切りの際にも政府が何かしら介入したらしく、入江医師の死には何か秘密が隠されているのではないかと思われている。

「・・・雛見沢か。善は急げだ、行ってみるか」

 早速恭也は旅の準備を始めた。完全武装一式を整え、携帯電話と財布、通帳、カードも鞄に詰め込んで、レポート用紙やカメラも忘れずに鞄に入れていつでも出発できるようにする。後は母や家族に雛見沢に行く事を話すだけだ。

「かーさん、話がある」

 丁度休憩で家に戻ってきていた母・桃子に雛見沢へ行く事を伝えた。レポートの事は勿論、少し気になる事もあるからと言ったらOKをくれた

「でも、雛見沢ねぇ・・・たしかあたしが学生の頃に大災害で村人全員死んで閉鎖されたって聞いたけど」
「最近閉鎖解除になったらしい」
「そう、気をつけなさいよ」
「ああ」

 部屋に戻った恭也は最初に見たページを印刷した紙を見た。そこには雛見沢の地図が書かれているので、忘れず持っていかなければならない。



 三日後、恭也は黒いスーツに身を包んで旅行鞄を手に海鳴を旅立った。夕べの内に家族には急遽雛見沢へ行く事は伝えてあるし、電車のチケットは昨日の内に購入してある。

「じゃあ恭也、気をつけて行ってらっしゃい。レポート確りやるのよ?」
「気をつけてね恭ちゃん、お土産期待してるから」
「いってらっしゃい! おにーちゃん」
「おししょ~、お土産楽しみにしてます~」
「オレも楽しみしてます師匠!」

 家族(イギリスに居るフィアッセ以外)の見送りを受けて恭也は海鳴駅に向かった。これから電車での移動が始まる。ただ、恭也の頭には3日前に見た画像に写っていた古手梨花の顔が浮かんでいた。なぜあの少女は殺されたのか、雛見沢大災害は本当に災害なのか、恭也の疑問の答えは雛見沢にあるのだろうか。

「全ては、着いてから・・・だな」

 電車に乗って予約しておいた席に座った恭也が目を落とした資料、そこには行方不明者の名前が書いてあった。雛見沢大災害行方不明者リストの中でも殺された古手梨花と雛見沢分校での同級生の人物。前原圭一、竜宮礼奈、園崎魅音、園崎詩音、北条沙都子、この五人が行方不明となっている。それも当時古手梨花と最も仲の良かったこの五人がだ。

「確実に何か裏があるのだろうな・・・俺の予想だとこの五人も・・・いや、行方不明者全員が古手梨花を殺した人物に殺されているのだろう・・・古手梨花と違って死体が出てこないのは、他殺体が大量に見つかれば不味いから、特にこの五人は古手梨花の友人。もしかしたら大災害も実は古手梨花を殺した人物が起こしたのかもな」

 それと、雛見沢で毎年行われていた祭り、綿流し祭りの情報と大災害の年の4年前、つまり昭和54年まで雛見沢の住人が行っていた雛見沢ダム建造計画の反対運動、所謂ダム戦争とその年に起きたダムの現場監督のバラバラ殺人事件、次の年からも毎年綿流しの夜に起きる連続怪死事件の資料にも目を通す。
 そもそもの始まりは昭和50年頃、雛見沢にダムを建設する計画を政府が上げたことが始まりだった。勿論そのダムが作られれば雛見沢はダム湖の底に水没してしまうため、村民は猛反対して政府と戦った。
 当時の建設大臣、犬飼大臣の孫が誘拐される等の事件が起こり、結局昭和54年にダム建造計画は無期限凍結されることとなったのだが、その年の綿流しの夜にダム建設の現場監督が作業員五名に殺され、遺体をバラバラに切断されたという事件が発生。犯人の内四人は逮捕されたのだが、一人は平成に入った今でも捕まっていない。なお、この事件が切欠でダム建造計画無期限凍結からダム計画廃止になったのは言うまでも無い。
 翌年の昭和55年6月の綿流しの日、今度はダム戦争時にダム賛成派だった北条夫妻・・・北条沙都子の両親が旅行先の公園で崖から下の濁流に転落。夫は死亡、妻は遺体が見つかっていない。
 その次の年の昭和56年、やはり6月の綿流しの日に古手神社の神主(古手梨花の父)が謎の病死、妻(古手梨花の母)は鬼ヶ淵沼に入水自殺したのだが、遺体は見つかっていない。
 大災害前年の昭和57年6月の綿流しの夜、雛見沢在住の主婦が撲殺体で見つかった。被害者の名前は北条玉枝、北条沙都子の義叔母であり、北条夫妻の死後、北条沙都子を引き取った人物。
 北条玉枝が殺された数日後には北条沙都子の兄、北条悟史が名古屋での目撃情報を最後に行方不明となった。因みに北条玉枝を殺害した犯人は逮捕されているのだが、拘留中に死亡した。重度の麻薬中毒だったらしい。
 そして大災害の起こった昭和58年6月の綿流しの夜、フリーカメラマンの富竹ジロウが喉を掻き毟って血管を傷つけた事による出血性ショック死している所を巡回中の警官が発見、更に入江診療所の看護士だった鷹野三四が岐阜の山中にて焼死体で発見された。気になるのは鷹野三四の死亡推定時刻は綿流しの前日となっているのに綿流しの日、会場で鷹野三四の目撃情報が多数、実際に会話した者までいるという事実だ。
 この一連の事件を雛見沢連続怪死事件、またの名をオヤシロ様の祟りと言う。

「一番怪しいのは岐阜の山中で焼死体で発見されたという鷹野三四だな・・・目撃情報と死亡推定時刻が合わない時点で焼死体は偽装の可能性がある」

 もしそうなら鷹野三四は何故自分が死んだと偽ったのか、そもそも偽りの遺体はどうやって用意したのか、どうやって身元鑑定でその遺体が鷹野三四だと判定させたのか、何より自分の予想が当たっていたのなら鷹野三四は何者なのか。20年経った今では真相を暴くのは難しいのかもしれない。

「なんにしても・・・雛見沢に着いてからだな」

 電車の窓の流れる光景は何時の間にか街から田舎へと変わっていた。


 鹿骨市興宮駅で降りた恭也は予約しておいたホテルに荷物を預けると、何があっても良い様に完全武装を整えて直ぐに雛見沢村跡地へ向かった。バスを利用して跡地近くまで来ると後は歩きでの移動になる。村の入り口には前までバリケードがあったらしいが、今はそれも無くなって入り口が開放されている。
 村に入ると真っ先に目指したのが古手梨花の遺体が発見された現場である古手神社だ。賽銭箱の裏で殺されているのが発見されたらしく、20年経った今でも血の染みが残っていた。

「ここで古手梨花が殺されたのか・・・」

 血の染みを見れば解る。此処で幼い命がどれだけ無残に奪われたのか、それを思うと犯人に対して怒りが沸いてくる。
 何時までも此処に居るわけにもいかないので、神社内を見て回る事にした。特に見ておきたかったのはオヤシロ様の御神体を保管しているという祭具殿だ。鍵は20年の歳月で壊れているので中には簡単に入れた。
 祭具殿の中は流石の恭也でも少し引いてしまった。中央にある巨大な御神体の周りに所狭しと並べらられた拷問道具、古文書の山。拷問道具は既に錆付いていたりして使えるか怪しい上に、古文書は殆ど風化していて読めそうにない。

「ん?」

 視界の片隅で何かが光ったのが見えた。そこを調べてみるとビー球サイズの水晶玉が落ちていた。手に取って見ると水晶の筈なのに向こう側が透き通って見えない。

「これは?」
『だ、誰なのです!?』

 声が聞こえた。辺りを見渡してみるが誰も居ないし、気配を探ってみても祭具殿の周りに人の気配は無い。・・・いや、だが何かが居るのは解る。人ではない何かの気配を感じた、それもすぐ傍でだ。

『ぼ、ボクの声が聞こえるのですか?』
「ああ、聞こえている。それで君は何者だ? 何処に居る」
『あぅあぅ、さっきから後ろにいるのです~』

 後ろを見てみると何も無い。違う、視線を下げるとそこには巫女服を着た半透明の少女が居た。しかも頭部の両サイドには角が生えている。

「君は?」
『あぅ、ボクは羽入と言いますです。この雛見沢ではオヤシロ様と呼ばれていましたのです』

 オヤシロ様と言えばこの村でずっと信仰されていた神の事、それがこの少女だと言うのだろうか? 何処と無く頼り無さそうな表情で恭也を見上げるその姿は普通の少女と変わらない。勿論半透明な時点で普通ではないのだが。

「俺は高町恭也、一つ聞きたいのだが・・・君はずっとこの村に居たのか?」
『そうなのです。ボクはこの村で大昔に死んでからずっとこの村を見守っていたのです』
「なら、20年前・・・昭和58年に起きた雛見沢大災害の事も知っているのか?」

 目に見えて羽入の表情が曇っていくのが判った。段々と泣きそうな顔になって目尻には涙が溜まっていく。

『・・・ぅぅ、グスッ・・・・・・知ってますです。ボクは梨花が死ぬのは何度も見てきましたのです。でも! 村人が全員死んでいくのなんて初めて見ましたのです!!』

“何度も”と言うのはどういう事なのか、それを訊ねると泣きながらも羽入は答えてくれた。
 そもそも羽入の姿はオヤシロ様の生まれ変わりと呼ばれていた古手梨花にしか見えず。羽入は彼女が生まれてからずっと傍に居たらしい。それから古手梨花は昭和58年6月をもう100年以上繰り返していると言うのだ。その繰り返してきた全ての世界で古手梨花は殺されるか、その前に自殺してきた。殺されることが殆どだったらしいが。
 全ての発端は雛見沢連続怪死事件の真相、原因たる病気が始まり。雛見沢症候群という寄生虫による病気、その症状の一つである疑心暗鬼とその結果で誰かを殺め、その事によるストレスから病状は進み、最後には自分の喉掻き毟って死んでしまうという奇病。それが原因で怪死事件の一年目と二年目、四年目が起こり、雛見沢症候群研究の為に手段を選ばなくなった鷹野三四が三年目を起した。
 ちなみに一、二、四年目と同じ理由で各世界の前原圭一や竜宮礼奈、園崎詩音は殺人を犯して、その過程で古手梨花は殺されるか、自殺、もしくは彼等が死んでから殺されてきたとの事。
 また、雛見沢症候群は村人全員が掛かっており、古手梨花はその女王感染者。つまり彼女が死ねば村人は48時間以内に末期の症状を発症してしまうため、“東京”と呼ばれる恐らく政府の組織が古手梨花が死亡したら直ぐに村人を毒ガスで皆殺してする事になっている。これが雛見沢大災害の真相だった。

『ちなみに五年目の被害者の鷹野三四が大災害の実行犯、指揮者なのです。死んだと思っていたら生きていたのです』
「なるほど、俺の予想が当たったな」

 鷹野三四ともう一人の五年目の被害者こと富竹ジロウも“東京”の一員らしい。他にも鷹野三四には手駒として“山狗”という自衛隊の特殊部隊が存在していたらしく、この世界で古手梨花を殺したのは鷹野三四だが、他の世界では大抵“山狗”と思われる者が殺していたとのことだ。

『・・・そういえば今気付いたのですが、恭也は何でボクの姿が見えるのです?』
「・・・・・・今更だな、正直わからん・・・もしかしたらこの水晶のお陰かもな」

 手に持っていた水晶を見せると羽入は飛び上がって驚愕して見せた。どうやらこの水晶はかなり重要な物らしいが・・・

『こ、コレはカムノミコトノリっ!? こ、コレを持っていたからボクの姿が見えたのですか・・・』
「この水晶に何かあるのか?」
『この水晶・・・カムノミコトノリはカケラ、つまりこの世界を含む様々な世界は無数のカケラになっているのですが、そのカケラと繋がりを秘めている。要するにボクの力の結晶みたいなものなのです』

 神の力の結晶に触れているから恭也でも羽入の姿が見ることができて、尚且つ話もできる。そういう事だ。

「便利な物だ・・・所で、雛見沢症候群を研究する機関はこの村に在ったか聞きたいのだが」
『在りましたのです。入江診療所がやっていたのです』
「案内、頼めるか?」
『任せるのです!』

 カムノミコトノリを懐に仕舞った恭也は祭具殿を出て羽入の後を着いて行く。暫く歩くと荒れ果てた診療所が見えてきた。どうやらアレが入江診療所らしい。中に入ってみるとそこは何の変哲も無い診療所の待合室、特に怪しい所は無いが、此処は大災害の黒幕たる鷹野三四が勤めていて、更には雛見沢症候群の研究をしていた機関でもあるのだ。

「・・・・・・」
『恭也、どうしたのですか?』

 羽入の問いかける声が聞こえたが、今は無視して全神経を研ぎ澄ます。御神不破流には暗殺の都合上建物の内部構造を把握するための技がある。それを使用した恭也の脳裏には診療所の内部構造が浮かび上がっていく

「・・・・・・ん?」

 だが、そこで何か妙な点に気付いた。足元・・・いや、その更に下が空洞になっているのだ。

「地下室・・・か? だがこの広さ・・・・・・」

 恭也の脳裏に浮かんだ構造には地下室と思しき空洞が存在した。それもかなりの広さなのだ・・・この診療所と同等かそれ以上に。

「羽入、この診療所に広い地下室が在る事は知っていたか?」
『? 知らないのです。あるのですか?』
「ああ、今調べたら在った。それもかなりの広さだ」

 どうやって調べたのか理解できない羽入は不審に思っていたが、突然歩き出した恭也に慌てて付いて行くと階段を見つけ、下りてみると大きな扉が目に入った。

『本当にあったのです・・・どうして恭也はわかったのです?』
「俺が修める武術の技の一つに建物の構造を図るというものがある。それで調べたらこの診療所の地下に広い空洞がある事に気付いたんだ」

 彼は本当に人間なのだろうか・・・? 羽入がそう思ってしまうのは仕方ない事だ。それはさて置き、扉をどうやって開けるかだ。向こう側に人の気配は無い事から無人だというのは分かっているので恭也は背負いにして差している小太刀二刀を抜くとクロスして構える

『か、刀!? あうあうあう!!? な、何でそんな物を!?!?!?』

 騒いでいる羽入を完全無視して奥義の肆・雷徹を使って扉を破壊する。唖然としている羽入だったが、小太刀を仕舞ってさっさと歩き出す恭也に置いて行かれないように恭也に追い付く

『恭也は何で刀なんて持っているのですか?』
「言っただろう? 武術を修めているって・・・俺は御神流という剣術を修めているんだ」
『み、御神流!!? 知ってるのです! ボクが生きていた時代でもかなり有名でした。凄腕揃いの剣術集団が居たって。それが御神流、守る事に関しては特に最強と呼ばれていたのです!』

 まさか羽入が知っているとは思わなかった恭也だったが、今は生き残りは3人しか居ないとだけ言っておいて未だに興奮している羽入を尻目に各部屋を見ていく。
 最初にあった部屋はどうやら通信施設らしく、当時の大型通信機があった(長い年月で壊れているため使えないが)。
 だが、幾つ目かの部屋で恭也の表情が険しくなった。手術室のような部屋だが、確実に違う。余りにも濃すぎる血の匂いがしたのだ。

「さて、一番奥のこの扉の向こうには・・・何があるのやら」

 再び雷徹で扉を破壊した恭也は羽入と共に中に入る。そして集中治療室のような強固な硝子の向こうのベッドの上を見た瞬間恭也は本日最大の険しい表情になり、羽入は手で目を隠してしまった

「まさか、こんな所で雛見沢の住人を見つけるとは・・・」

 ドアがあったので開けて中に入るとベッドまで近付く。羽入もビクビクしながら恭也の後ろに付いて来た。ベッドの上にあったのは首と四肢を固定された白骨死体があった。頭骸骨には金髪の髪の人間だったのか髪の毛が残っており、ベッドのネームプレートに名前が書いてあった。恐らくこの白骨体の名前だろう。

「北条・・・悟史? まさか!」
『あう・・・本当にこの骨、悟史・・・なの、ですか?』

 辺りを見ると心電図計と点滴、それから何故か大きなクマのぬいぐるみが置いてあった。北条悟史は確か名古屋での目撃情報を最後に行方不明になっていた筈だ、それが此処に彼の白骨体があるという事は

「誘拐されて此処に幽閉されていた・・・いや、もしかしたら点滴の針が腕の骨付近に落ちているのを見るに治療を受けていたのか、しかも極秘に」
『あうあう? なら名古屋での目撃情報というのは何なのですか?』
「恐らく虚偽の情報だ・・・雛見沢の外で目撃情報があれば雛見沢に北条悟史が居るなんて誰も思わない」

 そして恭也の中で推理が一つに繋がった。血の匂いが濃いくらいに充満した手術室らしき部屋の存在と北条悟史の発見で確信を得たのだ。

「恐らく、一年目のダム工事現場監督バラバラ殺人の犯人の内、見つかっていない主犯格はこの地下室に誘拐された。そして雛見沢症候群の研究の為に解剖でもされたのだろう」
『か、解剖!? あうあうあうあう!!?』

 二年目は本当に妻の遺体が見つからなかったのだろう。濁流ということはそれだけ遠くに流されたということだ。

「三年目、古手梨花の母親も入水自殺ではなく此処へ連れて来られたのだろうな・・・やはりその後解剖された」
『あう・・・』

 四年目は言うまでも無い。更に驚いたのは羽入が言うには北条玉枝を殺したのは本当は悟史だということだ。彼はその時には既に雛見沢症候群のL4になっていたとのこと。だが、それで完全に繋がった。

「ところでこの診療所の所長・・・入江京介は自殺したんだったな? 睡眠薬で」
『はいなのです。でも今思えば入江も自殺ではなく殺されたのだと思うのです』

 そう考えると富竹ジロウも殺された可能性が高い。雛見沢症候群を抑える薬が存在したと羽入は言った。なら逆に抑えるのではなく症状を促進させる薬が作られていても可笑しく無い。

「羽入・・・悲しい事を思い出させるかもしれないが聞かせてくれ。前原圭一、竜宮礼奈、園崎魅音、園崎詩音、北条沙都子は行方不明扱いになっているが、本当はどうなった?」
『・・・殺されたのです。皆、鷹野に殺されたのです。梨花を逃がす為に皆犠牲になってしまったのです。そして結局その犠牲も空しく梨花は殺されてしまった・・・』

 これで完全に全ての謎は明確になった。事件の黒幕は雛見沢症候群の研究の為にそれを利用していた鷹野三四、彼女は“東京”の一員で、雛見沢症候群の研究を行い、細菌兵器にでも転用しようとしていたのだろう。そして彼女は目的の邪魔になる存在を容赦無く殺す外道。

「しかし、全て解った所で鷹野三四が今も生きているのか不明、証人も居ない今では如何する事も出来ないのだがな」
『・・・できますのです』
「何?」

 羽入が真剣な表情で恭也を見てる、その目には何かの決意と希望が宿っていた。

『ボクの力を使ってカムノミコトノリを持つ恭也を昭和58年の、梨花が向かった次の雛見沢へ連れて行くのです。そうすれば、恭也は梨花達と共に鷹野と戦えるのです』
「・・・できるのか?」
『はい、ただし・・・かなりの力技になってしまうので今後梨花が新しい雛見沢へ行く事は出来なくなる・・・梨花は死んだらもうそれでおしまい』

 責任は大きい、本人の居ない所で無許可にそんな事をして良いものかと思うが

『恭也が・・・御神の剣士たる恭也が居てくれれば勝てる気がするのです。無論、ボクも一緒に戦うのです・・・もう傍観者でいる事はやめて勇気を出して戦うのです! だから、次の雛見沢で最後にするのです!』

 強い決意だった。此処で彼女の決意を無駄にする気など恭也には毛頭無い、しかし・・・。

『もちろん、全てが終わったら恭也はこの世界に帰してあげるのです。それだけの力は残しておくのです』

 なら迷う必要は無い。恭也は八景を抜いて羽入の前に跪いた。

「御神不破流継承・・・不破恭也の名と不破が伝承刀・八景に誓って、古手梨花とその仲間達を守り、勝利に導く事を誓う」

 跪いて誓いの言葉を口にする恭也に羽入は笑みを浮かべると恭也の胸、カムノミコトノリが入っている所に手を添えた。すると恭也と羽入の周囲が光に包まれ、何時の間にか無数のカケラが漂う闇に変わった。

『さあ・・・・・・最後の雛見沢に行きましょう。覚悟は良いですか? 恭也』
『ああ、いつでもいい』

 100年の魔女の長い旅が、一人のイレギュラーの登場でどんな結末を迎えるのか、それはまだ、誰にも分からない。しかし、一つ言えるのは、そのイレギュラーは最強にして最高のイレギュラーだという事だけだった。



あとがき

永遠を担う風の御神書かないで何やってんだ俺…orz

 学祭終わったのでさあ投稿しようと思ってPC開いたら完成している作品がこれしか無かった駄作者です。
 風の御神はもう直ぐ投稿しますのでお待ちください。今はこの作品ですが、ひぐらし好きの人間が見たら「何だこれぇ!!」と言って怒りそうな予感でガクガクブルブルです。
続けるかは感想見て決めるので、余り期待はしない方が傷は浅いかも…。


学際で金使いすぎた…財布に野口さん一人しかいない……orz


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